JIS C 1910-1:2017 人体ばく露を考慮した直流磁界並びに1Hz~100kHzの交流磁界及び交流電界の測定―第1部:測定器に対する要求事項 | ページ 6

24
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
端部電界に起因する一様電界からの値のずれは,端部から平行平板間隔に相当する距離において,0.1 %
まで減少することが表A.1から明らかである。有限の大きさの正方形平板に対しては,一つの端部からの
影響が0.1 %未満であるとき,四つの端部からの影響を重ね合わせの理によって評価できる。有限の大き
さの平行平板間の電界の数値計算によると,この方法で求めた結果との間に0.04 %のずれがあることが示
唆される[32]。これらの結果は,近くにある接地面による電界のじょう(擾)乱がない場合に有効である。
計算及び測定[19],[32]は,センタタップのある変圧器を介して平行平板へ電圧を印加した場合,近傍の接
地面に起因するじょう(擾)乱の影響を受けにくい電界が得られることを示している。
対角長さが0.23 m未満の浮遊電位形電界計の校正に適切であることが証明されている平行平板システ
ムを,図A.8に示す[13]。金属シート又は金網をたるみなく張った1.5 m×1.5 mの二つの枠を,0.75 m離
して平行平板を構成する。信号発生器,電力増幅器及び変圧器を組み合わせて平板に電圧を印加し,安全
策として変圧器の出力端子に適切な限流抵抗を付ける[3]。例えば,適切な定格電圧の10 MΩ以上の抵抗
は,10 kV(すなわち,E=13 kV/m)まで十分な限流ができる。高電圧作業を行う場合,通常の高電圧実
験室の安全指針を遵守しなければならない。一様電界からの変動が1 %以内の校正電界V/dが,先に述べ
た平行平板システムの中心に発生する。V及びdの不確かさは,その1 %以内の値と合成することが望ま
しい。浮遊電位形電界計は,通常測定時に使用する絶縁性の支持棒を用いて,平行平板システムの中央に
設置する。
電界計の設置による平行平板上の表面電荷分布の顕著なじょう(擾)乱を避けるため,電界計の最大対
角長さは,0.23 mを超えないことが望ましい[23]。さらに,平行平板から最も近い接地面(壁,床など)
までの距離は,平行平板間の距離以上とすることが望ましい。平行平板システムの寸法は,電界計の寸法
によって適切に変えるとよい。
注記1 平行平板の端部でコロナが発生する場合,表面電界強度を低減するために平板の端部に沿っ
て金属性の管を取り付ければ,コロナをなくすことができる。
平行平板に印加する電圧の周波数を変化させることによって,電界計の周波数応答を求めることができ
る。
平行平板の下の平板と床との間の距離が平板間距離に比べて短い場合には,図A.8に示した平行平板に
電圧を印加するための配置を,下の平板が接地電位となるように変更するとよい。
図A.8−浮遊電位形電界計の校正のための平行平板システム

――――― [JIS C 1910-1 pdf 26] ―――――

                                                                                             25
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
平板を床に平行に設置する代わりに,図A.8において平板を床に垂直になるような配置にすることもで
きる。
この場合においても,平行平板から床,天井及び壁までの距離は平行平板間の距離よりも長くすること
が望ましい。垂直に配置した平行平板を使う場合には,図A.9に示すように,絶縁性の支持棒は,二つの
平板の間で接地電位の床に容易に固定できる。
図A.9−床に垂直な平行平板の配置
接地式電界計の校正をする場合には,図A.8において平行平板の下の平板を接地電位として,平形プロ
ーブの支持に使用できるように配置を変更する。
プローブと上の平板との距離が長くなるため,プローブ設置による上の平板における表面電荷分布のじ
ょう(擾)乱は,(平板間の中央に浮遊電位形電界計を置いた場合と比較して)かなり小さくなる。じょう
(擾)乱が小さくなるので,先に示した平行平板の間隔(0.75 m)を狭くすることができ,ほぼ一様電界
となる横方向の領域を増加させることができる(図A.7及び表A.1参照)。平行平板の間隔は,プローブの
辺長の1.5倍を超えないことが望ましい。また,プローブの端部から下の平板の各端部までの距離は,平
板間隔の2倍よりも大きいことが望ましい。平行平板から最も近い接地面(壁,床など)までの距離は,
平板間隔の2倍よりも大きいことが望ましい。プローブのガードバンド(プローブのふちの保護部分)は,
プローブの辺長の6 %以上に相当する幅をもつことが望ましい。また,プローブの厚さは,その辺長の3.5 %
未満であることが望ましい。こうした制約を満足する場合,校正電界の一様電界V/dからの変動が0.5 %
以内となる。V及びdの値の不確かさの値を,この“0.5 %以内の数値”と合成することが望ましい[22]。
注記2 電界計の指示値と校正電界の強度との比較によって補正係数を決定できる。この補正係数は,
測定時の指示値に適用できる。補正係数を求める代わりに,この比較によって,検出回路の
是正調整を行うこともできる。いずれの場合においても,上記の校正過程に関連する不確か
さは,(一旦補正がなされた後の)校正電界の値の不確かさと電界計の指示値の安定性及び分

――――― [JIS C 1910-1 pdf 27] ―――――

26
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
解能に関連する不確かさとを合成したものに等しくなる。
A.2.2 電流注入法
浮遊電位形電界計及び接地式電界計は,電界への初期応答において,電流測定器とみなすことができる 2)。
したがって,電界計の誘導電流と電界との比I/Eが校正によって決まった場合,平行平板が入手不能な場
合でも,電流注入方法を測定器の校正を検証する手段として使用できる[19]。図A.10は,既知の電流を浮
遊電位形電界計のセンサ電極へ注入するために用いる回路である。図A.10において,Vは信号発生器によ
って発生する電圧,Zは電界計の入力インピーダンスよりも,2桁以上大きい既知のインピーダンスであ
る。異なる周波数で電流注入方法を用いた場合,キャパシタのインピーダンスが変わるため,Zには,キ
ャパシタ又は抵抗を使用できるが,抵抗の方がよい。さらに,電圧源に高調波を含む場合,抵抗を用いる
方が誤差を小さくできる。注入電流は,オームの法則によって計算できる。
注2) 後段の検出回路に積分機能がある場合,電界計の指示値は,電界波形を反映する誘導電荷に比
例する。
Zは,キャパシタ又は抵抗を表すが,抵抗の方がよい(A.2.2参照)。
図A.10−電流注入法の概略図
図A.10と同様の回路を,接地式電界計への電流注入に使用できる。この場合,電圧源の接地側のインピ
ーダンスはなくなり,残りのインピーダンスの値が2倍となる。
近傍にある照明,電気機器などが発生する電磁妨害の影響を最小にするために,電流注入法を用いる場
合には,適切なシールドが必要となる。電流注入回路及び電界計を接地した金網で覆うことによって,背
景雑音の影響を無視できる大きさに減らすことができる。電流注入法の妥当性は,既知の電界中で電界計
の校正を行った直後にI/E比を求めること,及び校正を行った後には電界プローブを変更しないことを前
提としている。
A.2.3 参照電界計との比較
この方法は,A.1.3と同じである。

――――― [JIS C 1910-1 pdf 28] ―――――

                                                                                             27
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
附属書B
(参考)
校正の不確かさの例
ヘルムホルツコイルシステムを使用した場合の磁束密度Bの校正の不確かさの計算例を,表B.1に示す。
磁界は,100 μTと仮定している。不確かさの発生源は,附属書Aに記載した校正システムの解析結果に基
づいている。
表B.1−不確かさの計算例
不確かさの要因 注記 不確かさの値 確率分布 除数 感度係数 標準不確かさ
uvi ki Ci ui=uvi/ki
統計的
繰返し性 A1 2.0×10−4 5 1 8.95×10−5
再現性 A2 3.0×10−4 3 1 1.73×10−4
機器
電流計の校正 BR1 7.1×10−4 正規 2 1 3.55×10−4
電流計のドリフト BR2 1.2×10−4 一様 2 3 1 3.46×10−5
電流計の分解能 BL1 ±1.0×10−6 一様 3 1 5.77×10−7
電流計の補間 BL2 ±2.9×10−4 一様 3 1 1.67×10−4
電流計への温度の BL3 0 U字 2 2 1 0
影響
ヘルムホルツコイ BL4 1.0×10−3 正規 2.58 1 3.88×10−4
ルの物理的特性
ヘルムホルツコイ BL5 0 U字 2 2 1 0
ルへの温度の影響
電流源の影響 BL6 0 一様 2 3 1 0
試験装置の安定性 BLX 一様 3 1 0
環境パラメータ
背景雑音 BL7 5.0×10−4 一様 2 3 1 1.5×10−4
合成標準不確かさ m
2 2
6.04×10−4
uc ci ui
1
拡張不確かさ 正規 ue 2uc 1.2×10−3
(95 %信頼区間)
A1 : 測定繰返し回数がNのとき, ki N
A2 : 試験所間の比較に起因する不確実値
BR1 : 電流計の最新の校正証明書に記載の値
BR2 : 電流計校正時のばらつき
BL1 : 電流計の最終桁のばらつき
BL2 : 校正実施場所とは異なる場所で電流計を使用しているという事実に起因する
BL3 : 無視できる
BL4 : コイル寸法の不確かさ,99 %で10−3の値を選ぶ
BL5 : 無視できる
BL6 : ここでは無視できるが,校正された測定器及びその安定性によって決まる
BL7 : 背景雑音
BLX : 校正に用いる試験装置の種類の違いは無視できる

――――― [JIS C 1910-1 pdf 29] ―――――

28
C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
附属書C
(参考)
磁界及び電界の一般的性質
C.1 一般的事項
電力線,電気機器及び交通システムから発生する磁界及び電界は,強度,周波数,波形(高調波成分),
磁界又は電界ベクトルの軌跡の形状,空間分布及び時間変動によって特徴付けられる。磁界又は電界計に
対する要求事項を特定するのに重要であるので,これらの特性を簡潔に記載する。
注記 この規格は,過渡的な時間変動,すなわち,磁界及び電界の周期と比較して短時間で生じる事
象を考慮しない。
C.2 磁界又は電界ベクトルの軌跡の形状
C.1に記載する磁界又は電界のパラメータのうちの幾つかは,三相電力線が発生する磁界を考慮すると
きに導入されるものである。このうちの幾つかは,電界を特徴付けるのにも使用する。一般に,空間のあ
る点における磁界は,図C.1 a)に概要を示すように,導体中を流れる電流の各サイクルに対してだ円軌跡
を描く回転ベクトルによって表現される[4]。図C.1 a)においてMで表す磁界のだ円半長径の実効値の大き
さ及び方向は,最大磁界の大きさ及び方向を示す。同様に,図C.1 a)においてmで表す半短径の大きさの
実効値及び方向は,最小磁界の大きさ及び方向を表す。このような磁界は,だ円磁界と呼ばれる。
電力線から離れた環境における磁界も,位相が一致していない複数の電流源によって発生するため,多
くの状況(例えば,家庭内,職場など)でだ円磁界となる。導体の配置,及び電流によって,ある位置に
おける磁界のだ円形状は,図C.1 b)及び図C.1 c)に示すように直線状(m=0)から円状(m=M)まで変化
する。多相磁界のこの議論においては,磁界に高調波が含まれないと仮定している。大きな高調波を含む
磁界のベクトル軌跡は,更に複雑となる[21][30]。
a) 回転だ円磁界における磁界の大きさ,m 図C.1−だ円磁界,直線磁界及び円磁界の場合の振動磁界及び回転磁界の大きさ

――――― [JIS C 1910-1 pdf 30] ―――――

次のページ PDF 31

JIS C 1910-1:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61786-1:2013(IDT)

JIS C 1910-1:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1910-1:2017の関連規格と引用規格一覧