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5.5.6 電子化文書の画像補正
画像品質を維持向上するために,階調補正及びエッジ強調などの画像補正を行った場合,それらを手順
書に記述することが望ましい。
5.6 電子署名及びタイムスタンプの付与
法令又は文書管理規程によって,電子署名又はタイムスタンプの付与が義務付けられている文書につい
ては,電子署名及びタイムスタンプを付与し,改ざんの検知を可能とする。電子署名及びタイムスタンプ
は,付与のためのソフトウェアを文書管理サーバなどに組み込み,検証済みの文書に対して文書管理規程
に従い,速やかに付与を行う。
なお,電子署名の署名者は,文書の検証者又はその者を直接監督する者とする。
5.7 登録
検証がなされ,必要に応じて電子署名及びタイムスタンプが付与された電子化文書は,パソコン,サー
バなどに作成された適切なフォルダへ登録する。
5.8 電子化文書の活用
電子化文書の利用方法又は検索方法については,文書管理規程に定め,統一的な運用をする。また,電
子化文書システムの一般的なセキュリティ対策については,附属書Cによる。
5.9 長期保存及び媒体移行
長期保存及び媒体移行については,JIS Z 6017による。
5.10 文書の廃棄
文書管理規程による保存期間を満了した文書が記録されている紙,マイクロフィルム及び電磁的記録媒
体は,その管理責任者の決裁を受けた後,文書管理規程に従って取り扱う。
スキャニングを実施した後,文書管理規程に応じて,紙,マイクロフィルム及び電磁的記録媒体を廃棄
してもよい。ただし,廃棄する場合,紙,マイクロフィルム及び電磁的記録媒体,環境保全及びリサイク
ルを考慮し,その時点で適用される国及び地方自治体の法令などを遵守しなければならない。
また,記録情報の守秘が必要なものに対する廃棄処理については,処理業者との機密保持契約の締結,
処分時の立会いなどの措置が望ましい。
6 監査及び評価
電子化プロセスの監査及び評価を実施する。監査及び評価は,次による。
a) 電子化プロセスを実施している組織は,次の事項によって,電子化プロセスの監査及び評価を実施す
る。
− 品質基準等に基づいた作業が実施できているか否かを示す,作業の記録などを採取する。また,評
価の対象となる期間,対象のプロセスを特定する。
− 監視及び評価を実施する。
− 監視及び評価の分析の期間。
b) 電子化プロセスの実施組織は,評価に基づき,電子化プロセスが有効であるか否かの情報をトップマ
ネジメントに提供する。
− 前回までの監査結果に対して反映ができているか否か,報告内容に取り込まなければならない。
− 各監査について,監査基準を明確にしなければならない。
− 監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために,監査員を選定し,監査を実施する。
− 監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にする。
――――― [JIS Z 6016 pdf 11] ―――――
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− 監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,文書化した情報を保持する。
7 維持及び改善
7.1 是正措置
不適合な状態が発生した場合には,組織は次の事項を行わなければならない。
a) その不適合に対処し,必ず次の事項を行う。
− その不適合を管理し,修正するための処置を取る。
− その不適合によって起こった結果に対処する。
b) その不適合が再発したり,他のところで発生したりしないようにするため,次の事項によってその不
適合の原因を除去するための処置を実施するか否かを評価する。
− その不適合をレビューする。
− その不適合の原因を明確にする。
− 類似の不適合の有無,又は,それが発生する可能性を明確にする。
c) 必要な処置を取る。
d) とった処置の有効性を評価する。
e) 必要な場合には,電子化プロセスを変更する。
組織は,これらの処置の証拠として,不適合の内容及び処置の結果を文書化して保持しなければならな
い。
7.2 継続的改善
組織は,電子化プロセスの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。
――――― [JIS Z 6016 pdf 12] ―――――
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附属書A
(規定)
電子化文書の仕様及び装置の設定
A.1 電子化文書の仕様
A.1.1 一般
この附属書は,文書を電子化する場合の仕様について規定する。ただし,対象文書が省令などで規定さ
れている場合は,それに従う。
A.1.2 スキャニング時の解像度
一般文書のスキャニング時の解像度は,200ドット/25.4 mm(200 dpi),精細な復元を要求する文書のス
キャニング時の解像度は,300ドット/25.4 mm(300 dpi)又は400ドット/25.4 mm(400 dpi)とするのがよ
い。ただし,中間調をもつ場合は,150ドット/25.4 mm(150 dpi)を用いてもよい。
電子化文書の解像度は高い方が精細な画像が得られるが,一般的にスキャニングスピードが低下し,フ
ァイル容量が大きくなるため,文書の利用目的及び用途,原稿の文字の大きさなどで最適な解像度を決定
する。
特に,カラー変換は,白黒変換に比べてファイル容量が大きくなるので,過度に電子化文書の解像度を
高くすることは注意を要する。カラー変換した電子化文書では,白黒変換した電子化文書に比べて解像度
が同等であっても内容の把握ができる場合もある。この場合,実際に電子化する文書を規定した解像度で
スキャニングし,内容の把握ができるかどうかを確認し,最適な解像度を決めるのがよい。
マイクロフィルム文書(白黒文書)の場合は,元の原稿の大きさにしたときの解像度が,上記の紙文書
の解像度と同じ値となるようにする。
注記 フィルム上のスキャン解像度は,設定解像度×Mとなる(Mは,撮影の縮小率1 : Mのときの
値)。
A.1.3 スキャニング時の階調
スキャニング時の階調は,次による。
a) 白黒変換 中間調を必要としない一般文書の場合は,2階調(白及び黒の2値)でよい。
中間調を必要とする文書の場合は,多階調(多値)とするのがよい。例えば,写真を含む文書の場
合は,64階調(6ビット/ピクセル。写真モードともいう。)以上とするのがよい。
b) カラー変換 カラー再現を必要とする文書の場合は,R(赤色),G(緑色)及びB(青色)の各色256
階調(24ビット/ピクセル)を使用するのがよい。
A.1.4 スキャニング時のファイル形式及び圧縮
スキャニング時のファイル形式及び圧縮は,次による。
a) ファイル形式 文書を電子化文書にスキャニングする場合のファイル形式は,紙文書及びマイクロフ
ィルム文書の入力時の画像状態を忠実に保存し,長期保管後も支障なく復元が可能で,公開され広く
活用されているファイル形式を選択することが望ましい。文書の利用目的に応じて,ファイル形式は
TIFF/IT(JIS X 9205)又はPDF(ISO 19005-1及びISO 19005-2など)とするのが望ましい。
b) 圧縮 画像データのファイル容量を小さくするために,データを圧縮する場合が多い。非可逆圧縮の
場合,圧縮を強く適用し,ファイル容量を小さくすると,文字の再現性は劣化するため,電子化した
画像を復元して,対象とする文字の可読性を確認して適用する。
――――― [JIS Z 6016 pdf 13] ―――――
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また,圧縮方式は,公開され広く活用されている方式を選択する。
A.2 試験標板などの記録
電子化文書の品質を証明するため,ISO 12653-3に規定した標板を同一の電磁的記録媒体上の電子化文
書とともにその始め又は終わりの適切なところに記録するのがよい。
電子化文書ごとに記録する必要がない場合は,電子化文書が含まれるフォルダ又は同一の電磁的記録媒
体に関連付けてその始め又は終わりの適切なところに記録してもよい。
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附属書B
(規定)
スキャナの画像品質を確認するための検査項目及び検査方法
B.1 電子化文書の画像品質検査
B.1.1 画像品質検査方法
電子化した文書の画像の品質検査は,B.1.2及びB.1.3による。画像品質の判定基準は,B.2の検査項目
ごとに使用者があらかじめ設定する。
B.1.2 使用する試験標板
スキャナの性能を確認するための画像の品質検査は,ISO 12653-3に規定されたデジタル用試験標板を
用いて行う。
B.1.3 スキャナの性能検査
B.1.2に規定する試験標板を用いて,スキャナ(システムを含む。)が画像品質を満足することを,次の
項目に従い確認する。検査するときの条件は,製造業者の指定条件を尊重する。
a) 使用する機器の設定 全ての機器(ドライバ用ソフトウェアなど含む。)を実際に変換するモードと等
しく設定する。
b) 試験標板のスキャニング 各試験標板に汚れなどがないことを確認し,スキャナの位置及び傾きに留
意して試験標板を設置し,画像データを読み取る。自動文書送込み装置があるスキャナの場合には,
画像位置のずれも確認する。
c) 保存 あらかじめ決められたファイル形式及び圧縮方式で記録媒体に保存する。
d) 画像品質の検査方法 画像データを表示装置に表示させ又は紙に出力し,検査する。
検査項目は,B.2による。
この場合,画像は,電子化した文書とほぼ等倍の大きさに出力して検査するのがよい。また,変換する
文書の中から,画像品質のレベルの異なる文書を選択し,使用するスキャナ(各種設定条件を含む。)でス
キャニングを行い,画像品質,変換速度,データ容量などがシステム全体で適切であるかを確認する。
また,スキャナが初期性能を維持していることを定期的に確認する。
B.2 画像品質検査項目
スキャナ(システムを含む。)の選定時,及びその性能維持の確認を行うための検査項目は,次による。
判定基準は,その目的に応じて設定し,その基準を満足していることを測定及び目視によって確認する。
また,スキャナの性能を考慮し,時間が経過しても変化しないものであれば省略してよい。
使用する試験標板は,B.1.2に規定の標板を推奨する。ただし,検査項目に記載された内容が確認できる
標板であれば,それを用いてもよい。
a) 解像力 B.1.2に規定するデジタル用試験標板の解像力試験図票,ISO No.1試験図票,漢字図票,英
数字図票及び線幅再現図票を用いて解像の限界及びそれぞれの可読性限界を検査する。
また,放射線図票を用いてあらゆる方向の解像の限界を検査する。
b) 階調性 B.1.2に規定するデジタル用試験標板の網点階調図票,及び濃淡階調図票を用いて,階調の再
現性を検査する。
なお,文書の性質上,改ざん痕の発見が必要な用途においては,次のような設定を目安に検査する。
――――― [JIS Z 6016 pdf 15] ―――――
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JIS Z 6016:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.240 : 情報技術(IT)の応用 > 35.240.30 : 情報,ドキュメンテーション及び出版業務におけるITの応用
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.140 : 情報科学.出版 > 01.140.30 : 行政,商業及び産業における文書
JIS Z 6016:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISX9205:2005
- 電子製版画像データ交換用タグ付きファイルフォーマット(TIFF/IT)
- JISZ6015:2016
- 文書情報マネジメント用語
- JISZ6017:2013
- 電子化文書の長期保存方法