JIS C 1513-1:2020 電気音響―オクターブバンド及び1/Nオクターブバンドフィルタ(分析器)―第1部:仕様 | ページ 4

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C 1513-1 : 2020 (IEC 61260-1 : 2014)
5.11.2 3.17の定義によって,一定振幅の正弦波入力信号に対するバンドパスフィルタの規準化実効帯域幅
Beは,式(13)で求める。
()
0(1/)10 0.1 AΩ
Be Ω dΩ (13)
ここで,“(1/Ω)”は,周波数重み付け項である。
実際には,式(13)の規準化周波数の無限の範囲は,積分を開始する周波数から終了する周波数までの有
限の範囲に置き換えられる。式(13)は,式(14)に置き換えられる。
Ωend
()
start(1/)10 0.1 AΩ
Be Ω dΩ (14)
Ω
ここで,Ωstart及びΩendは,主要な寄与成分が確実に積分範囲に含まれるように選択する。適切な開始及
び終了周波数は,フィルタ帯域幅及びフィルタの設計によって決定する。
注記1 フィルタ応答の測定値列を生成させるような離散正弦波信号列を入力信号とした場合,連続積
分の算出は,加算で置き換えて行う。
注記2 入力信号が,周波数が時間とともに指数的に変化する一定振幅の正弦波信号である場合,式(13)
の積分は,時間積分で置き換えて行う。指数的に掃引した正弦波入力信号の使用に関する情報
を,附属書Gに記載する。掃引周波数,相対減衰量及び時間の関係を,図G.1に示す。
5.11.3 3.18及び式(13)によって,規準化基準実効帯域幅は,式(15)による。ここで,式(4)及び式(5)から帯
域端周波数の比は,“Ω1=f1/fm”及び“Ω2=f2/fm”であって,lnは,自然対数を表す。
Ω2
Br ΩΩ
(1/) d
Ω1
2 /
ln(ΩΩ1) f2
ln(/ f1 ) (15)
b G
(1/) ln()
注記 オクターブバンドフィルタの規準化基準実効帯域幅は,有効数字6桁で,“0.690 776”となる。1/3
オクターブバンドフィルタの場合,規準化基準実効帯域幅は,有効数字6桁で,“0.230 259”とな
る。
5.11.4 規準化基準実効帯域幅は,フィルタセット内のある帯域幅の全てのフィルタに対して同一である。

5.12 実効帯域幅偏差

5.12.1 バンドパスフィルタの場合,実効帯域幅偏差(ΔB)は,式(16)で求める。
ΔB=10 lg (Be/Br) (16)
5.12.2 各バンドパスフィルタにおける実効帯域幅偏差の受容限度値は,クラス1のフィルタでは±0.4 dB,
クラス2のフィルタでは±0.6 dBである。

5.13 直線動作範囲

5.13.1 全てのフィルタ帯域幅及び利用可能な各レベルレンジについて,フィルタの厳密中心周波数におけ
る直線動作範囲は,クラス1のフィルタでは60 dB以上,クラス2のフィルタでは50 dB以上とする。各
レベルレンジについて,取扱説明書に直線動作範囲の上端及び下端レベルを記載する。
5.13.2 基準レベルレンジにおける基準入力信号レベルのレベル直線性偏差は,ゼロである。

――――― [JIS C 1513-1 pdf 16] ―――――

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C 1513-1 : 2020 (IEC 61260-1 : 2014)
5.13.3 直線動作範囲の上端から,上端から40 dB下までの入力信号に対するレベル直線性偏差の受容限度
値は,クラス1のフィルタでは±0.5 dB,又はクラス2のフィルタでは±0.6 dBとする。これらのレベル
直線性偏差の受容限度値は,利用可能な全てのレベルレンジに適用する。
5.13.4 直線動作範囲の上端から40 dB下から,下端までの入力信号に対するレベル直線性偏差の受容限度
値は,クラス1のフィルタでは±0.7 dB,又はクラス2のフィルタでは±0.9 dBとする。これらのレベル
直線性偏差の受容限度値は,利用可能な全てのレベルレンジに適用する。
注記 レベルレンジ調整器を備える場合,それに起因する偏差は,レベル直線性偏差の受容限度値に含
まれる。
5.13.5 レベルレンジ調整器が複数のレベルレンジを備える場合,直線動作範囲は,クラス1のフィルタで
は40 dB以上,又はクラス2のフィルタでは30 dB以上重複しなければならない。
5.13.6 複数のレベルレンジをもつフィルタにおいて,最も感度の高いレベルレンジの直線動作範囲が減少
することを取扱説明書に記載し,基準レベルレンジではないことを条件に,最も感度の高いレベルレンジ
の直線動作範囲が減少してもよい。
5.13.7 一つのフィルタセットの各フィルタにおいて,共通の基準レベルレンジ及び基準入力信号レベルを
もつ場合,直線動作範囲は異なってもよい。
注記 一般に,フィルタは,直線動作範囲に対して共通の上限をもつが,電気ノイズ及びディジタル処
理による分解能の影響によって,異なる下限をもつことがある。
5.13.8 出力信号の表示が積分成分である場合のフィルタ,又はフィルタ出力が外部の表示器若しくは他の
測定システムに転送され,かつ,表示器の範囲が直線動作範囲より大きい場合のフィルタについては,取
扱説明書に,直線動作範囲外で維持されるレベル直線性についての適用可能な受容限度値を記載する。

5.14 時不変動作

5.14.1 任意の帯域幅の全てのフィルタの周波数範囲にわたり,周波数を指数的に一定に変化させた一定振
幅の正弦波信号を入力した場合,フィルタの出力の表示装置が指示する時間平均出力信号レベル(Lout)は,
全てのフィルタで等しいことが望ましい。
5.14.2 一定振幅の指数掃引周波数正弦波信号に対する出力として指示する理論的な時間平均出力信号レ
ベル(Lc)は,式(17)で求める。
Tsweep f2
lg(/ f1 )
Lc Lin Aref10lg (17)
Tavglg (fend / fstart )
ここで, Lin : 一定振幅の入力信号の信号レベル
Aref : 3.14及び5.9による基準減衰量
Tsweep : 開始周波数(fstart)から終了周波数(fend)までの指数関
数的な周波数掃引を実行するのに必要な経過時間。
すなわち,Tsweep=Tend−Tstart。
f1及びf2 : 式(4)及び式(5)による帯域端周波数
Tavg : 出力信号レベル(Lout)の測定のために選択された平均
化時間
注記1 式(17)において,“lg(f2/f1)”は“3/(10b)”に等しい。
注記2 式(17)は,相対減衰量が通過帯域における基準減衰量と等しく,通過帯域外では無限大である

――――― [JIS C 1513-1 pdf 17] ―――――

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C 1513-1 : 2020 (IEC 61260-1 : 2014)
と仮定する近似である。掃引は,フィルタのセットにおけるフィルタの下端の帯域端周波数の
うちの最低周波数よりも十分に低い周波数で開始し,フィルタセットにおける上端の帯域端周
波数のうちの最高周波数よりも十分に高い周波数で停止すると仮定している。積分時間は,出
力信号の時間遅延成分も含むのに十分な長さであると仮定している。
注記3 式(17)は,式(G.8)に相当し,同一の結果を与える。
5.14.3 フィルタセット内の各フィルタについて,周波数を10倍ごとに2 s5 sの速度で掃引する場合,
時間平均出力信号レベルの測定値(Lout)と,式(17)で求められる対応する理論的な時間平均出力信号レベ
ル(Lc)との偏差の受容限度値は,クラス1のフィルタについては±0.4 dB,及びクラス2のフィルタにつ
いては±0.6 dBとする。
注記 周波数が2 s5 sで10倍に増加する場合,式(G.2)が与える速度rは,“0.460 5 s−1”“1.151 s−1”
の範囲にあって,4桁の有効数字で計算される。
5.14.4 時不変動作について,5.14.3の要求事項を適用する帯域幅表示及び対応する公称中心周波数を,取
扱説明書に記載する。
注記 実時間で動作する標本化データフィルタの場合,時不変動作は,平均して,各サンプリング間隔
に関連する計算が,サンプリング間隔以下の期間で完了し,全ての入力データがサンプリング間
隔内で処理され,入力信号の全てのサンプルが,結果として得られるフィルタリングされた出力
信号レベルに等しいことが必要である。

5.15 アンチエリアシングフィルタ

  標本化データ又はディジタルフィルタシステムには,アナログ又はディジタルの適切なアンチエリアシ
ングフィルタを備える。アンチエリアシングフィルタは,表1の該当する相対減衰量に対して,最小受容
限度値又は最大受容限度値を超えるような,入力信号の折り返された成分の生成を最小限としなければな
らない。

5.16 出力信号の和

  二つの連続するオクターブ又は1/Nオクターブ中心周波数の間の任意の周波数の正弦波入力信号で,次
のa)とb)との差の受容限度値は,クラス1及びクラス2の機器で,それぞれ,+0.8 dB−1.8 dB及び+
1.8 dB−3.8 dBである。
a) 入力信号のレベルから基準減衰量を減じたレベル
b) この規格で指定するフィルタ帯域幅の隣接するフィルタからの出力信号の二乗時間平均値の和のレベ

5.17 過負荷指示

5.17.1 バンドパスフィルタには,過負荷指示器を備えなければならない。過負荷指示器の動作についての
説明及び意味を取扱説明書に記載する。
5.17.2 直線動作範囲上限より大きい正弦波入力信号に対して,レベル直線性偏差及び相対減衰量の受容限
度値を超える前に,過負荷状態が指示されなければならない。この要求事項は,全てのレベルレンジ及び
フィルタセットにおける最低中心周波数のフィルタの下限の帯域端周波数から最高中心周波数のフィルタ
の上限の帯域端周波数までの範囲の任意の周波数に適用する。
5.17.3 過負荷指示は,過負荷状態が存続する時間で,かつ,1 s以上指示しなければならない。

――――― [JIS C 1513-1 pdf 18] ―――――

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C 1513-1 : 2020 (IEC 61260-1 : 2014)
5.17.4 時間平均出力信号レベル,時間積分バンドレベル,最大レベルの表示又は記憶した結果を表示でき
る装置を備えたバンドパスフィルタの場合,過負荷指示は,それらの測定時間内に過負荷状態が発生した
かどうかを表示する。測定結果を表示している間は,過負荷表示を継続しなければならない。

5.18 フィルタ減衰時間

5.18.1 閉空間における残響時間は,オクターブバンド又は1/Nオクターブバンドフィルタで測定されるこ
とが多い。残響時間を測定する機器については,取扱説明書に各フィルタの減衰時間の最大値を記載する。
5.18.2 フィルタの減衰率が一定でない場合,初期レベルより−5 dB−35 dBの範囲の減衰を外挿し,初
期レベルから−60 dBとなるまでの時間をフィルタ減衰時間として用いる。
5.18.3 利用可能な各フィルタについて,フィルタ減衰時間を,フィルタの通過帯域内の周波数に対する減
衰時間の平均として決定する。
注記 フィルタ減衰時間が分かれば,確実に測定できる最小の残響時間を決定することが可能であるが,
閉空間の最小の初期残響時間を決定するためには十分ではない。
5.18.4 いずれのフィルタについても,フィルタ減衰時間は,取扱説明書に記載するフィルタ減衰時間の最
大値を超えてはならない。
注記 フィルタ減衰時間の測定に関する情報は,附属書H参照。

5.19 最大入力信号

  各フィルタがこの規格の要求事項に適合する,各レベルレンジの正弦波入力信号の最大実効電圧を,取
扱説明書に記載しなければならない。

5.20 出力端子及び終端インピーダンス

5.20.1 該当する場合,機器の適切な動作を確実とするための入力インピーダンス及び出力終端インピーダ
ンスを,取扱説明書に記載する。
5.20.2 アナログ出力端子を備える場合,これらの端子を信号接地へ短絡した後でも,この規格の性能要求
事項が損なわれてはならない。

5.21 電源の点検

5.21.1 電池を電源とするバンドパスフィルタを含む機器については,製造業者は,この規格の全ての要求
事項に従って機器を動作するために,電源が十分であるかどうかを確認するための適切な手段を提供しな
ければならない。
5.21.2 この規格の仕様に適合して動作する電池電圧表示の最小電圧から最大電圧に電圧を変えた場合で
も,出力信号のレベルの変化は,0.2 dB以下でなければならない。

5.22 環境変化による影響

5.22.1 一般事項
5.22の要求事項は,独立した機器としてのバンドパスフィルタ,及び他の機器の不可欠な構成要素であ
るバンドパスフィルタに適用する。

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C 1513-1 : 2020 (IEC 61260-1 : 2014)
5.22.2 周囲温度及び相対湿度
5.22.2.1 相対湿度の範囲及び機器が動作できる周囲温度を,取扱説明書に記載する。クラス1のバンドパ
スフィルタでは−10 ℃+50 ℃の周囲温度の範囲において,及びクラス2のフィルタでは0 ℃+40 ℃
の周囲温度の範囲において,相対減衰量に対する周囲温度の変化の影響を規定する。
5.22.2.2 大気中の湿度の変動が相対減衰量に及ぼす影響は,相対湿度が25 %90 %の範囲で規定し,温度
と湿度との組合せは,+39 ℃を超える露点,又は−15 ℃を下回る露点を超えない。
5.22.2.3 基準環境条件下におけるフィルタセットの各フィルタに対する厳密中心周波数での相対減衰量
から測定した相対減衰量の偏差に対する受容限度値は,クラス1のフィルタでは±0.5 dB,及びクラス2
のフィルタでは±0.7 dBである。この仕様は,適用可能な範囲の周囲温度及び相対湿度にわたって適用す
る。
5.22.2.4 フィルタが別の機器の不可欠な構成要素である場合,5.22.2.3による受容限度値は,その機器に
対して規定した周囲温度及び湿度の範囲に適用する。
5.22.2.5 取扱説明書に,環境的に管理された空間だけでの使用を意図したバンドパスフィルタと記載して
いる場合,+5 ℃+35 ℃の周囲温度の範囲に対して,5.22.2.3による受容限度値を適用する。

5.23 静電気放電及び電磁両立性の要求

5.23.1 一般事項
5.23.1.1 5.23では,バンドパスフィルタの,静電気放電,電源周波数磁界及び無線周波電磁界に対するイ
ミュニティ,並びに最大許容無線周波エミッションに関する要求事項を規定する。
5.23.1.2 バンドパスフィルタが他の機器,例えば,JIS C 1509-1に規定するサウンドレベルメータの構成
要素である場合でも,バンドパスフィルタは,この細分箇条に規定する受容限度値及び性能要求事項を満
たさなければならない。
5.23.1.3 5.23での性能要求事項は,グループXバンドパスフィルタ,グループYバンドパスフィルタ及
びグループZバンドパスフィルタの構成に適用する。
5.23.1.4 無線周波電磁界及び静電気放電のイミュニティの要求事項は,住宅,商業,及び軽工業環境,又
は工業環境で用いるバンドパスフィルタに適用する。
5.23.2 静電気放電
5.23.2.1 グループXバンドパスフィルタ,グループYバンドパスフィルタ及びグループZバンドパスフ
ィルタは,静電気放電に耐えなければならない。JIS C 61000-6-1:2019の表1の1.4(静電気放電)に規定
する要求事項であって,接触放電は4 kV,気中放電は8 kV,接地電位に対して正と負との両極性で放電す
る。
5.23.2.2 JIS C 61000-6-1:2019は,静電気放電試験中及び試験後の性能判定基準Bを次のように規定して
いる。
“EUTは,試験後,意図したように動作し続けなければならない。EUTを意図した方法で使用したとき,
製造業者が指定した性能レベルを下回る性能低下又は機能喪失があってはならない。性能レベルは,許容
できる性能喪失としてもよい。試験中の性能の低下はあってもよいが,実際の動作状態又は蓄積データの

――――― [JIS C 1513-1 pdf 20] ―――――

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JIS C 1513-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61260-1:2014(IDT)

JIS C 1513-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1513-1:2020の関連規格と引用規格一覧