JIS B 7440-9:2017 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定システム(CMS)の受入検査及び定期検査―第9部:マルチセンサシステム付き座標測定機 | ページ 3

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B 7440-9 : 2017 (ISO 10360-9 : 2013)
b) 光学式距離プローブ及び画像プローブ
1 接触式プローブ
2 光学式距離プローブ
3 画像プローブ
4 接触式プローブによるプロービング点
5 光学式距離プローブによるプロービング点(プロービング点は,製造業者の指定した0
度からα度の許容表面傾斜角度の範囲内に分布する。)
6 検査用標準球の赤道上において,XY平面に限定した画像プローブによるプロービング点
図1−マルチセンサシステムによる検査用標準球の測定例(続き)

6.4 評価方法

  検査を行う全てのプロービングシステムは,座標測定機の製造業者が指定する通常の操作手順に従って,
プロービングシステムのパラメータ設定を行う。
検査用標準球の位置は,座標測定機の測定空間において,異なる3か所に設置しなければならない。検
査用標準球の3か所の位置は,X軸,Y軸及びZ軸のいずれについても互いに異なったものとしなければ
ならない。検査用標準球の一つは,座標測定機の校正球の近くに設置するものとし,他の二つは座標測定
機の測定範囲の50 %以下の距離の範囲で遠くに設置する(図1A参照)。使用者は,座標測定機の仕様の
範囲内で自由に検査用標準球の位置を選択することができる。
プロービングシステムの正しいアライメントを検査するために,3か所に検査用標準球を設置すること
が必要である。

――――― [JIS B 7440-9 pdf 11] ―――――

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図1A−検査用標準球の配置の例
3か所の検査用標準球について,n個のプロービングシステムのそれぞれを用いて25点による検査用標
準球の測定を行う。プロービングシステムの操作条件に記載する許容表面傾斜角度の範囲内で,測定点は,
角度範囲についてほぼ均等に分布しなければならない。許容表面傾斜角度が指定されていない場合,検査
用標準球の半球面の検査を行わなければならない。
接触式プローブについてはJIS B 7440-5に,画像プローブについてはJIS B 7440-7に,光学式距離プロ
ーブについてはJIS B 7440-8に,実施可能な測定点の配置をそれぞれ定義している。これらの規格は,セ
ンサエリアの中で複数の測定点を取得するプロービングシステムについて,代表点を得るための手順につ
いても定義している。これらの手順によって,使用者は25か所の部分領域から25点の代表点を計算する
ことができ,その手順が通常の測定処理に含まれる場合であって,製造業者が特に指定しない場合,マル
チセンサ付き座標測定機の検査に適用することができる。
この規格の検査に二次元形状をもつ検査用標準器を使用する場合,25点の測定は参照標準器の全ての範
囲にほぼ均等に分布する単一点又は互いに重複しない代表点によって行う。
パラメータ設定をやり直さずにプロービングシステムを自動で交換する機能を使用する場合,製造業者
が特に指定しない限り,使用者は検査の間にプロービングシステムを自動で交換してもよい。
複数のラム軸を備えた座標測定機において,ラム軸の間で重複する測定範囲の比率が高い場合,一つの
ラム軸に複数のプロービングシステムを備えた座標測定機の検査手順と同じ手順を適用する。複数のラム
軸を備えた座標測定機において,重複する測定範囲の比率が低い場合,それぞれのラム軸について独立し
てプロービングシステムの検査を行う。
複数のラム軸をもつ座標測定機については,長さ測定誤差の検査をそれぞれのラム軸について少なくと
も一つのプロービングシステムを用いて行うことが望ましい。ただし,ラム軸の間で重複する測定範囲の
比率が高い場合には,受渡当事者間の合意によって長さ測定誤差の検査を全てのラム軸で行う代わりに,
長さ測定誤差の検査を一つのプロービングシステムで行い,かつ,マルチセンサシステムの検査を行う位
置を4か所以上に増やして適用してもよい。

6.5 データ解析

  マルチセンサシステムによる検査用標準球の測定結果は,3か所の検査用標準球のそれぞれについて独
立して取り扱う。

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3か所の検査用標準球のそれぞれについて,マルチセンサシステム位置誤差LDia.n×25::MPS,マルチセンサ
システム寸法誤差PSize.Sph.n×25::MPS及びマルチセンサシステム形状誤差PForm.Sph.n×25::MPSのデータ解析を次の
とおり行う。
− マルチセンサシステム位置誤差LDia.n×25::MPS
一つのプロービングシステムで得た25点の測定点について,拘束条件のない最小二乗法(球の半径
及び中心座標が全て求まる。)によって,球(最小二乗球)を計算する。合計して,n個の最小二乗球
を求める。
n個の球中心座標を包含する最小外接球(MCS)を計算する。この最小外接球(MCS)の直径をマ
ルチセンサシステム位置誤差LDia.n×25::MPSとする。
注記 マルチセンサシステムを三次元プローブ及び二次元プローブの両方によって構成する場合,
球を参照した三次元座標に基づく検査は困難なことがある。このような場合,円形体による
二次元座標を用いた検査を実施してもよい。
− マルチセンサシステム寸法誤差PSize.Sph.n×25::MPS
n個全てのプロービングシステムで得たn×25点の測定点について拘束条件のない最小二乗法(球
の半径及び中心座標が全て求まる。)によって,球(最小二乗球)を計算する。マルチセンサシステム
寸法誤差PSize.Sph.n×25::MPSは,測定によって得た検査用標準球の直径測定値Dmeasと直径校正値Dcalとの
差として次の式で表す。
PSize.Sph.n×25::MPS=Dmeas−Dcal
− マルチセンサシステム形状誤差PForm.Sph.n×25::MPS
n個全てのプロービングシステムで得たn×25点の測定点について拘束条件のない最小二乗法(球
の半径及び中心座標が全て求まる。)によって,球(最小二乗球)を当てはめる。n×25点の測定点そ
れぞれに対して最小二乗球の中心からの距離rを求める。最小二乗球の中心からn×25点の代表点ま
での距離rの範囲(rmax−rmin)を形状偏差として記録する。
この値をマルチセンサシステム形状誤差PForm.Sph.n×25::MPSとする。
PForm.Sph.n×25::MPS=rmax−rmin
一つのプロービングシステムで得た測定点の取扱いは,製造業者が指定する通常の操作条件に従った測
定点の除去,又はフィルタについては,単独のプロービングシステムの検査と同様に,適用可能な場合は
JIS B 7440-5,JIS B 7440-7又はJIS B 7440-8の規定に従う。プロービングシステムの組合せにおいて適用
可能な場合,JIS B 7440-8に従って,プロービング形状誤差(95 %)PForm.Sph.D95%:j:ODS及びプロービング寸
法誤差(100 %) PSize.Sph.All:j:ODSを追加して指定してもよい。
プロービングシステムの組合せによって検査用標準円を参照して検査を行う場合,データ解析には円形
体を用いる。n個の二次元の形体についてのn個の中心を包含する最小外接球(MCS)を計算し,マルチ
センサシステム位置誤差LDia.Cir.n×25::MPSを最小外接球の直径として得る。マルチセンサシステム寸法誤差
PSize.Cir.n×25::MPS及びマルチセンサシステム形状誤差PForm.Cir.n×25::MPSについても,データ解析には同様に円形
体を用いる。

7 仕様との適合

7.1 受入検査

  マルチセンサシステム付き座標測定機の性能は,次の条件を全て満たしていることを検証する。
− 測定の不確かさを考慮に入れてJIS B 0641-1に従った判定を行い,三つのマルチセンサシステム形状

――――― [JIS B 7440-9 pdf 13] ―――――

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誤差PForm.Sph.n×25::MPSが製造業者の指定する最大許容マルチセンサシステム形状誤差
PForm.Sph.n×25::MPS,MPEの範囲に入っている。
− 測定の不確かさを考慮に入れてJIS B 0641-1に従った判定を行い,三つのマルチセンサシステム寸法
誤差PSize.Sph.n×25::MPSが製造業者の指定する最大許容マルチセンサシステム寸法誤差PSize.Sph.n×25::MPS,MPE
の範囲に入っている。
− 測定の不確かさを考慮に入れてJIS B 0641-1に従った判定を行い,三つのマルチセンサシステム位置
誤差LDia.n×25::MPSが製造業者の指定する最大許容マルチセンサシステム位置誤差LDia.n×25::MPS,MPEの範囲
に入っている。
マルチセンサシステム付き座標測定機の性能が検証されない場合,ほこり,汚れ又は測定をする作業者
に起因して測定結果に影響し得る原因(座標測定機,検査用標準器及びプロービングシステムが熱的に平
衡状態にあることを含む。)を確認する必要がある。
全ての原因を修正し,プロービングシステムのパラメータ設定から始めて,同じ目標点を使い,1回だ
け再測定することができる。

7.2 定期検査

  使用者の組織内の品質システムにおいて,マルチセンサシステム付き座標測定機の性能は,7.1で定義し
た判定基準に対し,使用者の指定する最大許容誤差の仕様に適合すれば検証したこととする。
仕様書の例を,附属書Aに示す。

8 適用事例

8.1 受入検査

  受渡当事者間の契約には,次の事項などを含める。
− 購入契約
− 保守契約
− 修理契約
− 仕様変更契約
これら受渡当事者間の契約において,この規格で規定する性能検査は,マルチセンサシステム付き座標
測定機の性能が,受渡当事者間の合意によって最大許容誤差の仕様と適合するかどうかを検証するための
受入検査として使用できる。

8.2 定期検査

  組織内の品質保証システムにおいて,この規格で規定する性能検査は,マルチセンサシステム付き座標
測定機の性能が,使用者が指定する最大許容誤差の仕様に適合するかどうかを検証するために使用できる。

8.3 中間点検

  組織内の品質保証システムにおいて,最大許容誤差に関する指定された要求を座標測定機が満たす可能
性を示すために,簡便な検査を定期的に実施してもよい。
この規格で規定するマルチセンサシステム付き座標測定機の中間点検では,実際に測定する点数を減ら
してもよい。
マルチセンサシステム付き座標測定機は,定期的に,及び特にプロービング性能に大きく影響を及ぼす
衝撃が加わった場合又は座標測定機に大きな影響を与えるような状況が起こった可能性がある場合(例え
ば,衝突,座標測定機の構成要素の変更など)には,点検することが望ましい。

――――― [JIS B 7440-9 pdf 14] ―――――

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9 製品文書及びデータシートの表記

  表1の記号は,製品の附属文書,図面,データシートなどにおける使用には適していない。これらの文
書に用いる表記は,表2による。
表2−記号及び製品の附属文書,図面,データシートなどで用いる表記
この規格での記号 製品の附属文書などで用いる表記
P[Form.Sph.n×25::MPS]
PForm.Sph.n×25::MPS
P[Size.Sph.n×25::MPS]
PSize.Sph.n×25::MPS
LDia.n×25::MPS L[Dia.n×25::MPS]
MPE(P[Form.Sph.n×25::MPS])
PForm.Sph.n×25::MPS,MPE
MPE(P[Size.Sph.n×25::MPS])
PSize.Sph.n×25::MPS,MPE
MPE(L[Dia.n×25::MPS])
LDia.n×25::MPS,MPE

――――― [JIS B 7440-9 pdf 15] ―――――

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JIS B 7440-9:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10360-9:2013(IDT)

JIS B 7440-9:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 7440-9:2017の関連規格と引用規格一覧