JIS Z 9020-4:2018 管理図―第4部:累積和管理図 | ページ 11

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Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
連続するデータに自己相関があるかどうか,その自己相関が正か負かを示す統計的検定がある。最も簡
易な方法は,オリジナルデータの最初の結果と2番目との結果,2番目と3番目···とを比較するというよ
うに,作成順にオリジナルのデータと一つずれた,同じデータとの相関を測定するものである。計算され
た相関係数が0よりもはるかに大きければ,観測値間に正の自己相関を,すなわち,連続する結果は一般
に同方向の変化を示す。相関係数が0よりもはるかに小さければ,負の自己相関が示されたことになり,
結果が一つ手前のものより高ければ,次の結果は反対方向に向かっていることを示し,これは過剰な調節
を受けている工程に共通する特徴である。このような自己相関は,表計算ソフト又はその他の統計のソフ
トウェアパッケージを使用して簡単に計算することができ,そのような分析を行うことを推奨する。
相関係数は−1+1の範囲にあり,0と有意に異なる値のしきい(閾)値は,調査に使用するデータ点
がどれほど多いかに依存する。データのサイズが小さければ,見かけ上大きな相関係数は,統計的に有意
ではないことがあるのに対し,データのサイズが大きければ,0に近い相関係数でも統計的に有意と解釈
してもよい。表20に有意となる相関係数に関するおおよその目安を示す。
表20−相関係数の重要区間
ペアデータの数 相関係数の重要区間a)
10 ±0.45
15 ±0.37
20 ±0.33
25 ±0.30
注a) 有意水準0.05(両側)における値。
相関係数の計算値が表20に示す区間内にあれば,自己相関があるとする理由はない。サンプルサイズが
小さくて検出できないような,微弱な自己相関が認められる場合がある。
自己相関が発見された場合は,先に進むための最良の方法を決定するために専門家の支援が必要になる
ことがある。対策には,自己相関の原因について,より深い工程解析を行うことを含む。自己相関の原因
が季節性にあれば,期間ごとに目標値を変更することで,これを克服することができる。こうすると,累
積和値は季節性から独立したものとなる。
9.5.4 外れ値
累積和は,外れ値の防止を必要とする。外れ値が発生すれば,それが累積和値に及ぼす影響が大きくな
り,誤報を強く導くことになる。次に示す場合は,累積和の外れ値を防止する簡易だが有効な方法である。
a) 結果を外れ値とみなす場合
1) 群平均が目標値から±3σeより離れている。
2) 個々の観測値が目標値より±3σより大きい。
結果は外れ値として記録するが,次の結果が疑いの限界外にない限り,その値を累積和計算には加
えない。
b) 結果を疑わしい外れ値とみなす場合
1) 群平均が目標値から±2σeより離れている。
2) 個々の観測値が目標値より±2σより大きい。
二つの連続する結果が疑いの限界を超えている場合,その結果の両方を累積和計算に含める。これ
は多くの場合,管理外れになる。

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 51] ―――――

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注記 外れ値を検出するより厳格な方法(JIS Z 8402-5参照)があるが,リアルタイムな方法として
は有用ではない。ここに示した方法が簡便で実用的である。

9.6 離散データ用累積和スキーム

9.6.1  事象の頻度データ−ポアソンデータ
9.6.1.1 一般
計数データは事象の頻度に関係し,データは所定の期間又は製品数量ごとの特定の事象の数の頻度であ
る。例としては,月別の事故件数又は欠勤者数,1日当たりの演習又は出撃回数,1分間当たりの電話着信
回数,ユニット又はバッチ当たりの不適合数などが挙げられる。
ポアソン分布は,累積和管理図において次の二つの主たる役割をもつ。
a) が大きく,pが小さい(例えば,n>20かつp<0.1)の場合,より面倒な二項分布(9.6.2参照)の近
似値となる。
b) 事象が時間又は空間でランダムに発生し,所定の区間で事象の回数について観測が行われる場合,そ
の現象を表現する分布としての役割をもつ。
ポアソンモデルの妥当性は,事象の独立性,及び一定と想定される(異常原因がない場合)平均率にお
ける事象の発生次第で決まる。
一般に,ポアソン分布(及び二項分布)には対称性がないことから,上方及び下方方向へのシフトを評
価する場合に,通常のものとは異なる異常判定ルールを用いることが望ましい。そのため,Vマスク法を
使用する場合,マスクはこれまでと違って対称形ではなく,上半分と下半分とで傾き及び決定区間の値が
異なる。
見かけ上は複雑であるが,計算の簡単さのために導入される分布の中には,他のものによって近似され
る分布がある。例えば,ある種の条件下で,ポアソン又は正規分布は二項分布の近似値として取り扱え,
他の条件下では正規分布がポアソン分布の代わりとなる。
9.3及び9.4では,正規分布データのARLを,平均0,標準偏差を1として,標準正規分布のARLから
単純に決定している。離散分布は,このようにはいかない。各パラメータは個別に計算することが望まし
い。したがって,離散データの累積和管理図の設計のための表は,必然的に,上方向だけの動きが選択さ
れた組合せに限定されている。最近では,ソフトウェアルーチンが入手しやすくなって,離散データに累
積和管理図を選択することが著しく増加している。
9.6.1.2 離散データに関する累積和管理図の一般的な決定ルール
離散データの累積和のスキームは,データの分布の種別の観点から,基準値K及び決定区間Hの二つの
パラメータが一意に特定される。パラメータの選択における主な指標は次のとおりである。
a) 累積和管理図の設計は,基本的に2段階プロセスである。
1) 目標値でのARLが望ましい値を示すための,KとHとの組合せの選択
2) 平均の適切な様々のシフトでの,異常検出の早さの決定
b) 基準値Kは,異常検出の対象となる指定された平均のシフトに基づいて選択することが望ましい。適
切なKは,累積和が最高の感度もつようにするための目標値と検出したい異常平均との間の値である。
Kの値は,データの分布の種別と容認された平均の定義とに依存する。
9.6.1.3 計数データ用の累積和スキーム
ステップ1−実際の平均発生率mを求める。
ステップ2−発生率の参照値又は目標値Tmを選択する。これは値mとなることが多い。
ステップ3−いずれのスキームを当てはめるかを選択して,最も適切な異常判定ルールを決める。推奨す

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るスキームは,少なくとも目標1 000のレベルでのARLをもつCS1スキームか,少なくとも目標200のレ
ベルでのARLをもつCS2スキームのいずれかになる。表21を参照。
ステップ4−次のようにH及びKの値を決める。
a) m(0.1≦Tm≦25.0)の場合,Tmに最も近い値で表21の値を記入する。Tmが10.025.0の場合は,線
形補間を用いる。
Tを用いて,
b) m>25.0の場合,正規分布によるポアソン分布への近似が適切なものとなるので,σe=m
正規分布に関する9.3に示した該当する表を参照する。
一例として,Tm=25と仮定する。平均25,標準偏差5の正規分布の場合,H=24,K=28である。これ
に対応するARLは約1 500である。H=24,K=28のポアソン変数の真のARLは1 085である。実際の
ARLが正規分布に近似したARLより小さいのは,ポアソン分布のわい(歪)度及び離散性に起因する。
ステップ5−Vマスクを構成して適用するか,表を作成する。
a) 管理図の場合 差(X−Tm)の和をプロットし,決定区間をH,傾きをF(=X−Tm)とするVマスク
法を用いる。
b) 表形式による累積和管理図の場合 差(X−K)の和をとり,累計がマイナスになるたびにゼロに戻す。
Hを基準にして,シフトの異常を検証する。
ステップ6−表22を用いて,該当する公称値からのシフトで選択した累積和管理図のARLを評価する。

ステップ2 : 参照平均率,Tm=4。
ステップ3 : CS1のスキームを使用。
ステップ4 : Tm=4のときの表21の値を記入する。したがって,H=8,K=6。
ステップ5のa) : 累積和をプロットし,Vマスクを構成して,それを適用する(H=8,F=2)。
ステップ5のb) : 表を作成し,表形式による累積和管理図を構成する(H=8,K=6)。
ステップ6 : スキームの性能を,次に示す。工程が目標レベルで動作すれば,ARL(L0)は1 736
であるが,率が6.6に増加すれば,ARLは10に下がる。
H K Tm L0 ARL 1 000 500 200 100 50 20 10 5 2
8.0 6.00 4.000 1 736 m 4.160 4.380 4.710 5.000 5.300 5.90 6.60 7.80 11.50
注記 データは表22から抽出。
9.6.2 二分されるデータ−二項データ
9.6.2.1 一般
分類されたデータの場合,データの各項目は,それぞれ多くのカテゴリに所属するものとして分類され
る。カテゴリの数は2であることが多い。すなわち二項で,例えば,結果は通常,0又は1,合否,利益又
は損失,ある特性の有無として表される。
クラスが二つあるデータを“二項”データと呼ぶ。尺度は,利益か損失か,内にいるか外にいるかなど,
本質的に二項である。量的尺度を分類することによって,間接的に二項データとなることがある。例えば,
通話を通話時間が10分を超えるか超えないかとか,6回以内の呼出音で応答があったかなかったかである。

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表21−計数(ポアソン)データのCS1及びCS2スキームのTm,H及びK
目標事象率 CS1スキーム CS2スキーム
Tm H K H K
0.100 1.5 0.75 2.0 0.25
0.125 2.5 0.50 2.5 0.25
0.160 3.0 0.50 2.0 0.50
0.200 3.5 0.50 2.5 0.50
0.250 4.0 0.50 3.0 0.50
0.320 3.0 1.00 4.0 0.50
0.400 2.5 1.50 3.0 1.00
0.500 3.0 1.50 2.0 1.50
0.630 3.5a)又は4.0 1.50 2.0 2.00
0.800 5.0 1.50 3.5 1.50
1.000 5.0 2.00 5.0 1.50
1.250 4.0 3.00 5.0 2.00
1.600 5.0 3.00 4.0 3.00
2.000 7.0a)又は8.0 3.00 5.0 3.00
2.500 7.0 4.00 5.0 4.00
3.200 7.0 5.00 5.0 5.00
4.000 8.0 6.00 6.0 6.00
5.000 9.0 7.00 7.0 7.00
6.300 9.0 9.00 9.0 8.00
8.000 9.0 11.00 9.0 10.00
10.000 11.0 13.00 11.0 12.00
15.000 16.0 18.00 11.0 18.00
20.000 20.0 23.00 14.0 23.00
25.000 24.0 28.00 17.0 28.00
注記1 CS1スキームは一般に,1 000から2 000までの間の観測値の目標でのARLを示す。CS2スキーム
は,200から400までの間の観測値の目標でのARLを示す。
注記2 Tm<1の場合,個々の観測値が分類するには限られた情報しかないことに気付く。そこで以下に示
すような横軸のスケーリングを推奨する。一つの事象を発生させるのに必要な,平均観測回数1/ Tm
を求める。この値をプロットに都合のよい整数に丸め,それを累積和管理図の横軸の目盛に採用
する。縦軸の累積和の目盛を横軸の尺度と同じ長さの間隔で引き,0より上及び下に,0,+2,+
4など,−2,−4などと連続する偶数の整数を記入する。
注記3 10までのTmの値の選択は,各10ケース中の連続する数値間でほぼ同比率の10の比率を示す標準
値R 10に基づく。
注記4 Tmが10から25までの場合,等間隔の値を示して補間をしやすくする。この区間の中間スキーム
は,H及びKの両方で線形補間によって得ることができ,整数値に丸める。H及びKは同じよう
に丸めることが望ましい。
注a) の低い値は1 000よりやや小さいL0を示し,高い値は2 000に近いL0を示す。

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表22−計数(ポアソン)データのH及びKに関する累積和スキームのARL特性
パラメータ CS1スキーム CS2スキーム 表記値のARLにおける平均発生率
H K Tm L0 Tm L0 1 000 500 200 100 50 20 10 5 2
2.0 0.25 − − 0.100 212 0.057 0.072 0.102 0.135 0.179 0.29 0.43 0.74 1.99
2.5 0.25 − − 0.125 227 0.078 0.097 0.131 0.166 0.220 0.33 0.49 0.82 2.12
2.0 0.50 − − 0.160 230 0.095 0.121 0.168 0.220 0.280 0.42 0.59 0.91 2.09
1.5 0.75 0.100 1 033 − − 0.120 0.130 0.181 0.240 0.320 0.46 0.66 0.99 2.11
2.5 0.50 0.125 1 371 0.200 278 0.138 0.167 0.220 0.280 0.350 0.49 0.68 1.05 2.32
3.0 0.50 0.160 1 609 0.250 264 0.179 0.210 0.270 0.330 0.400 0.56 0.77 1.12 2.74
3.5 0.50 0.200 1 461 − − 0.220 0.250 0.310 0.370 0.440 0.60 0.84 1.31 3.02
4.0 0.50 0.250 966 0.320 271 0.250 0.280 0.340 0.400 0.470 0.65 0.91 1.41 3.37
3.0 1.00 0.320 1 174 0.400 446 0.330 0.390 0.480 0.570 0.690 0.91 1.17 1.63 3.08
2.0 1.50 − − 0.500 260 0.360 0.420 0.540 0.640 0.780 1.04 1.32 1.78 3.17
2.5 1.50 0.400 1 103 − − 0.410 0.490 0.610 0.730 0.890 1.15 1.46 1.93 3.37
2.0 2.00 − − 0.640 221 0.420 0.510 0.650 0.790 0.970 1.27 1.58 2.09 3.44
3.0 1.50 0.500 1 475 − − 0.540 0.620 0.740 0.860 1.010 1.28 1.60 2.12 3.85
3.5 1.50 0.640 833 0.800 249 0.620 0.700 0.830 0.950 1.100 1.38 1.70 2.26 3.74
4.0 1.50 0.640 1 843 − − 0.700 0.790 0.920 1.040 1.190 1.47 1.81 2.38 4.44
5.0 1.50 0.800 1 439 1.000 274 0.840 0.920 1.040 1.160 1.310 1.60 1.95 2.64 5.25
5.0 2.00 1.000 1 904 1.250 259 1.090 1.190 1.350 1.500 1.680 2.00 2.37 3.09 5.90
4.0 3.00 1.250 1 867 1.600 354 1.380 1.530 1.750 1.950 2.200 2.61 3.04 3.76 6.35
5.0 3.00 1.600 1 118 2.000 188 1.640 1.770 1.940 2.180 2.420 2.83 3.29 4.07 6.60
7.0 3.00 2.000 894 − − 1.980 2.110 2.310 2.490 2.710 3.09 3.57 4.59 7.55
8.0 3.00 2.000 1 927 − − 2.110 2.330 2.430 2.600 2.810 3.23 3.78 4.80 8.40
5.0 4.00 − − 2.500 300 2.170 2.350 2.600 2.870 3.160 3.63 4.16 5.00 7.60
7.0 4.00 2.500 1 761 − − 2.620 2.800 3.050 3.260 3.450 3.99 4.53 5.60 8.85
5.0 5.00 − − 3.200 245 2.730 2.940 3.270 3.560 3.890 4.45 5.00 6.00 8.50
7.0 5.00 3.200 1 318 − − 3.280 3.480 3.780 4.030 4.320 4.88 5.50 6.50 9.80
6.0 6.00 − − 4.000 373 3.640 3.880 4.240 5.550 4.930 5.50 6.20 7.20 10.40
8.0 6.00 4.000 1 736 − − 4.160 4.380 4.710 5.000 5.300 5.90 6.60 7.80 11.50
7.0 7.00 − − 5.000 348 4.600 4.840 5.200 5.600 5.900 6.60 7.30 8.50 11.60
9.0 7.00 5.000 1 268 − − 5.100 5.300 5.700 6.000 6.400 6.90 7.70 9.10 13.50
9.0 8.00 − − 6.400 226 5.800 6.100 6.500 6.800 7.200 7.90 8.60 10.00 14.20
9.0 9.00 6.400 1 351 − − 6.500 6.800 7.200 7.600 8.100 8.80 9.60 11.10 15.20
9.0 10.00 − − 8.000 213 7.200 7.600 8.000 8.400 8.900 9.70 10.50 11.90 16.20
9.0 11.00 8.000 946 − − 8.000 8.300 8.800 9.300 9.800 10.50 11.40 13.00 16.40
11.0 12.00 − − 10.000 234 9.300 9.600 10.10010.50011.000 11.90 12.80 14.60 19.80
11.0 13.00 10.000 1 052 − − 10.00010.400 11.00011.40011.900 12.70 13.70 15.50 20.30
11.0 18.00 − − 15.000 214 13.90014.300 15.10015.60016.300 17.40 18.50 20.40 25.90
16.0 18.00 15.000 1 289 − − 15.10015.500 16.10016.50017.200 18.20 19.40 21.70 29.10
14.0 23.00 − − 20.000 215 18.80019.300 20.10020.70021.400 22.60 24.00 26.20 32.90
20.0 23.00 20.000 1 140 − − 20.10020.500 21.10021.70022.300 23.50 24.90 27.60 36.80
17.0 28.00 − − 25.000 222 23.70024.300 25.10025.80026.500 27.80 29.30 31.90 40.00
24.0 28.00 25.000 1 085 − − 25.10025.500 26.20026.70027.400 28.70 30.40 33.50 44.90
注記 表は,平均の上方への動きに関係する。
二項分布で満たすべき条件は,次のとおりである。
a) 試行回数は固定,nである。

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 55] ―――――

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