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K 0129 : 2005
ai) 平均線膨張係数 (mean coefficient of linear(thermal) expansion) 試料の温度がT1からT2に変化したと
き,一軸方向の長さがl1からl2に変化したとすると,変化した長さ(l2−l1)を室温又は0 ℃における試
料の長さ(l0)及び温度差(T2−T1)で除した値。平均熱膨張係数,線熱膨張係数,平均線膨張率ともいう。
l2 l1
T2 T1 (3)
l0 T2 T1
ここに, αT2-T1 : 平均線膨張係数
T1,T2 : 試料の温度
l1 : 温度T1のときの試料の長さ
l2 : 温度T2のときの試料の長さ
l0 : 室温又は0 ℃における試料の長さ
aj) 純度の計算 (purity determination) 試料中に含まれている不純物が微量の場合,DSCによって,試料
の純度をモル%又はモル分率で決定する計算。
ak) 反応速度論解析 (determination of reaction kinetics) 熱分析結果から反応速度論に従って,活性化エ
ネルギー,頻度因子などを求めるための計算。
al) 動的粘弾性測定 (dynamic mechanical analysis : DMA) 試料の温度を一定のプログラムによって変化
又は保持させながら,その試料の複素弾性率を温度又は時間の関数として測定する方法。
am) MA曲線 (DMA curve) 縦軸に複素弾性率,横軸に温度又は時間をとり,動的粘弾性測定において
得られる曲線。
an) 複素弾性率 (complex modulus) 試料に正弦波振動を加えた場合の複素応力振幅と複素ひずみ振幅と
の比。
ao) 貯蔵弾性率 (storage modulus) 複素弾性率の実数部。振動荷重に対する変形のしにくさを表す指標で
あり,振動周期を通じて試料に蓄積される最大エネルギーに比例する。
ap) 損失弾性率 (loss modulus) 複素弾性率の虚数部。振動の1周期の間に試料内で熱として散逸するエ
ネルギーに比例する。
aq) 損失係数(損失正接) (loss factor) 損失弾性率と貯蔵弾性率との比。振動応力に対する振動ひずみ
の位相の遅れをδ(デルタ)とすると,損失係数はtanδで表され,損失正接ともいう。
ar) 弾性 (elasticity) ひずみが応力に比例する性質。
as) 粘性 (viscosity) ひずみ速度が応力に比例する性質。
at) 粘弾性 (viscoelasticity) 粘性と弾性とを合わせもつ性質。
au) 弾性率 (modulus of elasticity) 応力とひずみとの比であり,所定形状の材料に一定の外力を加えたと
き,変形しにくさを表す指標。ヤング率,剛性率,体積弾性率などの種類がある。
av) ヤング率 (Youngs modulus) 伸び方向に荷重を加えたとき,試料に生じる応力とひずみとの比。縦
弾性率ともいう。
aw) 剛性率 (rigidity) ずれ方向の荷重を加えたとき,試料に生じる応力とひずみとの比。横弾性率ともい
う。
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4. 概要
熱分析は,広義には制御された条件下で温度,または又は時間の関数として物理量を測定する
一連の分析方法技法と定義される。しかしながら,通常は,質量,温度差,比熱容量,転移熱量,寸法変
化,粘弾性的諸量などが熱分析の対象とされている。すなわち,質量を測定する,熱重量測定分析(TG),
温度差を測定する,示差熱分析(DTA),熱容量及び転移熱量を測定する,示差走査熱量測定(DSC),寸法変
化などを測定する,熱機械分析測定(TMA)及び動的粘弾性を測定する,動的粘弾性測定(DMA)が熱分析の
範ちゅう疇にはいる。さらに,これらの方法技法が組み合わせた又は他の分析方法と組み合わせた各種の
同時分析方法技法,すなわち,熱重量−示差熱分析(TG-DTA),熱重量−/質量分析(TG/-MS),熱重量−/フ
ーリエ変換赤外分光分析吸収スペクトロメトリー(TG/-FTIR)などが使用されている。
5. 装置
5.1 装置の構成
熱分析装置は,温度制御部,加熱炉部,物理量測定・変換部,データ処理部及び制御
システム部で構成する。図1に,装置の基本構成の一例を示す。
データ処理部
温度制御部 加熱炉部 物理量測定・変換部
制御システム部
雰囲気調節部(1)
注(1) 熱分析装置の使用条件によっては,雰囲気調節部を使用することがある。
図 1 熱分析装置の構成(一例)
5.2 温度制御部
加熱炉温度を所定のプログラムによって変化させるように制御する部分で,通常温度
プログラム回路及び温度制御回路で構成する。
5.3 加熱炉部
試料の温度を上昇,下降又は等温保持させる装置で,通常,電気炉が使用される。赤外
線を利用する方式もある。
5.4 データ処理部
データ処理を行い,測定結果などを表示する。
5.5 制御システム部
最適な条件下で装置を使用するために,温度制御部,加熱炉部,物理量測定・変
換部などを制御する。
5.6 物理量測定・変換部
物理量を測定し,電気量に変換する。
5.7 雰囲気調節部
ガス容器,流量調節部,流量表示部及びガス切換え部で構成する。
5.8 装置の構成例
物理量によって,次のように分類される。
a) TA装置 試料(S)と基準物質(R)との間の温度差(T)及び試料の温度(TS)を測定して電気信号に変
換する測温部及び,その電気信号を増幅する増幅器で構成する。測温部としては,熱電対が使用され
ることが多い。図2に,DTA装置の構成の一例を示す。
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図 2 DTA装置の構成(一例)
b) SC装置 DSC装置には,次の二つの装置がある。
1) 入力補償DSC装置 試料(S)及び基準物質(R)の温度を測定する測温部,試料及び基準物質に加える
熱エネルギーの発生源並びに試料及び基準物質の温度が等しくなるように制御する熱量補償回路か
ら構成する。図3に,入力補償DSC装置の構成の一例を示す。
図 3 入力補償DSC装置の構成(一例)
2) 熱流束DSC装置 試料(S)と基準物質(R)との温度差及び試料の温度を測定する測温部並びにその電
気信号を増幅する増幅器から構成される。このとき,試料と基準物質との温度差は,単位時間当た
りの熱エネルギーの入力の差に比例する。図4に,熱流束DSC装置の構成の一例を示す。
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図 4 熱流束DSC装置の構成(一例)
c) G装置 試料の質量を温度又は時間に対して連続的に測定し,質量変化を電気信号に変換する天び
ん並びに,その電気信号を制御及び増幅する質量測定回路で構成する。TGは,DTAと同時に測定さ
れることが多く,TG-DTA装置という。図5にTG装置の構成の一例及び図6にTG-DTA装置の構成
の一例を示す。
天びん部
物理量測定
変換部
質量測定回路
データ処理
Ts測定回
測温部
制御システム
温度制御
試料部
加熱炉部
図 5 TG装置の構成(一例)
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加熱炉部
試料部 温度制御
R S
物理量測定
変換部
Ts測定回路
データ処理部
ΔT測定回路
質量測定回路 制御システム部
天びん部
図 6 TG-DTA装置の構成(一例)
d) MA装置 試料に加える荷重を発生させる荷重制御部,試料の寸法又はその変化量を伝達させるプ
ローブ,プローブの移動を電気量に変換する変位測定部などから構成する。プローブには,次のもの
がある。
1) 膨張測定用プローブ
2) 針入測定用プローブ
3) 引張測定用プローブ
4) 曲げ測定用プローブ
図7に,荷重制御部として電磁コイルを,変位測定部として差動トランスを用いたTMA装置の構成の
一例を示す。
――――― [JIS K 0129 pdf 10] ―――――
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JIS K 0129:2005の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 0129:2005の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0215:2016
- 分析化学用語(分析機器部門)
- JISK7115:1999
- プラスチック―クリープ特性の試験方法―第1部:引張クリープ
- JISK7121:1987
- プラスチックの転移温度測定方法
- JISK7161:1994
- プラスチック―引張特性の試験方法 第1部:通則
- JISK7244-1:1998
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第1部:通則