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K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
表10 射出ブロー成形及び熱成形のシミュレーションに必要な材料特性
解析のタイプ 特性 変数
プリフォーム又はシートの再加熱 k,cp T
軟化した材料の変形 k,cp T
N1 T,γ
ηeb
T,t,ε
解析のタイプ 特性 変数
成形品の固化 Ts (非晶性材料) T p
Tc, ΔH(準結晶性材料)
C
T
X T,T
表11 押出ブロー成形及びインフレーションフィルム成形のシミュレーションに必要な材料特性
解析のタイプ 特性 変数
バレル内のポリマーの溶融 Tm, ΔH(準結晶性材料)
f −
Tg(非晶性材料) −
ρm −
μb,μs p,T,vs
ρB P
k ,cp T
ダイ内の溶融物の流れ ρm −
k ,cp T
η,N1 T,γ
ηeu ,ηeb
T,t ,ε
押出成形品の冷却 Tc , ΔH(準結晶性材料)
c T
X T,T
5. 設計データの決定
5.1 一般
この箇条では,表2表11に示した特性を求めるために,望ましい試験方法を規定する。ま
た,各々の特性データの取得に用いる望ましい標準試験片及び試験条件も規定する。5.2では,機械的性能
の設計に必要なデータを,5.3では,工程解析に必要なデータを扱う。
データ測定用のJIS又はISOがない特性値については,表の注に,問題なく使われている装置及び試験
片を参照として示す。これらの方法は,将来の規格開発の対象となる可能性がある。
5.2 機械的性能用設計のためのデータの取得
表2,表3及び表4に示される機械的特性データを求める
ための推奨試験方法を,表12に示す。
JIS又はISOに基づく方法では,規定を十分に満足する条件下で作製した標準試験片を用いる。これら
試験片の内部構造が,設計する成形品と通常異なることに注意する必要がある。これらの構造の違いが特
性値にどの程度影響するかは,その特性,成形方法及び成形条件並びに成形品の形状による。設計に用い
る試験片データをより妥当なものにする方法は,まだ確立されてない。
備考 ISO TC61の作業グループは,射出成形による平板形状の追加の標準試験片を作製するための
適切な金型設計を検討中である(ISO 294-5参照)。
平板の,金型内の溶融物の流れ方向及び直角方向から切り出した試験片を試験することによって,分子
配向又は繊維配向に起因する特性の上下限の範囲を得ることは可能であろう。これらの範囲内で特性値を
適切に選択するためには,成形品の物性を支配する部位における流動状態の知見が必要と思われる。
短繊維強化プラスチック製品の引張弾性率の異方性は,成形品中の繊維配向の作用を計算する流動シミ
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ュレーションソフトウェアによって評価できる可能性がある。繊維特性及びマトリックス特性に関する知
見は,他のパラメータと同様に必要である。弾性挙動を評価するとき,このアプローチの重要な特徴は,
成形品の厚さ方向で変動する特性に基づいて情報が得られることにある。しかし,概して,どのような予
側方法を用いても,得られた特性値又は性能値には,不確かさがある。
設計に用いる個別の試験データの精度も,材料特性のロットごとのばらつきによって影響される。設計
用データの精度は,異なる複数ロットのデータの統計解析によって向上させることができる。
試験片データにこれらの制限はあるが,表12の試験方法は,設計データの取得に妥当なものである。
表12 機械的性能設計用に必要なデータの取得のために望ましい試験方法
特性 試験方法 試験片 推奨される試験条件 注番号
E JIS K 7162 JIS K 7139 JIS K 7141-1 (1)
ν JIS K 7162 JIS K 7139 ― (2)
Ep ,En ,νpn JIS K 7162 ISO 294-5 平板から切り出す。 JIS K 7141-1 (3)
ISO 527-4又はISO 527-5 ISO 527の関連の部を参照
ISO 6721-7 JIS K 7152-3又はISO 294-5平 JIS K 7141-1
Gp
板から切り出す。
ISO 15310 150 mm角の平板 JIS K 7141-1の温度
σT JIS K 7162 ダンベル形引張試験片 JIS K 7141-1 (4)
p
ν JIS K 7162 JIS K 7139 ― (5)
λ せん断又は圧縮試験 ― ― (6)
D JIS K 7115 JIS K 7139 JIS K 7141-1
DP,D JIS K 7115 ISO 294-5 平板から切り出す。 JIS K 7141-1 (3)
n
ER ISO規格はない ― ― (7)
JIS K 7244-4又はJIS K 7244-5 JIS K 7152-3又はISO 294-5平
T : JIS K 7141-1による (8)
E E,
板から切り出す。 f : 0.05,0.5,5,50 Hz
G G, ISO 6721-7 JIS K 7152-3又はISO 294-5 同上 (8)
平板から切り出す。
σ,
Tpσ
Tn JIS K 7162 ISO 294-5 平板から切り出す。 JIS K 7141-1 (9),(4)及び(3)
σ,
Spσ
Sn ISO規格はない ― ― (9),(10)
σ,
uε
u JIS K 7162 ダンベル形引張試験片 JIS K 7141-1
σ,
upσ
un JIS K 7162 ISO 294-5 平板から切り出す。 JIS K 7141-1 (3)
ε,
upε
un
σc JIS K 7108 JIS K 7139
σ,
cpσ
cn JIS K 7108 ISO 294-5 平板から切り出す。 (3)
σf ― ― ― ―
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表 12 機械的性能設計用に必要なデータの取得のために望ましい試験方法(続き)
注(1) IS K 7141-1では,異なる出所のデータを比較できるように,標準温度での弾性率の値を提示することが有益
であると考えられる場合,用いる標準温度を規定している。弾性率は,ひずみ速度の増加によって増大するし,
その速度依存性は,温度によって変化し,緩和領域の中心に近い温度ほど大きくなるだろう。ひずみ速度によ
る弾性率変化の測定は,1×10-51×10-1 s-1の範囲で行われるのが慣例である。より高速度でのひずみの測定
は,従来の引張試験機では,困難である[ただし,注(4)参照]。高速度でのデータ取得は,低い温度での測定
又は高周波動的機械的データの相関から得られる。
長期間,力が負荷される用途(荷重時間>0.5 h)では,クリープ弾性率値は,引張クリープ試験で得られた
値を用いるのが望ましい。
(2) ポアソン比を求めるための横ひずみの測定は,JIS又はISOには記載されていない。単軸引張り応力下での,
試験片の幅変化を測定するため,トランスデューサーが必要である。この目的には,横方向伸び率計が,利用
可能である。ポアソン比は,温度及びひずみ速度によって変化する,弾性率と同様に,その変化は,緩和領域
で最も明確となる。ポアソン比は,ひずみでも変化する[注(5)参照]。
(3) 適切な形状の試験片を,成形シートの,定配向の配向方向及び直角方向から切り出す。射出成形材料の場合,
特性は,成形条件,金型の形状及びおそらく金型内の位置に依存する。ISO 294-5は,高い異方性をもつ平板
試験片を作製できる金型の寸法及び形状を規定している。高い異方性となる最適な成形品厚さは,1 mm近辺
である。平板の最適な長さ及び幅は,約80 mmであり,機械加工によって作製する多目的試験片(JIS K 7162
の1BA形)の半分の大きさである。この試験片形状を用いて,破壊特性も求めることができる。もし,破壊
のかなり下(前)のひずみデータだけが必要な場合,60 mm角の平板(JIS K 7152-3)から切り出した,端面
並行の試験片で測定してもよいが,試験片が短いために,結果の確度が低くなることに注意を要する。
(4) 弾塑性モデルで,非線形挙動は,塑性変形に起因すると考えられる。σTの最低値は,応力−ひずみ曲線での
湾曲(非線形)の開始点と一致する。したがって,σTの値は,塑性ひずみによって変わり,データは,“応力
−ひずみ”曲線の測定から導き出される(A.4参照)。“応力−ひずみ”データは,一般的には温度及びひずみ
速度の測定範囲に渡って必要となる(A.5参照)。高ひずみ速度のデータは,衝撃性能の予測のために必要であ
るが,ひずみの高速試験の測定は,JIS又はISOに,今のところ規定されていない。ひずみ値は,機械の追従
性及び試験片中の不均一なひずみを補正すれば,クロスヘッドの変位の測定から導き出せる。高速の試験用に
は,小形引張試験片の使用が望ましい。 中程度の速度での測定を外挿して,高速のデータを得ることも考え
られるが,いまだ実証された方法はない。
長期間力が負荷される(荷重時間>0.5 h)用途では,σTの値は,引張クリープ試験から得られる,等時間隔
の応力−ひずみ曲線から得るのが望ましい。
p
(5) 塑性成分のポアソン比νは,挙動が非直線性となるひずみの大きな箇所の,軸方向及び直角方向のひずみの
同時測定から導かれる。ポアソン比は,弾塑性モデルの流れパラメータを求めるために使われる。直角方向の
ひずみ測定は,公称(工学)応力の測定から,真の応力値を導き出すためにも用いられる。A.4中の式(A.6),
(A.7),(A.8)及び(A.9)は,関連するパラメータの相互関係を示す。
(6) λ量は,弾塑性材料モデルの降伏基準に用いられ,降伏挙動に関する,応力の静水力学成分の影響の尺度であ
る。それは,単軸圧縮と単軸引張りの降伏応力の比に等しく,引張り応力−ひずみデータ及び圧縮又はせん断
応力−ひずみ曲線の測定から導くことができる。圧縮下のデータ取得には,試験片の座屈を防止するために精
巧な器具が必要である。座屈防止のためより短く,より厚い試験片を用いることは,試験片に横方向応力の増
加を招くことになる。したがって,JIS K 7181は,この目的のためには適していない。せん断応力−ひずみデ
ータは,単純に荷重を加えた,ノッチ付き短冊試験片[ロシペスク(losipescu)法]又はノッチ付きの平板[ア
ルカン(Arcan)法]から得ることができる。せん断ひずみは,繊維強化試験片の場合,ひずみゲージで測定
できるが,非強化プラスチック用には,目的に合致した伸長計を使用することが望ましい。
プラスチック用に提案された降伏点基準式(A.4参照)は,次のとおりである。
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K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
表 12 機械的性能設計用に必要なデータの取得のために望ましい試験方法(続き)
3λ 1 1/2 (λ−1)
σT JD2 J1
2λ 2λ
σC 3σS
λ
σT (2σT 3σS )
ここに,J1及びJ2D : 応力変数であり,かつ,応力成分の関数
σ : 引張降伏応力
C σと同じ相当塑性ひずみ時の圧縮降伏応力
T
σと同じ相当塑性ひずみ時のせん断降伏応力
σ : 引張降伏応力
S T
λ=1になるこれらの材料用には,上式は,フォン・ミーゼスの降伏基準に変える。
(7) IS又はISOには,応力緩和弾性率の測定を規定しているものはない。試験片及び伸長計は,クリープデータ
を取得するために用いたものと同じである。一定の変位が試験片に与えられ,時間による負荷の減少を記録す
る。応力緩和関数ER(t) は,一定ひずみに対する時間依存応力の比によって与えられる。個別の時間の応力緩
和弾性率は,緩和領域から外れた時間及び温度では,その時間でのクリープコンプライアンスの逆数にほぼ等
しい。通常,クリープデータの応力緩和データへの変換には,クリープ特性全般の知識が必要である。
(8) 動的特性を測定する市販の装置は多い。これらは,温度スキャンが比較的早く完了できるよう,小さな試験片
を採用している。小さな試験片では,得られる弾性率値に有意な誤差を発生することがある。これらの試験中
の誤差の原因に関する情報及び修正方法に関する手引は,JIS K 7244の各部を参照することが望ましい。
(9) ひずみの関数としてのこれら特性は,異方性材料の弾塑性モデルの適用に関してだけ必要である。
(10) IS又はISOは,存在しないが,各種材料のせん断における応力−ひずみ曲線を得るためにロシペスク又はア
ルカンの試験方法が,用いられている。繊維強化プラスチックの場合は,ひずみゲージがせん断ひずみを求め
るのに用いられている。非強化プラスチック用では,目的に合致した伸長計とすることが望ましい。
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K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
5.3 加工設計用データの取得
表13は,表5表11に示した,加工シミュレーションに必要なデータを
求めるための推奨事項である。
表13 加工設計用に必要なデータの取得のために望ましい試験方法
特性 変数 試験方法 試験片 推奨試験条件
η
T,γ p JIS K 7199 原材料 JIS K 7141-2及び注(1)参照
(熱可塑性)
ηreactive
T,t,γ
注(2)及び注(3) 原材料
(熱硬化性)
ηeu T,t,ε
注(4) 原材料
ηeb T,t,ε
注(5) 原材料
N1 T,γ 注(6) 原材料
ρm 注(7) 原材料
v p,T,T ISO 17744 射出成形試験片 注(8)及び注(9)
k T 注(10) 原材料
冷却速度 : 10 ℃/min
cp T ISO 11357-4 原材料
JIS K 7141-2参照
ISO 11357-3 冷却速度 : 10 ℃/min,50 ℃/min,
Ts T p 原材料
注(11) 100 ℃/min及び200 ℃/min 注(12)
Tej ― ISO 11357-3 原材料 注(12)
冷却速度 : 10 ℃/min
Tm ― ISO 11357-3 原材料 加熱速度 : 10 ℃/min
Tg ― ISO 11357-2 原材料 冷却速度 : 10 ℃/min
冷却速度 : 10 ℃/min,50 ℃/min,
Tc T ISO 11357-3 原材料
100 ℃/min及び200 ℃/min
ΔHf ― ISO 11357-3 原材料 加熱速度 : 10 ℃/min
冷却速度 : 10 ℃/min,50 ℃/min,
ΔHc T ISO 11357-3 原材料
100 ℃/min及び200 ℃/min
X T ISO 11357-7 原材料 冷却速度 : 10 ℃/min
X T,T ISO 11357-7 原材料 ―
R
T,T ISO 11357-5 未硬化材料 ―
(熱硬化性)
ΔHf
T,T ISO 11357-5 未硬化材料 ―
(熱硬化性)
αgel
― ISO 11357-5 未硬化材料 加熱速度 : 10 ℃/min 注(13)
(熱硬化性)
ρ(reacted) ― JIS K 7112 硬化した材料 ―
試験片は,JIS K 7152-3
αp及びαn T ISO 11359-2
平板から切り出す。
JIS K 7141-2参照
1 mm,1.5 mm及び2 mm厚さ;
SMp及びSMn 60 mm×60 mm平板
h,pCH ISO 294-4 キャビティー圧力25 MPa,50 MPa
(熱可塑性) (JIS K 7152-3参照)
及び100 MPa
1 mm,1.5 mm及び2 mm厚さ;
SMp及びSMn 60 mm×60 mm平板
h,pCH ISO 2577 キャビティー圧力 25 MPa,50 MPa
(熱硬化性) (JIS K 7152-3参照)
及び100 MPa
試験片は,ISO 294-5 試験温度 23 ℃; 1 mm/min;
Ep及びEn T JIS K 7162
平板から切り出す。 0.05 ~ 0.25 % ひずみ範囲
試験片は,ISO 294-5 試験温度 23 ℃; 1 mm/min;
νpn及びνnp ― JIS K 7162 0.1 ~ 0.5 %ひずみ範囲注(14)
平板から切り出す。
――――― [JIS K 7170 pdf 20] ―――――
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JIS K 7170:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 17282:2004(IDT)
JIS K 7170:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.01 : プラスチック一般
JIS K 7170:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK7108:1999
- プラスチック―薬品環境応力き裂の試験方法―定引張応力法
- JISK7112:1999
- プラスチック―非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法
- JISK7115:1999
- プラスチック―クリープ特性の試験方法―第1部:引張クリープ
- JISK7139:2009
- プラスチック―試験片
- JISK7140-1:2008
- プラスチック―比較可能なシングルポイントデータの取得及び提示―第1部:成形材料
- JISK7140-2:2007
- プラスチック―比較可能なシングルポイントデータの取得及び提示―第2部:長繊維強化プラスチック
- JISK7141-1:2006
- プラスチック―比較可能なマルチポイントデータの取得及び提示―第1部:機械的特性
- JISK7141-2:2006
- プラスチック―比較可能なマルチポイントデータの取得及び提示―第2部:熱特性及び加工特性
- JISK7141-3:2002
- プラスチック―比較可能なマルチポイントデータの取得と提示―第3部:特性への環境影響
- JISK7152-3:2006
- プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片―第3部:小形角板
- JISK7162:1994
- プラスチック―引張特性の試験方法 第2部:型成形,押出成形及び注型プラスチックの試験条件
- JISK7199:1999
- プラスチック―キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れ特性試験方法
- JISK7244-2:1998
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第2部:ねじり振子法
- JISK7244-3:1999
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第3部:曲げ振動―共振曲線法
- JISK7244-4:1999
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第4部:引張振動―非共振法
- JISK7244-5:1999
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第5部:曲げ振動―非共振法