JIS C 1910-1:2017 人体ばく露を考慮した直流磁界並びに1Hz~100kHzの交流磁界及び交流電界の測定―第1部:測定器に対する要求事項 | ページ 5

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C 1910-1 : 2017 (IEC 61786-1 : 2013)
直径0.10 mのコイルプローブの大きさを描いてある。
図A.4−Bzの計算値とコイル中心における値との百分率偏差[式(A.4)参照]
図A.5−既知の磁界を発生する正方形ループを用いた磁界計の校正回路の概略図
注記 校正磁界値の不確かさ(包含係数1)は,Bzの計算に関連する不確かさによって決められる。
例えば,1 m×1 mの正方形ループの場合(図A.4及び図A.5参照),その不確かさは,電流I
の測定値,ループの辺長,及び磁界の非一様性(直径0.10 mのプローブの場合,0.5 %未満)
による不確かさに依存する。正方形ループの辺長の不確かさは,導体群の断面積が無視できな
い大きさであることに起因する。辺長は導体群の中心間の距離として解釈する。この場合,不
確かさは“導体群の直径”(図A.5参照)に等しい。磁束密度値の合成された不確かさは,個々
の不確かさの平方和の平方根によって求まる。例えば,電流I及び辺長の不確かさがそれぞれ
0.2 %及び1.0 %である場合,直径0.10 mのプローブに対する校正用磁界値の合成不確かさは,
[(0.2)2+(1.0)2+(0.5)2]1/2,すなわち,1.1 %である(包含係数1)。

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コイルプローブをもつ磁界計の場合,プローブの断面積全体にわたる平均の磁界値を示すことを理解す
ることが重要である。この平均値とプローブの中心における値[式(A.4)参照]との差は,プローブ面のあ
る点と中心における値との差の最大値よりも小さい。例えば,0.10 mのプローブの場合(ループ平面にお
いて),磁界の中心における値との最大の差は0.63 %であり,平均磁界は中心における(校正磁界の)値
より僅かに0.31 %大きいにとどまる。
二つの正方形コイルが発生する磁界を求める式は,式(A.1)及び重ね合わせの理を用いて導出できる[24]。
正方形ヘルムホルツコイルの必要条件は,コイル間隔が0.544 5×2aに等しいことである。ここに,2aは
コイルの辺長である[6]。
ループに通電する電流の周波数を変えることによって,必要な周波数範囲における磁界計の周波数応答
を求めることができる。積分回路を内蔵する検出器の場合には,空心プローブの磁界計は,周波数が変化
してもほぼ一定の実効値を指示するように適切に設計することが望ましい(A.1.3の最後の段落,校正コイ
ルの共振周波数の影響についての議論を参照)。透磁率の周波数に対する変化が無視できる場合でも,同様
の結果が軟質強磁性材料の磁心をもつコイルプローブに対しても得られることが望ましい。
磁界計の比較的大きな目盛(すなわち,10 μTを超える磁界)の校正は,通常,コイルの発生する磁界
を用いて行われる。これは,背景磁界は通常0.1 μT以下であり,校正磁界にはほとんど影響を与えないた
めである。ただし,高感度の目盛においては,背景磁界によって校正磁界が乱れるため,背景磁界は校正
の妨げとなる。高感度の目盛の校正の代替手法は,電圧注入法[8]を用いる手法である。
A.1.2 電圧注入法
電圧注入法は,磁界計の非常に大きいレンジ,例えば,コイルシステムで発生させるのは技術的に困難
な10 mTより大きい磁界レンジの校正にも有用である。
注記 測定器の設計による制約のため,電圧注入法は,磁界計の設計段階又は製作段階においてだけ
適用可能である。
この手順によって,検出器の入力に接続した電圧計,及び背景磁界よりも2桁以上大きい磁界を用いて,
(検出回路に接続された)コイルプローブからの出力電圧と磁束密度との比を,対象とする各周波数に対
して指定できる。磁界計のより高感度の目盛を校正するために,微小な磁界に相当する電圧を(プローブ
は接続しない状態で)検出回路に注入する。検出器に接続した分圧比が既知の分圧器,交流電圧源(例え
ば,信号発生器),正確な電圧計,及び適切な電界シールドを,対象とする周波数範囲において既知の電圧
を注入するために用いる[8]。校正を行うために,分圧比の周波数依存性が既知であることが望ましい。図
A.6は,検出器に接続した電圧注入回路の概略である。

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信号発生器の出力電圧Vは,抵抗分圧器を用いて注入用に分圧される。抵抗分圧器の分圧比が周波数に依存しない
場合,注入電圧vは,Vr/(R+r)で求まる。R及びrは抵抗であり,通常,R≫rである。検出器の入力インピーダンス
は,抵抗RDで近似される。分圧比に大きな影響を与えることを避けるため,r≪RDを満足しなければならない。
図A.6−電圧注入法の概略
電圧注入法は,強磁性体磁心をもつプローブには適用してはならない。磁心の透磁率が磁束密度によっ
て変化し,プローブ感度(出力電圧と磁束密度との比)に影響を与えるからである。電圧注入法は,磁界
計の全てのレンジの校正を検証する手段としても使用できる。
A.1.3 参照磁界計との比較
測定器を校正する三つ目の方法は,その測定器の指示値と,既知の磁界及び/又は電圧注入法によって
あらかじめ校正した参照磁界計の指示値との比較を行うものである。この方法を採用する場合,単軸及び
3軸測定器の各センサの測定値を,(コイルシステムによって発生する)同じ磁界中に置かれた参照磁界計
の指示値と比較する。この場合,次の仮定を満足することが必要となる。
a) 校正対象の測定器のセンサ寸法と参照磁界計のセンサ寸法とが同程度であるか,又は両者のセンサの
(センサ断面の全体にわたる)平均化効果に顕著な差が現れないくらい十分に一様な磁界である。
b) 校正対象の磁界計の通過帯域が,参照磁界計の通過帯域と同程度である。
c) (通常,不安定である)背景磁界が校正磁界に対して顕著な影響を与えない。
対象とする磁界強度及び周波数において,比較を行う。
代わりに,校正用コイルシステムの校正の検証に参照磁界計を用いてもよい。
注記1 磁界計の指示値と校正磁界値との比較によって,測定時に得られる指示値に適用する補正係
数を決定できる。また,この比較によって,検出回路を補正するための調整ができる。いず
れの場合においても,上記の校正過程に関連する不確かさは,(一旦補正がなされた後の)校
正磁界の値の不確かさと磁界計の指示値の安定性及び分解能に関連する不確かさとを合成し
たものに等しくなる。
接地面近傍では,鏡像電流ループによって校正磁界が乱れることがある。例えば,正方形ループ平面が
完全接地面に対し平行な場合,ループ中心における磁界のじょう(擾)乱は,辺長又は辺長の2倍の距離
においてそれぞれ2 %及び0.3 %となる。このじょう(擾)乱は,ループ平面が接地面に対し直交する場合

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には減少する。例えば,正方形ループが接地面からの辺長分の距離にある場合,じょう(擾)乱は0.3 %
となる。校正磁界のじょう(擾)乱は,正方形ヘルムホルツコイルの方が少ない[7]。
校正磁界のじょう(擾)乱は,強磁性材料が校正ループの近傍に存在することによっても生じる。例え
ば,キャビネット,机又はテーブルの下の腕金などに使われている鋼のように透磁率の大きな物体がある
場合には,そこに磁束が集中し,校正ループ内の実際の磁界が計算で求めた値と一致しないことがある。
校正磁界に対する近傍の強磁性材料の影響を,試行錯誤によって調査することが望ましい。例えば,リレ
ーラック(継電器架)が近くにある場合の磁界への影響を,校正コイルからの距離の関数として調べるこ
とである。
校正は,コイルシステムの共振周波数から十分に離れた周波数で行うことが望ましい。浮遊容量がある
ため,コイルシステムの等価回路をインダクタンスとキャパシタンスとの並列回路として大まかにモデル
化することが可能である。共振周波数又はその近くの周波数では,コイルへの相当量の電流が浮遊容量に
も流れるため,その電流が磁界の発生に寄与しなくなる。コイルシステムの共振周波数を見付ける一つの
方法は,コイルに定電流を流した状態でコイルに発生する電圧を周波数の関数として測定することである。
共振周波数から十分に離れた周波数では,電圧は周波数に比例して増える。共振周波数近傍では,コイル
システムのインピーダンス及びその影響を受ける電圧は,周波数に対して非線形となり,急増する。
注記2 校正コイルの動作周波数の上限を決めるためには,特定の解析が必要となる。
A.2 電界計の校正
A.2.1 電界発生法
平板の寸法が平板間隔よりも十分に大きい場合,平行平板を用いることによって校正のためのほぼ一様
な電界を発生できる[1],[13],[32]。端部の影響を無視した場合,一様電界強度E0は,V/dで求まる。ここ
に,Vは平板間の電位差,dは平板間隔である。平行平板の寸法を決めるための指針として,平板表面及
び平板間の中央位置における,一様電界によって規格化した電界強度Eの計算値(E/E0)を平板端部から
の規格化した距離(x/d)の関数として,図A.7に示す。数値は,表A.1に示す。

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/E
規格化した電界強度 E0
平板表面
平板間の中央位置
規格化した端部からの距離 x/d
図A.7−平板表面及び平板間の中央位置における,平板端部からの規格化した距離の関数として表した
規格化した電界強度の計算値
表A.1−電極間の中央位置及び平板表面における規格化した電界強度の計算値
平板間の中央位置
x/d E/E0
0.069 8 0.837
0.162 1 0.894
0.296 5 0.949
0.417 7 0.975
0.682 1 0.995
0.793 4 0.997
1.000 0 0.999
平板表面
1.000 0 1.001
0.795 4 1.002
0.686 1 1.005
0.437 6 1.025
0.243 1 1.095
0.162 4 1.183
0.123 0 1.265
0.099 1 1.342
0.082 9 1.414
0.045 2 1.732
0.030 7 2.000
0.018 5 2.449

――――― [JIS C 1910-1 pdf 25] ―――――

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JIS C 1910-1:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61786-1:2013(IDT)

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JIS C 1910-1:2017の関連規格と引用規格一覧