この規格ページの目次
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C 1400-2 : 2020 (IEC 61400-2 : 2013)
注記1 基準出力は風車を比較するために定義されており,より高い風速で発生する定格出力と区別
して用いられている。定格出力は,旧式の用語であり,前後関係により最大出力又は基準出
力によって置き換える方がよい。
注記2 風車に合わせてIEC 61400-21:2008の3.14を適切に修正した。
3.48
定格電流(rated current)
通常運転中の風車が連系設備において,達成するように設計した最大連続電流。
注記1 基準電流は風車を比較するために定義されており,より高い風速で発生する定格電流と区別
して用いられている。定格電流は,旧式の用語であり,最大電流によって置き換える方がよ
い。
注記2 風車に合わせてIEC 61400-21:2008の3.13の定義を修正した。
3.49
定格風速(rated wind speed)
風車が定格出力を発生させる風速。
注記1 定格風速は旧式の用語である。基準出力及び基準年間発電電力量は,風車を比較するために
定義されており(対応する定義を参照),より高い風速で発生する最大出力と区別して用いら
れている。
注記2 風車に合わせてIEC 61400-21:2008の3.15の定義を修正した。
3.50
レイリー分布(Rayleigh distribution)
風速に対して,しばしば用いられる確率分布関数。
注記1 レイリー分布は,平均風速を操作する調整可能なパラメータである尺度パラメータに依存す
る。
注記2 レイリー分布は,形状パラメータが2のときのワイブル分布(3.73参照)に等しい。
3.51
安全停止回転数(reduced speed)
人員にあらゆるリスクも及ぼさずに風車を手動で停止状態にすることができる回転数。
3.52
基準年間発電電力量(reference annual energy)
風速のレイリー分布,稼働率100 %,及びJIS C 1400-12-1によって定義される出力曲線を仮定して,ハ
ブ高さにおける年平均風速5.0 m/sでの年間発電電力量(AEP)。
注記1 AEPは,JIS C 1400-12-1において“計測AEP”又は“外挿AEP”であり,それぞれの“海抜
0 m”又は“サイト固有”のものと規定している。
注記2 この規格の範囲内で,基準年間発電電力量は海抜0 mの計測AEPである。
注記3 基準年間発電電力量は,風車を比較するために定義されている。
3.53
基準出力(reference power)
JIS C 1400-12-1に基づく出力曲線でのハブ高さにおける風速11.0 m/sの風車の出力,又は同出力曲線で
の11.0 m/sより低い風速における風車の最大出力のうち,いずれか高い方の出力。
注記 基準出力は,風車を比較するために定義されており,より高い風速で生じる最大出力と区別し
――――― [JIS C 1400-2 pdf 11] ―――――
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C 1400-2 : 2020 (IEC 61400-2 : 2013)
て用いられている。
3.54
基準風速(reference wind speed),Vref
SWTクラスを定義するために用いられる風速の基本パラメータ。
注記1 その他の設計に関係する気象パラメータは,基準風速,その他の基本SWTクラスのパラメ
ータから導かれる。
注記2 基準風速VrefのSWTクラスで設計された小形風車は,小形風車のハブ高さにおける再現期間
50年の10分平均極値風速がVref以下の気象に耐えるように設計されたものである(3.19参照)。
3.55
共振(resonance)
強制振動の周期が自由振動の周期に非常に近い振動系で現れる現象。
3.56
ロータ中心(rotor center)
風車ロータの幾何学的な中心。
3.57
ロータ回転数(rotor speed)
風車ロータの軸周りの回転数。
3.58
粗度長(roughness length)
鉛直方向の風速プロファイルが,高さに対して対数的に変化すると仮定した場合,平均風速が0となる
外挿高さ。
3.59
安全寿命(safe life)
重大故障の申告確率を含めて定めた耐用年数。
3.60
計画保守(scheduled maintenance)
規定の計画に従って実施する予防的保守。
3.61
停止(shutdown)
発電状態から,静止又はアイドリングに移行するまでの,風車の過渡的な状態。
3.62
静止(standstill)
風力発電システムが止まっている状態。
3.63
支持構造物(support structure)
タワー及び基礎からなる風車の一部。
3.64
耐風速(廃止予定)[survival wind speed (deprecated)]
構造物が耐えるよう設計されている最大風速に対する慣用名称。
注記 JIS C 1400規格群では,この用語は用いていない。設計運転状態では,その代わりに優先使用
――――― [JIS C 1400-2 pdf 12] ―――――
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C 1400-2 : 2020 (IEC 61400-2 : 2013)
語として“極値風速”を用いる(3.19参照)。
3.65
小形風車[small wind turbine (SWT)],SWT
ロータの受風面積が200 m2以下の,風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するシステム。
注記 小形風車には,支持構造物を含む風車本体,風車コントローラ,(必要に応じて)充電コントロ
ーラ及びインバータ,配線及び断路器,マニュアル類(据付け,運転及び保守)並びに他の文
書を含む。
3.66
受風面積(swept area)
風向に垂直な平面に投影したロータが1回転中に描く面積。
3.67
風車試験クラス(turbine test class)
耐久性試験(13.4)の要求事項を満たすことが確認されたSWTクラス。
3.68
乱流強度(turbulence intensity)
平均風速に対する風速の標準偏差の比。この比は,指定の時間内に取得した風速測定データサンプルと
同一のデータセットから決定する。
3.69
終極限界状態(ultimate limit state)
一般に最大耐荷重能力に相当する限界状態(ISO 2394参照)。
3.70
計画外保守(unscheduled maintenance)
規定の計画保守ではなく,ある項目の状態に関して指摘を受けて実施する保守。
3.71
風上(upwind)
風の流れの主たる風向と反対の方向。
3.72
垂直軸風車(vertical axis wind turbine)
ロータの回転軸が風の流れに対しておおむね垂直な風車。
3.73
ワイブル分布(Weibull distribution)
風速に対してしばしば用いられる確率分布関数。
注記 この分布関数は,分布の幅を調整する形状パラメータ及び平均風速を調整する尺度パラメータ
の二つのパラメータによって決まる(3.75の風速分布を参照)。
3.74
(ウィンドシアー則における)風速プロファイル(wind profile-wind shear law)
地上高さに対する風速の変化に対して仮定される数学表現。
注記 通常,風速プロファイルが対数則の場合は式(1),指数則の場合は式(2)を用いる。
――――― [JIS C 1400-2 pdf 13] ―――――
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C 1400-2 : 2020 (IEC 61400-2 : 2013)
z
ln
z0
Vz V zr (1)
zr
ln
z0
z
Vz V zr (2)
zr
ここに, V(z) : 高さzにおける風速
z : 地上高さ
zr : プロファイルを合わせるために用いられる基準地上高さ
z0 : 粗度長
α : 指数則風速プロファイルにおける指数
3.75
風速分布(wind speed distribution)
ある長時間内の風速の分布を記載するのに用いる確率分布関数。
注記 よく用いられる分布関数は,式(3)に示すレイリー分布関数PR(V0)及びワイブル分布関数PW(V0)
である。
2
V0
PR V2Vave
k
V0
PW VC
ただし,
1
CΓ 1
k
Vave (4)
π
C (k 2 π の場合)
2
ここに, PR(V0) : 累積確率関数,すなわち,VV0 : 限界風速
Vave : 風速Vの平均値
C : ワイブル分布関数の尺度パラメータ
k : ワイブル分布関数の形状パラメータ
Γ : ガンマ関数
C及びkは,実際のデータから求めることができる。レイリー関数は,k=2,かつ,C及び
Vaveがk=2の場合の式(4)で表す条件を満足する場合のワイブル分布関数に等しい。
分布関数は,風速がV0よりも小さい累積確率を表す。したがって,[P(V1)−P(V2) ] は,指定
した範囲V1とV2との間で求めた場合,風速がこれらの範囲にあるのは時間にしてどのくらい
の割合かを示す。分布関数を微分することで,それに対応する確率密度関数が得られる。
3.76
ウィンドシアー(wind shear)
――――― [JIS C 1400-2 pdf 14] ―――――
11
C 1400-2 : 2020 (IEC 61400-2 : 2013)
風向に対して垂直な面上の風速変化。
3.77
ウィンドシアーの指数(wind shear exponent)
ウィンドシアーの指数則の指数(α)(3.74参照)。
3.78
風速(wind speed)
空間中の指定の点において,その指定点周りの微小量の空気の運動の速さ。
注記 風速は局所の風速度(ベクトル)の大きさである(3.79参照)。
3.79
風速度(wind velocity)
対象点の微小量の空気の運動の方向を示すベクトル。その大きさは,この空気の“かたまり”の運動の
速さに等しい。
注記 したがって,任意点の速度は,その点を通って移動する空気のかたまりの位置ベクトルの時間
微分である。
3.80
ヨー運動(yawing)
鉛直軸周りのロータ軸の回転(水平軸風車だけに適用)。
3.81
ヨー角速度(yaw rate)
ヨー角の時間変化率,すなわち,ヨー運動の角速度。
3.82
ヨーミスアラインメント(yaw misalignment)
風車のロータ軸の風向に対する水平偏向量。
4 記号及び略語
4.1 一般
注記 記号・略語の意味が附属書と異なる場合は,該当する附属書内で定義される。
4.2 記号
この規格で用いる記号,添字,略号及びそれらの意味は,次による。
A 断面積 (m2)
Aproj 風向に直角又は平行な面へのコンポーネントの投影面積 (m2)
a 乱流標準偏差モデルの傾斜パラメータ (−)
B ブレードの枚数 (−)
C ワイブル分布関数の尺度パラメータ (m/s)
Cd 抗力係数 (−)
Cf 空力係数 (−)
Cl 揚力係数 (−)
CT スラスト係数 (−)
Coh コヒーレンス関数 (−)
D ロータ直径 (m)
――――― [JIS C 1400-2 pdf 15] ―――――
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JIS C 1400-2:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61400-2:2013(IDT)
JIS C 1400-2:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.180 : 風力タービンエネルギーシステム
JIS C 1400-2:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1400-11:2017
- 風力発電システム―第11部:騒音測定方法
- JISC5381-11:2014
- 低圧サージ防護デバイス―第11部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの要求性能及び試験方法
- JISC60364-5-54:2006
- 建築電気設備―第5-54部:電気機器の選定及び施工―接地設備,保護導体及び保護ボンディング導体
- JISC60721-2-1:2018
- 環境条件の分類―第2-1部:自然環境の条件―温度及び湿度
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項