JIS C 1910-1:2017 人体ばく露を考慮した直流磁界並びに1Hz~100kHzの交流磁界及び交流電界の測定―第1部:測定器に対する要求事項 | ページ 2

4
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
リアルタイムの読取りが可能であり,様々な場所で測定を実施するための,携帯性に優れた軽量で電池
駆動の測定器。
3.1.9
コイルプローブ(coil probe)
磁界の時間微分値に比例した誘導電圧を発生させる巻線コイルから成る磁束密度プローブ。
3.1.10
ホール素子プローブ(hall effect probe)
磁束密度に比例する電圧を発生させる,ホール効果を示す素子を含む磁束密度プローブ。

3.2 計器の特性

3.2.1
波高率(crest factor)
周期的に変化する物理量の実効値に対する,絶対値の最大値の比。
(IEC 60050-103:2009,103-14-57,ただし,原語は“peak factor”である。また,注記を削除した。)
3.2.2
クロストーク(crosstalk)
例えば,誘導,伝導又は非直線性が原因で他の回路に生じる信号によって,回路に不要なエネルギーが
出現すること。
(IEC 60050-722:1992,722-15-03)
3.2.3
周波数応答(frequency response)
時間変動のない線形系に正弦波を入力したときの,定常状態における複素数で表した出力の入力に対す
る比。角周波数ωの関数で表される。
(IEC 60050-351:2006,351-24-33,ただし,注記を削除した。)
3.2.4
プローブの等方性(isotropy of probe)
プローブ応答が入射電界又は磁界の偏波及び伝ぱ(播)方向への依存性をもたない程度を表す尺度。
3.2.5
通過帯域(pass-band)
信号の減衰が所定の値よりも小さい周波数帯域。
(IEC 60050-151:2001,151-13-52)
3.2.6
実効値(root-mean-square value, rms value)
次のいずれかによる値。
1) 個の値x1,x2,···xnに対しては,各値の2乗の平均値の正の平方根。
/1 2
1
Xq x12 x22 xn2 (1)
n
2) 変数tの関数である量xに対しては,xの2乗を区間(t0,t0+T)で平均した正の平方根。
/1 2
1 t0
2
Xq xt dt (2)
T t0
注記 周期関数の実効値は,通常,周期の自然数倍の範囲で積分することによって求められる。

――――― [JIS C 1910-1 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
(IEC 60050-103:2009,103-02-02,ただし,注記2を削除した。)

3.3 磁界又は電界の特性

3.3.1
じょう(擾)乱がない磁界,じょう(擾)乱がない電界(unperturbed field)
人間又は可動物体が存在しない場合のある点における磁界又は電界。
3.3.2
準平等磁界,準平等電界(nearly uniform field)
プローブの断面全域において,合成磁界又は合成電界が1 %を超えて変わらない場所の磁界又は電界。
3.3.3
準静的磁界,準静的電界(quasi-static field)
f<<c/l(すなわち,波長>>l)になる条件を満足する磁界又は電界。ただし,fは磁界又は電界の周波数,
cは光速,lは測定空間の特徴的な寸法,例えば,磁界又は電界発生源と測定点との間の距離である。
注記 電力線及び電力機器周辺における商用周波数磁界又は電界は,準静的磁界又は電界の例である。
3.3.4
合成磁界,合成電界(resultant field)
式(3)又は式(4)によって求められる磁界又は電界。
2 2 2
FR Fx Fy Fz (3)
ここに, Fx,Fy,Fz : 直交する3軸の磁界又は電界成分の実効値
2 2
FR Fmax Fmin (4)
ここに, Fmax : 磁界又は電界のだ円軌跡の半長径を振幅とする正弦波の
実効値
Fmin : 磁界又は電界のだ円軌跡の半短径を振幅とする正弦波の
実効値
注記 合成磁界又は電界FRは,Fmaxと等しいか又は大きい。磁界又は電界が直線軌跡の場合,Fmin=0,
FR=Fmaxとなる。円軌跡の場合には,Fmax=Fmin,FR≒1.41 Fmaxである。

3.4 測定

3.4.1
補正係数(correction factor)
既知の誤差を補償するために,補正されていない測定値に乗じる数値。
注記 既知の誤差を完全に把握することはできないため,補正も完全には行えない。
3.4.2
包含係数(coverage factor)
拡張不確かさを得るために,合成標準不確かさに乗じる数値。
注記 期待値μz及び標準偏差σの正規分布に従う量zに対して,包含係数k=1,2及び3に対する信
頼性区間μz±kσは,それぞれ分布の68.27 %,95.45 %及び99.73 %を包含する。
3.4.3
倍率(scale factor)
測定器への入力値を得るために,測定器の指示値に対して乗じる係数。

――――― [JIS C 1910-1 pdf 7] ―――――

6
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
3.4.4
標準不確かさ(standard uncertainty)
標準偏差で表現する測定結果の不確かさ。
3.4.5
校正の不確かさ(uncertainty of calibration)
測定量に起因すると合理的に考えられる値のばらつきを特徴付ける,校正結果に関係するパラメータ。
注記 校正の不確かさは,一般に多くの成分を含む。これらの成分のうち幾つかは,一連の測定結果
の統計的な分布に基づいて評価してもよく,実験で得られる標準偏差で表すことができる。他
の成分は,経験又は他の情報に基づいて評価できる。

4 記号

  a       : コイルプローブの半径,球状の電界プローブの半径
2a,2b : 長方形コイルの辺長
B
: 磁束密度ベクトル
B0 : 交流磁界の振幅
BR : 合成磁界
Bz : 軸方向の磁束密度
C : コイルプローブの浮遊容量
d : 平行平板の間隔,磁界又は電界発生源からの距離,ヘルムホルツコイルの間隔
D
: 電束密度ベクトル
E : 電界強度
E0 : 平等電界強度
Fmax,Fmin : 磁界又は電界のだ円軌跡の半長径及び半短径を振幅とする正弦波の実効値
I : 磁界測定用コイルに流れる電流
L : コイルプローブのインダクタンス
N : 磁界測定用コイルの巻線数
Q : 誘導電荷
r : 磁界発生源と測定位置との距離,又はコイルプローブ及びリード線の抵抗
R : 磁界計の検出器の近似入力インピーダンス,又はヘルムホルツコイルの半径
S : 電界計の電極表面の面積
t : 時間
T : 周期信号の周期
V : 電圧
Z : 電流注入回路のインピーダンス
ε0 : 真空の誘電率
μ0 : 真空の透磁率
: 磁束
ω : 交流磁界又は電界の角周波数

――――― [JIS C 1910-1 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)

5 測定器の仕様

5.1 一般事項

  人体ばく露の評価のために磁界又は電界を測定するときには,次に挙げる項目を考慮する。
− 合成磁界又は合成電界の測定
− じょう(擾)乱がない電界の測定
注記1 測定目的によって,他の項目を追加してもよい。
準静的磁界の特性を把握するために使用できる種々の測定器を,D.1に示す。
静磁界の特性を把握するために使用できる種々の測定器を,D.3に示す。
何種類かの磁界計は準静的及び静的いずれの磁界測定にも使用できる。例えば,コイルプローブをもつ
測定器,ホール効果を利用したプローブ又はフラックスゲート式磁界計のように強磁性体磁心をもつ二つ
のコイルを兼ね備えた測定器が該当する。
注記2 ホール効果プローブは,時間変化する磁界だけでなく,静磁界にも応答する。大きな地磁気
のある場所で小さい商用周波磁界を測定する場合には,感度及び飽和の問題が生じることが
あるので,ホール効果プローブは交流電力線の磁界測定には,ほとんど使用されない。
準静的電界の特性を把握するために使用できる種々の測定器を,E.1に示す。この規格では,次の二つ
の電界計を対象とする。
a) 浮遊電位形電界計
b) 接地式電界計
この規格との適合性の評価,測定器の適切な使用,及び測定器使用の有用性が評価できるように,仕様
及び明確に書かれた取扱説明書を含めた測定器に関する十分な情報を使用者に提供しなければならない。
提供及び/又は満足しなければならない測定器の仕様は,5.25.13による。

5.2 測定不確かさ

  測定器の測定不確かさは,測定器製造業者が明示する。測定不確かさは,ISO/IEC Guide 98-3に準拠し
て決定する。測定不確かさは,包含係数2を用いて拡張測定不確かさとして明記する。不確かさは,利用
可能な包含係数を用いて初めて有効となる。不確かさは,準平等磁界又は電界中で測定器を使用する場合
に関係する全ての成分を含まなければならない。このような成分は,校正の不確かさ,周波数応答,測定
レンジを変更したときの利得の偏差,プローブの等方性,内部雑音源,非線形性,安定性,温度応答,湿
度応答である。測定器の不確かさには,非一様の磁界又は電界中におけるプローブ位置のような測定器の
操作,又は測定磁界若しくは電界に及ぼす測定者の影響に起因する効果は含めない。このような成分は,
追加の不確かさとして測定報告書で考慮しなければならない。
注記1 商用周波数では,測定器の不確かさは通常10 %以下である。
注記2 校正の不確かさの取扱い指針の例を,附属書Bに示す。

5.3 強度範囲

  許容範囲内の不確かさで測定器が動作する強度範囲を明記する。

5.4 通過帯域

  交流用の広帯域測定器には,通常,低域及び高域遮断周波数があり,これによって通過帯域を定義する。
通過帯域の下限及び上限は,一般的には周波数応答が3 dB低下した点で定義する。測定器の公称周波数応
答は,直列に接続した高域通過フィルタ及び低域通過フィルタをもつシステムの周波数応答として記述で
きる。フィルタのタイプ及び次数を明記するとよい(例えば,3次バターワース高域通過フィルタ及び5
次バターワース低域通過フィルタ)。広帯域測定の場合には,フィルタの帯域制限効果が測定器の望ましい

――――― [JIS C 1910-1 pdf 9] ―――――

8
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
特性となるため,測定器の公称周波数応答は,通常,測定不確かさの原因とはしない。特定の周波数を選
択した場合の測定(例えば,高速フーリエ変換)では,フィルタの帯域制限効果は望ましくなく,公称周
波数応答は,自動的に補正されるのが望ましい。製造許容誤差に起因する測定器の測定不確かさは,帯域
内の周波数に比べて帯域の下限及び上限の周波数で大きくなるのが一般的である。したがって,測定器の
測定不確かさは,また,制限された周波数領域においてだけ明示することもある。この周波数領域は,通
過帯域に比べて狭いが,測定対象とする全周波数を包含するには十分に広いのがよい。制限された周波数
領域においては,公称周波数応答の影響は,無視する。

5.5 動作温度及び湿度の範囲

  指定する不確かさの範囲内で測定器が動作する温度及び相対湿度の範囲は,−10 ℃45 ℃及び5 %
95 %とする。測定器内の結露を招く可能性がある急激な温度変化は,避けることが望ましい。
相対湿度が70 %を超える場合,プローブ及び支持物への結露によって,電界測定は,影響を受ける可能
性がある[2]1)。湿度の影響は,電界計によって異なるので,このような条件下で電界計が正確に動作する
か否かを測定前に確認するのがよい(附属書F参照)。
注1) 角括弧内の数字は,参考文献を意味する。

5.6 電源

  内蔵電池で駆動する測定器を使用することが望ましい。
電池を用いる場合,電池の状態が磁界計又は電界計の適切な動作に適しているかどうかを表示できるよ
うにすることが望ましい。個人のばく露量を記録する測定器は,電池を交換又は充電することなく,所定
の不確かさの範囲内で,8時間以上動作することが望ましい。
充電可能な電池を用いる場合,充電器に接続中には,測定器を動作させないことが望ましい。接続が必
要な場合は,充電器からの漂遊磁界又は電界,交流電源からの伝導妨害及び(充電器への)結線を介した
電磁結合が測定に影響しないことを実証することが望ましい(5.9参照)。
浮遊電位形電界計には,導線を接続してはならない。
強磁性体で被覆された電池をばく露量測定器に用いる場合,その被覆が磁界計の指示値に重大な影響を
与えないように注意する(測定不確かさの発生源の詳細は,JIS C 1910-2を参照。)。

5.7 指示値の視認性

  測定器の表示は,可能な場合,デジタル式が望ましい。
観測者による電界のじょう(擾)乱を避けるため,遠隔表示を用いなければならない。
携帯式磁界計のデジタル表示は,腕の長さの距離離れた位置においても容易に読み取れる大きさである
ことが望ましい。複数の感度目盛がある場合,選択した目盛のフルスケール値を示し,単位が容易に分か
ることが望ましい。自動レンジ切替えの測定器の場合,強度レンジは,測定器以外の場所,例えば,取扱
説明書に記載してよい。測定器には,単位を明示することが望ましい。

5.8 測定器の寸法及びプローブの選択

5.8.1  概要
磁界計又は電界計の概要を図1に示す。

――――― [JIS C 1910-1 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS C 1910-1:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61786-1:2013(IDT)

JIS C 1910-1:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1910-1:2017の関連規格と引用規格一覧