JIS B 9650-1:2011 食料品加工機械の安全及び衛生に関する設計基準通則―第1部:安全設計基準 | ページ 3

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策を講じる。
1) 必要に応じて密閉したポンプ式の移送システムを備えて,こぼれないようにする。ホッパなどは,
十分に大きくし,作業性を考慮した構造とする。
2) 食料品のこぼれを防止することが不可能な場合は,ドリップトレーなどのこぼれた物を受ける容器
を備える。
b) 作業プラットフォーム,ステップなどで,機械の一部となるものは,JIS B 9700-2の5.5.6に従わなけ
ればならない。

6.2 電気的危険源

6.2.1  充電部
電気機器は,JIS B 9960-1に従わなければならない。JIS B 9960-1の11.3は,次の要求事項で拡張され
る。すなわち,設計者はリスク分析を行い,機械を清掃するために,ホースで注水するか,又は水中に浸
すことがあるか検討する。設計者は,取扱説明書にそのような使用制限事項を明記する。
a) 高圧洗浄が予測される場合,電気機器の外装からの水の浸入によって,制御システムの安全関連部が
故障しないようにする必要がある。固体の侵入及び水の浸入に対する保護等級は,JIS C 0920に規定
されているが,使用環境に対する保護等級では,高圧洗浄の影響に対して十分保護できない。したが
って,設計者は,次の中から一つ以上の手段を選んで保護方策を講じなければならない。
1) 非移動式プラントの場合,次の追加手段を検討する。
1.1) IS C 0920に規定されたIPコードの最高の水準に合わせて機器の外装を選ぶ。
1.2) 高圧洗浄をしなくて済むように,洗浄が必要な部品を取り外して洗浄できる構造とする。機械の
一部又は全体に高圧洗浄をかけないように取扱説明書に記載する。
1.3) 電気機器を機械・装置の機械的外装の中に収納できるような追加の障壁を設ける。
1.4) 制御スイッチなどは注意深く配置し,高圧洗浄を避ける。これらの装置を機械・装置に取り付け
る場合,必要ならば跳ね返し障壁又は遮蔽を設ける。
1.5) 制御外装は,機械・装置から離れた場所か,高圧洗浄がかからない別の場所に設ける。
2) 移動式機械・装置の場合,作業終了後,機械を移動させることがある。移動中における作業者の感
電を防止するため次の追加手段を検討する。
2.1) 残留圧保護を設ける。
2.2) 保護導体回路が,建物の固定設備保護回路と導通しているか監視する。
2.3) 電源ケーブルを遮蔽,装甲するなどして保護する。
b) 水中モータなど,水に浸すことが予測される場合,浸水による電撃に対する防護は,二重絶縁又は強
化絶縁に頼らず,次の技術的防護手段を採用するよう検討する。これは前記の移動式プラントに対す
る防護手段に追加して必要である。
1) 可能な限り,全面浸せき(漬)に対するIPコード(JIS C 0920参照)に合わせて機器を防護する。
2) 機械へ引き込む電源ケーブルの端に接続するように絶縁トランスを内蔵させる。可能な限りコネク
タと一体化させる。
3) 残留漏電遮断器(RCD : residual current device)を設置する。可能な限りRCDは,電源側に接続す
る。
4) 機械・装置の上又は近くに手で操作する操作部を設ける場合,低電圧制御回路を使用する。使用す
る制御電圧は,制御システムの正確な操作を保証する電圧とする。
5) 取扱説明書には,危険及び浸せき後の手順について記載する。

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6.2.2 帯電部
帯電によるリスクがある機械・装置及びプラントのセクションは,適切に接地する。

6.3 熱的危険源

6.3.1  高温・低温の表面
負傷の原因になりそうな機械・装置の表面は,断熱するか又は防護物によって接触を避けるようにし,
断熱部は,清掃できる構造とする(JIS B 9650-2:2011の6.4.1参照)。
6.3.2 高温・低温の作業環境
設計者は,機械・装置の近傍で作業者が,健康を害するおそれのある温度環境で作業する必要がある場
合,温度環境が作業者へ与えるリスクの高さに応じて必要な注意書き及び指示書を作成する。

6.4 放射による危険源

6.4.1  放射線源
食料品加工に放射線8) 源を用いる場合は,“食品衛生法”の第7条,11条及び“食品,添加物などの規
格基準”に従うものとする。
設計者は,密封放射線源を利用する場合,適切な防護水準(JIS Z 4821-1参照)を選ぶ。機械は,使用
環境を考慮し,機械的損傷,火災又は腐食を避ける構造とする。
注8) ここでいう放射線は,X線,α線,β線,γ線及び中性子線を指す。
6.4.2 レーザ
食料品加工において,食料品の存在検知などにレーザを用いる場合,予見できる作業状態を考慮し,作
業者の目に傷害を与えることのない位置へレーザ発信器を設置する。また,レーザ発信器の適切な取扱い
について必要な注意書き及び指示書を作成する。

6.5 材料及び物質による危険源

6.5.1  一般
食料品加工機械の操作・取扱い中に生じる食材,生物・化学的物質などとの接触及びそれらの吸入によ
るリスクを低減するため,次の保護方策について検討を行う。
6.5.2 食材
食材については,次による。
a) アレルギ反応 食材の飛散及び飛散防止方策に関する全ての制御は,ALARP 9) 原則及びJIS B 9709-1
に従い設計を行うほか,次による。
注9) ALARPとは,“As Low As Reasonably Practicable : 合理的に実施可能な限りリスクを低減する”
ことを指す(JIS C 0508-5の附属書B参照)。
1) じんあい又は蒸発物が機械・装置から作業室に放散する場合,機械・装置は,じんあい及び蒸発物
の放散を防止又は制御する設計とする。
2) じんあい又は蒸発物が飛散する箇所は,密閉するか,又は適切な排気・換気設備の設置について指
示書を作成する。
3) 設計者は,じんあい,蒸発物,ガスなどの放散をJIS B 9709-2が規定する試験方法に従い測定する。
b) 発酵による中毒・酸欠 容器内に発酵によるガス又は毒性物質が発生・充満して中毒になるリスクや,
発酵に用する酸素供給によって酸欠になるリスクを低減するための保護方策は,次による。
1) 作業者がアクセスする容器の箇所などに警告表示する。
2) ガスが作業室へ侵入し,危険な濃度になることを密閉及び換気設備を設けて防止する。
3) ガスが,他の相互接続された容器に入るのを閉止弁を設けて防止する。

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4) 充満した高濃度のガスによるリスク,又は酸欠によるリスクが危険なレベルに至るおそれのあるプ
ラントに,作業者が立ち入ることが予見できる場合,可能な限り遠隔サンプリング弁,定置洗浄
(CIP)システムなどの装置を備え,作業者が立ち入る必要のない構造とする。それでも作業者の
立ち入りをなくすことができない場合は,人間工学的に適切な大きさのマンホールを設ける。その
場合,安全な作業手順を設計者が考案して,取扱説明書に記載する。
c) 臭気 悪臭,不快臭及び蒸気が発生する場合,発生場所への適切な換気設備の設置について指示書を
作成する。
注記 臭いに関する規制については,“悪臭防止法”を参照。
d) 吸込み及び窒息 作業者が中に入って作業を行うサイロ,貯蔵タンク,容器などを備える一部のプラ
ントでは,内部の作業者が食材を吸込むことによるリスクが予見できる。このような場合は,次によ
る。
1) 吸込み及び窒息のリスクを低減するため,可能な限り作業者が立ち入りをしなくて済む構造とする。
2) プラントの設計は,食料品が詰まることのないように,かくはん器及び振動パッドなど,適切な装
置を設置し,食料品が自由に流れる構造とする。また,そのような装置を設けることが実用的でな
く,しかも食料品が詰まるおそれがある場合は,遠隔操作によって食料品の詰まりを防ぎ,かつ清
掃が可能な装置を設ける。
3) 食料品の吸込みによるリスクが残留した状態で,どうしても作業者の立ち入りが必要であると予見
できる場合,人間工学的に適切な大きさのマンホールを設け,安全な作業手順を取扱説明書に記載
する。
6.5.3 洗浄剤及び清掃剤
洗浄・清掃が要求される工程,及びそれに用いる洗剤などからのリスクは,予見できる。リスクを生じ
る危険源は,密閉式のCIPシステムなどを用いて,作業者とプラント洗浄剤との接触を避けるなどの制御
を採用し可能な限り取り除く。CIPシステムの採用が不可能な場合,作業者が洗剤による危害を被らない
よう,適切な洗浄手順,保護具及びMSDS 10) を含む取扱い上必要な情報を提供する。
注10) SDS : 化学物質等安全データシート。MSDSの提供については“労働安全衛生法”の第五十
七条の二を参照。
6.5.4 爆発及び火災
爆発及び火災のリスクが予見される場合,プラント又は機械・装置は,そのような危険源を除去するか,
又は爆発圧力に耐える構造とする。また,潜在的な発火源を除去するなどあらゆる手段を講じても,爆発
の危険源を除去できない場合,適切な装置を設けて,爆発の影響がプラントの一部から他の機械・装置へ
伝わるのを防止する。また,換気装置を設けて粉じんを爆発のおそれのない場所へ排出する構造とするか,
又は爆発が生じる状態を検知器などを用いて検知して抑制する保護方策を講じる。
6.5.5 生物学的及び微生物学的要因
微生物が存在し,それが食料品加工機械の作業者の健康に危害を及ぼす可能性がある場合,そのリスク
を十分低減する方策を講じる。リスクを低減する保護方策を検討する場合,微生物を工程の一部において
使用するのか,又は使用を意図しないが工程又は環境の性質上存在するのか,を考慮する。
設計者は,作業者の健康へ与えるリスク及びリスクを十分に低減するために必要な保護方策を評価する。
その評価に基づいて,密閉及び換気設備を実施可能な限り設けるか,又はリスク回避に関する情報を取扱
説明書に記載する。

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6.6 人間工学的な危険源

  人間工学的な危険源については,次による。
a) IS B 9700-2の4.8に規定する事項のほかに次の保護方策を検討する。手で取り扱うと作業者が危害を
被るリスクがある場合,機械的な取扱い機器を設けて食料品を自動で機械・装置に導入したり,取り
出せる構造とする。
b) ある温度又は湿度環境において,作業者が封詰めなどの繰返し作業によって過労障害を被るリスクが
ある場合は,リスクを許容可能なレベルまで低減する方策を講じる。

6.7 危険源の組合せ

  設計者は,機械稼働中及び非常停止などによる食料品の滞留が,発火などの危害が生じないかリスク分
析を実施する。そのようなリスクが考えられる場合は,危害の発生を回避し,制御するように機械・装置
を設計し,取扱説明書に記載する。

7 適合性の検証(保護方策の検証方法)

  箇条6に規定した危険源に対する要求事項及び保護方策の検証は,次による。
a) 物理的要因 検査による検証(6.1.1参照)。
b) 蓄積エネルギ 検査及び測定による検証(6.1.2参照)。
c) 滑り,つまずき及び転倒 検査による検証(6.1.3参照)。
d) 充電部及び帯電部 JIS B 9960-1に規定する検査及び試験による検証。取扱説明書に適合するかを検
査する(6.2.1,6.2.2参照)。
e) 高温・低温の表面及び高温・低温の作業環境 測定及び検査による検証(6.3.1,6.3.2参照)。
f) 放射線源及びレーザ 測定による検証(6.4.1,6.4.2及びJIS Z 4821-2参照)。
g) 食材 検査による検証(6.5.2参照)。
じんあい,蒸発物及びガスは,検査又は測定による検証[6.5.2 a) d) 参照]。
h) 洗浄剤及び清掃剤 検査による検証(6.5.3参照)。
i) 爆発及び火災 検査,計算及び爆発性のサンプル試験による検証(6.5.4参照)。
j) 生物学的及び微生物学的要因 検査及びサンプル分析による検証(6.5.5参照)。
k) 人間工学的な危険源 検査による検証(6.6参照)。
l) 危険源の組合せ 検査及び試験による検証(6.7参照)。

8 取扱説明書

  使用者に与える情報は,JIS B 9700-2の6. によるほか,次による。
a) 適用 例えば,当該機械・装置が加工対象とする食料品の種類,使用時間,耐用年数,作業環境など
を明記する。
b) 保護方策に対する一般的事項 機械・装置の設計者は,安全かつ容易な方法で洗浄・清掃,保守,詰
まった食料品の除去,事後の再組立などの作業を作業者が行うために必要な情報を提供する。
JIS B 9700-2に規定する要求事項に追加して定める箇条6の保護方策は,採用すべき総合的な安全
作業システムの一部にすぎない。設計者は,取扱説明書にどのようにして機械に残留するリスクに対
処しようとしているか,残留リスク及びその低減方策(適正な操作手順,機械を維持するために必要
なステップ,適正な工具・保護具,シール材,潤滑油などの物質の選択,機械の作業者に必要な訓練
及び指示など)を記載する。取扱説明書に記載するときに特に注意が必要な事項は,1)5) による。

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1) 刃の取付け,取外し及び運搬 刃の取付け,取外し及び運搬のための明確な安全及び衛生の手順に
ついて記載する。
2) 充電部,帯電部 機械又は電気系のエンクロージャが,ホースで洗浄できるか,及び水中に浸せき
されてもよい設計であるかなどのIP特性及び水に対する注意事項を記載する。
危険,防護手段の限界,電撃を避けるための手順を記載する。
3) 熱的危険源 危険な温度環境への立入りが必要になる作業をどのようにして避けるか,又はどのよ
うな作業システムに従うべきかを記載する。
4) 発酵による中毒・酸欠,臭気,吸い込み及び窒息,並びに洗浄剤及び清掃剤 容器が詰まりやすい
食材,又は呼吸できない雰囲気を含む食材を含んでいる場合,遠隔操作による清掃及び詰まった食
材を除去する装置などによって容器内に立ち入らずに,詰まった食材をどのようにして除去し,洗
浄・清掃するかを記載する。
機械への立入り又は接近が必要な場合,指示書には,どの動力源及び動きを隔離し,どのように
して停止状態を維持・確保するか記載する。また,動力源及び動きを隔離するまで作業者が機械に
立ち入ることをできなくする手順,及び危険区域に作業者がいないことを確認するまで動力源の投
入及び機械・装置の再起動ができないよう保証するにはどうするかを記載する。
作業者が危険物質又は中毒・酸欠のリスクがある場所へ立ち入らなければならない機械は,パー
ジ,換気,呼吸装置及び適切な救助手段などの手順を記載する。
5) 生物学的及び微生物学的要因 使用者に対する取扱説明書には,作業者を保護する衛生手段を記載
する。消費者を保護する衛生手段がある場合には,追加して記載する。
参考文献 JIS B 9650-2:2011 食料品加工機械の安全及び衛生に関する設計基準通則−第2部 : 衛生設計
基準
JIS B 9710 機械類の安全性−ガードと共同するインタロック装置−設計及び選択のための原

JIS C 0508-5 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全−第5部 : 安全度水準決
定方法の事例
JIS Z 4821-1 密封放射線源−第1部 : 一般要求事項及び等級
JIS Z 4821-2 密封放射線源−第2部 : 漏出試験方法

JIS B 9650-1:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 9650-1:2011の関連規格と引用規格一覧