JIS K 0117:2017 赤外分光分析通則 | ページ 3

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1 ハンドル

2 圧縮棒

3 基台

4 上部ダイス

5 錠剤枠

6 下部ダイス
b) 簡易形錠剤成型器の例
図6−錠剤成型器の例(続き)
b) 偏光附属装置 偏光測定を行うため,赤外線に偏光特性をもたせる附属装置。延伸したフィルムのよ
うな配向特性をもった試料の配向解析,金属表面の薄膜などの測定に用いる高感度反射法などで使用
する。
赤外領域で使用する偏光子には,赤外線透過材料の表面に細いワイヤーグリッドを付けたもの,赤
外線透過材料の表面に山形の刻線を施し,片斜面に金属を蒸着したものなどが用いられる。偏光面が
変えられるように回転機構をもったものが一般的である。
c) 液体セル 液体試料を測定するために使用するセル。2枚の赤外線透過性の窓板材の間に液体試料を
サンドイッチ状に挟んで透過測定を行うためのセル。窓板材の間にスペーサーを挟み光路長を長くす
ることができ,試料の吸収強度を増大させることができる。また,あらかじめスペーサーが組み込ま
れ,光路長が固定された液体セルがある。窓板材としてハロゲン化アルカリ,KRS-5(よう化タリウ
ムと臭化タリウムとの混晶体),セレン化亜鉛などがある。ハロゲン化アルカリは水に溶解するため,
水を含んだ試料には適さない。このような場合には,難水溶性のKRS-5,水に溶けないセレン化亜鉛
などの窓板材を用いる。
図7に液体セルの一例を示す。

1 下部セル金具

2 窓板

3 スペーサー

4 上部セル金具

5 止めねじ
組み立てた液体セル 分解した液体セル
図7−液体セルの一例
d) ガスセル ガス試料を測定するために使用するセル。

――――― [JIS K 0117 pdf 11] ―――――

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ガラス製又は金属製のきょう(筐)体にガス試料の導入及び排出のためのコックを取り付け,きょ
う(筐)体の両側に赤外線透過性の窓板材を取り付けたセル。光路長は50 mm100 mmが一般的で
ある。測定は大気圧下で行うこともできるが,高分解測定を行う場合は,気体分子間の相互作用の影
響を避けるために試料を減圧して測定することが望ましい。
図8にガスセルの一例を示す。

1 保護管

2 コック付き吸排気弁

3 きょう(筐)体

4 ガスケット

5 窓板

6 Oリング

7 キャップ
図8−ガスセルの一例
e) 多重反射ガスセル 低濃度のガス成分を測定するため,多重反射を用いて光路長を長くしたガスセル。
ガスセルの内部に反射鏡を組み込み,セルの中で赤外線を多重反射させることによって光路長を長
くしたガスセル。光路長は数メートルから数十メートルのものが一般的である。低濃度ガス成分の測
定に用いる。図9に多重反射ガスセルの一例を示す。

1 コック付き吸排気弁

2 凹面鏡

3 窓板
図9−多重反射ガスセルの一例
f) 温度可変セル 試料を加熱又は冷却して,赤外スペクトルを測定するためのセル。定温又は温度を変
化させながら試料の赤外スペクトルを測定するときに使用する加熱又は冷却が可能なセル。

――――― [JIS K 0117 pdf 12] ―――――

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g) TR測定附属装置 試料表層部の測定又は非常に強い吸収をもつ試料の測定を行うために用いる附
属装置。
赤外線透過性の高屈折率媒体に試料を密着させ,臨界角以上の入射角で赤外線を高屈折率媒体から
入射させると,高屈折率媒体と試料との界面で赤外線が全反射する。全反射した赤外線は界面で試料
中にしみ出し(エバネッセント波),試料によって吸収されるが,全反射光を測定することによって試
料表層部の赤外スペクトルを測定することができる。しみ出し深さは,赤外線の波長,高屈折率媒体
及び試料の屈折率,入射角に依存し,低波数(長波長)域が高波数(短波長)域に比べて深くなり,
吸収強度も大きくなる。ATR法は,プラスチック,フィルム,ゴム,粉末,薄膜,液体試料などの測
定及び表層部の分析などに用いられる。赤外線透過性の高屈折率媒体として,セレン化亜鉛,ゲルマ
ニウム,ダイヤモンド,KRS-5(よう化タリウムと臭化タリウムとの混晶体)などが用いられる。
全反射の回数が1回のものと多数回のものとがある。また,高屈折率媒体への入射角が可変のもの
がある。図10に1回反射形ATR測定附属装置の一例を示す。

1 試料クランプ

2 試料

3 高屈折率媒体

4 平面鏡
図10−1回反射形ATR測定附属装置の一例
h) 拡散反射測定附属装置 粉末試料を錠剤に成型せずに測定するために用いる附属装置。粉末試料に赤
外線を入射させ,試料からの拡散反射光を測定する。ハロゲン化アルカリなどの赤外領域で吸収の少
ない粉末で試料を希釈することによって試料からの表面反射光の影響を抑えることができる。拡散反
射測定附属装置で測定した赤外スペクトルは,透過スペクトルに比べて微弱な吸収が強められる。ま
た,粉末試料の他に,圧力を加えることを避けたい試料,表面が粗な固体試料などの測定に使用する
こともできる。
図11に拡散反射測定附属装置の一例を示す。

――――― [JIS K 0117 pdf 13] ―――――

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1 試料

2 平面鏡

3 だ(楕)円面鏡
図11−拡散反射測定附属装置の一例
i) 反射測定附属装置 反射光を測定するための附属装置。反射測定には,樹脂などの平たん(坦)な試
料の表面で反射した赤外線を測定する正反射法,金属などの赤外線反射物質表面上に塗布されたコー
ティング材のように,入射した赤外線が試料を透過した後,赤外線反射面で反射し,再び試料を透過
して出射した赤外線を測定する反射吸収法,入射面と平行に偏光させた赤外線を70°85°の大きな
入射角で赤外線反射物質表面上の薄膜に入射させ,薄膜との相互作用を大きくさせて感度を高めて赤
外スペクトルを測定する高感度反射法がある。
1) 反射測定附属装置 正反射スペクトル測定及び反射吸収法による赤外線反射物質表面のコーティン
グ材などのスペクトル測定に用いる附属装置。偏光の影響を抑えるために入射角を10°程度に設定
した附属装置が多い。また,入射角を変えて反射スペクトルが測定できる附属装置もある。図12
に反射測定附属装置の一例を示す。

1 試料

2 平面鏡

3 球面鏡
図12−反射測定附属装置の一例
2) 高感度反射測定附属装置 金属などの赤外線反射物質表面上の薄膜などを高感度で測定するための

――――― [JIS K 0117 pdf 14] ―――――

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反射測定附属装置。入射面と平行に偏光させた赤外線を70°85°の大きな入射角で赤外線反射物
質表面上の薄膜に入射させ,その反射スペクトルを測定する。無偏光の赤外線を試料に入射させ,
試料からの反射光を偏光子に導く場合もある。図13に高感度反射測定附属装置の一例を示す。

1 平面鏡

2 試料

3 偏光子
図13−高感度反射測定附属装置の一例
j) 放射測定附属装置 加熱された試料のふく(輻)射スペクトルを測定するために用いる附属装置。試
料を加熱するための加熱炉,黒体炉,温度コントローラなどから構成されている。一般的には,黒体
からのふく(輻)射を基準とし,そのふく(輻)射と試料からのふく(輻)射との比を計算してスペ
クトルを求める。フーリエ変換形赤外分光光度計(FTIR)と組み合わせて使用する場合は,導入光学
系を使って黒体炉及び試料からのふく(輻)射をFTIRの干渉計に導入し干渉させて検出する。図14
に放射測定附属装置の一例を示す。

1 黒体炉

2 切替ミラー

3 試料加熱炉

4 試料
図14−放射測定附属装置の一例
k) 光音響測定附属装置 試料に振幅変調させた光を照射して,試料内に生じた周期的な熱変化を最終的
に圧力変化として検出する附属装置。試料の形状に依存せず,前処理なしで測定できる。赤外線が透
過又は反射しないような試料でも測定できる。熱が物質内を拡散するとき,その距離の指標となる熱
拡散長は入射光の変調周波数の関数として表される。変調周波数はフーリエ変換形赤外分光光度計の
移動鏡の速度と関係付けられ,移動鏡の速度を変えることによって試料の異なった表面深さのスペク
トルを得ることができる。図15に光音響測定附属装置の一例を示す。

――――― [JIS K 0117 pdf 15] ―――――

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