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B 0642 : 2010
7.2.3 浮動ゼロ
浮動ゼロを使う場合には,例えば,図5に示す誤差曲線から直ちに理解できる情報は,実際の測定プロ
セスには適していない。浮動ゼロは,デジタル式の指示測定器で測定するときに使用することが多い。線
度器及び機械式ダイヤルゲージのようなアナログ式の測定器も,浮動ゼロで使用することが多い。
Lm 測定長さ
E 指示誤差
注記 表2,図5及び図6と同じデータを使用。
図7−浮動ゼロ誤差曲線の例
図7は,浮動ゼロを使った誤差曲線を示す。浮動ゼロ誤差は,基準点からの長さでなく,測定長さを基
準にしている。浮動ゼロ誤差は,固定ゼロ誤差曲線から作成できる。
表2及び図5の固定ゼロ誤差曲線を基に,例えば,
− 測定長さ1 mmの測定における誤差は,10 mmの測定長さにおける誤差の差として10回計算できる。
− 測定長さ2 mmの測定については,9回計算できる。
− など同様にして,
− 測定長さ10 mmの測定における誤差は,1回だけ計算できる。
表現方法の詳細については,附属書JAに示す。最大の浮動ゼロ誤差は,固定ゼロ誤差曲線で示した指
示誤差幅hと等しくなる(図5参照)。異なった測定長さに関する誤差の分布は,固定誤差曲線の形及び詳
細に依存する。例として,図7を示す。
7.3 統計的な計測特性の表示
浮動ゼロにおいてデータ量が多いときには,指示誤差は,度数分布として表示することもできる(図8
参照)。度数分布図は,一つの測定長さだけについて表示している。この表示方法は,同一の測定器のグル
ープ及び/又は短い測定長さに対して適用することが多い。
度数分布は,その標準偏差で代表することもできる。図8に示す例では,標準偏差は,約13.0 μmであ
る。この標準偏差は,ISO/IEC Guide 98 (GUM)又はISO/TS 14253-2:1999による標準不確かさに相当する。
――――― [JIS B 0642 pdf 21] ―――――
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測定器の測定範囲と比較して測定長さが大きい場合の度数分布は,評価するのが難しい分布形状になっ
てしまうかもしれない。
E 指示誤差
注記 浮動ゼロ,測定長さ1 mm
図8−指示誤差の度数分布の例
7.4 一つの値をもつ計測特性の規定方法
測定器の計測特性が一つの値をもつ場合は,MPE値又はMPL値で定義する。
例 ブロックゲージの寸法許容差など。
MPE値又はMPL値は,片側の仕様限界としてUSL又はLSLで与えるか,又は両側の仕様限界として
USL及びLSLで与える。
MPE値又はMPL値の合否判定には,JIS B 0641-1を適用する。
7.5 測定範囲内で定義された計測特性の規定方法
7.5.1 一般
測定器の測定範囲内で定義された特性は,連続的なMPE関数又はMPL関数として次のように表現する。
MPE=f(パラメータ)
MPE値又はMPL値が対称な場合は,記号+/−を使う。片側の場合には,記号+又は−を使う。非対称
な場合には,記号+及び−を使う。
多くの場合に,MPE関数のパラメータは,測定器の指示した真値である。MPE関数又はMPL関数は,
次の場合を考慮し,規定する。
a) 連続的な場合は,直線であることが望ましい。
b) 測定範囲内の指定した領域内で,測定器の計測特性に対する限界を与える。
c) 片側の仕様限界は,USL又はLSLとして与える。
――――― [JIS B 0642 pdf 22] ―――――
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d) 多くの場合,両側の仕様限界としてUSL及びLSLとして与える。
e) 指示誤差及び関連する計測特性,並びにMPE関数又はMPL関数は,通常,誤差の絶対値を限度とす
る対称な仕様として与える(図9図11参照)。
f) 指示誤差以外の特性は,通常は両側のMPL関数として与える。例を図12に示す。
g) PE関数又はMPL関数は,固定ゼロ誤差及び浮動ゼロ誤差に対する測定器特性の仕様に利用しても
よい。
注記 固定ゼロ及び浮動ゼロが,同一の測定器に対して二つの異なるMPE関数又はMPL関数にな
ることを認識することは,重要である。
h) 7.3に従った標準偏差は,MPE関数を設定するための特別な方法として利用してもよい。
i) 合否判定には,JIS B 0641-1を適用する。
7.5.2 MPE関数が一定値の場合
一定値のMPE関数を定義する方法は,二つある。1番目の方法は,最も簡単なMPE関数で,測定範囲
内で一定数c(c>0)である(図9参照)。
上限MPE=c
下限MPE=−c
この要求事項と関連し,誤差の絶対値を制限し,固定ゼロ又は浮動ゼロに適用するかどうか,並びに片
側の仕様限界(USL若しくはLSL),又は対称な両側の仕様限界(USL及びLSL)かどうかを明確に記述
する。
2番目の方法は,測定器の指示誤差幅に適用する。この場合の関数は,次による。
指示誤差幅のMPE=c
注記 このMPEは,固定ゼロ誤差の全測定範囲に適用し,浮動ゼロには適用しない。
評価目的のために,図5を参照して,値hをcと比較する。
L 指示長さ
E 指示誤差
f MPE関数
図9−誤差の絶対値を制限する一定値cをもつMPE関数の例
――――― [JIS B 0642 pdf 23] ―――――
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7.5.3 MPE関数が比例する場合
比例するMPE関数を定義する方法は,次による。
上限MPE=+(a+L×b)
下限MPE=−(a+L×b)
ここに,Lは,固定ゼロの場合には基準点からの距離,浮動ゼロの場合には測定長さであり,また,
a>0,及びb>0である。
MPE関数は,図10の例のように表すことができ,値は座標値で与える。測定範囲の両端の値は必す(須)
である。この要求事項と関連し,固定ゼロ又は浮動ゼロに適用するかどうか,並びに片側の仕様限界(USL
若しくはLSL)又は対称な両側の仕様限界(USL及びLSL)かどうかを明確に記述する。
L 指示長さ
E 指示誤差
f MPE関数
図10−誤差の絶対値を制限する比例値をもつMPE関数の例
7.5.4 MPE関数が比例した部分及び最大値をもつ場合
比例した部分及び最大値をもつMPE関数を定義する方法は,次による。
上限MPE=(a+L×b) 0下限MPE=−(a+L×b) 0 上限MPE=c L≧L1
下限MPE=−c L≧L1
ここに,Lは,固定ゼロの場合には基準点からの距離,浮動ゼロの場合には測定長さになる。また,
a>0,b>0,c=a+L1×bである。このMPE関数は,0からL1までは比例し,L1以上では一定の最大値と
なる。このMPE関数を図11に示す。値は,限界線上の座標値(値の組)として選び,測定範囲の端の値
及び遷移点は,図に必す(須)である。この要求に関連して,誤差の絶対値を制限し,固定ゼロ又は浮動
ゼロに適用するかどうか,並びに片側仕様限界(USL若しくはLSL)又は対称な仕様限界(USL及びLSL)
――――― [JIS B 0642 pdf 24] ―――――
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かどうかを明確に記述する。
L 指示長さ
L1 遷移点(この例では6)
E 指示誤差
f MPE関数
図11−誤差の絶対値を制限する比例値及び最大値cをもつMPE関数の例
7.5.5 計測特性のための両側MPL関数
MPL関数の定義は,次による。
MPL(USL)=a1+L×b
MPL(LSL)=a2+L×b
図12は,指示誤差以外の計測特性の測定範囲における両側の仕様限界(MPL関数)を定義する一般的
な方法を示す。これは,常に固定ゼロで使用し,基準点は0である。
注記 図12は,機械式ダイヤルゲージの測定力を二つのMPL関数で示した例である。
――――― [JIS B 0642 pdf 25] ―――――
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JIS B 0642:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14978:2006(MOD)
JIS B 0642:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.040 : 線及び角度の測定 > 17.040.30 : 測定機器
JIS B 0642:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0021:1998
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―幾何公差表示方式―形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式
- JISB0022:1984
- 幾何公差のためのデータム
- JISB0641-1:2020
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―製品及び測定装置の測定による検査―第1部:仕様に対する合否判定基準
- JISB0680:2007
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―製品の幾何特性仕様及び検証に用いる標準温度
- JISZ8103:2019
- 計測用語