JIS K 0144:2018 表面化学分析―グロー放電発光分光分析方法通則 | ページ 2

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K 0144 : 2018 (ISO 14707 : 2015)
図1−GD-OESの模式図

5 装置

  装置は,少なくとも次の要素で構成されている。

5.1 グロー放電発光源

  グリムタイプのグロー放電発光部の概略を,図2に示す。発光部には幾多の改良がなされてきた。箇条
4で示すように,試料は陰極として用いられる。陽極は,内径が1 mm10 mmで,代表的には4 mmの管
状のものである。陽極の先端面と陰極表面との間の距離は,一般に0.1 mm0.3 mmである。このため,
イオンスパッタは,陽極の内径にほぼ等しい直径をもった試料表面の円状の領域に限られる。
グロー放電発光源を操作するためには,幾つかの周辺機器が必要になる。周辺機器は,電源,一つ又は
二つの真空排気系,プラズマガス供給源及び制御した方法でガスを導入する器具,並びに真空計からなっ
ている。冷却水を循環させた金属ブロックなどの冷却機構が,薄い試料に対して必要になる場合がある。

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図2−グロー放電源の一例(グリム円筒状の陽極)
a) 放電源パラメータ グロー放電装置は,直流(DC)又は高周波(RF)モードで動作させることがで
きるもの。また,直流電圧に高周波電圧を重ね合わせるなど,二つのモードの組合せも報告されてい
る。直流及び高周波電力モードの両方において,パルス放電も印加電力を周期的に開閉するために用
いられている。
1) 直流電源では,電気的パラメータとして放電電流(1 mA200 mA)及び電圧(200 V2 000 V)が
適切である。電気的パラメータのほかに,機器の特性に対して他のパラメータも重要である。それ
らは,陽極の内径(1 mm10 mm),ガスの種類及び純度(例えば,99.999 %以上のアルゴン),ガ
ス流量及び圧力(100 ml/min500 ml/min,100 Pa1 500 Pa),並びに試料の物理的性質(例えば,
二次電子放出効率,スパッタリング収率)である。これらの全ての因子の複合的な効果によって,
グロー放電の分光化学的な特性が決まる。一般に,一定の電圧及び電流を得るために,ガス流量は
実時間とともに変えることを推奨する。例として,低合金鋼の直流のGD-OESバルク分析に対する
典型的な操作条件は,内径4 mmの陽極を用いた場合,アルゴン流量は250 ml/min,放電電圧は600
V1 000 V,放電電流は20 mA60 mAである。スパッタリング速度は,与えられた条件下で20 nm/s
160 nm/sに変化し,代表的な値は100 nm/sである。
注記 放電ガス流速が放電源の操作圧力を制御する実際的な方法であると考えられているが,そ
の推奨範囲は,放電源ごとに異なる特有のものである。ここでは,グリムランプについて
言及している。
2) 高周波グロー放電の典型的な条件は,直流と同じ範囲のアルゴン流量及び直流と類似した放電の電
力及び電圧である。GD-OES装置の電気的なパラメータとして,進行電力及び反射電力,実効電圧

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(RMS),又は高周波波形のピーク電圧・電流を測定することに留意することが重要である。導電
性試料がスパッタリングされた場合,直流バイアスと呼ばれる平均電圧を測定することができる。
電力測定において,入射電力は高周波電源によってグロー放電システムに供給された進行電力であ
ることを理解しなければならない。電源ケーブル,冷却システムなどの電力損失,及びプラズマイ
ンピーダンスの不完全な整合に起因する反射電力のために,実効電力は供給電力よりも低く,実効
電力が実際にはグロー放電内部で消費されることを意味している。プラズマ点火前に,電力損失を
自動測定するためのシステムを採用することができる。この値は,測定中に入射電力から差し引か
れ,かなり正確な値で実効電力を測定できる。同様に,電圧/電流の測定においても,プラズマ中
の実効的な放電電圧/電流を正確に表していない場合がある。高周波電源は,いずれの場合におい
ても,通常3 MHz41 MHzの間である。一般的な固定周波数は,国内及び国際的な規制を遵守す
るために,6.78 MHz又は13.56 MHzである。
導電性の試料以外に,高周波GD-OESによって,非導電性の試料の分析も可能である。非導電性
の試料表面をスパッタする速度は,一般に,1 nm/s50 nm/sの範囲である。導電性基板上の非導電
性層も測定対象となる場合がある。これらの試料に対して,印加する高周波電圧は,用いる装置に
よっても異なるが,一般に導電性試料の場合よりも高くなる。
3) 直流及び高周波電力モードの両方において,スパッタリング速度を制御して高分子フィルムなどの
表面皮膜の損傷を低減するために,パルス放電が用いられる。パルス放電の周波数及びデューティ
ー比は分析対象試料に応じて決定するのが望ましい。それらの代表的な値は,それぞれ100 Hz300
Hz及び20 %である。
b) 放電源及び分光器のインタフェース 励起した試料の原子から放出される光は,レンズ又はミラーを
介して分光器の入口スリットへ導かれる。200 nmより短い波長をもった光(すなわち,真空紫外光)
を用いる場合には,グロー放電源から検出器までの全体の光学的な経路から酸素分子を十分に排除し
なければならない。これは,酸素分子が200 nmより短い領域に非常に強い吸収帯をもつからである。
窒素(又はアルゴン)などの適切な純ガスで系を置換することによって,又は約1 Pa以下の圧力に光
学経路を真空排気することによって,酸素を光学系から取り除くことができる。放電源と分光器とを
分離する窓(レンズ)を定期的に清掃しなければならない。

5.2 光学系

  一般的な装置は,分析元素に対応した固定チャンネルをもった多元素同時検出型分光器(例えば,ポリ
クロメータ)を装備している。また,走査型分光器(モノクロメータ)を多元素同時検出型分光器と併用
することも一般的に行われている。多元素同時検出型分光器又は走査型分光器のいずれにおいても,スペ
クトルバンドパス,すなわち,分光器の有効スペクトル分解能は,装置の回折格子の分散と幾何学的スリ
ット幅とで決まる。

5.3 光電検出器及び測定装置

  多くのグロー放電分光器は,信号検出のための光電子増倍管を備えている。最適な性能,すなわち,信
号強度,感度及び検出能を達成するには,低暗電流及び最大量子効率をもつ光電子増倍管が必要である。
さらに,非線形応答及びその飽和を避けるために,光電子増倍管のゲインを正しく選択しなければならな
い。この光電子増倍管のゲインは,分析種の濃度が異なる試料群を用いて,最も低濃度でも十分な感度が
得られ,一方最も高濃度でも検出器の飽和が起きないように調整する。電荷結合素子(CCD),電荷注入
素子(CID)などのアレイ型検出器は,広範囲なスペクトル線を同時検出するために使用される。データ
の保存及び評価のためには,増幅された検出器の出力をアナログ/デジタル変換器によってデジタル化し,

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コンピュータに転送する。

6 手順

6.1 装置の検定

6.1.1  一般事項
可能な限り最良の分析結果を出すためには,分光器及びそのシステムに接続する全ての装置の性能を検
定することが必要である。装置納入の際に機器製造業者による検定がなされていない場合は,自ら検定を
行う必要があるとともにその後も,定期的検定を行う必要がある。検査すべき主な部分は,グロー放電源,
光学系及び電気測定装置である。
6.1.2 グロー放電源
適切な放電発光源パラメータ[5.1 a) 参照]及び試料(例えば,鉄鋼試料)を使って,次の事項を確認
しなければならない。
a) 対象となるスペクトル線と連続バックグラウンド又はプラズマガス線との強度比で評価した放電中の
スパッタリング及びプラズマ状態の安定性
b) 選択した試料による一定の放電条件下でのスパッタリング速度
c) ガスの品質及び真空システムの気密性
d) 陽極部の状態(例えば,陽極の先端面と試料表面との間隔)
6.1.3 光学系及び電気測定装置
次の事項について検定しなければならない。
a) 入射レンズで結像したグロー放電像を用いる分光器の入口スリットの位置合わせ。
b) 適切な試料(例えば,低合金鋼試料)による使用する波長の範囲における分光器のスペクトル分解能,
並びに波長調整の精確さ及び安定性。
c) 適切な時間にわたっての測定における,グロー放電をオン・オフしたときの検出器の読み出しの安定
性。

6.2 分析方法

6.2.1  一般事項
検出限界,精確さ及び再現精度に対するグロー放電分光法の十分な分析能力を得るために,測定は適切
な放電条件下で行わなければならない。その適切な条件は,分析する試料の種類によっても異なるが,次
に記載する指針に従って分析する必要がある。
GD-OESによる定量分析は,6.2.26.2.4の手順で行う。
6.2.2 校正用試料の準備
校正手順の信頼性によって,得られる分析結果の精確さが決まる。発光分光分析では,既知の組成の校
正試料を使用することが必要である。認証標準物質を使用することが望ましいが,標準物質も許容される。
校正試料の化学組成又は冶金履歴は,測定対象試料にできる限り類似していなければならない。分析元素
のスパッタリング速度と発光強度とを分析成分濃度の関数として求めるために,校正試料を用いる。
深さプロファイルの定量化のための校正試料の組成は,必ずしも表面組成によく似ている必要はないが,
スパッタリング速度が再現性よく決められるものでなければならない。詳細は,ISO 11505:2012による。
校正試料の形状及び寸法は,放電源の形状仕様によって異なる。試料は平らで,真空用シール材の接触
面を覆うのに十分な大きさでなければならない。さらに,その表面はよい真空を得るために滑らかで陽極
との間隔が適切な位置であることが必要である。正常な放電を持続するには,陽極の内壁及び先端面の試

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料蒸着物は,清掃器具によって定期的に取り除かなくてはならない。このため,リーマが通常使用される。
測定中に問題が起こらないように,適切な校正試料を用いて次の事項を調べておかなくてはならない。
a) 定量する分析元素の濃度範囲
b) 試料又は放電ガスに起因するスペクトル線干渉の有無
c) バックグラウンド発光及びその時間的ゆらぎの寄与
d) 深さプロファイルに対しての適切なスパッタリング速度及びデータ取込み速度
6.2.3 測定系の最適化
一般に,機器製造業者が作成した操作手順書には,校正試料を用いて装置立上げのために行う様々な操
作が明記されている。通常,次の事項を明示する。
a) グロー放電部への試料の装着及び放電源を1 Pa程度まで真空排気する。
b) 適正な放電条件(例えば,ガス流量,圧力)を設定する。
c) 分析元素の波長を選択する。
d) 信号強度の最適化のために,測定パラメータ(検出器のゲイン,積分時間など)及び放電パラメータ
(直流モードでは放電電圧及び電流,高周波モードでは電力など)を調整する。
e) グロー放電を開始し,選択した条件で試料を分析する。
それぞれのスペクトル線及び元素について,検量線を作成する。検量線は,バルク分析又は深さプロフ
ァイル測定に応じて,機器製造業者が推奨する適切なモデルによって作成する。自己吸収によって校正曲
線が非線形となった場合は,必要に応じて,他のスペクトル線を選ばなければならない。他の分析対象元
素からのスペクトル線の干渉がある場合は,機器製造業者から提供される方法に従って検量線を補正しな
ければならない。
6.2.4 測定結果の検証
GD-OESにおける分析結果の信頼性は,次に記載する方法に従って明確に検証することが求められる。
a) 少なくとも一つ以上の標準物質を基準として,分析結果の妥当性を検証することが望ましい。すなわ
ち,GD-OESで定量した分析元素の含有量が,適正な統計誤差の範囲内でその標準値と一致する必要
がある(JIS Z 8402-1,JIS Z 8402-2,JIS Z 8402-3及びJIS Z 8402-4参照)。
b) 実際の分析を行う場合は,GD-OESで定量した試料の分析対象元素の含有量は,GD-OES以外の分析
方法で求めた分析結果と比較することが望ましい。この場合の他の分析方法としては,測定対象とな
る試料の分析元素及びマトリックス組成を勘案して,信頼性の高い分析結果を得ることができると一
般に認められているものを使用することが理想的である。二つの分析方法で得られた結果を比較する
場合には,個々の分析方法における繰返し精度(併行精度)及び再現精度について特に留意するのが
望ましい(JIS H 8501,JIS Z 8402-1,JIS Z 8402-2,JIS Z 8402-3及びJIS Z 8402-4参照)。
6.2.5 報告書
GD-OESにおいては,測定に使用した次の実験条件(パラメータ)を記録しておき,かつ,分析結果を
報告するときにはこれらを付記することが望ましい。
a) 励起源の種類(直流又は高周波)
b) 直流励起源の場合,放電電圧及び電流
c) 高周波励起源の場合,印加電力,反射電力及び周波数(可能な場合,実効電力,並びに導電性の試料
の測定の場合は実効電圧及び直流バイアス電圧)
d) 放電ガスの種類及び純度
e) ガス流量

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JIS K 0144:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 14707:2015(IDT)

JIS K 0144:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 0144:2018の関連規格と引用規格一覧