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Z 9010 : 1999 (ISO 8423 : 1991)
備考2. 不適合品パーセントに直すには,100倍すればよい。
pA
: 生産者危険品質水準(不適合品率で表す。)。p=pAのとき,Pa=1−
pg : 最小審査力品質水準(不適合品率で表す。)。p=pgのとき,pg=1−F (g) である。
pR 戰
: 消費者危険品質水準(不適合品率で表す。)。p=pRのとき,Pa=
Pa : 合格の確率
PRQ : 生産者危険品質(不適合品パーセントで表す。)
R : 逐次抜取検査の不合格判定値
U : 上側規定限界(パラメータ又は変数の上付添字として使用された場合には,Uに対応することを示す。)
x : 一つのアイテムの特性値に対する測定値
y : 余裕値。定義は,次のとおりである。
上側規定限界の場合,y=U−x
下側規定限界の場合,y=x−L
両側規定限界の場合,y=x−L
Y : 累計余裕値。最後に検査されたアイテムまで含めた余裕値を加えて得られる。
zp : 標準正規分布の下側P点
z0.05=−1.644 9 [∵F (−1.644 9) =0.05]
z0.10=−1.281 6 [∵F (−1.281 6) =0.10]
参考 記号zpは,K1−P又は−KPに相当する。
愀 : 生産者危険(2)
戀 : 消費者危険(2)
: 一般の品質水準に対するOC曲線の近似値を求めるための補助変数(附属書C参照)。
: 工程標準偏差( すなわち,標準偏差の2乗は分散である。)。
参考 工程標準偏差は,ロット内の標準偏差であって,ロット間の標準偏差は含まない。
: 連結式両側規定限界の場合に, び (U−L) とともに,逐次抜取検査の適用の可否を決める係数(2.4.3.1
参照)。
1.4 計量値逐次抜取方式の原理
計量値逐次抜取方式においては,アイテムはランダムに選ばれ,1個ず
つ検査する。各アイテムの検査後,累計余裕値を計算し,検査のその段階でロットの判定に十分な情報が
得られたかどうかを,累計余裕値を使用して審査する。
検査のある段階で,不満足な品質水準のロットを合格とする危険(消費者危険)が十分小さいような累
計余裕値になった場合は,ロットを合格として,そのロットからのサンプリングは終了する。
一方,検査のある段階で,満足な品質水準のロットを不合格とする危険(生産者危険)が十分小さいよ
うな累計余裕値になった場合は,ロットを不合格と判定し,そのロットからのサンプリングは終了する。
累計余裕値からは,上記のどちらかの決定を下すことができなかった場合は,もう1個のアイテムを検
査する。ロットの合格又は不合格の決定ができるような十分なサンプル情報が蓄積されるまで,この手順
を繰り返す。
備考3. 個別式両側規定限界の場合には,累計余裕値による審査は各限界に対して個別に実施する。
もし検査のある段階で,どちらかの限界に対して,満足な品質水準のロットを不合格とする
危険が十分小さいような累計余裕値になった場合は,検査は終了し,ロットは不合格とする。
一方,検査のある段階で,どちらかの限界に対して,不満足な品質水準のロットを合格とす
る危険が十分小さいような累計余裕値になった場合は,その限界に対してはロットは合格と
注(2) 慓 び 戰 次のような検定をしたときの第1種及び第2種の危険率であると考えてよい。
帰無仮説 H0 : p=pA 対立仮説 H1 : p=pR
参考 原国際規格の“対立仮説H1 : p=pR”は誤りであり,“対立仮説H1 : p>pA”が正しい。したが
ぱ
って,より正しく表現すると, 説H0 : p=pA,対立仮説H1 : p>pAの検定をしたとき
の危険率であり, 戰 pR,H1 : p――――― [JIS Z 9010 pdf 6] ―――――
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して検査は終了するが,他方の限界に対しては次のどちらかに達するまで検査を繰り返す。
a) 他方の限界に対しても満足な結果が得られ,ロットを合格とする。
又は,
b) 他方の限界に対する検査からロットを不合格とする。
2. 抜取方式の選択
2.1 計量値逐次抜取方式の選択を決めるための因子
2.1.1 計量値及び計数値の選択
2.1.1.1 最初に考えなければならないのは,計量値抜取検査を計量値抜取検査の代わりに使うほうがよい
かどうかという問題である。それには,次の点を考慮するとよい。
a) 経済性の観点から,多数の製品アイテムを比較的簡単な方法で検査する計数値抜取方式と,手の込ん
だ手順を必要とし,一般にアイテム当たりでは時間も費用も多くかかる計量値抜取方式との総コスト
の比較が必要である。
b) 計量値抜取方式は,計数値抜取方式よりも分かりにくい。例えば,計量値抜取方式では,サンプルが
不適合品を含まなくても,その測定値を基にしてロットが不合格と判定されることがある。
c) 計数値抜取方式と等価の計量値抜取方式とのサンプルサイズを比較すれば,計量値抜取方式のほうが
同一の生産者危険及び消費者危険をもつ計数値抜取方式よりもサンプルサイズが少ないことが分かる。
したがって,検査手順が高価なとき,例えば,破壊検査の場合には,計量値抜取方式のほうが十分有
利である。
d) この規格の抜取方式は,特性値が一つの場合にだけ適用できる。二つ以上の特性値に対して規格への
不適合を審査したい場合には,この規格は各特性値に対して個別に適用しなければならない。そうい
う場合には,全部の品質特性値を計数値として処理し,JIS Z 9015-1又はJIS Z 9009の計数値抜取方
式を使用するのが望ましい。
2.1.1.2 この規格の抜取方式は,測定値は正規分布をしていると信じる理由があり,また,工程標準偏差
は一定で 地 効な証拠がある場合にだけ使用できる。
検査が連続的シリーズのロットに対して実施される場合は,この正規性の仮説は,以前の1回抜取検査
の結果を使用して確認することができるし,また,標準偏差の安定性に関しては,工程変動に対する管理
図から明らかになるであろう。工程標準偏差が管理状態の場合は,標準偏差の観測値の2乗の重み付け平
均の平方根をその工程の“既知の”標準偏差
検査が孤立ロットに対して実施される場合は,工程標準偏差の安定性に関しては証拠がないであろうか
ら,この規格は孤立ロットの検査には適用できない。
備考4. 正規性からのずれの検定は,JIS Z 9041-1の2.で取り扱っているが,ここでは,計量値抜取方
式の使用を裏付けるために,データの分布が十分正規分布に近いかどうかを確かめるための
図式法の例を示している。
5. 正規性の検定に関するもっと充実した処理がISO 5479に示されている。
6. k組のサンプルが 定値s1,s2,···,skを与えた場合には,重み付け2乗平均の平方根s
は,次のようになる。
2 2 2
(n1 )1s1 (n2 )1s2 (nk )1sk
s
n1 1 n2 1 nk 1
――――― [JIS Z 9010 pdf 7] ―――――
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ここに, n1,n2,···,nkは,k組のサンプルのサンプルサイズを示す。
2.1.2 逐次及び1回抜取方式の選択 平均サンプルサイズは,ある抜取方式のもとで,与えられた工程品
質水準に対して起こり得るいろいろなサンプルサイズの平均値である。逐次抜取方式を使用すれば,同一
のOC曲線をもつ1回抜取方式よりも小さい平均サンプルサイズが得られる。良い品質のロット及び粗悪
な品質のロットに対しては,平均サンプルサイズの節減は50%以上になることもある。
一方,逐次抜取方式を使用すれば,ロットによっては実際の検査個数は,対応する1回抜取方式よりも
かなり大きくなることもある。この規格の逐次抜取方式では,中途打切りのルール(2.1.4参照)を導入し
て,検査個数が過大になるのを防いでいる。附属書Cには,平均サンプルサイズの近似値を求める方法を
示してある。
逐次抜取方式を使用する場合,個々のロットからの最終的サンプルサイズが事前には分からないので,
サンプルの抜取りに組織上の困難性を伴うことがある。そのうえ逐次抜取方式を使用すると,検査作業の
スケジュール作成にも困難が生じることがある。更なる短所は,逐次抜取方式の実施は,単純な1回抜取
方式に比べ,検査員が間違いをおかしやすいということである。
この検査手順を一つの特性値に対する個別式両側規定限界に適用した場合には,一方の限界に対する検
査が他方の限界に対して十分な情報が蓄積されるよりずっと以前に終了してしまうことがある。したがっ
て,サンプリングは,総合判定ができるまでしばらく続けなければならない。
平均サンプルサイズが小さいという長所と,検査負荷の変動に伴う組織上の短所を比較すれば,特性値
一つだけを考える場合で,個々のアイテムの検査費用が検査の諸経費よりも高い場合には,計量値逐次抜
取方式が望ましいということになる。
2.1.3 注意 1回及び逐次抜取方式の選択は,ロット検査の開始以前にしなければならない。実際の検査
結果が合否判定基準の選択に影響を与えるような場合には,抜取方式の検査特性が大きく変化することが
あるため,一つのロットの検査の期間中は,ある形式の抜取方式から他の方式への切替えは許されない。
2.1.4 サンプルサイズの中途打切り 逐次抜取方式は平均として等価な1回抜取方式よりもずっと経済
的ではあるが,ロットによっては検査において,累計余裕値が長い間合格判定値と不合格判定値との間に
とどまり,合格・不合格の判定が非常に遅くなることがある。これは,図式判定法の場合には,折れ線の
ランダムな維持が検査続行域にとどまっているのに対応する。こういう状態は,ロットの品質水準がLAQ
に近い場合に起こりやすい。
この短所を緩和するために,累計サンプルサイズの最大値ntをサンプリング開始以前に設定する。判定
より前に累計サンプルサイズがその打切り値ntに達した場合は,検査を中止する。その場合,ロットの合
格又は不合格の判定は,サンプリング開始以前に合意したルールによって決める。逐次抜取検査の統計理
論の基になっている原理には反するが,生産者危険及び消費者危険の両方にほとんど影響をしないように,
この規格中の中途打切りルールは決めてある。使用する中途打切りルールは,2.4.2に示す。
2.2 小ロットの検査に対する特別留保
この規格の逐次抜取方式の基になっている統計理論では,サン
プルを抜き取る母集団は無限に大きいという仮定を基礎にしている。累計サンプルサイズがロットサイズ
Nの1/10以下の場合は,その理論は実用的にはほとんどの場合に適用できる。また,累計サンプルサイズ
がロットサイズの1/7以下の場合は,その理論は近似的に適用できる。しかし,1回抜取方式のときとは
違って,逐次抜取方式では実際に必要となる累計サンプルサイズは事前には分からない。
したがって,小ロットの場合には,ロットサイズが規定した生産者危険品質及び消費者危険品質のもと
で中途打切りを伴う逐次抜取方式が実施できるくらいに十分大きいことが望ましい。2.3.2及び2.4.1に示
す一般の逐次抜取方式に対しては,ロットサイズが7ntを超えることが望ましい。ここに,ntは逐次抜取方
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式の打切り値である。
備考7. ロットサイズが上記の要求事項を満足するほど大きくない場合には,一般に消費者危険及び
生産者危険は両方とも規定値よりは小さくなるであろう。
2.3 抜取方式の選定
2.3.1 ISO 3951に対応する抜取方式 ISO 3951 : 1989の の抜取方式に対応する逐次抜取方式を必要と
する場合には,附属書Aが使用できる。附属書Aは,合格品質水準 (AQL) 及びサンプル文字を指標とし
た逐次抜取方式を含んでいる。これらの逐次抜取方式のOC曲線は,対応するISO 3951の の抜取方式
のOC曲線と実用上十分な程度に合っている。
2.3.2 一般の抜取方式 逐次抜取方式に対する要求事項が,その方式のOC曲線上の2点で規定された場
合には,2.3.2及び2.4.1に示す一般的方法を使用する。高いほうの合格の確率に対応する点として生産者
危険点を指定する。また,他方の点として消費者危険点を指定する。
これらの値が事前に決まっていない場合は,逐次抜取方式選定の第1ステップはこの2点を選ぶことに
なる。この目的に対して,生産者危険 懿 0.05及び消費者危険 拿 0.10がしばしば使用される(図1参照)。
求める逐次抜取方式が,既存の抜取方式とほぼ同じOC曲線をもつことが要求されるときには,その抜
取方式のOC曲線のグラフ又は表から,生産者危険点及び消費者危険点を読み取ることができる。そうい
う抜取方式がない場合には,その抜取方式の適用の条件を直接考慮して生産者危険点及び消費者危険点を
決める。
図1 生産者危険 懿 0.05及び消費者危険 拿 0.10の抜取方式のOC曲線
2.3.3 品質水準の決め方 片側規定限界だけを考える場合には,入検製品の不適合品パーセントは,規定
された側の規定限界との関係で決まる。
上側及び下側の両方の規定限界が与えられる場合には,各限界に対する品質水準を個別に考えるほうが
よい場合がある。すなわち,個別式両側規定限界である。また,上側及び下側の両方の限界に対する不適
合品パーセントをまとめて総合品質水準を規定するほうがよい場合がある。すなわち,連結式両側規定限
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界である。
2.4 実施以前の準備
2.4.1 パラメータhA,hR及びgの求め方 検査の各段階での,ロットの合格及び不合格判定基準は,パ
ラメータhA,hR及びgから求める。
生産者危険 懿 0.05及び消費者危険 拿 0.10並びに標準数で与えられた生産者危険品質及び消費者危険品
質の値に対応するこれらのパラメータの値は,表1による。
附属書Bには,生産者危険点及び消費者危険点の任意の組合せに対するhA,hR及びgの求め方を示す。
片側規定限界又は連結式両側規定限界の場合には,パラメータhA,hR及びgは1組だけ求める。
個別式両側規定限界の場合には,パラメータは次のように2組求める。
上側規定限界に対して,hA (U),hR (U) 及びg (U)
下側規定限界に対して,hA (L),hR (L) 及びg (L)
2.4.2 累計サンプルサイズの打切り値の決め方
2.4.2.1 標準的手順
a) 逐次抜取方式及び等価な1回抜取方式のサンプルサイズn0が既知の場合は,累計サンプルサイズの打
切り値は,nt=1.5n0から得られた値を直近の整数に切り上げて求める。
b) 等価な1回抜取方式のサンプルサイズが未知の場合は,不適合品パーセント検査の場合の累計サンプ
ルサイズの打切り値は,生産者危険点及び消費者危険点から求める。
生産者危険 懿 0.05及び消費者危険 拿 0.10,並びに標準数で与えられた生産者危険品質及び消費者
危険品質の値に対応する累計サンプルサイズの打切り値は,表1による。
附属書Bには,生産者危険点及び消費者危険点の任意の組合せに対するntの求め方を与えてある。
備考8. 個別式両側規定限界の場合には,上記のルールを各限界に対して個別に適用して打切り値を
求める。実際の逐次抜取方式に対しては,2組求めた打切り値のうち,どちらか大きいほうを
使用する。
2.4.2.2 小ロットに対する打切り こうして求めたntの値がロットサイズを超えた場合では,その逐次抜
取方式を使用するときは,サンプルサイズの打切り値ntはロットサイズに等しいものとする。
2.4.2.3 例 あるがいし(碍子)に対して,絶縁電圧200kVと規定されている。定常的生産からのロット
が検査に提出された。生産は安定しており,絶縁電圧の分布は正規分布に従うことが確かめられている。
さらに,ロット内の標準偏差は安定していて, 1.2kVとみなしてよいという文書が提出されている。
次のような特性をもつ逐次抜取方式を使用することが決まった。
a) 提出ロットの品質が不適合品パーセントで0.5%ならば,ロットの合格の確率は0.95とする。
b) 提出ロットの品質が不適合品パーセントで2.0%ならば,ロットの合格の確率は0.10とする。
これらの要求事項は,生産者危険点を 0.005, 懿 0.05,また,消費者危険点を勿 0.02, 拿 0.10
と決めれば達成できる。
片側規定で下側規定限界が規定されている。表1から,この要求事項を満足する逐次抜取方式のパ
ラメータは,次のとおりである。
hA=4.312
hR=5.536
g=2.315
nt=49
附属書Bに示す一般的な手順を用いても,同じ値が得られるはずである。
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JIS Z 9010:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8423:1991(IDT)
JIS Z 9010:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
JIS Z 9010:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用
- JISZ9009:1999
- 計数値検査のための逐次抜取方式
- JISZ9015-1:2006
- 計数値検査に対する抜取検査手順―第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式