JIS Z 9020-2:2016 管理図―第2部:シューハート管理図 | ページ 4

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また各ゾーンは1シグマの幅である。この分割によって,担当者が,安定した工程から逸脱するパターン
を検出することが容易になっている。例えば,ルール4の“明らかに不規則ではないパターン”を適用し
た場合,検出が更に容易になる。安定した工程では,打点の約2/3がゾーンCに入ると予想される。図3
のルール4に示すように,ゾーンCに入る打点が2/3よりも大幅に少ない場合は,プロットの中の不規則
ではないパターンを疑うことが望ましい。そのようなパターンは,突き止められる潜在的原因について,
工程を更に調査することが必要である。図3の典型的な四つの異常判定のルールは,次による。
a) ルール1は,一つの管理外れ状態の存在を示す。
b) ルール2は,工程平均又は工程変動が中心線から移動していることを示す。
c) ルール3は,工程内の系統的な傾向を示す。
d) ルール4は,工程内の明らかに不規則でないパターン又は周期的なパターンを示す。
これらの異常判定のルールの詳細については,文献[2]及び[3]を参照されたい。ルールの例を,附属書B
に示す。
管理図上に一つ又は複数の異常判定のルールに当てはまる一連の打点をもつ工程は,管理外れと呼ばれ
るもので,その突き止められる変動の原因を診断し,是正しなければならない。これらの補助ルールの適
用は,工程平均におけるより小さな変化を検出するため管理図の能力を改善させるが,第1種の過誤の確
率が高くなる。ルール1ルール3を同時に適用したシューハートX管理図又はX管理図では,第1種の
過誤の確率は,ルール1だけを適用した場合1 000回当たり約3であるのに対して,1 000回当たり約10
である。

9 工程管理,工程能力及び工程改善

  工程管理システムの機能は,突き止められる原因による工程変動から突き止められない原因による工程
変動を分離する,管理外れを与えることである。その結果,突き止められない変動だけを残す。過大な変
動を生む突き止められる原因を体系的に除去することは,工程を統計的管理状態へと導く。一度工程が統
計的管理状態になった場合,その工程変動を予測でき,また,製品規格に見合った工程能力であるか否か
を評価できる。予測は,マネジメントの本質であるため,何を予測できるかを知るこの能力は,より一貫
して,より予測可能な,かつ,より信頼をもって工程を流動させることができることから,非常に貴重で
ある。
工程能力は,偶然原因に起因する全変動,すなわち,全ての突き止められる原因を除去した後に達成で
きる最小の変動によって決まる。工程能力は,工程が統計的管理状態で流動しているときに実証できる,
工程のいつもの変動を表す(ISO 22514規格群を参照)。このように,工程は,能力を評価する前に,まず
統計的管理状態にもっていく必要がある。したがって,工程能力の評価は,X−R管理図が示す管理上の
問題を解決した後に,すなわち,突き止められる原因を特定し,解析し,是正し,更に再発を防止し,少
なくとも25の群に対して統計的管理状態を保持している工程であることを,その後の管理図が示した後に,
始められる。通常,工程の出力である特性の分布と製品規格とを比較し,それらの製品規格に一貫して合
致しているかを確認する。
工程能力は,通常,工程能力指数Cp及びCpkによって評価する(ISO 22514規格群を参照)。Cpが1未
満の場合,工程能力が不足していることを示し,Cp=1は工程能力を辛うじて保っていることを示す。実
際には,Cpが1.33のときを一般的に許容できる最小の値とする。なぜならば,ある程度のサンプリング変
動が常に存在し,いかなるときでも,完全に統計的管理状態にある工程はほとんど存在しないからである。
ただし,Cpは,単に許容限界と工程のばらつきとの関係であり,工程平均の位置は考慮していないこと

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に注意しなければならない。工程のCpが高い値であった場合でも,製品規格の限界外に出る可能性はある。
この理由から,工程平均と,工程平均に近い方の製品規格限界との基準化された距離を考慮することが重
要である。
上記のことから,図4にフローチャートで示した手順を,工程管理,工程能力及び工程改善への重要な
ステップを説明する指針として用いることができる。工程能力の最低要求事項は,供給業者と顧客との間
の交渉による。
工程出力
・ 群の大きさが4又は5で25のサンプルを収
管理図(X管理図

及びR管理図)で
・ 中心線及び管理限界を計算
評価
・ 管理図を打点し,試験
・ 突き止められる原因の ・ 中心線の周囲に不規則に散らばる
存在 工程は統計的 工程は統計的 点
・ 管理限界の外側の点 管理の中に 管理の中に ・ 管理限界内の点
・ 連,トレンド,サイク ない ある ・ 連,トレンド,パターンなし
ルなどの存在
・ S/C4又はR/d2からσ及びσの推定
突き止められ 工程能力を
値を計算
る原因を除去 評価
・ Cpkを計算
工程に 工程に
・ Cpk<1 ・ Cpk>1
能力なし 能力あり
・ 工程を改善 ・ 工程変動は規格の幅と同じでよい
・ 製品の製造を停止 が,個々のユニットは仕様限界の
管理者の
・ 手にあるもので進み, 決定 工程センタリ 外側にあることもある。
100 %ソートを設定 ングの検査 ・ そうである場合,工程平均を再配
・ 仕様を変更 置し,管理限界を再計算し,管理
図の監視を継続
工程改善を
・ Cpk>1.33
試行
注記 最適な群の大きさは,群内変動及び群間変動の成分に応じたものである。
図4−工程改善のための戦略

10 計数値管理図

  計数値データは,対象とする群に含まれるそれぞれのユニットがある特性(又は属性)をもっているか
否かを示し,その属性をもつか若しくはもたないユニットの数,又はユニット,群若しくは領域の中にそ
のような事象がどの程度の頻度で起こるかを数えることによって得た観測値を表す。計数値データは,一
般的に速やかに,かつ,コストをあまりかけずに得られる。また,特別な技術を必要としないことが多い。
計数値管理図の管理限界の公式を,表5に示す。

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工程改善のために,計量値データに着目することが多いが,主要な産業からのフィードバックデータに
よると,品質問題の80 %以上は本質的には質的なものであることを示している。したがって,管理図によ
る質的な特性の改善を進めることが更に必要である。
計量値管理図では,通常,平均のための管理図と,ばらつきの管理のための管理図とを対で用いる。基
礎とする分布が二つのパラメータによって決まる正規分布であるため,対で用いることは必要である。た
だし,計数値管理図の場合,仮定する分布が平均水準を表す唯一のパラメータしかもたないため,一つの
管理図で十分である。p管理図及びnp管理図は二項分布を基礎とし,一方,c管理図及びu管理図はポア
ソン分布を基礎としている。
これらの管理図の管理限界の計算方法は,群の大きさの変動が影響を及ぼす場合を除いて同じである。
群の大きさが一定の場合,全ての群に対して,同じ上側管理限界及び下側管理限界の対を使うことができ
る。ただし,それぞれ群によって属性を調べる群の大きさが変動する場合は,各群に対して別々の管理限
界を計算しなければならない。したがって,np管理図及びc管理図は,群の大きさが同じ場合に合理的で
あるのに対して,p管理図及びu管理図は,群の大きさが一定でない場合にも用いることができる。
群ごとに群の大きさが変わる場合には,それぞれの群に対してそれぞれの管理限界を計算する。群の大
きさが小さくなるほど管理限界域は広くなり,またこの逆も成り立つ。群の大きさが目立って変動しない
場合には,群の大きさの平均値に基づく一組の上側管理限界及び下側管理限界を用いることができる。こ
の方法は,群の大きさの変動が基準とする群の大きさの±25 %である場合には,実用的には十分である。
注記 もう一つの方法として,最小及び最大の群の大きさの管理限界を用いてもよい。二つの管理限
界線の間に打点した場合だけ,管理限界を計算してよい。
表5−計数値のシューハート管理図の管理限界の公式
統計量 標準値を与えていない場合 標準値を与えている場合
中心線 3σ−管理限界 中心線 3σ−管理限界
p p p 3 p1 p/ p0 p0 3 p0 1 p0/
np np np 3 np 1p np0 np0 3 np0 1p0
c c c3 c c0 c0 3c0
0
u u u 3 u/n u0 u 3 u0 / n
注記1 p0,np0,c0及びu0は,与えた標準値である。
注記2 計算した下限が負の値である場合は,示されない。
群の大きさが大きく変動するような場合においては,pの代わりに標準化した統計量を用いる手順があ
る。例えば,pの代わりに,標準化した統計量として
p p0
z
p0 1 p0 /
又は
p p
z
p1 p/
を,標準値を規定しているか否かに応じて用いる。この場合,管理限界と同様に中心線も群の大きさに依
存せず一定したものとなり,次のとおりになる。
中心線=0
UCL=+3

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LCL=−3
p管理図は,ある一定期間における平均不適合品率を求めるために使用する。平均不適合品率は,作業
者及び管理者に,不適合品率の変動について注意を喚起する。その工程は,X−R管理図と同様な方法で,
統計的管理状態の判定をする。全ての打点が,突き止められる原因の存在を示唆することなく,この管理
限界内に入った場合は,工程は管理状態にあるという。このような場合,平均不適合品率pを,標準値と
して用いる。
管理図上の低い点(下側管理限界を超えた点)は,高い点とは違う形で処理することが望ましい。これ
らは,共通原因による変動を除いた工程の変化を示すものであるが,低い基準で検査している可能性もあ
ることに注意する。下側管理限界LCLを超えることが起きた場合,その原因を探求し,それを作業標準に
反映させることが重要である。

11 管理図を用いる事前の検討事項

11.1 管理する工程を反映する重要な品質特性(CTQ)の選択

  製品,工程又はサービスのパフォーマンスに重大な影響を与え,また,顧客に価値を付加する特性は,
品質企画の段階で分類することが望ましい。これらの特性は,その変動が工程の重要な要素である場合は,
製品又はサービス品質に決定的な影響をもち,また,工程の安定性及び予測可能性を確実にするように選
択することが望ましい。これらは,工程のパフォーマンスの評価に直接関連する,例えば,環境,健康若
しくは顧客満足に関連する側面でも,又はそのパフォーマンスが設計の意図を達成するときに決定的な工
程パラメータでもよい。量産の本流動期の前に工程能力を達成するために,管理図は,新製品及び工程の
実現性に関する情報を収集できる初期流動期に導入することが望ましい。こうすることによって工程を最
適化し,より優れた製品又はサービスを生み出すための設計又は工程の改善を行うことができる。

11.2 工程解析

  可能な場合は,詳細な工程解析を行い,次のことを決定することが望ましい。
a) 不規則さを発生させる可能性がある原因の種類及び所在
b) 規格を厳しくすることの影響
c) 検査の方法及び場所
d) 生産工程に影響する可能性がある,その他の全ての関連する要因。
工程の安定性,試験機器の精確さ,工程の出力の品質,及び不適合のタイプと原因との相関パターンを
求めるためにも工程解析を行うとよい。製造工程及び設備を調整し,また必要ならば,統計的工程管理の
ための計画を考察するためにも,操業条件を取り決めることが必要となる。これは,管理状態を確立する
ために最適な条件を絞り込むことに,また,工程の異常な挙動をすぐに特定し,工程への迅速な是正処置
を可能にすることに役立つ場合がある。

11.3 合理的な群の設定

  管理図の基本として,観測値を“合理的な群”と呼ばれる群に分割するという,シューハートの基本的
な考え方がある。これは,群内変動は偶然原因だけによるものとし,群間の違いは,管理図での検出を意
図し,突き止められる原因によるものとするという,観測値の群への分割である。
合理的な群の設定は,工程及びデータを取る条件に関する技術的知識及び製造現場を熟知しているかど
うかに依存する。時間又は空間によって群を決めることによって,効率的に異常の原因を容易に追跡でき,
是正処置を取ることができる。データ採取の順序が分かっている検査及び試験の記録は,時間に関する群
分けの基礎を与えてくれる。このことは,生産工程の要因体系を時間的に一定に保つことが重要である製

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造工程に共通に有用なことである。
データを収集するとき,各群のデータが異なった個別の合理的な群として適切に扱えるように,また,
このことを可能にするような方法で群を識別するようにサンプリングに注意するならば,解析はかなり容
易になることを常に意識しておくとよい。また,可能な限り,群の大きさは,計算及び解釈が容易になる
よう一定に保つことが望ましい。ただし,シューハート管理図の原理は,群の大きさが変化しても同様に
適用することが可能であるかに注意する。

11.4 サンプリング頻度及び群の大きさ

  サンプリング頻度又は群の大きさを決める一般則を策定することはできない。頻度及び大きさは,サン
プリングコスト,サンプルの分析コスト及び関連する実用上の問題に依存すると考えられる。例えば,よ
り頻度の低い間隔でとられた大きな群は,工程平均の小さなシフト変化をより確度よく検出することがで
きるであろう。しかし,より頻度の高い間隔でとられた小さな群は,工程平均の大きな変化をより早く検
出することができる場合がある。群の大きさは4又は5であることが多く,一方で,一般的にサンプリン
グ頻度は,初期段階では頻度が高く,一度統計的管理状態に達したならば低くなる。管理限界を求めるた
めには,通常,大きさが4又は5の群が25あれば十分であると考えられる。
サンプリング頻度,統計的管理及び工程能力は,同時に考える必要があることを認識しておくことは大
切である。その理由は,次のとおりである。範囲の平均Rは,しばしばσの推定に用いる。変動の原因は,
群内のサンプリング間隔が大きくなるに従って増加する。したがって,時間軸上で群を広げることは,σ
の推定値を大きくし,管理限界を広くする。その結果,工程能力指数が低い値になる。逆に,連続する品
をサンプリングすることによって,R及びσの推定値を小さくし,工程能力指数を上げるようなことも可
能である。

11.5 予備データの収集

  管理すべき品質特性,並びにサンプリング頻度及び群の大きさを決めた後,管理図の中心線及び管理限
界線を決めるときに必要となる解析用の管理図を与える目的で,幾つかの初期検査データ又は測定値を採
取し,解析しなければならない。予備データは,製造工程の連続稼働から25の群が得られるまで,群ごと
に収集することが考えられる。この初期データの収集中に,原材料の供給の切換え,作業者,作業,設備
の設定変更などのような外部要因によって,工程が断続的に影響を受けないように注意しなければならな
い。言い換えると,解析用のデータが収集されている間,工程は安定状態でなければならない。

11.6 管理外れに対する対応

  二つのタイプの変動と,それを減少させるために必要な処置のタイプとの間には,重要な関連がある。
管理図は,異常原因による変動を検出することができる。異常な変動の出所を発見し,救済処置を取るこ
とは,通常,作業者,監督者又は工程に直接関連する技術者の責任である。経営陣は,原因の80 %超えに
責任をもち,システム内の共通原因に対処しなければならない。異常原因は局所的に識別され,通常は,
製造現場が対処することができる。原料の異なる供給源,機械の保守,ゲージング,信頼性の低い方法な
どの根本原因に対しては,体系的な処理が必要であるにもかかわらず,暫定的な処置として工程が調整さ
れることがしばしばある。長期の継続的改善には,緊密なチームワークが重要である。
工程に元々能力が不足しているか,又は工程能力はあるが統計的管理状態から外れ,不適合製品を製造
することが明らかになった場合,工程が是正されるまで,通常,全数検査を実施する。
検査の一貫性を保証する必要がある。測定の不確かさは,問題とならない許容限度内に維持することが
必要である。

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JIS Z 9020-1:2016の国際規格 ICS 分類一覧

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