この規格ページの目次
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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
2.2
ユーザー(user)
システムを利用又はシステムとやりとりする個人。
(JIS Z 8521,3.7を修正)
2.3
多様なユーザー(diverse users)
能力,特性又はアクセシビリティニーズが異なる個人。
2.4
ユーザーアクセシビリティニーズ(user accessibility need)
システムをアクセシブルにするために必要な機能又は属性に関連したユーザーニーズ。
注記 ユーザーアクセシビリティニーズは,時間の経過及び使用状況によって変化する。
2.5
機能障害(impairments)
著しい変異,喪失などといった,心身機能又は身体構造上の問題。
注記 機能障害には,一時的なもの又は恒久的なもの,進行性のもの,回復していくもの又は不変の
もの,さらに,断続的なもの又は継続的なものがあり得る。
[ICF 2001(世界保健機関)序論4.1参照]
2.6
活動制限(activity limitations)
個人が活動を行うときに生じる難しさ。
[ICF 2001(世界保健機関)序論4.2参照]
2.7
使用状況(context of use)
システムが使用される物理的環境及び社会的環境(ユーザー,作業,設備装置及び資材を含む。)。
(JIS Z 8521,3.5を修正)
2.8
多様な状況(diverse contexts)
様々な使用状況及び様々な経済的・文化的・組織的条件。
2.9
有効性(effectiveness)
ユーザーが,指定された目標を達成する上での正確さ及び完全さ。
(JIS Z 8521,3.2を修正)
2.10
効率性(efficiency)
ユーザーが,目標を正確かつ完全に達成するために費やす資源の程度。
(JIS Z 8521,3.3を修正)
2.11
満足(satisfaction)
システムの使用に対して不快感がなく,システムの使用に対する姿勢が肯定的であること。
(JIS Z 8521,3.4を修正)
――――― [JIS Z 8071 pdf 6] ―――――
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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
2.12
ユーザビリティ(usability)
ある製品について,特定のユーザーが特定の使用状況において,特定の目標を達成するために,有効性,
効率性及び満足を伴って使用できる程度。
(JIS Z 8521,3.1を修正)
2.13
複数の情報表示方法(multiple means of information presentation)
情報を表示する様々な方法。
注記 複数の異なる方法で情報を表示することで,システムのアクセシビリティを改善することがで
きる。
2.14
複数の操作方法(multiple means of operation)
取扱い及び操作の様々な方法。
注記 取扱い及び操作について複数の方法を提供することによって,システムのアクセシビリティを
改善することができる。
2.15
福祉機器(assistive product)
特注品,既製品を問わず,障害のある人自身によって,又は障害のある人のために使用される機器類(用
具,器具,機器,ソフトウェア)で,障害のある人の参加のためのもの,心身機能及び/又は身体構造及
び活動について保護,支援,訓練,検査若しくは代替するもの,又は機能障害,活動制限若しくは参加制
約を防ぐためのもの。
(ISO 9999[6],2.3参照)
2.16
支援機器(assistive technology)
個人の能力を増強,維持又は改善するために使用される設備,製品システム,ハードウェア,ソフトウ
ェア又はサービス。
注記1 支援機器は,福祉機器よりも広い包括的な用語である。
注記2 支援機器には,福祉サービス並びに判定評価,助言及び給付に関する専門的なサービスも含
まれる。
2.17
標準化機関(standards body)
一般に利用できる規格の作成,承認又は採択をその定款の効力によって主要な機能としてもつ,国,地
域又は国際的なレベルで認知された標準化組織。
注記1 標準化機関は,様々な分野において標準化を引き受ける規格作成委員会,作業グループ又は
他の組織を保持することができる。
注記2 標準化機関は,他の主要な機能をもってもよい。
2.18
ユニバーサルデザイン(universal design)
調整又は特別な設計を必要とすることなく,最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品,
環境,プログラム及びサービスの設計。
――――― [JIS Z 8071 pdf 7] ―――――
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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
注記1 ユニバーサルデザインは,特定の障害者の集団のための補装具が必要な場合には,これらを
排除するものではない。
注記2 ユニバーサルデザイン,アクセシブルデザイン,デザイン・フォー・オール,バリアフリー
デザイン,インクルーシブデザイン,トランスジェネレーショナルデザインなどの用語は,
同じ意味で互換的に使用されることが多い。
(国連の障害者に関する権利条約 第2条を参照。注記2を追加した。)
2.19
アクセシブルデザイン(accessible design)
多様な状況において,システムを容易に使用できるユーザーを最大限まで増やすために,多様なユーザ
ーに焦点を当てた設計。
注記1 アクセシブルデザインは,次によって達成される。
a) 修正・改造することなく,ほとんどの人が利用できるようにシステムを設計する。
b) システムをユーザーに合わせて改造できるように設計する(改造可能な操作部などの提
供)。
c) インターフェースを標準化し,福祉機器及び支援機器との互換性をもたせる。
注記2 ユニバーサルデザイン,アクセシブルデザイン,デザイン・フォー・オール,バリアフリー
デザイン,インクルーシブデザイン,トランスジェネレーショナルデザインなどの用語は,
同じ意味で互換的に使用される場合が多い。
3 アクセシビリティ
3.1 一般
この規格では,一般的にアクセシビリティが全ての人に役立つものであるという認識に基づき,包括的
な意味で“アクセシビリティ”という用語を用いる。
標準化における“アクセシビリティ”という用語には,幾つかの定義が存在するが,一般的にはこの用
語は,広い意味で使用されている。
広く受け入れられている定義では,“特定の使用状況において,特定の目標を達成するために,特性及び
能力の異なる,より多くの人々が,製品,システム,サービス,環境及び施設を使用できる程度”として
いる(ISO 26800,ISO/TR 9241-100[9]及びISO/TR 22411[10]を参照)。
“アクセシビリティ”及び“ユーザビリティ”の定義には重複する部分があり,幾つかの規格では,“ア
クセシビリティ”という用語を“様々な能力をもつより多くの人々による製品,サービス,環境又は施設
のユーザビリティ”と定義している(JIS X 8341-6,ISO/IEC 25062[8]及びJIS X 8341-2[1]を参照)。
これは,アクセシビリティが使いやすさ(使いやすさは,作業の効率性及びユーザーの満足度に影響し
得る。),及び正常に使用できること(システムの有効性)の両方に関与することを示している。
3.2 アクセシビリティ及び規格
規格は,システム設計に多大な影響を与えることによってアクセシビリティを向上させ,アクセシビリ
ティを制限するシステムの存在を最小限に抑えることができる。アクセシビリティに対する配慮が規格に
含まれていれば,システム設計者が,設計プロセスの早い段階でアクセシビリティ機能に対するニーズを
認識することができる可能性がある。
設計プロセスのより早い段階でユーザーのアクセシビリティニーズに対応できれば,生産者は,余分な
費用をほとんど又は全くかけずに,アクセシブルなシステムを設計し,生産することができる。
――――― [JIS Z 8071 pdf 8] ―――――
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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
アクセシビリティ規格に基づく政府の法令は,公共政策,公の手続及び実務に影響をもたらす。
様々な分野の世界動向が,規格作成におけるアクセシビリティの重要性を増大させる方法へ動いている
(附属書A参照)。
全く同じ能力及び特性をもつ人は二人といないという認識を,規格作成者がもつことは重要である。人々
の特性は,性別,年齢,身体の寸法,健康状態,機能障害,訓練及び経験によって影響を受ける。
アクセシブルなシステムは,使用環境(光が強い,騒音がある,近くの人のせわしない動きなどといっ
た)に不利な条件がある場合に有用である。また,アクセシビリティの確保は,安全性の担保と相いれな
い要素として認識されがちである。しかし,ユーザビリティ及び安全の担保には,アクセシビリティの確
保をも考慮し,いかなるユーザーも疎外せず,危害も与えないシステムになるよう留意することが望まれ
る。
規格作成者は,安全対策を施したシステムが,できる限り多くの多様なユーザーのニーズに対応するよ
う心掛けることが望ましい。
4 規格作成プロセスにおけるアクセシビリティ
4.1 一般
この箇条4は,規格作成プロセスにおけるアクセシビリティへの配慮の概要を示す。
4.2では,規格作成プロセスをアクセシブルにするために,標準化機関が配慮する一般的な事項を示して
いる。
4.3では,規格作成プロセスの各段階でアクセシビリティに適切に配慮するための留意事項を示している。
4.2 標準化機関による配慮点
標準化機関は,この規格を適用することがプロジェクトにとって有効かどうかを決定するプロセスを構
築することが望ましい。
標準化機関は,規格作成プロセスの全ての段階がアクセシブルであるように留意することが望ましい。
これには,規格作成委員会への直接参加又は遠隔参加(例えば,電話会議,インターネット会議)だけ
でなく,規格作成委員会が作成する資料及び情報の形態,並びにこれらの資料及び情報へのアクセス方法
も含まれる。これは,規格作成委員会の委員,及び原案に関して意見をもつ人々が特定のアクセシビリテ
ィニーズをもっている場合があるからである。
標準化機関は,規格作成プロセスにおいて,関連する利害関係者の参加を奨励し,促進することが望ま
しい。利害関係者には,高齢者及び障害のある人々,並びに子供及びジェンダー[gender(性)]に関連す
るグループ1)のそれぞれを代表する組織からアクセシビリティニーズの知識をもった人々を含むことが望
ましい。
注1) ユーザー及び潜在的なユーザーの参加に関連する更に詳しい情報は,ISO Guide 82[13],並びに
JIS Z 26000[4]に規定する4.5(ステークホルダーの利害の尊重)及び箇条5(社会的責任の認識
及びステークホルダーエンゲージメント)で確認できる。また,関連規格では,ISO 9241-210[5]
がある。地域によっては,関係者の参加を確保するために,EU規則1025/2012[18]のような特定
の規則がある場合がある。
標準化機関は,スタッフ及び規格作成委員会の幹事及び委員長に対し,アクセシビリティの重要性を理
解させ,アクセシビリティへの配慮が望ましい規格プロジェクトの特性に関する意識を喚起するために適
切な国内外の仕様に沿った教育を実施することが望ましい。
標準化機関は,その建物,サービス及び設備をアクセシブルにするために必要な対策をとることが望ま
――――― [JIS Z 8071 pdf 9] ―――――
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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
しい。
これには,次の内容が含まれるが,これらに限定するものではない。
− 標準化機関のアクセシビリティ配慮方針及び実行計画の作成
− 組織のウェブサイトの十分なアクセシビリティの確保
− アクセシビリティニーズに配慮するための適切な方針及び作業手順の確立
− 標準化機関の建物におけるアクセシビリティの改善
− アクセシビリティに関して,標準化機関に継続的な助言のできるアクセシビリティ・ユーザグループ
の設置
4.3 規格作成に関連する配慮点
規格作成プロセスは,一般的に次の5段階からなる。それぞれの段階について,アクセシビリティに配
慮するために,主要な参加者を記載し,実施すべき一連の主要な手順を示す。
4.3.1 第1段階 : 規格作成プロジェクトを決定し,この規格の適用可否を決める。
主要な参加者
− 規格作成プロジェクトの提案者
− 規格作成委員会の構成員
主要な手順[Key Actions (KA)]
KA1.1 提案された規格が,ユーザーである人間と直接的又は間接的にやりとりする(単一又は複数の)
システムを対象とするものであるかどうかを,適切な注意をもって慎重に判断する。対象としな
い場合は,この規格の適用範囲外である可能性が高い。
ある規格の作成において,規格作成委員会が,この規格の適用可否を判断できない場合は,明
確な判断がつくまでこの規格を適用しながら作業を進めることが望ましい。また,当初この規格
の適用が不適切と判断した場合であっても,規格原案作成が進んだ段階で,その規格が人間との
直接的又は間接的にやりとりするシステムに関わるものであることが判明する場合がある。この
ような場合,規格作成委員会は,その時点からこの規格を使用し,既に行った作業を再考するこ
とが望ましい。
KA1.2 人間とシステムとの直接的又は間接的なやりとりの方法を特定する。
KA1.3 対象となり得るユーザーを特定し,能力及び特性の多様性の範囲を,特定する。
KA1.4 規格作成に必要な主な関連情報(既存の規則,規格,研究結果など)の所在及びその内容を確認
する。
KA1.5 作成規格で配慮すべきアクセシビリティ関連事項を決定する。
この段階での成果
この規格の適用可否が決定される。また,アクセシビリティ関連情報への手掛かりを得る。
4.3.2 第2段階 : 規格作成委員会への委員の公平な参加が担保できるよう,アクセシブルな作業環境を整
える。
主要な参加者
− 標準化機関
− 規格作成委員会委員長及び幹事
主要な手順[Key Actions (KA)]
KA2.1 規格作成委員会の委員構成に,対象利害関係者グループからの十分な参加が得られるようにする。
KA2.2 規格の作成作業に使用する情報,通信手段及び会議施設(電話会議,オンラインでの通信を含む。)
――――― [JIS Z 8071 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8071:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC Guide 71:2014(IDT)
JIS Z 8071:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
- 11 : 医療技術 > 11.180 : 心身障害者用の介護用具 > 11.180.01 : 心身障害者用介護用具一般
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.120 : 標準化.一般規則
JIS Z 8071:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISS0137:2000
- 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針
- JISX8341-3:2016
- 高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ
- JISX8341-6:2013
- 高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第6部:対話ソフトウェア
- JISZ8051:2015
- 安全側面―規格への導入指針
- JISZ8520:2008
- 人間工学―人とシステムとのインタラクション―対話の原則
- JISZ8521:2020
- 人間工学―人とシステムとのインタラクション―ユーザビリティの定義及び概念
- JISZ8531-1:2007
- 人間工学―マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア―第1部:設計原則及び枠組み