JIS C 1910-1:2017 人体ばく露を考慮した直流磁界並びに1Hz~100kHzの交流磁界及び交流電界の測定―第1部:測定器に対する要求事項 | ページ 7

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C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
b) 直線磁界における磁界の大きさ,m=0
c) 円磁界における磁界の大きさ,m=M
合成磁界BRと最大磁界Mとは,直線磁界の場合だけ等しくなる。合成磁界と最大磁界との差が最大となるのは円
磁界のときで,BRがMよりも41 %大きくなる。
図C.1−だ円磁界,直線磁界及び円磁界の場合の振動磁界及び回転磁界の大きさ(続き)
C.3 磁界の特性
地表面近傍においては,三相送電線からの磁界強度は,測定位置の地上高の関数として緩やかに変化す
る。例えば,典型的な500 kVの送電線の場合,地上高約1 mにおける磁界強度は,送電線下における測定
高さを10 %変化させても,2 %未満しか変化しない。より遠方では,磁界の一様性は,増加する[11]。
電力線から十分に遠方では,平衡した又はほぼ平衡した電流が流れる三相1回線線路からの磁界強度は,
ほぼ1/r2で減衰する。ここで,rは,送電線導体からの横方向距離である(rは導体間距離に比べ十分に大
きいと仮定している。)[26]。電流の不平衡が増加すると,磁界強度の減衰の距離依存性が1/r2から1/rへ
変化する[26],[33]。平衡した三相2回線低リアクタンス送電線(すなわち,両回線に同等又はほぼ同等な
負荷電流が流れる場合。)では,磁界はほぼ1/r3で減衰する。ここでも,rは導体間距離に比べ十分に大き
いことが条件である。磁界の時間変動は,負荷電流の変動の関数である。すなわち,電気エネルギーを多
く使用しているときには,負荷電流は増加し,より大きな磁界を発生させる。同時に発生する導体のたる
みの増加も,磁界強度の増加に影響する。
注記 多相電力線下の地表及び地表近傍の磁界は,回転ベクトル又はだ円磁界として表されるのに対
して,電界は,地表では直線電界となる。
通常,身の周りにある他の磁界発生源は,単相電流が流れる直線導体(例えば,接地系及び電極への接
続など)及びほぼ円形の巻線(例えば,変成器,電動機,画面表示装置)である。このような磁界発生源
周辺の代表位置における磁力線及びベクトルを,図C.2 a)及び図C.2 b)に示す。磁界は,通常,直線磁界
であり,振動するベクトルの時間依存性は,電流波形に依存する。正弦波の電流は,高調波を含まない正
弦波の磁界を発生し,正弦波形ではない電流(例えば,テレビの偏向コイルからののこぎり歯状波)は,

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高調波を多く含む正弦波ではない磁界を発生する[12]。無限長直線状導体及び円形導体ループに流れる電
流によって発生する磁界強度は,それぞれ1/r [10]及び1/r3 [31]で減衰する。ここで,rは磁界発生源から
の距離である(後者の場合,rは円形導体ループの半径より十分大きいと仮定している。)。
a) 直線導体の電流による磁界 b) 円形導体の電流による磁界
図C.2−直線導体及び円形導体の電流による磁界
C.4 電界の特性
地表面近傍においては,三相送電線からの電界強度は,測定位置の地上高の関数として緩やかに変化す
る[11]。
磁界とは異なり,電界は,ほとんど全ての物体によって乱される。これを,近接効果と呼ぶ。近接効果
は,媒質間の電荷分布の差によって起こる。
媒質1と媒質2との境界条件は,式(C.1)及び式(C.2)である。
1
Et E2t (C.1)
E
2 2n E
1 1n s (C.2)
ここに, t : 接線方向成分
n : 垂直方向成分
ρs : 媒体境界面の電荷密度
例えば,50 Hzの電界中に人がいると,電界分布が乱される(図C.3)。

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図C.3−人による電界分布のじょう(擾)乱(出典 : IEC 62226-3-1[37])
ビルなどの大きな建造物がある場合にも,同様の現象が生じる(図C.4)。
高さ(m) 高さ(m)
電界(kV/m) 電界(kV/m)
Building
建築物あり 建築物なし
Building
location
地表 地表
送電線中心からの距離(m) 送電線中心からの距離(m)
a) 建築物あり b) 建築物なし
計算条件 導体の高さ 11.0 m
導体の間隔 1.12 m
建築物の高さ 20.0 m
架空送電線の中心から建築物までの距離 7.0 m
図C.4−25 kV架空送電線の電界等高線(出典 : JIS C 1911[38])

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附属書D
(参考)
磁束密度計(磁界計)
D.1 磁界計の一般的性質
磁界計は,二つの部分で構成する。プローブ又は磁界検出素子,及びプローブからの信号を処理し,ア
ナログ又はデジタル表示によって磁界の実効値を表示する検出器である。電力線からの商用周波磁界の現
地測定には,電界をシールドした巻線をもつ磁界プローブ(すなわち,“単軸”プローブ)が,検出器とし
ての電圧計と組み合わせて用いられてきた[13]。携帯形測定器の一例である,この種の測定器の概要を図
D.1に示す。図D.1には示していないが,検出回路の構成部品は,プローブに内蔵することがある。磁界
計によって,振動する(直線磁界)又は回転する(だ円又は円磁界)磁界ベクトルの,プローブ面に直交
する成分を測定する。プローブ面に垂直な方向は,プローブの感度軸に一致する。
図D.1−コイル形プローブをもつ簡易な磁界計の概略図
磁界の高調波成分が無視できない環境(例えば,工業及び居住環境,交通システム)における測定の場
合には,磁界波形を保つために能動的又は受動的積分回路が検出器の一部として含まれる(D.2参照)。一
般に,データ蓄積の機能はもっていないが,市販の記録装置への出力端子が用意されているものもある。
磁界の高調波成分を把握するために,磁界波形を反映する検出信号を市販の周波数分析器によって解析し
て,基本波及び高調波成分の振幅を確認できる。商用周波数及び一つ以上の高調波成分の実効値を切り替
えて表示する3軸の磁界計もある。
磁界の現地測定を行うときには,測定者の接近による磁界の大きなじょう(擾)乱を生じないので,プ
ローブを手で保持できる。近傍の誘電体の近接効果の影響もない。小さな非鉄導体の近接効果は通常小さ
く,導体表面付近に限られる。すなわち,磁界の時間変動によって導体に誘起される渦電流による磁界が
局所的に磁界を乱れさせる。非鉄金属の大きな構造物は,広い範囲にわたって磁界を大きく乱す。例えば,
トレーラハウスの室内などである。鉄を含む物体の近傍における磁界は,大きく乱れている。
長期及び/又は総合的な測定においては,携帯形磁界計の代わりにデータ蓄積装置に磁界の指示値を記
録する測定器(以下,データ蓄積形測定器という。)が使用できる[12],[30]。磁界は,次のいずれかの条
件で記録できる。
− あらかじめ指定した時間間隔で自動的に
− 使用者の指示
− 位置検出装置のような他の装置からの指示

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多くの場合,記録した磁界強度は,解析を行うためにコンピュータに転送できる。単純な解析の場合,
磁界計自体でできる場合もある。
携帯形測定器及びデータ蓄積形測定器の双方とも,単軸又は3軸である(データ蓄積形測定器は,3軸
のものが多いようである。)。3軸の測定器は,三つのコイルプローブ又はセンサ素子(例えば,直交軸の
円形コイルプローブ)をもち,それぞれが三つの直交軸方向の磁界を検出する。3軸測定器の各センサか
らの信号は,次のいずれかの方法によって検出器で処理される。一つ目の方法では,検出器が各方向の実
効値を測定し,それらの2乗の和をとり,その平方根をとる。もう一つの方法は,検出器が各センサから
の信号を2乗し,それらの和の平方根をとることによって実効値を求めるものである。いずれの場合でも
同じ結果が得られ,これが式(3)で定義する合成磁界BR[式(3)ではFR]となる。通常,合成磁界は,最大
磁界とは等しくならず,最大磁界の100 %(直線磁界)から141 %(円磁界)までの値となる。
BRは,直交成分の位相に関係なく,全磁束密度の実効値に等しい[16]ことに注意することが望ましい。
位相に依存しないため,BRは,一義には決まらないことになる。すなわち,直線磁界であっても円磁界で
あっても,合成磁界が同じになるという意味である。例えば,直交成分B0sinωt及びB0sinωtをもつ直線磁
界,並びに直交成分B0sinωt及びB0cosωtをもつ円磁界では,いずれも合成磁界はB0となる。
人が身に付けて周期的に磁界の3軸方向成分(実効値)を測定して記録する小形のデータ蓄積形測定器
(以下,ばく露量計という。)が開発されている。このばく露量計には,小形のコイルプローブが使われて
おり,感度を上げるために強磁性体の磁心を使用することもある[12]。ばく露量計内に互いに直交するよ
うに配置したプローブは,互いに近接しているものの,共通の中心はもたない場合がある。すなわち,プ
ローブは,異なる位置に置かれている。ばく露量計には,インタフェースを備えており,記録した磁界の
値を,解析を行うためにコンピュータへ転送できる。フラックスゲート磁界計[27]など高透磁率の誘導プ
ローブをもつ他の方式の磁界計も,交流磁界及び/又は静磁界の測定に用いられている。
直交3軸成分の磁界波形を同時かつ周期的に記録し,それゆえ,振幅,位相及び周波数の情報をもつ更
に多機能の磁界計もあり,回転磁界のだ円の状況,高調波の解析などができる[30]。
ホール効果プローブをもつ磁界計もあり,0数百ヘルツの磁束密度の測定に使用できる。ただし,感度
の低さ及び地磁気による飽和の問題によって,電力線近傍及び住居内のような,低レベルの交流磁界環境
での測定には,適していない。
D.2 動作原理(コイルプローブ)
図D.1に示す磁界計の動作原理は,変動する磁界中に置いたループ導体の開放端に電圧Vが生じるとい
うファラデーの法則に基づいている。すなわち,その電圧は,ループに鎖交する磁束φの時間変化の割合
の負値に等しく,式(D.1)で求められる。
d d
V
dt dt A
B ndA (D.1)
B 磁束密度ベクトル
ここに,
n ループ面に直交する単位ベクトル
dA : ループ面Aの面要素
A及びB 爰 帰 メートル及びテスラの場合,Vの単位はボルトとなる。
磁界に高調波成分を含まず,例えばB=B0sinωtで表される磁界がプローブ面に直交する場合,式(D.2)
のようになる。
V B0 Acost (D.2)

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JIS C 1910-1:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61786-1:2013(IDT)

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