JIS Z 9020-4:2018 管理図―第4部:累積和管理図 | ページ 2

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Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
注記 規準化した参照シフト値を表すfと,参照シフト値を表すF(=fσe)とを区別する必要がある。
3.1.4
参照シフト値,F,f(reference shift)
Vマスクの判定ラインの傾き(マスク角の正接)。
注記 規準化した参照シフト値を表すfと,参照シフト値を表すF(=fσe)とを区別する必要がある。
3.1.5
決定区間,H,h(decision interval)
<表形式による累積和管理図>異常の検出に必要な基準値(3.1.2)との偏差の累積和。
注記 規準化した決定区間を表すhと,決定区間を表すH=hσeとを区別する必要がある。
3.1.6
決定区間,H,h(decision interval)
Vマスクの基準線の1/2の高さ。
注記 規準化した決定区間を表すhと,決定区間を表すH=hσeとを区別する必要がある。
3.1.7
平均連長,L(average run length)
異常を検出するまでに打点される平均サンプル数。
注記 平均連長(L)は,通常,特定の工程の水準に関係しており,適切な下付数字を付ける。例え
ば,L0は,工程が目標レベルにある,すなわち,シフトがゼロのときの平均連長を意味する。

3.2 略語

ARL              平均連長
CS1 シフトがゼロのARLが大きい累積和管理図
CS2 シフトがゼロのARLが比較的小さい累積和管理図
DI 決定区間
EWMA 指数型重み付き移動平均
FIR 初期値を変更した
LCL 下側管理限界(線)
RV 参照値
UCL 上側管理限界(線)

3.3 記号

a     縦軸の目盛係数
C 累積和値
Cr 基準点と異常を示す点との累積和の差
c4 群内の標準偏差を推定するための係数
δ 検出すべき変化量
Δ 規準化した検出すべき変化量
d リード距離
d2 範囲から群内の標準偏差を推定するための係数
F 参照シフト値
f 規準化した参照シフト値
H 決定区間

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Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
h 規準化した決定区間
J 指数
φ 工程調節量
K 離散データの累積和基準値
k 群の数
L0 シフト量がゼロのときの平均連長(ARL)
Lδ シフト量がδのときの平均連長(ARL)
μ 母平均値
m 母平均発生数
n 群の大きさ
p “成功”の確率
R 群内の範囲の平均値
r 基準点と異常を示す点との間でプロットされた数
σ 工程の母標準偏差
σ0 群内の母標準偏差
0
群内の母標準偏差の推定値
σe 母標準誤差
s 群内の標準偏差
s 群内の標準偏差の平均値
xs
k個の群から求めた標準誤差の推定値
T 目標値
Tm 発生率の参照値又は目標値
Tp 比率の参照値又は目標値
τ 真の変化点
t 観測された変化点
Vavg 平均電圧
V 推定された平均電圧
avg
w 連続する群の平均値間の差
x 個々の観測値
x 群の平均値
x 群の平均の平均値

4 累積和図の主な特徴

  累積和図1)は,基本的には,事前に選択した参照値との偏差の累計である。連続した値のグループの平
均は,グラフの最新の傾きによって目で分かるように表示される。累積和図の主な特徴は,次のとおりで
ある。
a) 平均の変化を敏感に検知する。
b) 平均の変化及び変化の大きさは,次のようにグラフの傾きの変化によって分かる。
1) 水平方向のグラフは,平均が目標値又は参照値と同じであることを示す。
2) 下向きの傾きは,参照値又は目標値よりも低い平均を示す。傾きが急になればなるほど,差は大き

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Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
い。
3) 上向きの傾きは,参照値又は目標値よりも高い平均を示す。傾きが急になればなるほど,差は大き
い。
c) 累積和図は,管理を続ける上で,調査目的で遡及的に使うこともでき,また,当面の変動を予測する
ために使うこともできる。
上記のb)に関して,累積和図は変化点を明瞭に示す能力をもつ。変化点は,累積和プロットの勾配の変
化によって示される。これは,工程管理に極めて有益である。工程が変化する瞬間を迅速にかつ正確に示
すことができるので,適切な是正処置をとることができる。
累積和の更に有用な特徴は,グラフに打点することなく,すなわち,表形式で取り扱うことができるこ
とである。このことは,プラスチックフィルム製造のように工程パラメータ及び製品特性の数が大きい場
合,高度な技術を扱う工程の監視に累積和図を利用するときに非常に役立つ。こうした工程のデータは,
自動的に捕捉し,累積和ソフトウェアにダウンロードして,自動的に累積和の分析を行える。さらに,多
くの特性の変化を同時に工程管理者に警告することができる。この方法の一例を,附属書Bに示す。
注1) この用語は,箇条6までは単なるグラフとしての表記“累積和図”を用い,箇条7以降は判定
ルールを意識した表記“累積和管理図”を用いて,使い分けをしている。

5 累積和図の作成の基本ステップ-グラフ表示

  次のステップを踏んで,個々の値の累積和図を作成する。
ステップ1 : 参照値,目標値,管理値又は推奨値を選択する。過去の結果の平均は,一般に,優れた選別
手段となる。
ステップ2 : 意味のある順序(例えば,時間的順序)で結果を表形式にする。各結果から参照値を差し引
く。
ステップ3 : ステップ2で得た値を累計する。これらの累計を,累積和図に打点する。
ステップ4 : 最適な視覚効果が得られるように,記入点間の幅が約2.5 mm以下となるように水平スケー
ルを設定する。
ステップ5 : 感度が過度に高くなることなく,正しく識別できるように,次のオプションを用いることが
望ましい。
a) 適切な横軸の打点区間を選び,縦軸上の区間の値に応じてその端数を捨てて丸めた,2σ(平均の累積
和を図に記入する場合は2σe)に等しくする。
b) 例えばδなど,既知の変化を検出する必要がある場合は,垂直スケール上のスケール単位を水平スケ
ール上のスケール単位で除した比が,値に応じて端数を捨てて丸めて,σと2σとの間になるように垂
直スケールを選ぶ。
注記 スケールの選択は,視覚上,非常に重要である。スケールが不適切だと,プロットが変わり
やすいという性格のために異常が間近に迫っているという印象を与えたり,又は何も変化し
ていないかのような表示になったりするからである。a)及びb)に記載した手順で,変化を過
大に見せたり過小に見せたりすることなく,適切に表示することが望ましい。

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Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)

6 累積和プロットの例-モータ電圧

6.1 工程

  ある特性に関して,時間的順序で1組40個の値が得られると仮定する。これらの値は,生産順に取り出
させた,生産の初期段階での分数馬力モータの電圧(V)とする。ただし,値は意味のある順序で取り,
連続スケールで表記される個々の値である。その値は,次のようになっている。
9,16,11,12,16,7,13,12,13,11,12,8,8,11,14,8,6,14,4,13,3,9,7,14,2,6,4,
12,8,8,12,6,14,13,12,14,13,10,13,13
参照又は目標電圧値は,10 Vである。

6.2 結果の簡易プロット

  パターン及び傾向を明らかにすることによって,工程の基本的な動きをよりよく理解するための標準的
なアプローチは,図1 a)に示すように,単にこれらの値をそのまま打点することである。
最初が高く,最後が同様に高く,それに比べて中央部分はおおむね降下していることは別にして,図1 a)
は,データが全般に小波が極端に激しいので,特に意味のある現象を表示してはいない。
a) モータ電圧の簡易プロット
図1−モータ電圧の例

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Z 9020-4 : 2018 (ISO 7870-4 : 2011)
b) 個々の観測値の標準的な管理図(例えば,X管理図)
c) 累積和図
図1−モータ電圧の例(続き)

6.3 個々の観測値の標準的な管理図

  精巧化の次のレベルは,図1 b)のような個々の観測値の標準的な管理図(例えば,X管理図)を描くこ
とである。
図1 b)は,図1 a)の図と比べても意味をもつわけではない。むしろ,誤解を招きかねない。工程の安定
性及び管理を検証するための標準的な異常判定ルールは,次のとおりである。
a) 上側管理限界(UCL)より上にくる点も,下側管理限界(LCL)より下にくる点もない。
b) 上向き又は下向きに7以上の連がない。
c) 中心線より上又は下に7以上の連がない。
これらの全ての基準への答えは“ノー”である。したがって,これは安定した工程であり,目標値であ

――――― [JIS Z 9020-4 pdf 10] ―――――

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