JIS H 1123:2021 鉛地金の光電測光法による発光分光分析方法 | ページ 2

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c) 研磨するとき,軟質の試料の場合は,研磨材の食い込みによる汚染をしないように注意する。
d) 試料に付着した油脂類は,清浄な溶媒で十分に洗浄する。
e) 対電極を用いる方法では,電極材質,直径及び長さを合わせ,先端が同じ形状になるように加工成形
する。
f) 棒状試料及びその対電極の放電面の成形は,平滑さなどが同じになるように加工する。特に,棒材の
湾曲は,放電面成形前に真直にしておく。

9.2 分析試料の調製

  分析試料(8.1参照)の調製は,次のいずれかによる。
a) 平面状試料の調製 平面状試料の調製は,次による。
1) 採取 試料の採取は,通常,一溶湯ごとに必要量を採取し,金属製鋳型に注入して鋳造試料を採取
する(図1参照)。鋳込むときには,乾燥した清浄な鋳型を用いる。
2) 成形 あらかじめエタノールなどによって清浄にした切断·切削·研磨用機械を用いて,鋳造試料
の底面を厚さ1 mm3 mm切断して除去し,平面部の直径20 mm以上,厚さ5 mm以上の平面状に
成形する。ただし,鋳造試料は,エタノールなどによって清浄にした後,酸化しないように成形す
る。
単位 mm
図1−金属製鋳型の例(皿型)
b) 棒状試料の調製 棒状試料の調製は,次による。
1) 採取 試料の採取は,地金又は製品を抜き取り,外観が異常のない部分を採取する。

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2) 成形 あらかじめエタノールなどによって清浄にした切断·切削·研磨用機械を用いて,棒状(縦
及び横がそれぞれ5 mm以上,長さ50 mm以上)に切り取る。

9.3 検量線作成用試料の調製

  検量線作成用試料(8.2参照)の調製は,分析試料中の定量元素含有率を内挿する濃度範囲において,定
量元素の含有率が適切な間隔を保つように数個の試料を鋳造し,9.2によって一系列の検量線作成用試料を
調製する。
これらの検量線作成用試料中の定量元素含有率は,JIS H 1121によって求める。検量線作成用試料とし
て,分析の目的に合致する認証標準物質(CRM)又は標準物質(RM)を用いてもよい。
なお,検量線作成用試料の形状は,分析試料の形状と同じでなければならない。

9.4 検量線校正用試料の調製

  検量線校正用試料(8.3参照)の調製は,9.2による。これらの検量線校正用試料中の定量元素含有率は,
JIS H 1121によって求める。
なお,検量線作成用試料を使用してもよい。

10 操作

  操作は,次のいずれかによる。
a) 発光強度比法による場合 発光強度比法は,鉛を内標準元素として,次による。
1) 9.2によって調製した分析試料及び対電極[箇条7 a)参照]を電極支持台に保持する。
2) あらかじめ定めた発光条件で,高圧交流アーク又は高圧整流スパークを発生させる。
なお,あらかじめSN比が大きく,繰返し精度の良い発光条件を選定しておく。発光条件の例を
表2に示す。
表2−発光条件の例
項目 例1 例2
分光器 パッシェンルンゲ形,焦点距離 : 1.0 m
パッシェンルンゲ形,焦点距離 : 0.75 m
入口スリット幅 25 μm 30 μm
出口スリット幅 50 μm 50 μm
測光法 光電測光 光電測光
励起電源装置 高圧交流アーク法 高圧整流スパーク法
二次電圧 5 kV 10 kV
二次電流 0.8 A1.2 A −
対電極 黒鉛 タングステン
分析間隙 2 mm 5 mm
雰囲気 大気 アルゴン(流量 : 5 L/min)
予備放電時間 5s 10 s
積分時間 20 s 15 s
3) 定量元素及び鉛の発光強度を測定し,内標準元素(鉛)に対する定量元素の発光強度比を求め,発
光強度測定値とする。
なお,あらかじめ他元素のスペクトル線,バンドスペクトルなどの影響が少なく,SN比が大きく,
繰返し精度の良い分析線及び内標準線を選定しておく。分析線及び内標準線の例を表3に示す。

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表3−分析線及び内標準線の例
単位 nm
元素 分析線の波長 内標準線の波長
銀 338.28 −
銅 324.75 −
ビスマス 306.77 −
アンチモン 231.14 −
ひ素 234.98 −
すず 317.50 −
鉄 259.94 −
亜鉛 213.85 −
鉛 − 322.05,247.63
b) 発光強度法による場合 発光強度法は,次による。
1) ) 1)に規定する操作を行う。
2) ) 2)に規定する操作を行う。
3) 定量元素の発光強度を測定し,発光強度測定値とする。
なお,あらかじめ他元素のスペクトル線,バンドスペクトルなどの影響が少なく,SN比が大きく,
繰返し精度の良い分析線を選定しておく。分析線の例を表3に示す。

11 検量線の作成

  検量線の作成は,次のいずれかによる。
a) 試料の操作を箇条10 a)によって行う場合 試料の操作を箇条10 a)によって行う場合は,次による。
1) 9.3によって調製した検量線作成用試料のそれぞれ及び対電極[箇条7 a)参照]を電極支持台に保持
する。
2) 箇条10 a)の2)及び3)によって試料と同じ操作を試料と併行して行い,鉛に対する定量元素の発光強
度比を求める。
3) 2)によって得た発光強度比と検量線作成用試料中の定量元素含有率との関係線を作成して,検量線
とする。
4) 既に作成した検量線がある場合は,検量線含有率範囲の上限及び下限付近を含む2個以上の検量線
作成用試料又は9.4によって調製した検量線校正用試料を用いて,2)によって発光強度比を求め,
この値を用いて装置の時間的変動による検量線のずれを補正した検量線を用いてもよい。
b) 試料の操作を箇条10 b)によって行う場合 試料の操作を箇条10 b)によって行う場合は,次による。
1) ) 1)によって操作を行う。
2) 箇条10 b)の2)及び3)によって試料と同じ操作を試料と併行して行い,定量元素の発光強度を求め
る。
3) 2)によって得た定量元素の発光強度と検量線作成用試料中の定量元素含有率との関係線を作成して,
検量線とする。
4) 既に作成した検量線がある場合は,検量線含有率範囲の上限及び下限付近を含む2個以上の検量線
作成用試料又は9.4によって調製した検量線校正用試料を用いて,2)によって定量元素の発光強度
を求め,この値を用いて装置の時間的変動による検量線のずれを補正した検量線を用いてもよい。

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12 計算

  計算は,次のいずれかによる。
a) 試料の操作を箇条10 a)によって行う場合 箇条10 a) 3)によって得た内標準元素(鉛)に対する定量
元素の発光強度比及び箇条11 a)で作成した検量線によって,試料中の定量元素含有率を求める。
b) 試料の操作を箇条10 b)によって行う場合 箇条10 b) 3)によって得た定量元素の発光強度及び箇条11
b)によって作成した検量線によって,試料中の定量元素含有率を求める。

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附属書A
(規定)
発光分光分析装置
A.1 装置
A.1.1 装置の概要
発光分光分析装置は,励起電源装置,光源装置,集光装置,分光器及び測光装置からなるものとする。
励起電源装置では,試料の励起源を光源装置に供給して発光させる。集光装置では,この光を集光して分
光器に導く。分光器では,入射した光を各元素のスペクトル線に分光して受光装置で受ける。測光装置で
は,受光装置に入射した各元素のスペクトル線強度を光電的に測定して,指示·記録又はその測定値を各
元素含有率に換算して表示する。
A.1.2 装置の構成
装置は,次の単位装置で構成する。その一例を図A.1に示す。
図A.1−発光分光分析装置構成図の一例
a) 励起電源装置 試料を放電によって蒸発気化して励起発光させるための電力を光源装置に供給可能な
もので,次のいずれかを用いる。
1) スパーク電源装置
1.1) 直流高圧スパーク(DC HVS)電源装置 高圧変圧器で電圧を約10 kV以上に上げ,整流管又は整
流器で整流してコンデンサに充電し,これを同期回転断続器で順次放電することが可能な装置。
1.2) 交流高圧スパーク(AC HVS)電源装置 高圧変圧器で電圧を約10 kV以上に上げ,コンデンサに
充電して,分析間隙と直列若しくは並列に配列した制御間隙,又は直列に配列した同期回転断続

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