JIS G 0586:2012 鋼管の自動漏えい(洩)磁束探傷検査方法 | ページ 2

4
G 0586 : 2012
1 ねじれ形配列の検出センサ
2 磁化コイル
3 磁束
注記 検出センサの形状は,使用される装置及び他の要因によって異なる形状が用いられる[例えば,絶対法(absolute),
差動法(differential)など]。管軸方向に平行な磁気を誘起する方法は,上に示した以外の方法もある。
図2−円周方向のきず検査のための漏えい磁束探傷法の簡略図

6 対比試験片及び人工きず

6.1 一般

  対比試験片及び人工きずの一般事項は,次による。
a) 漏えい磁束探傷装置の感度調整のための適切な人工きずを規定する。
注記 これらの人工きずの寸法は,装置によって検知できるきずの最小サイズと考えるべきではな
い。
b) 漏えい磁束探傷装置は,対比試験片の外面の角溝,外面及び内面の角溝又はドリル穴を用いて感度調
整しなければならない。内面の角溝は,管の内径が20 mm未満の場合,受渡当事者間の協定がない限
り使用しなくてもよい。また,管の厚さが20 mmを超える場合には,附属書Aに示す技術的制約の
ため受渡当事者間の協定がない限り内面の角溝は,使用しなくてもよい。
角溝に代えて,ドリル穴を受渡当事者間の協定によって用いる場合には,規定の許容レベルに対す
るドリル穴の最大径は,受渡当事者間で協定しなければならない。また,製造業者は,ドリル穴で得
られる探傷感度及び装置の設定(例えば,フィルタリング)が規定の角溝及び協定で合意した内面の
角溝で得られるものと同等であることを証明しなければならない。
注記 ISO 10893-3では,鋼管のきず検査用にドリル穴を用いる場合は,ドリル穴の径は,鋼管の用
途及びその他の適切な基準を含めた要素をもとに,0.803.2 mmの範囲で決めることを推奨
している。また,ISO 10893-1では,鋼管の耐漏れ性の試験に用いるドリル穴として,6.5の
表2のF4H(1.23.7 mm)が規定されている。

――――― [JIS G 0586 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
G 0586 : 2012
c) 対比試験片は,検査する鋼管と同等の材質,同じ公称寸法,表面状態及び熱処理状態のものとする。
ただし,10 mm以上の厚さの鋼管の場合には,公称厚さ以上の鋼管を用いてもよい。角溝を用いる場
合には,その深さは,検査する鋼管の公称厚さから求める。また,検査する鋼管と異なる公称厚さの
鋼管を用いる場合には,製造業者は,注文者の要求があれば,適用した方法の有効性を証明しなけれ
ばならない。
d) 人工きずは,明瞭な信号を得るために,管軸方向に互いに十分に分離し,また対比試験片の鋼管端か
ら十分に離さなければならない。

6.2 角溝

6.2.1  一般
角溝の一般事項は,次による。
a) 角溝は,図3に示す形状とし,鋼管の管軸方向に平行に加工する。製品規格の規定又は受渡当事者間
の協定によって鋼管の円周方向のきず探傷を行う場合には,角溝は,鋼管の円周方向に加工しなけれ
ばならない。
b) 角溝の側面は,ほぼ平行で,底部は,側面にほぼ直角でなければならない。
c) 角溝は,機械加工,放電加工又はその他の方法で加工する。
注記 底部及び底部の角部は丸みをもっていてもよい。
図3−角溝
6.2.2 角溝の寸法
角溝の寸法は,次による。
a) 幅(図3参照)
角溝の幅は,角溝の深さ又は1 mmのいずれか大きい方を超えてはならない。
b) 深さ(図3参照)
それぞれの許容レベルの角溝の深さは,6.5による。ただし,次の条件を満足しなければならない。
− 最小深さ : 0.3 mm(許容レベルF2及びF3の場合),0.5 mm(許容レベルF4及びF5の場合)
− 最大深さ : 1.5 mm
深さの許容差は,角溝深さの±15 %(最小値±0.05 mm)とする。
内面の角溝は,受渡当事者間の協定による。ただし,規定された外面角溝の深さ以上(最小内面角
溝深さは,0.4 mm)で,かつ表A.1で規定される最大比(内外面の角溝深さの比)以下(最大内面角
溝深さは,3.0 mm)の深さを適用することが望ましい(附属書A参照)。
c) 長さ
製品規格の規定又は受渡当事者間の協定のない限り,角溝の長さは,個々の検出センサの長さ(検
出対象きず方向に平行)以上で最大50 mmとする。

――――― [JIS G 0586 pdf 7] ―――――

6
G 0586 : 2012
注記 ISO 10893-3では,円周方向のきず探傷を行う場合には,最小角溝長さは,25 mmとしてい
る。

6.3 ドリル穴

  ドリル穴は,図4に示す形状とし,ドリル穴の径は,6.5.2に規定する値を超えてはならない。
図4−ドリル穴

6.4 人工きずの確認

  人工きずは,6.2及び6.3で規定する値であることを適切な方法によって確認する。

6.5 許容レベルに対応する人工きず寸法

6.5.1  許容レベルF2F5に対応する角溝
許容レベルF2F5の人工きずは,角溝とし,そのきず寸法は,表1による。
注記 F4の人工きずレベルは,ISO 10893-1で,鋼管の耐漏れ性試験の検証用として用いられている。
表1−許容レベルF2F5に対応する角溝深さ
許容レベル 鋼管の公称厚さに対する角溝の深さ
F2 5%
F3 10 %
F4 12.5 %
F5 15 %
6.5.2 許容レベルF4Hに対応するドリル穴
許容レベルF4Hのドリル穴寸法は,表2に示す値とする。
注記 F4Hの人工きずレベルは,ISO 10893-1の鋼管の耐漏れ性試験の検証用として用いられている。
表2−許容レベルF4Hに対応するドリル穴の径
鋼管の公称外径 許容レベルF4Hに対応する
D ドリル穴の径
mm mm
4 ≦ D ≦ 26.9 1.2
26.9 < D ≦ 48.3 1.7
48.3 < D ≦ 63.5 2.2
63.5 < D ≦ 114.3 2.7
114.3 < D ≦ 139.7 3.2
139.7 < D 3.7

――――― [JIS G 0586 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
G 0586 : 2012

7 装置の感度調整及び感度の確認

7.1 感度調整及び警報レベルの設定

  各探傷作業の開始時に行う装置の感度調整は,製品規格又は受渡当事者間の協定によって規定された許
容レベルの人工きずから,常に(例えば,装置に3回連続して対比試験片を通す。),明瞭に識別できる信
号が得られなければならない。これらの信号は,装置の警報が作動するように用いられなければならない。

7.2 感度確認時の探傷速度

  感度確認中の対比試験片と検出センサとの相対的な速度は,鋼管を試験する時と同じでなければならな
い。
装置の感度の確認は,同じ材質,公称寸法,表面状態及び熱処理状態の鋼管の試験中に,7.1で用いた対
比試験片を装置に通過させて行わなければならない。

7.3 感度の確認頻度

  感度の確認は,少なくとも8時間ごとに行い,更に作業(同一設定条件下での作業)ごと及び鋼管の検
査作業の開始及び終了時に行う。
なお,感度の確認は,製品規格の規定又は受渡当事者間の協定によって4時間ごと又は10本ごとのいず
れか長い時間ごとに行ってもよい。
注記 ISO 10893-3では,感度の確認は,4時間ごとに行うことを要求している。

7.4 再感度調整

  装置は,感度調整時に用いたパラメータが変更された場合には,再感度調整をしなければならない。

7.5 再試験

  製造中の感度の確認で,感度調整の要求に満足しない場合(規定された人工きずからの信号が警報レベ
ルに達しない場合)には,直前の装置の感度調整以降に試験をした全ての鋼管は,装置を再感度調整した
後,再試験を行わなければならない。

8 結果の判定

8.1 結果の判定

  結果の判定は,次による。
a) 警報レベルより低い信号の鋼管は,検査を合格したとみなす。
b) 警報レベル以上の信号を発した鋼管は,嫌疑材とするか,製造業者の判断で再検査をしてもよい。再
検査において,信号が警報レベルより低い場合は,その鋼管を合格したものとみなし,警報レベル以
上の信号を発した鋼管は,嫌疑材とする。
注記 ISO 10893-1及びISO 10893-3では,警報レベルを超える信号を発した鋼管は,2回の再検査
で合格になった場合だけ,その鋼管を合格とみなすこととしている。

8.2 嫌疑材の処置

  嫌疑材は,製品規格の規定のない限り,次の一つ又はそれ以上の処置を行わなければならない。
a) 嫌疑部分を適切な方法で,研削又は切削し,鋼管の残厚さが許容値内であることを確認した後,前に
設定した同じ探傷条件で鋼管を検査しなければならない。警報レベル以上の信号がない場合には,合
格とする。
嫌疑部分を,もとの検査と同等以上の他の非破壊試験法(NDT方法),試験方法(NDT技法)及び
許容レベルで検査をしてもよい。
b) 嫌疑部分を切り捨てる。製造業者は,全ての嫌疑部分が,完全に除去されたことを確認しなければな

――――― [JIS G 0586 pdf 9] ―――――

8
G 0586 : 2012
らない。
c) 鋼管を不合格とする。

9 検査報告

  注文者の指定がある場合には,製造業者は,次の中から必要事項を選択し検査報告書を注文者に提出し
なければならない。
a) この規格によって試験した旨の表示
b) 検査年月日
c) 検査技術者
d) 鋼管の種類の記号
e) 鋼管の寸法
f) 走査方法(センサ回転,管回転など)
g) 探傷条件[磁化電流(交流,直流)区分,探傷速度など]
h) 許容レベル及び対比試験片1)
i) 検出センサの種類
j) 検査結果
k) 協定などによったこと
注1) 人工きず種類を表す記号として,次を用いてもよい。
ドリル穴 : D,角溝 : N

――――― [JIS G 0586 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS G 0586:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10893-1:2011(MOD)
  • ISO 10893-3:2011(MOD)

JIS G 0586:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 0586:2012の関連規格と引用規格一覧