JIS K 5603:2017 塗膜の熱性能―熱流計測法による日射吸収率の求め方 | ページ 2

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両表面の温度差によって通過する熱量(QW)は,照射日射侵入熱量(Qη)に等しく,式(4)となる。
Qη QW (4)
塗膜の日射侵入比(ηp)は,照射日射侵入熱量(Qη)と照射日射熱量(QSolar)とで,式(5)によって求め
られる。

P (5)
QSolar
照射日射がある場合の試験体の熱移動の内訳は,図1を参照する。
QSolar
塗膜 QCV Qr 熱流計
QW
屋外側仕切板
基材 加熱・冷却熱板
図1−試験体の熱移動の内訳

6 測定装置

6.1 測定装置の構成

  測定装置は,日射照射装置,恒温室及び計測ユニットで構成する。日射照射装置で射出された光は,光
導入窓及びバッフル板を通過し,試験体に照射される。試験体に吸収された熱は,熱流計及び熱流計と熱
抵抗が同等な補助板を移動し,加熱・冷却熱板に吸収される。測定装置の全体構成は,図2を参照。
日射照射装置
光導入窓
恒温室
バッフル板(高透過ガラス)
屋外側流路 試験体 気流発生装置
屋外側仕切板
計測ユニット
補助板
熱流計 加熱・冷却熱板
図2−測定装置の全体構成

6.2 日射照射装置

  日射照射装置に用いる光源は,JIS C 8904-9に規定する等級B-B-B以上のキセノンランプ又はメタルハ
ライドランプを用い,次による。

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a) 最大入射角 試験体への最大入射角は,10°以内とする。
b) 有効照射面 有効照射面の幅は,試験体幅(WW)の寸法の105 %以上となるようにする。

6.3 恒温室(屋外側流路)

  屋外側流路を模擬した恒温室は,光導入窓,バッフル板,気流発生装置などで構成し(図2参照),次に
よる。
a) 光導入窓 屋外側流路を通して試験体に照射光を入射するために光導入窓を設置する。
b) バッフル板 高透過ガラス製とする。高透過ガラスの仕様は,次による。
1) IS R 3106による日射透過率が88.0 %以上のもの。
2) IS R 3106の付表2(日射透過率,日射反射率及び日射吸収率を計算するための重価係数)の波長
のうち,3802 100 nmの範囲で分光透過率の最大値と最小値との差が0.05以下のもの。
c) 気流発生装置 バッフル板と試験体との間の屋外側表面熱伝達率を維持するために,バッフル板と試
験体との間に平行流となる気流を与えることができる,温度制御のためのファン・ヒーターを附属し
たもの。
d) 屋外側流路の底面及び側面 屋外側流路の底面及び側面の表面の色は黒とし,JIS K 5600-4-5によっ
て測定したときL*は10以下とする。

6.4 計測ユニット

  計測ユニットは,熱流計,室内側を模擬した加熱・冷却熱板,補助板などで構成し(図2参照),次によ
る。
a) 熱流計 試験体の裏側中央には,JIS A 1412-2の附属書C(熱流計の校正及び装置の設計)及び附属
書D(熱流計)に規定する熱流計を用いる。熱流計は,試験体の裏側中央に貼付する。また,熱流計
の周囲には補助板を貼付する。
b) 加熱・冷却熱板 加熱・冷却熱板は,次による。
1) 作用面の温度分布は,0.5 ℃以内とする。
2) 作用面は,熱伝導率の大きな金属で,真の平面に対して0.025 %以内の平面度で仕上げる。
c) 温度センサ JIS C 1602に規定するT熱電対と同等なものとするが,素線径は,0.2 mm以下とする。
表面温度を測定する場合は,熱電対は接着剤又は粘着剤を用いて貼付する。
なお,空気温度の測定には,素線径0.32 mmの熱電対を用いてもよい。
d) 放射強度計 サーモパイル式放射強度計を用いる。
e) 補助板 熱流計と熱抵抗が同等なものを用いる。

7 試験方法

7.1 サンプリング

  サンプリングは,JIS K 5600-1-2による。

7.2 試験用試料の検分及び調製

  試験用試料の検分及び調製は,JIS K 5600-1-3による。

7.3 試験の一般条件

  試験の一般条件は,次による。
a) 試験の場所 養生及び試験を行う場所は,JIS K 5600-1-6の4.1[標準条件(可能な場合常に使用する
べき条件)]に規定する標準条件[温度23±2 ℃,相対湿度(50±5)%]で,直射日光を受けず,養
生及び試験にガス,蒸気,ほこりなどによる影響がなく,通風の少ない室内とする(以下,標準状態

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という。)。
b) 試験体の作製 基材に試験用塗料を塗って乾燥したものを試験体とし,試験体の枚数は,1枚とする。
試験体の作製は,次による。
1) 基材 試験体に用いる基材は,寸法180 mm×180 mm×1 mmの黒色塗装したアルミニウム板を用い
る。
基材の仕様は,表2による。
表2−基材の仕様
構成 項目 仕様
被塗物 アルミニウム板 JIS H 4000に規定するアルミニウム 99.50 %以上のアル
ミニウム板(A1050P H24,厚さ1.0 mm)
黒色塗装 塗料用顔料 カーボンブラック(CAS番号1333-86-4)
日射反射率(3002 500 nm) 10 %以下(JIS K 5602)
修正放射率 0.88±0.02
(JIS R 3106の箇条7及びJIS R 3107の付表1)
乾燥膜厚 20±5 μm
表面粗さ Rzjis 2 μm以下
表面の色(L*) 10以下(JIS K 5600-4-5)
2) 塗装及び乾燥 製造業者の定める塗装仕様によって,基材に試験用塗料を塗装し,その後,標準状
態で7日間乾燥する。ただし,塗装仕様に塗装方法(必要な場合,下塗り及び中塗りを含む),塗料
のうすめ方,乾燥膜厚及び塗付け量及び乾燥方法(下塗り又は中塗りの塗装間隔を含む)が示され
た塗料を用いる。また,受渡当事者間の協定がある場合は,乾燥期間を変更してもよい。

7.4 屋外側表面熱伝達率の設定及び照射日射強度の調整

7.4.1  屋外側表面熱伝達率の設定
屋外側表面熱伝達率は,附属書Aによって14±1 W/(m2・K)に校正する。測定時に用いる屋外側放射表面
熱伝達率(hr)及び屋外側対流表面熱伝達率(hCV)は,附属書Aによって設定した値とする。
7.4.2 照射日射強度の調整
照射日射強度は,計測ユニットを取り外し,6.4 d)の放射強度計を試験体収容用の開口に照射日射の光源
と正対させて設置し,日射照射装置のランプ電力を調節し,表4の環境条件にする。測定位置は,試験体
収容用の開口の中央に位置する(図A.1参照)。試験体表面と異なる位置に設置してある受光器は,測定の
ときに照射日射強度を常時監視する目的で用いるので,放射強度計と同じ値を示すように調整するが,十
分な受光視野をもち,かつ,照射日射強度の調整で使用された日射照射装置で調整されていなければなら
ない。(図3参照)。
なお,照射日射強度は,日射照射装置(図2参照)のキセノンアークランプ,フィルターなどの劣化及
び汚染によって大きく低下するので,少なくとも3か月に1回は,照射日射強度を測定する。

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日射照射装置
光導入窓
受光器
恒温室
バッフル板(高透過ガラス)
屋外側流路 放射強度計 気流発生装置
屋外側仕切板
計測ユニット
図3−測定装置の放射強度計及び受光器の位置

7.5 検定方法

7.5.1  実用標準板
実用標準板は,試験体と同じ大きさとする。表4に規定する環境条件で実用標準板の両表面の温度差に
よって通過する熱量が正しい値になることを確認するために用いる。実用標準板は,7.3 b) 1)の基材の塗装
面に,更に表3の仕様で塗装が施されたものとする。
実用標準板の上塗りの仕様は表3,実用標準板の構成は図4による。
表3−実用標準板の上塗りの仕様
項目 仕様
塗料用顔料 カーボンブラック(CAS番号1333-86-4)
日射反射率(3002 500 nm) 5 %以下(JIS K 5602)
修正放射率 0.88±0.02
(JIS R 3106の箇条7及びJIS R 3107の付表1)
上塗りと下塗りとの合計乾燥膜厚 50±5 μm(ただし,下塗りは20 μm以下)
表面粗さ Rzjis 2 μm以下
表面の色(L*) 5 以下(JIS K 5600-4-5)
鏡面光沢度(60°) 90±5
上塗り
下塗り
黒色塗装 基材 実用標準板
アルミニウム板
図4−実用標準板の構成
7.5.2 環境条件
環境条件は,表4による。気流発生装置の運転条件は,附属書Aによって屋外側表面熱伝達率を調整し
たときの条件で一定とする。
なお,結露などの影響が生じないよう恒温室の相対湿度は,50 %RH以下とする。

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表4−環境条件
項目 日射時の条件
屋外側空気温度θex ℃ 23±0.5
室内側温度(加熱・冷却熱板の温度)θin ℃ 23±0.5
屋外側表面熱伝達率hse W/(m2・K) 14±1
照射日射強度ISolar W/m2 1 000±50
7.5.3 検定
7.5.1に規定する実用標準板を用いて,7.5.2に規定する環境条件で,実用標準板の両表面の温度差によっ
て通過する熱量を測定する。この測定値が附属書Bに記載する,通過する熱量の熱収支理論計算で求めた,
実用標準板の両表面の温度差によって通過する熱量に対して,±5 %に入っていることを確認する。
なお,実用標準板からの全表面熱伝達熱量(塗膜表面から屋外側空気に伝達する対流伝達による熱量と
塗膜表面からの屋外側放射伝達による熱量との和)は,7.4.1で設定した屋外側放射表面熱伝達率(hr)及
び屋外側対流表面熱伝達率(hCV)を用い,測定した各部温度(実用標準板の表面,バッフル板の表面温度
及び屋外側空気温度)から算出する。

7.6 測定

7.6.1  測定項目
測定項目は,次による。
a) 試験体の両表面の温度差によって通過する熱流束 QW/AW(qW)
b) 照射日射熱流束 QSolar/AW
c) バッフル板の表面温度 θg
d) 屋外側空気温度 θex
e) 塗膜の表面温度 θp
f) 室内側温度 θin
7.6.2 測定方法
試験体の両表面の温度差によって通過する熱流束が一方向に単調に変化することなく10回測定し,偏差
が平均値の±5 %になった後に,7.6.1の全ての測定項目について,測定装置で10分間以上,かつ,40回
以上測定し,平均値を求める。試験体の両表面の温度差によって通過する熱流束,照射日射熱流束,及び
各部の温度の測定位置を図5に示す。

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