JIS Z 4752-2-11:2005 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法―第2-11部:不変性試験―直接撮影用X線装置 | ページ 2

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Z 4752-2-11 : 2005 (IEC 61223-2-11 : 1999)
は,試験しているパラメータの新たな基礎値を設定することである。

4.3 不変性試験の頻度

 不変性試験は,個々の箇条で示した頻度で行わなければならない。それに加え
て,次の場合にも繰り返す。
− 誤動作が疑われるとき。
− X線装置の試験の対象になる性能パラメータに影響すると考えられる保守を行った直後。
− 試験の結果が基準から外れたとき。
基礎値の記録は,新たな基礎値が設定される不変性試験が実施されるまで保存しなければならない。
不変性試験の結果は,少なくとも2年間保存しなければならない。

4.4 X線装置,試験機器及び試験条件の同一性

 試験するX線装置,及び試験に使用するすべての試験
機器は,明確に同一性を確認できなければならない。
X線装置の交換可能な構成品は,次による。
− 付加フィルタ
− 照射野限定器
− X線(放射線)ビーム内にある患者支持器又は他の減弱物
− 自動制御システムの放射線検出器
− 散乱線除去グリッド
使用する試験機器は,次による。
− 増感紙付き撮影用カセッテ
− 試験器具
− 撮影用フィルムの形名と乳剤番号
− フィルム現像機
− 感光計
− 濃度計
設定の変動は,次による。
− 焦点受像器間距離
− 自動制御システムの濃度制御及び検出器の位置
− X線条件
− 該当する場合,公称焦点寸法
以上の事柄は,表示又は記録しなければならない。これは最初の不変性試験で用いられる試験機器及び
器具並びに設定を,X線装置の試験に用いるようにするためである。
備考1. 試験の多くは,最初の不変性試験と同じ撮影用カセッテを用いて行うことが望ましい。以後,
このカセッテを“試験カセッテ”という。この試験カセッテは,試験専用として臨床で用い
るカセッテと区別して保管するほうがよい。最初は装置の変化を示すのに安定した器具であ
るが,次第にカセッテ自体の劣化による変化を含め,システム全体の変化を提示することに
なる。
2. 試験に用いるすべての撮影用フィルムは,フィルム現像機の不変性試験に用いるフィルムと
同じ形名のものが基本である。
試験器具のX線像は,同じ増感紙とフィルムの形名の試験カセッテで撮影しなければならない。撮影フ
ィルムは,既定条件で現像処理し,JIS Z 4752-2-1で規定した試験でフィルムの乳剤番号間の変化につい
て,適切に考慮しなければならない。フィルム又は現像条件を変えた場合は,再設定のために最初の不変

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性試験を行わなければならない。

4.5 測定される機能パラメータ

 直接撮影システムの画像性能は,次の機能パラメータの変化が適用判
定基準に合致していれば,不変であると考えられる。
− X線源装置からのX線出力(5.1参照)
− 受像面へのX線入力(5.2参照)
− 幾何学的な特性(5.3参照)
− 高コントラストの分解能(5.4参照)
− X線像全域の光学的濃度変化(5.5参照)
不変性要因は,次の装置性能パラメータの一つ又は一つ以上の変動の影響を受ける。
− 電源電圧の値及び波形
− 管電圧の値及び波形
− 管電流
− 負荷時間
− 自動露出制御時の照射時間
− X線ビーム内のろ過及び減弱
− X線管装置の陽極のターゲットの荒れ
− 焦点から関心領域までの距離
− X線ビームの制限
− X線ビームの方向
− 受像面とX線ビームの配列
− 光照射野表示器による照射野表示とX線(放射線)照射野の一致
− 運動グリッドの動き
− 散乱線除去グリッドの位置
− 焦点の画像特性
− 機械的安定性

5. 性能試験

5.1 X線源装置からのX線出力

5.1.1  概要 X線源装置からのX線出力は放射線測定器で測定する。測定は,X線装置の形式と用途に
応じて,マニュアル制御及び/又は自動露出制御で行う。
5.1.2 試験機器 測定は,総合的な再現性が±5 %以内(長時間の安定性,計器ノイズ,読み取り限界を
含む。)の積算形の放射線測定器を使用する。自動露出制御で試験するときには,患者の代わりとして減弱
ファントムを使用しなければならない。これは,X線ビームの適度な減弱と線質硬化のためである。減弱
ファントムの詳細は,附属書Dを参照する。
5.1.3 試験手順 放射線測定器の放射線検出器は,X線源装置から出て来るX線ビーム内に置く。
測定の位置関係について
− 放射線検出器の焦点からの距離
− 放射線検出器のX線照射野内における位置
は,最初の不変性試験で使用した焦点−放射線検出器間距離の±1 %以内に再配置し,同じ大きさのX線
照射野を使用しなければならない。

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可能であれば,この試験はマニュアル制御と自動露出制御の両方で実施する。5.2.3に従った測定が実施
された場合,5.1.3.2に従った測定は,実施しなくてもよい。
5.1.3.1 マニュアル制御試験 最初の不変性試験で使用したものと同一の負荷条件を手動操作で設定しX
線装置を操作する。
放射線測定器の読みを記録する。
5.1.3.2 自動露出制御試験 通常の臨床で使用するように,X線源装置及びX線受像器を一列に配置する。
減弱ファントムをX線ビーム内で,放射線測定器の放射線検出器と自動制御システムの放射線検出器と
の間に配置する。
放射線測定器の放射線検出器は,自動制御システムの動作に影響しない位置に置く。
備考 すべての放射線検出器に自動露出制御に対する影響が最小になる配置ができるような規定の指
示が与えられなければならない。減弱ファントム(A2又はA3 : 附属書D参照)が使用される
場合,X線源装置に取り付けるため,ファントムの後方(もし放射線検出器の感度が許すなら
ば)で測定がされるよう考慮しなければならない。
空の撮影用カセッテをカセッテチェンジャに置いて,最初の不変性試験で使用したのと同じ管電圧設定
で,X線装置の自動制御システムを作動する。同じ撮影用カセッテを使用する。
放射線測定器の読みを記録する。それぞれの照射が行われた後に,照射時間,管電流時間積などが表示
される場合は,それらも記録する。
5.1.4 データの評価 X線出力の測定値を,確立した基礎値と比較する。
5.1.5 適用基準
5.1.5.1 マニュアル制御試験 X線出力は,基礎値の±20 %以内であることが望ましい。
5.1.5.2 自動露出制御試験 適用基準は,減弱ファントムに使用される物質による。
低い原子番号(最大14)の物質[例えば,水,ポリメチルメタクリレイト (PMMA),アルミニウム]が
使用される場合,X線出力は基礎値の−20+25 %以内であることが望ましい。
高い原子番号の物質(例えば,銅又は鉛)の場合,X線出力は基礎値の±25 %以内が望ましい。
鉛が使われて管電圧が90 kVを超える時は,上記の低い原子番号の物質の値を適用する(基礎値の−20
+25 %以内)。
5.1.6 取るべき処置 被試験システムが基準を満たさない場合,附属書Cで参照された指針に従うこと
が望ましい。
備考 X線管の劣化によってX線出力が徐々に減ることが予想される。このため,時々新しい基礎値
を決めることが必要である。自動露出制御では,X線出力の減少が補償され検知できないため,
マニュアル制御による試験に適用する。
5.1.7 不変性試験の頻度 最初,出力測定値の平均の値を計算して基礎値を確定するために,少なくとも
1週間は,毎日不変性試験を実施することが望ましい。
続いて,X線源装置,高電圧装置及び自動制御システムの信頼性に関するデータを得るために,6か月
間は2週間ごとに不変性試験を繰り返すことが望ましい。その後,不変性試験は製造業者が提供した取扱
説明書に従って実施しなければならない。試験頻度に関する情報がない場合は,不変性試験は少なくとも,
3か月ごとに実施しなければならない。

5.2 受像面へのX線入力

5.2.1  概要 受像面へのX線入力は,X線像の規定の点に記録された光学的濃度を測定することによっ
て決定される。代わる手段として,X線入力は放射線測定器で直接測定してもよい。

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備考 しかしながら放射線測定器は,X線ビームの線質を考慮していない。したがって,フィルム法
が望ましい。
測定は,X線装置の形式と用途に応じてマニュアル制御及び/又は自動露出制御のもとで実施される。
5.2.2 試験機器 試験は,常に同じ散乱線除去グリッドと,被試験X線装置で通常使用される形式の増
感紙・フィルムを組合せた同じ撮影用カセッテで実施されなければならない。光学的濃度計のシステム誤
差は±0.02以内でなければならない。
放射線測定器が使用される場合は,計器は積算型で,総合的な再現性が±5 %以内でなければならない。
(長時間の安定性,計器ノイズ,読み取り限度を含む。)
患者の代わりとして減弱ファントムを使用しなければならない。これはX線ビームの適度な減弱と線質
硬化のためである。さらに,X線像の光学的濃度を測定する場所が識別できるようにフィルムマーカ試験
器具を使用しなければならない(付図1参照)。
減弱ファントムの適切な選択方法及びフィルムマーカ試験器具の詳細は,附属書Dを参照する。
5.2.3 試験手順 被試験X線装置が自動露出制御を備えている場合は,不変性試験は自動モードで実施
する。可能であるなら,さらに不変性試験は,マニュアル制御でも実施する。
通常の臨床で使用するようにX線源装置とX線受像器を配置する。
撮影用カセッテが使用される場合は,X線受像器内に配置する。放射線測定器が使用される場合は,そ
の放射線検出器は受像面の中に配置される。減弱ファントムとフィルムマーカ試験器具は,X線ビームの
中で焦点とX線受像器との間に配置する。
いかなる試験機器も,焦点からの距離とX線照射野内の位置が最初の不変性試験で使われた焦点からの
距離の1 %以内で,同じ大きさのX線照射野を使用しなければならない。
最初の不変性試験で設定されたのと同一の,少なくとも二つの管電圧を選択する。
a) マニュアル制御試験 最初の不変性試験で使用したものと同一の負荷条件を手動操作で設定しX線装
置を操作する。
照射されたフィルムは,4.4を参照して手順に従って現像する。
X線像の規定の点の光学的濃度を測定するか,又は放射線測定器に表示された値を記録する。
必要ならば,フィルムのロットや現像条件の変化を許容するため,4.4を参照して手順に従って測定
した濃度を調整する。
b) 自動露出制御試験 X線装置は自動制御システムと関連して操作し,管電圧及びその他の条件は,最
初の不変性試験と同一の条件を使用する。
上記a) マニュアル制御試験の項で示したのと同じ手順に従う。
5.2.4 データの評価 光学的濃度又はX線入力の測定値は,確立されている基礎値と比較する。
5.2.5 適用基準
a) マニュアル制御試験の場合 : 光学的濃度は,基礎値の±0.3以内であることが望ましい。放射線測定器
が使用される場合は,X線入力は基礎値の±30 %以内であることが望ましい。
b) 自動露出制御試験の場合 : 光学的濃度は,基礎値の±0.15以内であることが望ましい。放射線測定器
が使用される場合は,X線入力は基礎値の±15 %以内であることが望ましい。
上記許容値は,平均階調度Gが23の撮影用フィルムに適用する。
5.2.6 取るべき処置 被試験システムが基準を満たさない場合,附属書Cで参照された指針に従うこと
が望ましい。
5.2.7 不変性試験の頻度 最初,光学的濃度又はX線入力の測定値の平均の値を計算して基礎値を確定

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するために,少なくとも1週間は毎日不変性試験を実施することが望ましい。
その後は,不変性試験は製造業者が提供した取扱説明書に従って実施しなければならない。試験頻度に
関する情報がない場合は,不変性試験は少なくとも,3か月ごとに実施されなければならない。

5.3 幾何学的特性

5.3.1  概要 これらの試験は,次に示すX線装置の幾何学的特性の不変性を確認するために行わなけれ
ばならない。
− 表示された焦点受像器間距離
− X線ビーム軸と受像器面との垂直度
備考 X線源装置の基準方向の試験は,一般的に患者支持器の表面又はX線受像器の入射面で十分で
ある。これらの表面と受像器面との平行度の変化は,通常では起こらない。
− X線照射野と光照射野との一致 : JIS Z 4701 付図2参照
− X線照射野とX線受像器との一致 : JIS Z 4701 付図3参照
− 適用される場合,X線照射野の大きさの読み値
5.3.2 試験機器 次の試験機器が必要である。
− 巻尺
− 異なった大きさの2組の増感紙付カセッテ(例えば,24 cm×30 cmと35 cm×43 cm)
− 撮影用フィルム
− 定規
− 水準器
− 垂直度試験器具
− アライメント試験器具
放射線ビーム軸と受像器面との垂直度を試験するために,試験器具を使用しなければならない。
アライメント試験器具は,光照射野のエッジ及び中心,並びにこの試験器具の位置をX線像で確認する
ために用いる。
照射が自動露出制御で行われるなら,X線ビームの適切な減弱と線質硬化のため,患者に代わるものと
して減弱ファントムを使用しなければならない。
減弱ファントムと垂直度試験器具及びアライメント試験器具の詳細な説明は,附属書Dを参照する。
5.3.3 試験手順
5.3.3.1 表示された焦点受像器間距離
ステップ1 : X線装置に附属した表示器を使用して,焦点受像器間距離を,最初の不変性試験で用いた値
に設定する。
ステップ2 : 焦点受像器間距離を,巻尺を使用して測定する。焦点の位置が,X線源装置の表面に明白に
表示されていない場合には,最初の不変性試験の時に使用したのと同じX線源装置上の点か
ら測定する。例えば,X線受像器に最も近いX線源装置上の点。
5.3.3.2 手動,固定又は自動の照射野限定システムをもつオーバテーブルX線管形装置での他の幾何学的
特性 次の試験手順は,5.3.1に記載されているすべての特性を同時に確認する方法を示す。
ステップ1 : 水準器を用いて,患者支持器の水平度を確認する。内蔵の角度表示器を使用する場合は,水
準器と比較し,必要があれば調整する。内蔵の角度表示器が調整できなければ,偏差を記録
する。患者支持器が水平位置にできなければ,偏差を記録する。
ステップ2 : X線源装置を,患者支持器又は受像面の中心に配置し,そのX線管装置の軸を,(X線)装置

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