JIS Z 8071:2017 規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針 | ページ 3

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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
のアクセシビリティを確保する。
この段階での成果
アクセシビリティの知識のある個人及び組織が規格作成プロジェクトに参加する。委員会の運営及び会
議の準備において,参加者のアクセシビリティニーズが考慮される。
4.3.3 第3段階 : 規格案を作成する。
主要な参加者
− 規格作成委員会委員長及び幹事
− 専門家(エキスパート)
− 規格作成委員会の委員
主要な手順[Key Actions (KA)]
KA3.1 課題を明確にする。この規格及び他の関連資料を使用し,ユーザーアクセシビリティニーズ(箇
条6を参照)及び/又はアクセシビリティに関する設計配慮点(箇条7を参照)を決定及び/又
は検証する。
KA3.2 要求事項及び推奨事項の案を作成する。作成規格の要求事項及び推奨事項が,ユーザーアクセシ
ビリティニーズ又は設計配慮点を反映したものとなるよう,現実的な案を決定する。この作業は,
対象システムの使用状況に最も適したアクセシビリティを実現するためにはどのような手段があ
るかを検討し,個々の手段の柔軟性又は代替手段の存在を検討することによって達成され得る(箇
条8を参照)。
KA3.3 作成された案の内容に無理又は矛盾がないか検討し,要求事項案及び推奨事項案の実現性を判定
する。
KA3.4 実現性があると判定された要求事項案及び推奨事項案を規格案に反映する。
KA3.5 要求事項及び推奨事項の妥当性を確認する。アクセシビリティが規格案で適切かつ十分に配慮さ
れているかを確認するために利害関係者の意見を聞く。
KA3.6 利害関係者からの意見に基づき,この段階における上記の主要な活動の幾つかを必要に応じて繰
り返し行う。
KA3.7 規格案の参考文献に,この規格を含める。
この段階での成果
作成規格案の要求事項及び推奨事項が,その規格によって影響を受ける,より多くのユーザーのアクセ
シビリティを考慮し,それらを規格案に反映したものとなる。
4.3.4 第4段階 : パブリックコメントの収集及び賛否投票のために,規格案を公開し,必要に応じて,規
格案を修正する。
主要な参加者
− 標準化機関及び利害関係者
主要な手順[Key Actions (KA)]
KA4.1 全ての規格案をアクセシブルな様式で作成し,公開する。
KA4.2 多様な利害関係者からの意見を集めるために,原案文書へのアクセス方法を広く知らせる。
KA4.3 コメント用及び投票用のツールを全てアクセシブルなものにする。
この段階での成果
規格案が多様な使用状況にある多様なユーザーを含む,より多くの人々に周知される。
4.3.5 第5段階 : 規格を発行する。

――――― [JIS Z 8071 pdf 11] ―――――

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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
主要な参加者
− 標準化機関
主要な手順[Key Actions (KA)]
KA5.1 規格をアクセシブルな様式で発行する。
KA5.2 新しい規格に関する情報を,より多くの利害関係者,組織及び規格作成委員会に知らせる。
KA5.3 (対応国際規格では,この細別において,ガイド71を各国内標準化機関が各国語へ翻訳すること
を推奨しているが,この規格では不要であり,不採用とした。)
この段階での成果
関係者全員が規格を使用することが可能となる。

5 この規格の適用方法

5.1 規格においてアクセシビリティに配慮するための二つのアプローチ

  この規格は,作成規格においてアクセシビリティに配慮するため,次の二つの補完的なアプローチを定
める。
− “アクセシビリティ到達目標のアプローチ”(箇条6を参照) アクセシビリティに関わる到達目標を
明確化することによって,ユーザーアクセシビリティニーズを特定し,特定されたニーズから,標準
化プロジェクトにおけるアクセシビリティの要求事項及び推奨事項を特定する。
− “人間の能力及び特性のアプローチ”(箇条7を参照) 作成規格に関連する,人間の能力及び特性を
明確化することによって,設計配慮点を特定し,特定された配慮点を元に,標準化プロジェクトにお
けるアクセシビリティの要求事項及び推奨事項を特定する。
規格作成者は,作成規格でアクセシビリティを配慮するために,これらのアプローチを採用することが
望ましい。両方のアプローチを使用することによって,その規格に最も適切な一連の要求事項及び推奨事
項を立案することができる。それぞれのアプローチをどの程度利用するかは,作成する特定の規格の適用
範囲及び対象システムの使用状況によって異なる。
箇条6では,アクセシビリティの特定に有用なアクセシビリティ到達目標について記載する。規格作成
者が規定された“考慮する課題”を作成規格の内容に照らして検討することによって,その規格に適した
ユーザーアクセシビリティニーズを特定することができる。“到達目標の詳細”では,その方法について説
明する。
箇条7では,人間の能力及び特性並びに機能障害の影響に関する情報を,アクセシビリティに関わるそ
れぞれの設計配慮点とともに記載する。
箇条8では,二つのアプローチの結果に基づいて,規格の要求事項及び推奨事項を立案するための方策
を規定する。また,それぞれの方策を適用することによって得られる要求事項及び推奨事項の例も記載す
る。
この規格は,他の様々なアクセシビリティ関連の情報源を利用することの有用性も考慮している。
図1は,この規格の利用方法についての概略を示す。

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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
箇条6 箇条7
アクセシビリティ到達目標 人間の能力及び特性
ユーザーアクセシビリティニーズ 設計配慮点
箇条8
規格でユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点を考慮するための方策
規格の要求事項及び推奨事項
図1−規格でアクセシビリティに配慮するための二つのアプローチ
図1は,この規格で提示した,規格によってアクセシビリティに配慮するための二つのアプローチを視
覚的に表現したものである。第一のアプローチは,箇条6に規定するもので,ユーザーアクセシビリティ
ニーズを特定するために有用な一連のアクセシビリティ到達目標を含む。第二のアプローチは,箇条7に
規定するもので,人間の能力及び特性の分類並びにそれらに関連する設計配慮点を含む。
箇条6及び箇条7のいずれか又は両方のアプローチを用いて得られる結果は,箇条8に規定する単独又
は複数の方策に従って,規格の要求事項及び推奨事項の立案のために利用することができる。

5.2 他の情報源

  規格の作成に当たって利用できる情報源は,この規格以外にも多数存在する。それらの情報源も,規格
の適用範囲に応じて,ユーザーアクセシビリティニーズ,設計配慮点及び/又はアクセシビリティ関連の
要求事項及び推奨事項の特定に際して有用である。
様々な分野(製品,サービス及び建築環境)及びそれらの様々な関連分野には,この規格で提示してい
る以上に,特殊なユーザーアクセシビリティニーズがある場合がある。これらの分野及び関連分野の規格
を作成する委員会は,それらの領域内で規格作成者を支援するために,その分野に特化した詳細な手引書
を作成することが望ましい。また,特定の分野に特化したユーザーアクセシビリティニーズを収集し,ま
とめることも,規格作成者への作業支援として有効な一方策である(ISO/IEC/TR 29138-1[11]及びIEC/TR
62678[12]を参照)。
法律などの各種技術基準も,ユーザーアクセシビリティニーズ,設計配慮点及び/又はアクセシビリテ
ィ関連の要求事項に関する有用な情報源となり得る。ただし,規格作成者がそれらを適用する場合は,作
成規格の適用を予定している様々な国又は地域における規則の違いを考慮することが重要となる。
ISO/TR 22411[10]は,この規格の箇条7に規定する人間の多様な能力及び特性,並びにこれらの設計配慮
点に関する詳細情報を提供している。また,特定の要求事項及び推奨事項を作成する際に,使用できる人
間工学データも提供している。
世界保健機関の“国際生活機能分類”(ICF)は,規格の中で人間及びその心身機能を説明するために利
用できる情報源である。
190以上の加盟国に採用されたICFは一貫性があり,明確に定義され,曖昧さがなく,統一された規格

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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
言語及び枠組みの情報源を提供している。世界の主要な言語の大多数で利用できる。
人間とその心身機能を規格の中で説明するための用語の情報源として,ICFの利用方法を附属書Bに示
す。
分野に特化したアクセシビリティ関連規格の数は増えている(例えば,JIS X 8341-6,ISO 21542[7])。適
用できるアクセシビリティ関連規格が存在する場合は,引用規格として使用することができる(その他の
規格には,その全体の引用を必須とするもの,及び特定箇条だけの引用を要求するものもある。)。
規格を使用して開発するシステムの潜在的なユーザーから,直接的又は間接的にユーザーアクセシビリ
ティニーズに関する意見を得ることは有用である。ユーザーアクセシビリティニーズを特定する効果的な
方法は,ユーザーの経験に関する包括的な調査を利用することである。企業の多くは(例えば,製品開発
において),アクセシビリティニーズを特定するのに役立つ,豊富な情報(顧客の苦情,事故データ,マー
ケティングデータ,ユーザビリティの試験結果など)を保有している。
この規格は,次のJIS及びISO/IECガイドと併せて使用できる。
− JIS S 0137 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針
− JIS Z 8051 安全側面−規格への導入指針
− ISO/IEC Guide 41,Packaging−Recommendations for addressing consumer needs
− ISO/IEC Guide 50,Safety aspects−Guidelines for child safety in standards and other specifications
− ISO/IEC Guide 59,Code of good practice for standardization
− ISO/IEC Guide 76,Development of service standards−Recommendations for addressing consumer issues

5.3 アクセシビリティを適切に配慮しているかの検証及び確認

  規格作成者は,作成規格でアクセシビリティを適切に配慮しているかを検証し,確認することが望まし
い。
検証及び確認は,この規格,その他の規格,文献などを使用し,規格作成に関与していない第三者の規
格作成者が行うことが望ましい。
検証においては,規格のアクセシビリティの要求事項及び推奨事項と,その作成に用いられた情報源と
に一貫性があるかを確認することが望ましい。
確認においては,アクセシビリティの要求事項及び推奨事項が,その規格に適合するシステムによって
影響を受ける利害関係者のニーズを満たしていることを定性的に確認することが望ましい。また,影響を
受ける様々なアクセシビリティの利害関係者グループの代表及びその規格が属する分野に関し,知識のあ
るアクセシビリティの専門家からの意見を含めることが望ましい。

6 アクセシビリティ到達目標

6.1 一般

6.1.1  目標の構造
アクセシビリティ到達目標は,作成規格に含まれるべきアクセシビリティに関連する要求事項及び推奨
事項を特定及び作成するための一つのアプローチを提供する。これを,アクセシビリティ到達目標のアプ
ローチと呼ぶ。この目標は,様々なシステムの設計及び評価の手掛かりとするために様々な規格のアクセ
シビリティの指針の中に含めることができる。
6.2.16.2.11に規定している11の目標は,それぞれ次の構成となっている。
a) 到達目標 基本的な目標
b) 到達目標の詳細 基本的な目標に関する詳細

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Z 8071 : 2017 (ISO/IEC Guide 71 : 2014)
c) 背景 目標の基となった関連文書類
d) ユーザーアクセシビリティニーズの概要 目標に関連するユーザーアクセシビリティニーズ
e) 考慮する課題 到達目標を適用するために考慮する課題
この規格で規定する到達目標は,様々なアクセシビリティの規格(JIS X 8341-6,JIS X 8341-3及びユニ
バーサルデザインの原則[20]を含む。)及び他の関連情報源(JIS Z 8521,JIS Z 8531-1及びISO 26800を含
む。)で使用されている原則に基づいている。アクセシビリティ到達目標の基となった,引用規格及び参考
文献にある情報源を参照することは規格作成者にとって,有益である。到達目標の基となった情報源の多
くは,情報通信技術(ICT: Information and Communications Technology)領域から来ているが,これらの到
達目標は,全ての領域に適用できるように考えられている。一部の到達目標は,特定の領域に適している
場合がある。
アクセシビリティ到達目標は,規格作成者が,作成している規格が対象としているシステムのアクセシ
ビリティの向上又は阻害をもたらす要因を特定するとともに,特に多様な使用状況における多様なユーザ
ーのアクセシビリティニーズに対応するための方法を特定するために有用である。
6.1.2 ユーザーアクセシビリティニーズの特定
規格作成者は,この箇条で提供する典型的なユーザーアクセシビリティニーズに基づき,到達目標を検
討し,考慮する課題に答えることによってニーズに関する示唆を得ることができる。
多様なユーザーには,多くの異なるユーザーアクセシビリティニーズがある。しかし,ユーザー及び使
用状況が異なれば,ユーザーアクセシビリティニーズも様々であり,さらに,ある特定のユーザーのニー
ズが,別の環境にいるその他のユーザーにとってのアクセシビリティニーズではない場合があることを認
識する必要がある。
あるユーザーのアクセシビリティニーズは,他のユーザーのアクセシビリティニーズと相いれない場合
がある。規格作成者は,作成規格に規定する要求事項及び推奨事項が,その規格に適切なユーザーアクセ
シビリティニーズの全てを不足なく満たせるように留意することが望ましい。
規格作成の場合,要求事項及び推奨事項については,どんなユーザーアクセシビリティニーズも無視す
ることなく,多様な方法を用いて多様なユーザーのユーザーアクセシビリティニーズに確実に配慮するこ
とが重要となる。
6.1.3 要求事項及び推奨事項を作成するためのユーザーアクセシビリティニーズの適用
規格作成者は,作成中の規格に関連するユーザーアクセシビリティニーズを特定することが望ましい。
この箇条で特定される全ての一般的なユーザーアクセシビリティニーズが,全ての規格に関連するわけで
はない。
規格の内容に対応したユーザーアクセシビリティニーズは,規格作成者が,到達目標又は到達目標と共
に提示される考慮する課題をその規格に適用して活用することによって,特定することができる。また,
この箇条で挙げる一般的なユーザーアクセシビリティニーズを作成する規格に合致するように調整するこ
と,及び規格作成者が,この箇条で挙げられていない重要なユーザーアクセシビリティニーズを確認する
ことが望ましい。規格を作成する上で,ある到達目標が他の目標よりも適用しやすい場合がある。しかし,
適用すべきかどうかが明らかでない到達目標を用いることによって,見逃されがちなユーザーアクセシビ
リティニーズを特定できる場合が多い。
多くの場合,要求事項又は推奨事項とユーザーアクセシビリティニーズとは一対一の関係ではない。例
えば,複数の要求事項及び推奨事項を組み合わせることによって,一つのユーザーアクセシビリティニー
ズに対応できる場合もある。また,一つの要求事項又は推奨事項を,複数のユーザーアクセシビリティニ

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JIS Z 8071:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC Guide 71:2014(IDT)

JIS Z 8071:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8071:2017の関連規格と引用規格一覧