JIS Z 9020-2:2016 管理図―第2部:シューハート管理図 | ページ 5

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Z 9020-2 : 2016 (ISO 7870-2 : 2013)

12 標準値を与えていない場合のX-R管理図の作成手順

  標準値を与えていない場合におけるX−R管理図の作成手順を,12.112.3に示す。これらは,附属書A
に示す例と同じ形式で記載している。他の管理図の作成方法と基本的には同じ手順だが,管理限界及び中
心線を決定するための計算方法は異なっている。標準的な管理図の代表的な形式を,図5に示す。この書
式に対する修正は,工程管理の個別の事情に合わせて行ってもよい。
注記 計量値管理図の作成のシステムアプローチを,図6に示す。
群の大きさ
図5−計量値管理図の一般形式

12.1 データ収集方針の決定

  解析用のデータが,事前の計画に従った群からとられていなかった場合,11.3に記載する合理的な群の
基準に合うように,観測値の全集合を連続する群に分けなければならない。群は,同じ構造及び大きさで
あることが必要がある。同一群内のデータでは,重要と思われる要因が共通している(例えば,ほぼ同時
期に生産されたもの,同じ原材料によるもの,同じ場所からもってこられたものなど)ことが望ましい。
異なった群は,違いの存在の可能性があるといった程度のものでもよいが,工程に関する何らかの違い,
例えば,異なる時期,異なる原材料,異なる位置などを反映していることが望ましい。

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管理するためのCTQ特性を選択
R,UCLr及びLCLrを計算
サンプリング頻度及び各群内の
データ数を選択 R(範囲)管理図を作成
最初の管理限界の評価の前に 突き止められる
いいえ 原因を調査し,
必要な群の数kを決める 管理状態に
工程の
あるか 管理外れ原因を
維持管理
取り除く
仕様に関して能力をもつ測定 はい
(方法,装置などを含め)を選択 標準偏差σの推定 Cpkの
トレンド図
データ収集 X,UCLx,LCLxを評価
及び管理ログ 工程能力を
X管理図を作成 計算
データのグラフを作成
突き止められる 工程は統計的
管理状態に いいえ 原因を調査し,
各群について平均値X及び範囲 管理状態にあ
あるか 管理外れ原因を るか
Rを評価
取り除く
はい
注記 このアプローチを実施する前に,既知の偶然原因及び突き止められる原因のリストを作成する。
図6−計量値管理図の構成へのシステムアプローチ

12.2 データ収集及び計算

  各群について,平均X及び範囲Rを計算する。全ての観測値の総平均X及び範囲の平均範囲Rを計算す
る。

12.3 X管理図及びR管理図の打点

  適切な様式又はグラフ用紙上に,X管理図及びR管理図を並べる。左側の縦軸にX及びRを取り,横軸
には群番号を取る。計算したXをX管理図に打点し,計算したRをR管理図に打点する。
各管理図上に,X及びRを表す水平線を実線で引く。
これらの管理図に,管理限界を引く。X管理図には,X±A2Rのそれぞれに破線を水平方向に引く。R
管理図には,D3R及びD4Rのそれぞれに破線を水平方向に引く。ここで,A2,D3及びD4は群の大きさn
によって決まる値で,表2に示している。nが6以下の場合は,D3値はないので,R管理図のLCLは示さ
れない。

13 シューハート管理図での注意事項

  シューハート管理図を使用する場合,次の13.113.3に示すように,なんらかの注意が必要な実際的状
況がある。

13.1 一般的な注意事項

  群内の変動は,必ずしも偶然原因だけによらないことがある。群は,一つの処理ロットからなる。すな

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わち,群内変動は,処理ロット内の変動である。群は,物理的側面と品質保証との両方の観点からの意味
をもつ。したがって,R管理図を用いて,処理ロット内の変動を管理することが必要である。
図7は,熱処理工程の初期流動期におけるX管理図及びR管理図を示す。これは,標準値を示していな
いX管理図及びR管理図である。R管理図は,管理状態にあることを示すが,X管理図は,管理限界外の
多くの点を示し,工程が管理状態にないことを示している。
図7−初期段階大量生産の通常のX管理図及びR管理図
一方,図8は,図7と同じデータのもう一つのX管理図及びR管理図を示す。ここでは,X管理図の管
理限界を範囲の平均(R)の代わりに全工程変動に基づいて計算する。
図8は,工程が管理状態にあることを示す。このとき,工程変動が十分に満足できる場合,工程は,初
期流動管理から本流動管理に移行することが決定できる。次に,図8のX管理図及びR管理図の管理限界
を,本流動期の管理水準として使用する。これは,初期流動期における群間の幾つかの許容可能な原因に
よる変動が,偶然原因による変動として含まれることを意味する。
したがって,工程の全ての偶然原因による変動を群内変動だけに帰することはできない。ただし,X管
理図上の中心線より上にある,1724の点及び9の点から24の点への増加傾向は,R管理図上の打点が
中心線Rの周りに集まりすぎていることとともに,突き止められる原因の検出及び除去による改善の可能
性を示す。
図8−X管理図及びR管理図(ただし,X管理図の管理線は
範囲Rの平均の代わりに全工程変動から得る。)

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13.2 自己相関をもつデータ

  データに自己相関があるとき,群の大きさnのX管理図を実施する際の基本式である,次の式を適用す
ることはできない。
2
2 X
X
n
したがって,管理限界を通常の手順で計算する場合,それらは誤った値となる。
このような場合に,工程の時系列モデルを同定し,次に,その時系列モデルの残差を観測値とみなすこ
とが望ましい。代替方法は,管理限界をXの変動から計算することが望ましい。より詳細な手順は,専門
家に助言を求めることが望ましい。

13.3 3シグマルールの代替ルールの使用

  シューハートの平均値の管理図は,工程平均の大きな持続的変化を速やかに検出する。ただし,平均の
変化が小さく,標準偏差の1.5倍以下の場合,シューハートのX管理図は十分には機能しない。したがっ
て,工程平均の望ましいレベルからの小さな変化をできるだけ速やかに検出しなければならない場合,通
常は,追加的な異常パターンルールを使用する。ただし,そのような補足的ルールの追加は,第1種の過
誤の確率を増加させる。すなわち,これらのルールを併用すると,管理図上で異常を観測する確率は,大
幅に増大する。一方,標準値を与えない管理図を初期流動期で使用する場合,工程変動を改善するために,
箇条8に示す補足的なルールを併用することが望ましい。別の代替戦略は,指数型重み付き移動平均
(EWMA),累積和管理図などの管理図を使用することである。
もう一つのルールは,従来の管理外れのルール及び管理限界線の位置を置き換えることである。2σ限界
を超えたところに三つの点のうちの二つがあると異常と判定するルールがある。この“3点中2点”ルー
ルを使用する場合は,X管理図上の通常の3シグマ限界は中心線の両側の1.78シグマに置かれる管理限界
線で置き換えることが望ましい。このルール及びこれらの管理限界を使用し,3シグマルールと同じ第1
種の過誤の確率をもつ管理図を作成した場合は,工程平均の中小の変化を検出する確率は,この修正ルー
ルの使用によって大幅に増大する。
注記 “1.78シグマに置く管理限界線”は,“2シグマに置く管理限界線”とするのが実用的である。

――――― [JIS Z 9020-2 pdf 24] ―――――

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附属書A
(参考)
管理図の使用例
A.1 計量値管理図
A.1.1 X管理図及びR管理図 : μ及びσは未知
A.1.2 X管理図及びs管理図 : μ及びσは与えられている。
A.1.3 個々の測定値の管理図及び移動範囲管理図 : μ及びσは未知
A.1.4 メディアン管理図及びR管理図 : μ及びσは未知
A.2 計数値管理図
A.2.1 p管理図 : 標準値p0値は与えられていない。
A.2.2 np管理図 : 標準値p0値は与えられていない。
A.2.3 c管理図 : 標準値c0値は与えられていない。
A.2.4 u管理図 : 標準値u0値は与えられていない。
A.3 計量値管理図
A.3.1 X管理図及びR管理図(μ及びσは未知)
住宅用揚水ポンプの供給業者が,管理図を使用して旋盤工程を管理しようとしている。重要な特性は,
軸受の直径である。全25のサンプルについて,生産開始から1時間ごとに測定値を取る。群内のサンプル
の最大値及び最小値を,表A.1に示す。
注記1 データは,大きさ5の25の群(SG)の125のデータ点からなる。125のデータ点を図A.1
に打点し,また群に関する標準的な計算を表A.1に示す。
注記2 ヒストグラムを同時に描いてもよい。ヒストグラムと同時に観察する管理図は,工程の挙動
を分かりやすく表示する。同時に観察することによって,中心傾向及び変わった観測がより
明らかになる。
図A.1−群内のサンプルの最大値及び最小値

――――― [JIS Z 9020-2 pdf 25] ―――――

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