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K 6904 : 2016
表1−予想される残存スチレン含有率及び必要な試験片の質量
予想される残存スチレン含有率(%) 必要な試験片の質量(mg)
≦0.1 3 000
0.1< ≦0.5 1 000
0.5< ≦1.0 500
1.0< ≦1.5 250
1.5< ≦3.0 150
>3.0 100
8.4 ガラス繊維及び無機充材含有量の定量
ガラス繊維及び/又は無機充材を含む不飽和ポリエステル樹脂硬化物における樹脂分に対するスチレ
ン又は他の揮発性芳香族炭化水素含有率を計算する場合,JIS K 7052に従って一部の試験片(箇条7参照)
を灰になるまで焼き,ガラス繊維含有量,無機充材含有量,又はその両方を定量する。
8.5 検量線用標準液の調製
8.5.1 一般事項
調製する検量線用標準液中のスチレン質量は,予想される残存スチレン含有率及び試験片の質量による
(表1参照)。
一連の検量線用標準液は,定量しようとする各々の揮発性芳香族炭化水素に対して,調製する。
8.5.2 スチレン標準原液の調製
約100 mLの抽出溶媒(8.2参照)を含む250 mL全量フラスコに,(250±10)mgを目標として,0.1 mg
の桁まではかりとったスチレン(ma)を入れる。さらに,抽出溶媒を標線まで加え,混合する。
8.5.3 検量線用標準液の調製
50 mL全量フラスコに表2に示す希釈率に合うようにスチレン標準原液を入れ,抽出溶媒を標線まで加
え,混合し,少なくとも三つの異なる検量線用標準液を調製する。
表2−検量線用標準液の調製
検量線用標準液中の スチレン標準 用いる
スチレン質量a) 原液量 全量フラスコ
mg mL mL
0 抽出溶媒だけ(8.2参照)
0.001×ma 0.25 50
0.004×ma 1 50
0.01×ma 2.5 50
0.02×ma 5 50
0.04×ma 10 50
0.06×ma 15 50
0.08×ma 20 50
0.1×ma 25 50
注a) aは8.5.2によって,はかりとったスチレン量をmgで示す。
8.6 ガスクロマトグラフによる測定手順
8.6.1 ガスクロマトグラフの操作条件
スチレン及びその他の溶出物質が,十分に分離するように,ガスクロマトグラフの操作条件を設定する。
――――― [JIS K 6904 pdf 6] ―――――
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したがって,クロマトグラムにおいては,目的とするピーク(スチレン,定量しようとするその他の揮発
性芳香族炭化水素及び内標準物質に対応するピーク)とこれらのピークの直前又は直後に出現するピーク
との間のピーク分離度Reが,1.5を超えるようにしなければならない。
同じ面積をもつ2ピーク間の分離度Reは,次の式で定義する。
2 t2 t1
Re
W1 W2
ここに, Re : 同じ面積をもつ2ピーク間の分離度
t1及びt2 : 二つのピークの保持時間(秒)t1W1及びW2 : それぞれのピークのピーク幅(秒)
一般的なガスクロマトグラフの詳細設定は,次による。また,代表的な操作条件を,附属書Aに示す。
− カラム : 溶融シリカ中空管カラム
− キャリアーガス : ヘリウムガス又は窒素ガス
− 検出器 : 水素炎イオン化検出器(FID)
水素炎イオン化検出器に供給される水素及び空気の流量比は,次の条件を満たすように調整する。
− 高い応答感度を示す。
− 測定する濃度範囲において線形の応答を示す。
− 流量比の僅かな変化に対して応答及び感度が,影響を受けにくい。
8.6.2 試験溶液及び検量線用標準液のクロマトグラム記録方法
8.3の手順に従って調製した試験溶液及び8.5の手順に従って調製した検量線用標準液について,シリン
ジを用いて適切な容量を注入する。適切な注入量は,用いるガスクロマトグラフの感度によって決める。
試験溶液の注入量は,対応する検量線用標準液の注入量と同量にする。溶剤,スチレン,定量するその他
の揮発性芳香族炭化水素,内標準物質などの全ての成分が溶出するまでクロマトグラムの記録を継続する。
8.6.3 クロマトグラムのピークの評価
スチレン,その他の定量する揮発性芳香族炭化水素及び内標準物質の保持時間は,あらかじめ測定して
おく。
全成分のピーク面積は,ガスクロマトグラフに附属するデータ処理ソフト又はデータ処理装置を用いて,
積分して求める。
一般的な保持時間の例を,表3に示す。正確な保持時間値は,用いるガスクロマトグラフ及び操作条件
によって変動する。
表3−スチレン,その他の揮発性芳香族炭化水素及び内標準物質(n-ブチルベンゼン)の代表的保持時間
成分 保持時間 内標準物質
(分) (n-ブチルベンゼン)に
対する保持時間比
トルエン 2.8 0.48
エチルベンゼン 3.7 0.64
スチレン 4.0 0.69
α-メチルスチレン 5.0 0.86
n-ブチルベンゼン(内標準物質) 5.8 1.00
注記 保持時間は,附属書Aの操作条件での測定値。
――――― [JIS K 6904 pdf 7] ―――――
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9 結果の表示方法
9.1 検量線による結果の計算方法
検量線用標準液について得られたクロマトグラムを用い,次の式に従い,それぞれの検量線用標準液に
ついて,ピーク面積比Y を計算する。
Aa
Y
As
ここに, Y : 検量線用標準液中のスチレン又はその他の揮発性芳香
族炭化水素と内標準物質とのピーク面積比
Aa : 検量線用標準液中のスチレン又はその他の揮発性芳香
族炭化水素のピーク面積
As : 検量線用標準液中の内標準物質のピーク面積
次の式に従い,スチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素と内標準物質との質量比(X)を計算する。
mx
X
ms
ここに, X : 検量線用標準液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族
炭化水素と内標準物質との質量比
mx : 検量線用標準液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族
炭化水素の質量(mg)
ms : 検量線用標準液中の内標準物質の質量(mg)
注記1 mx は,標準原液調製時に用いるスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素の質量maから
求める。
注記2 ms は,抽出溶媒調製時に用いる内標準物質の質量(8.2参照)から求める。
ピーク面積比(Y)とスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素及び内標準物質の質量比(X)とを
プロットし,検量線を作成する。
得られたグラフから,次の線形回帰式を作成する。
Y=a×X+b
ここに, Y : 検量線用標準液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族
炭化水素と内標準物質とのピーク面積比
X : 検量線用標準液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族
炭化水素と内標準物質との質量比
a : 線形回帰線の傾き
b : 線形回帰線のY切片
相関係数が0.995未満の場合は,プロット点数を増やすか,又は検量線用標準液を調製し直して,新た
な検量線を作成する。
次の式に従い,試験溶液の測定によって得られたクロマトグラムから,各ピーク面積比Yを計算する。
Aa
Y
As
ここに, Y : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素と内標準物質とのピーク面積比
――――― [JIS K 6904 pdf 8] ―――――
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Aa : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素のピーク面積
As : 試験溶液中の内標準物質のピーク面積
次の式に従い,試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素と内標準物質との質量比(X)
を計算する。
Y b
X
a
ここに, X : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素と内標準物質との質量比
Y : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素と内標準物質とのピーク面積比
a : 線形回帰線の傾き
b : 線形回帰線のY切片
一方で,質量比(X)は,試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素の質量と試験溶液
中の内標準物質との質量の比であることから,次の式に従い,試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性
芳香族炭化水素の質量(mx)を計算する。
mx=X×ms
ここに, mx : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素の質量(mg)
X : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素と内標準物質との質量比
ms : 試験溶液中の内標準物質の質量(mg)
注記3 msは,抽出溶媒調製時に用いる内標準物質の質量(8.2参照)及び用いる抽出溶媒量から求
める。
9.2 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の硬化物全体に対するスチレン又はその他の揮発性芳香族
炭化水素含有率の計算
不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の硬化物全体に対するスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化
水素含有率Paは,次の式に従い,算出する。
mx
Pa 100
p
ここに, Pa : 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の硬化物全体に
対するスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素含有
率(%)
mx : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素の質量(mg)
mp : 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片の質量(mg)
各試験溶液におけるPaのばらつきは,算術平均値の±5 %を超えてはならない。±5 %を超えた場合は,
再測定する。
9.3 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の樹脂分に対するスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化
水素含有率の計算
ガラス繊維及び/又は無機充材を含む不飽和ポリエステル樹脂硬化物における樹脂分に対するスチレ
――――― [JIS K 6904 pdf 9] ―――――
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ン又はその他の揮発性芳香族炭化水素含有率Pbは,次の式に従い,算出する。
mx 100
Pb
mp 100 mglassmfiller
ここに, Pb : 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の樹脂分に対す
るスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素含有率
(%)
mx : 試験溶液中のスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水
素の質量(mg)
mp : 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片の質量(mg)
mglass : 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中のガラス含有率
(%)
mfiller : 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の無機充材含
有率(%)
10 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の番号(JIS K 6904)
b) 樹脂硬化物の名称及び詳細
c) ガスクロマトグラフの名称及び操作条件
d) 不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の硬化物全体に対するスチレン又はその他の揮発性芳香族炭
化水素含有率(%で有効数字2桁としたもの。)
e) ガラス繊維及び/又は無機充材を含む場合,不飽和ポリエステル樹脂硬化物試験片中の樹脂分に対
するスチレン又はその他の揮発性芳香族炭化水素の含有率
注記 受渡当事者間の協定によって,記載内容を決めてもよい。
f) 試験に用いた内標準物質
g) 試験に用いた溶媒
h) 試験溶液の抽出条件(抽出温度,抽出時間,試験溶液数など)
i) 特記事項
j) 測定年月日
――――― [JIS K 6904 pdf 10] ―――――
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JIS K 6903:2008の国際規格 ICS 分類一覧
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- ガスクロマトグラフィー通則
- JISK0512:1995
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