JIS A 1486:2014 発泡プラスチック系断熱材の熱抵抗の長期変化促進試験方法 | ページ 2

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3.12
成形スキン層
原材料を発泡したとき,表面に成形される発泡倍率の低い樹脂層。
3.13
面材
断熱材とは別の材料で断熱材の表面に貼り付けたもの。
3.14
試料
試験対象とする厚さが25 mm以上の発泡プラスチック系断熱材製品。
3.15
スライスした試験片
試料(断熱材製品)を約10 mm(6 mm以上)の均一な厚さに切り分けたもの。この規格では,単に試
験片ともいう。
表1−記号及び単位
記号 量 単位
a 温度拡散係数(温度拡散率) m2/s
λ 熱伝導率 W/(m・K)
ρ 密度 kg/m3
cp 定圧比熱 J/(kg・K)
D 有効拡散係数 m2/s
D0 基準板の有効拡散係数 m2/s
d スライスした試験片の厚さ m
d0 基準試料の厚さ m
F 数値係数 −
F0 フーリエ数 −
i 経年変化期間における第i日 日
n 経年変化期間 日数
r 熱伝導抵抗 m・K/W
r0 初期熱伝導抵抗 m・K/W
rt t日後の試験片の熱伝導抵抗 m・K/W
R 熱抵抗 m2・K/W
Rav 経年変化期間中の平均熱抵抗 m2・K/W
R0 初期熱抵抗 m2・K/W
Rt t日後の試験片の熱抵抗 m2・K/W
Rn 経年変化期間最終日の熱抵抗 m2・K/W
S スケーリング係数 −
t 日 日
t0 開始日 日
T 温度 K
T1,T2 加熱又は冷却された基準板の表面温度 K
Tm 基準試料の平均温度 K
TDSL 損傷表面層の厚さ m

――――― [JIS A 1486 pdf 6] ―――――

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4 一般事項

4.1 適用条件

  この規格の基になる解析モデルの概要を,参考として附属書Aに示す。この試験手順は,スライスした
試験片の材料特性が試験対象の材料と同一であるとの前提に基づく。すなわち,スライスした試験片は,
元の厚さの材料と有効拡散係数及び初期の気泡ガスの量が等しく,一次元拡散が支配的要因であるとの仮
定に基づいている。
通常の厚さの試料を対象とすると,25年以上の値を得るためには,非常に長い試験期間が必要である。

4.2 結果に影響を与える要因

  経年変化プロセスに影響を与える要因は,次のとおりであり,その詳細を附属書Aに示す。
− 用いた厚さが薄いことが原因の誤差
− 損傷表面層の厚さ
− 試料作成前の経年変化
− 材料の不均質性
− 連続気泡率が高いか又は連続気泡が不均一に存在

5 試験方法

5.1 試験方法A-芯材の断熱性の経時変化を測定するための試験方法

5.1.1  一般
試験方法Aは,状態調節の期間を短くし,各時点における熱抵抗の変化を測定するための一般的な手順
である。無作為に採取した厚さが25 mm以上の発泡プラスチック系断熱材を試料とし,それぞれ約10 mm
(6 mm以上)の均一な厚さの試験片に切り分ける。この場合,切断面の気泡の損傷を考慮する。試験片
の熱抵抗の測定は,製造後可能な限り速やかに開始し,初期の熱抵抗に対する測定時点の熱抵抗の比が,
経年変化プロセスの一次段階から二次段階に十分に移行していることを示すまで,一定の時間間隔で実施
する。製品の経年変化後の熱抵抗は,スケーリング係数を用いて算出する。
注記 試験片の作製が断熱性に与える影響を最小にするために,TDSLは,試験片の厚さの5 %以下
とすることが望ましい。
5.1.2 試料採取
試料の採取方法は,JIS A 9511の5.2(試料及び試験片),又はJIS A 9526の6.2.2(試料の状態調節)に
よる。
5.1.3 試験片の準備
試験片の準備は,次による。
a) 試験片の状態調節及び試験場所は,JIS A 9511の5.1(試験片の状態調節及び試験場所),又はJIS A 9526
の6.2.4(試験場所)による。
b) 試料の元の厚さに応じて,各試料を均等な厚さにスライスする。表面に何らかの被覆膜がある場合,
表面から1枚目の試験片は破棄する。試験片全体の面積は,試験装置の最小測定可能面積を下回らな
いものとする。試験装置の総面積が大きい場合,試験片の過度の反りを防止するため,試験片を試験
装置の測定面積より少し大きい中央部分と,それを取り巻く同一厚さの周囲部分との二つの部分に分
ける必要がある。
c) 複数の試験片を積み重ねて測定を行う場合,切り出し後,状態調節後又は試験後において正確に元の
状態に重ね合わすことができるように,各側面に印を付ける。

――――― [JIS A 1486 pdf 7] ―――――

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試料を旋盤に載せ,所定位置に保持する。
注記1 試料を研削盤の真空吸着テーブルに載せ,空気吸引によって所定位置に固定し,歯の細かい
バンドソーを用いて所定の幅にスライスするとよい。
注記2 二重反転式の食品調理用のミートスライサーで,各面に複数の切削を行ってスライスしても
よい。
5.1.4 試験片の寸法測定
試験片の寸法測定は,次による。
a) 各試験片の長さと幅を2 mm単位の精度で測定する。
b) 各試験片の厚さを±0.02 mmの精度で測定する。試験片を積み重ねた場合,厚さを±0.2 mmの精度で
測定する。
c) 熱伝導抵抗を求める場合,b)で得た値から,測定で得たTDSLの値,又は二つの気泡の直径に等しい
数値を差し引くことによって,有効厚さを計算する。
注記 寸法その他の変化が試験期間中に発生しなかったことを確認するため,熱抵抗の測定の後,1
枚の試験片に対してa)及びb)の手順を再度行うことを推奨する。
5.1.5 試験片の熱抵抗及び熱伝導抵抗の測定
試験片の熱抵抗及び熱伝導抵抗の測定は,次による。
a) 測定は,一つの選択温度において,恒温室でJIS A 1412-1又はJIS A 1412-2のいずれかに従って行わ
なければならない。スライスした試験片を積み重ねた試験片を測定する場合,十分な数のスライスし
た試験片を積み重ね,厚さに依存しない熱伝導率を得られるようにしなければならない。
+2
b) 熱抵抗及び熱伝導抵抗の測定時のスライスした試験片の平均温度は23 −3
℃とする。
c) 単一の試験片又は積み重ねた試験片の初期熱抵抗R0(さらに,必要がある場合,初期熱伝導抵抗r0
も求める。)を,選択した方法に基づき,スライス後1日以内に測定する。
d) 各試験片を個別に状態調節した上で,一定の時間間隔で熱抵抗Rtを測定する。相対熱抵抗比Rt/R0を
計算した上,その数値と時間の対数との関係をグラフ化する(必要がある場合,相対熱伝導抵抗比を
用いてもよい。)。状態調節の条件は,温度23±2 ℃,相対湿度(50±5)%RHとする。ただし,相対
+20
湿度は(50 −)%としてもよい。
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e) t/R0又はrt/r0の数値が遷移点を超えた経年変化の二次段階において,グラフが線形関係を示す(図
A.1参照)までd)の手順を繰り返し実施する。
5.1.6 製品における長期熱抵抗の計算
製品における長期熱抵抗の計算は,次による。
a) 厚さが10 mmでない試験片を使用することができるが,結果の比較検討ができるように,標準値又は
基準値として10 mmの厚さとすることを推奨する。
b) 試験片の厚さが10 mmでない場合,試験片の平均熱抵抗を求め,附属書Aに示すスケーリング係数
の概念を利用して,5.1.5で得た試験結果から成る曲線を,式(1)によって厚さが10 mmである場合の
曲線に変換する。
r = F(log t) (1)
c) )において,スケーリング係数によって得た数値を用いて,要求された特定時間に試験した試験片の
元の厚さの熱抵抗を推定する。
d) 一例として,厚さが50 mmの製品の場合,25年後の熱抵抗(R25)と同一期間における平均値Rav.25は,
次のとおり導き出すことができる。

――――― [JIS A 1486 pdf 8] ―――――

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1) 厚さ50 mmの製品の25年後における熱抵抗 期間25年は,9 125日となる。したがって,厚さが
10 mmの場合,式(A.11)に基づき,これは,次の式(2)の期間に相当する。
2
t 9 125S 9 125 10 365日 (2)
50
厚さ10 mmの試験片の場合に得た曲線から,365日目における熱伝導抵抗r(10,365)を求める。
したがって,次の式(3)及び式(4)となる。
r(50,9 125)= r(10,365) (3)
R25 = 0.05 r(50,9 125) (4)
2) 厚さ50 mmの製品の25年間における平均熱抵抗 式(5)に基づき,25年(9 125日)間における平
均熱伝導抵抗は,9 125/10= 2 886日後の熱伝導抵抗に等しくなる。
t /n 10 (5)
したがって,厚さ10 mmの試験片の場合,この期間は,次の式(6)の期間に等しい。
2
t 2 886S 2 886 10 115日 (6)
50
この厚さ10 mmの試験片の場合に得た曲線から,115日目における熱伝導抵抗r(10,115)を求
める。したがって,次の式(7)及び式(8)となる。
rav(50,9 125)= r(50,2 886)= r(10,115) (7)
Rav.25 = 0.05 rav(50,9 125) (8)
e) 必要に応じて,スケーリング係数を用いて,製品の経年変化後の熱抵抗値を求めることができる。

5.2 試験方法B-被覆層のない製品の設計耐用期間における熱抵抗を測定するための簡易試験方法

5.2.1  一般
試験方法Bは,箇条4及び5.1に基づく。この試験方法では,元の製品から切り出した厚さ約10 mmの
複数の試験片を重ねず状態調節した後,これらを積み重ねて熱抵抗を測定する方法を規定する。試験方法
Bでは,厚さ100 mmの場合の,25±2年後の値を得ることが実証されている。その他の厚さにおいても,
当該ガスの拡散係数と熱伝導率の関数として,若干の誤差が生じ得る。
5.2.2 手順
手順は,次による。
a) 5.1.1に基づき試料を採取する。製造から試料作製までの期間は,1年を超えてはならない。
b) 切り出し後及び状態調節後において,正確に元の状態に重ね合わすことができるように,各側面に印
を付ける。
c) 各試料を厚さ方向にスライスして分割する。この時,各試験片の厚さは原則10±1 mmとして,可能
な限り表面層を保持する。
d) 状態調節の前後において,スライスした試験片の厚さ及び元の状態に積み重ねた試験片の厚さを測定
する。
e) スライスした試験片を温度23±2 ℃,相対湿度(50±5)% RHで,91±7日間,個々に状態調節する。
この状態調節後,スライスした試験片を積み重ね直して,元の状態とする。
+2
f) ℃,温度差25 ℃
積み重ねた試験片の熱抵抗をJIS A 1412-1又はJIS A 1412-2に基づき,平均温度23 −3
以内で測定する。

――――― [JIS A 1486 pdf 9] ―――――

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6 報告事項

  試験報告書には,次の情報を記載しなければならない。
a) 材料の名称及び商品名
b) 試験期間
c) 製造日(発泡日,成形日及び出荷日)
d) 試験片の作製日及び作製の詳細
e) 採用した試験方法(試験方法A又は試験方法B)
f) 試験片の採取方法
g) 寸法,質量及びかさ密度
h) 試験片の有効厚さ(ただし,必要がある場合だけ)
i) 熱伝導率試験装置の説明
j) 平均温度及び温度差
k) 単一の試験片に対する初期試験日又は積み重ねた試験片の状態調節開始日,及びその後の単一の試験
片又は積み重ねた試験片の熱抵抗試験日
l) 試験方法Aで測定した場合,試験片の1枚又はそれ以上のスライスした試験片における結果の平均と,
適切なスケーリング係数を利用して得た,要求された期間における長期熱抵抗値又は熱伝導率
m) 試験方法Bで測定した場合,簡易測定法を用いて,複数の試験片を積み重ねた試験片の平均値測定か
ら得られる,設計耐用年数(3.4)における長期熱抵抗値
また,試験報告書には,必要に応じて次の情報を記載する。
n) 被覆層の拡散係数を測定又は同定した方法(附属書JD又は附属書JE)
o) 附属書JAでの解析によって予測した場合は,設定した経過年数,及び対応する長期熱抵抗値又は熱
伝導率
p) 被覆層の材質,種類及び厚さ
q) 計算に用いた発泡ガスの種類及び物性値
r) 養生条件(シールの有無及び周囲の温湿度)

――――― [JIS A 1486 pdf 10] ―――――

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JIS A 1486:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11561:1999(MOD)

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JIS A 1486:2014の関連規格と引用規格一覧