JIS Z 9020-4:2018 管理図―第4部:累積和管理図 | ページ 12

                                                                                             53
Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
b) 各試行で,結果は二通りだけである。
c) 試行は独立している。
d) 各試行で,“成功”の確率pは一定である。
e) 変数は,n回の試行での“成功”の総数である。
二項分布は計算が極めて面倒なので,ARL及び異常判定ルールを取り扱うとき,二項分布に近似するも
のとして他の分布を用いてもよい。
二つの二項分布のパラメータn(サンプルサイズに相当することが多い。)及びp(問題の属性をもつ項
目の比率)は,とり得る値の範囲が広いので,全ての組合せの表を作ることが不可能になる。ただし,幅
広い状況に,近似的な手順を当てはめることができる。その手順を次に示す。
− 状況1 Tp<1(目標又は参照比率が10 %より下)の場合,Tm=npとしてポアソン分布を仮定したス
キームを用いる。
− 状況2 Tm>20の(目標条件下で1サンプル当たりの平均事象回数が20を超える)場合,正規分布
を仮定したスキームを用いる。
9.6.2.2 状況1 : Tp<0.1−ポアソン分布で近似するスキーム
状況1では二項分布が適切だが,非常に扱いにくいので,ポアソン分布によって近似させるのがよい。
9.6.1.3に記載する段階的な方法を用いる。このときTm=npである。ポアソン分布の場合は,常に二項分
布の場合よりも目標値でのARLが小さくなるが,目標値からかなりシフトした場合のARLは,平均事象
発生率が同じ場合の二項分布のARLにほぼ一致する。

ステップ2 : n=20,p=0.025だとnp=0.5となり,参照値はTm=0.5となる。
ステップ3 : CS1スキームを使用。
ステップ4 : Tm=0.5の場合の表21の値を使用。すなわち,H=3,K=1.5。
ステップ5のa) : 累積和をプロットし,Vマスクを当てはめる(H=3,F=1.0)
ステップ5のb) : 表を作成し,表形式による累積和管理図を構成する(H=3,K=1.5)。
ステップ6 : 設計された累積和管理図の性能を次に示す。工程が目標レベルで稼動していれば,
ARL(L0)は1 475である。ただし,率が1.6,すなわちp=0.080に増加すれば,ARLは
10に減少する。
H K Tm L0 ARL 1 000 500 200 100 50 20 10 5 2
3.0 1.50 0.500 1 475 m 0.540 0.620 0.740 0.860 1.010 1.28 1.60 2.12 3.85
注記 データは,表22から抽出。
9.6.2.3 状況2 : Tm>20−正規分布で近似するスキーム
状況2では,対応する正規変数に適した対となるパラメータh,fについて,それぞれ例えば,5,0.5を
選ぶ。二項分布の累積和パラメータは,次のようにして得られる。
H h nTp 1(Tp) ,Hは最も近い整数に丸める。
K nTp f nTp 1(Tp ,Kは最も近い整数に丸める。
F f nTp 1(Tp ) ,Fは最も近い整数に丸める。

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 56] ―――――

54
Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)

ステップ2 : n=80,Tp=0.3,h=5,f=0.5とする。
ステップ4 : H h nTp 1(Tp ) 5 80 1(3.0)3.0 20
K nTp f nTp 1(Tp ) (80 )3.0 5.0 80 1(3.0)3.0
F f nT p1(T p) 5.0 80 1(3.0)3.0 2
ステップ5のa) : 累積和をプロットして,Vマスク(H=20,F=2)を当てはめる。
ステップ5のb) : 表を作り,表形式による累積和管理図を構成する(H=20,K=26)。
ステップ6 : 工程が目標レベルで動作していれば,ARL(L0)はほぼ930であるが,比率(p)が
0.35に増加している場合,ARLは約10低くなる。

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 57] ―――――

                                                                                             55
Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
附属書A
(参考)
フォン・ノイマン法
データを図示する目的で累積和管理図を設定するとき,変動を計量する方法は,データの性質,サンプ
リング方法及び計算のしやすさを主な理由として選択してよい。ただし,変化点又は工程平均のシフトの
統計的検定を実施する場合は,選択に注意し,連続する値の自己相関又は周期性の可能性を検討すること
が望ましい。
標準誤差の推定する連続する観測値の異常を調べる一般に有用な検定方法は,次のとおりである。
xsを計算する。
ステップ1
k
ステップ2 iw2を計算する。
i 2
ステップ3 群の数kをカウントする。
k
wi2
i 2
ステップ4 を計算する。
2k 1 sx
2
ステップ5 1 を計算する。
(k )2
ステップ4で計算した値がステップ5の大きい値より大きければ,過剰な制御又は交代のような負の自
己相関があることを示す。小さい値より小さければ,例えば,遅れの効果,規則的又は不規則な段階的変
化,ドリフト若しくは傾向など,周期又はその他の正の自己相関があることを示す。
場合によっては,ステップ4の計算値は,表A.1の0.05(両側)パーセント点から評価してもよい。
表A.1−フォン・ノイマン検定のためのパーセント点(両側)
群の数 下限値 上限値
20 0.58 1.42
30 0.65 1.35
50 0.73 1.27
75 0.78 1.22
150 0.84 1.16
200 0.86 1.14

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 58] ―――――

56
Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
附属書B
(参考)
表形式による累積和管理図の例
シューハート管理図でも累積和管理図でも,過去のデータから求めた平均35及び標準偏差6がパラメー
タとして定められ,用いられてきた。目標値は35に設定されている。
24日間のデータが収集された。データは,25.8,33.4,31.6,26.0,36.4,33.0,35.8,41.8,44.2,37.2,
35.0,41.8,33.4,38.4,30.2,33.8,42.6,39.6,32.0,48.4,44.6,43.0,40.8及び50.6である。
データのシューハート管理図を図B.1に示す。標準シューハート管理図の検定を用いると,異常が検出
されない。
図B.1−毎日の平均値のシューハート管理図
データの累積和点を図B.2に示す。この図は,19日に発生した“異常”が24日に判明したことを示し
ている。図B.1のシューハート管理図では,この変化を検出できない。

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 59] ―――――

                                                                                             57
Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
図B.2−毎日の平均値の累積和プロット及びVマスク
表B.1−毎日の平均データの表形式による累積和管理図
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
日 毎日の平均 (X−T−F) 上側の累積 上側の打点 (X−T+F) 下側の累積 下側の打点
(X) 和値“Hi” 数“Hi” 和値“Lo” 数“Lo”
0 15.0 0 −15.0 0
1 25.8 −12.2 2.8 1 −6.2 −21.2 1
2 33.4 −4.6 0.0 0 1.4 −19.8 2
3 31.6 −6.4 0.0 0 −0.4 −20.2 3
4 26.0 −12.0 0.0 0 −6.0 −26.2 4
5 36.4 −1.6 0.0 0 4.4 −21.8 5
6 33.0 −5.0 0.0 0 1.0 −20.8 6
7 35.8 −2.2 0.0 0 3.8 −17.0 7
8 41.8 3.8 3.8 1 9.8 −7.2 8
9 44.2 6.2 10.0 2 12.2 0.0 0
10 37.2 −0.8 9.2 3 5.2 0.0 0
11 35.0 −3.0 6.2 4 3.0 0.0 0
12 41.8 3.8 10.0 5 9.8 0.0 0
13 33.4 −4.6 5.4 6 1.4 0.0 0
14 38.4 0.4 5.8 7 6.4 0.0 0
15 30.2 −7.8 0.0 0 −1.8 −1.8 1
16 33.8 −4.2 0.0 0 1.8 0.0 0
17 42.6 4.6 4.6 1 10.6 0.0 0
18 39.6 1.6 6.2 2 7.6 0.0 0
19 32.0 −6.0 0.2 3 0.0 0.0 0
20 48.4 10.4 10.6 4 16.4 0.0 0
21 44.6 6.6 17.2 5 12.6 0.0 0
22 43.0 5.0 22.2 6 11.0 0.0 0
23 40.8 2.8 25.0 7 8.8 0.0 0
24 50.6 12.6 37.6 8 18.6 0.0 0
T=35,f=0.5s,h=5s

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 60] ―――――

次のページ PDF 61

JIS Z 9020-1:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 9020-4:2018の関連規格と引用規格一覧