JIS M 8128:2008 鉱石中のタングステン定量方法 | ページ 2

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6.4.3 りん及びニオブの分離
りん及びニオブの分離は,次の手順によって行う。
a) 6.4.2 e)で得た溶液を濃縮して,液量を約50 mLとした後,塩酸を加えて弱酸性とし,塩化マグネシウ
ム・塩化アンモニウム混液(6.2.13)10 mLを一度に加え,かき混ぜながら冷水中で冷却し,引き続き
かき混ぜながらアンモニア水を少量ずつ加えてアンモニアアルカリ性とした後,5分間以上激しくか
き混ぜて結晶性沈殿を析出させ,最後にアンモニア水10 mLを加えてよくかき混ぜ,2時間以上又は
一夜間放置する。
b) 沈殿をろ紙(6種)でこし分け,アンモニア水(1+20)で十分に洗浄する。ろ液及び洗浄液はビーカ
ー(500 mL)に 受け,ろ別した沈殿5)は,そのまま保存する。
注5) 沈殿には,タングステンがわずかに含まれる。
6.4.4 タングステンの再沈殿分離
タングステンの再沈殿分離は,次の手順によって行う。
a) 6.4.3 b)で得た溶液を加熱して,液量が約100 mLになるまで濃縮し,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)
10 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して数分間煮沸した後,温水を加えて液量を200250 mL とする。
b) 塩酸 20 mL及び硝酸10 mLを加え,加熱して約10分間煮沸し,タングステン酸の沈殿を析出させた
後,シンコニン溶液(6.2.15)10 mLを加えて加熱し,数分間煮沸した後,約90 ℃の温度で約30分
間保持し,温所に3時間又は室温で一夜間放置して沈殿を熟成させる。
c) 時計皿の下面をシンコニン洗浄液(6.2.16)で洗浄して時計皿を取り除き,沈殿をろ紙(5種C)を用
いて23回傾斜法(デカンテーションともいう。)によって大部分の沈殿をビーカー内に残すように
ろ過し,ビーカー内に残った沈殿を,シンコニン洗浄液を用いてろ紙上に移し入れ,シンコニン洗浄
液で十分に洗浄する。
d) ビーカーの内壁に付着した沈殿を,ポリスマンを用いてこすり落とし,シンコニン洗浄液(6.2.16)を
用いて,ろ紙上に移し入れ,ろ紙上の沈殿をシンコニン洗浄液で十分に洗浄した後,ビーカーの内壁
をアンモニア水で湿したろ紙片を用いてふき取り,ろ紙片とともにろ紙上の沈殿に合わせる。ろ液及
び洗液は捨てる。
6.4.5 ひょう量
ひょう量は,次の手順によって行う。
a) 白金るつぼ(30番)を700750 ℃の温度で約30分間強熱し,デシケーター中で室温まで放冷して,
その質量を0.1 mgのけたまではかる操作を恒量となるまで繰り返した後,その質量をはかる。
b) 6.4.4 d)で得た沈殿をろ紙とともにa)で恒量にした白金るつぼに移し入れ,乾燥した後,低温で加熱し
てろ紙を灰化し,700750 ℃の温度で約1時間強熱する。
c) 放冷した後,るつぼ内の酸化タングステン(VI)を水で潤し,硫酸(1+1)2,3滴及びふっ化水素酸
23 mLを加え,加熱して乾固する。
d) 700750 ℃の温度で約30分間強熱し,デシケーター中で室温まで放冷して,その質量を0.1 mgのけ
たまではかる操作を恒量となるまで繰り返した後,その質量をはかる。白金るつぼは,そのまま保管
する。
6.4.6 酸化タングステン(VI)に含まれるモリブデンの定量
酸化タングステン(VI)に含まれるモリブデンの定量は,次の手順によって行う。
なお,次の手順によってモリブデンを定量する代わりに,次のa)の1)4)の手順に従って操作した後,
7.4.5のa) d)の手順に従って操作してモリブデンを定量してもよい。この場合,a) 4)で得られる溶液を,

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7.4.5 a) 1)に規定する,7.4.4 b)で保管しておいた溶液の代わりに用いて操作する。
a) 測定溶液の調製
1) 6.4.5 d)で保管しておいた酸化タングステン(VI)が入っている白金るつぼに炭酸ナトリウム3 g及
びほう酸1 gを加えかき混ぜ,白金ふたで覆い,初めは低温で加熱し,次第に温度を上げて融解し
た後,放冷する。
2) 白金るつぼ(30番)及び白金ふたをビーカー(200 mL)に入れ,温水約50 mLを加え,時計皿で覆
い,加熱して白金るつぼ中の融成物を溶解し,白金るつぼ及び白金ふたを水で十分に洗浄して取り
除く。
3) 過酸化水素1 mL,塩酸5 mL及び酒石酸溶液(500 g/L)5 mLを加え,加熱した後,常温まで冷却
し,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除く。
4) 溶液を200 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
5) 溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長 277.540 nm,202.030 nm又は
281.635 nmにおけるモリブデンの発光強度を測定する6)。
注6) 精度及び正確さが確認されていれば高次のスペクトル線を用いてもよく,バックグランド
補正機構が付いている装置では,バックグランド補正機構を用いてもよい。
b) 空試験 c)の検量線の作成操作において得られる標準モリブデン溶液(6.2.17)を添加しない溶液の発
光強度を,空試験の発光強度とする。
c) 検量線の作成
1) 6.4.5 d)で得た質量から6.4.5 a)で得た質量を差引き0.793倍した量のタングステン粉(6.2.9)を数個
はかりとり,それぞれビーカー(100200 mL)に移し入れ,少量の水及び過酸化水素約3 mLを加
え,放置又は加熱して分解する。
2) 炭酸ナトリウム3 g,ほう酸 1 g及び水約50 mLを加えて溶解し,過酸化水素 1 mL, 塩酸5 mL及
び酒石酸溶液5 mLを徐々に加え,常温まで冷却した後,溶液をそれぞれ200 mLの全量フラスコに
水を用いて移し入れる。
3) 標準モリブデン溶液(6.2.17)015.0 mL(モリブデンとして0 1 500 μg)を段階的に加え,水で
標線まで薄める。これらの溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴ ンプラズマ中に噴霧し,波長
277.540 nm,202.030 nm又は281.635 nmにおけるモリブデンの発光強度をa) 4)で得た溶液と並行し
て測定し,得た発光強度とモリブデン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行
移動して検量線とする。
d) モリブデンの定量 a) 5)で得た発光強度からb)で得た発光強度を差し引いて得られる発光強度と,c)
3)で作成した検量線とから,モリブデン量を求める。
注記 6.4.5 d)の酸化タングステン(VI)に包含されるモリブデン量は,原材料の組成,試料はかり
とり量,分解条件,沈殿生成条件などによって異なる。その例を参考として表1に示す。

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表1−酸化タングステン(VI)に包含されるモリブデンの量 (参考)
単位 %(質量分率)
原材料名 原材料中の酸化タングステン(VI)原材料中のモリブデン 包含モリブデン量
マンガン重石 75.7 − 0.006
灰重石 74.5 1.8 0.16
灰重石 52.2 0.04 0.011
鉄マンガン重石 70.0 0.04 0.020
灰重石 51.2 − 0.007
注記 試料のはかりとり量は,すべて1.000 gで行った。また,原材料中のモリブデンは,蛍光X線分析によ
る結果で,“−”は,検出されなかったことを示す。包含モリブデン量は,試料中の含有率に換算した
値である。
6.4.7 6.4.2 e)で得た未分解物及び6.4.3 b)で得た沈殿に含まれるタングステンの定量
6.4.2 e)で得た未分解物及び6.4.3 b)で得た沈殿に含まれるタングステンの定量は,次の手順によって行う。
a) 測定溶液の調製
1) 6.4.2 e)及び6.4.3 b)でそれぞれ保存しておいた未分解物及び沈殿を,ろ紙とともに白金るつぼ(30
番)に移し入れ,乾燥させた後,初めは低温で加熱してろ紙を灰化した後,放冷する。
2) 炭酸ナトリウム3 g及びほう酸1 gを加えてかき混ぜ,白金ふたで覆い,初めは低温で加熱し,次第
に温度を上げて融解した後,放冷する。
3) 白金るつぼ及び白金ふたをビーカー(200 mL)に入れ,温水約50 mLを加え,時計皿で覆い,加熱
して白金るつぼ中の融成物を溶解し,白金るつぼ及び白金ふたを水で十分に洗浄して取り除く。
4) 過酸化水素 1 mL,塩酸5 mL及び酒石酸溶液(500 g/L)5 mLを加え,加熱した後,常温まで冷却
し,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除く。
5) 溶液を200 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
6) 溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長207.911 nm又は220.448 nm
におけるタングステンの発光強度を測定する6)。
b) 空試験 c) の検量線の作成操作において得られる標準タングステン溶液(6.2.18)を添加しない溶液
の発光強度を,空試験の発光強度とする。
c) 検量線の作成
1) 炭酸ナトリウム3 g及びほう酸1 gずつを数個はかりとり,それぞれのビーカー(200 mL)に移し
入れ,水約50 mLを加え溶解する。過酸化水素1 mL,塩酸5 mL及び酒石酸溶液(500 g/L)5 mL
を加えた後, 200 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れる。
2) 標準タングステン溶液(6.2.18)010.0 mL(タングステンとして010 000 μg)を段階的に加え,
水で標線まで薄める。これらの溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波
長207.911 nm又は220.448 nmにおける発光強度をa) 5)で得た溶液と並行して測定し,得た発光強
度とタングステン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とす
る。
d) タングステンの定量 a) 6)で得た発光強度からb)で得た発光強度を差し引いて得られる発光強度と,
c) 2)で作成した検量線とから,タングステン量を求める。

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6.5 計算

  試料中の酸化タングステン(VI)含有率を,式(1)によって算出し,JIS Z 8401の規則Aを適用して小数
点以下2位に丸める。
[(m1 m2 ) [{(B1 B2 ).15003}]] (A .12611)
WO3 100 (1)
m
ここに, WO3 : 試料中の酸化タングステン(VI)含有率[%(質量分率)]
m1 : 6.4.5 d)で得た質量(g)
m2 : 6.4.5 a)で得た質量(g)
A : 6.4.7 d)で得たタングステン量(g)
B1 : 6.4.6 d)で得たモリブデン量(g)
B2 : 6.4.6 c) 1)ではかりとったタングステン粉(6.2.9)中に含ま
れるモリブデン量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
7 融解・シンコニン沈殿分離酸化タングステン(VI)重量法
7.1 要旨
試料を炭酸カリウムと過酸化ナトリウムとで融解し,融成物を温水に溶解する。塩酸を加えて酸性とし
た後,過酸化水素を加え,加熱して乾固する。塩酸及び熱水を加えて可溶性塩類を溶解し,シンコニン溶
液を加え,生成するタングステン酸の沈殿をこし分ける。沈殿を強熱し酸化タングステン(VI)とし,硫
酸とふっ化水素酸とで処理して二酸化けい素を除去し,再び強熱した後,不純物を含む酸化タングステン
(VI)の質量をはかる。次に,この不純物を含む酸化タングステン(VI)を,二硫酸カリウムで融解し,
炭酸アンモニウム溶液でタングステン及びモリブデンを溶解した後,不溶解残さをこし分けて強熱し,モ
リブデンを除く不純物元素を酸化物としてその質量をはかり,ろ液中のモリブデンをチオシアン酸吸光光
度法によって定量する。

7.2 試薬

  試薬は,次による。
7.2.1 塩酸
7.2.2 ふっ化水素酸
7.2.3 硫酸(1+1)
7.2.4 アンモニア水
7.2.5 タングステン粉 6.2.9による。
7.2.6 過酸化ナトリウム
7.2.7 過酸化水素
7.2.8 過酸化水素(1+9)
7.2.9 二硫酸カリウム
7.2.10 炭酸ナトリウム
7.2.11 炭酸カリウム
7.2.12 チオシアン酸カリウム溶液 チオシアン酸カリウム 150 gを,水350 mLに溶解する。
7.2.13 炭酸アンモニウム溶液 (150 g/L)
7.2.14 塩化すず(II)溶液 塩化すず(II)二水和物150 gを,塩酸100 mLに加熱して溶解し,室温ま
で冷却した後,水250 mLを加え,少量のすずを加えて褐色瓶に保存する。

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7.2.15 鉄(III)溶液 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水0.87 gを,硫酸(0.1 mol/L)100 mLに溶解する。
この溶液1 mLは,鉄として約1 mgを含む。
7.2.16 くえん酸溶液 くえん酸ー水和物500 gを,水800 mLに溶解する。
7.2.17 シンコニン溶液 6.2.15による。
7.2.18 シンコニン洗浄液 6.2.16による。
7.2.19 酢酸エチル
7.2.20 標準モリブデン溶液(Mo : 10 μg/mL) 酸化モリブデン(VI)[99.5 %(質量分率) 以上]1.500
gをはかりとってビーカー(200 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)10mL
を加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,溶液
を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液(Mo :1 000μg/mL)とする。
この原液を使用の都度,必要量だけ水で正しく100倍に薄めて標準モリブデン溶液とする。

7.3 試料数及び試料はかりとり量

7.3.1  試料数
分析用の試料数は,通常,2個とする。
7.3.2 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.501.00 gとし,0.1 mgのけたまではかる。

7.4 操作

7.4.1  試料の融解
試料の融解は,次の手順によって行う。
a) 試料をニッケルるつぼ又は鉄るつぼ(3050 mL)にはかりとり,炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム
35 g及び過酸化ナトリウム35 gを加え,よくかき混ぜる。るつぼを軽く卓上に打ち当てて内容
物をち(緻)密にした後,少量の過酸化ナトリウムで覆い,ふたをして穏やかに加熱を始め,次第に
温度を上げ,ときどきるつぼを揺り動かしながら加熱して試料を融解する。
b) 放冷した後,るつぼ及びふたを水約150 mLを入れたビーカー(300500 mL)に移し入れ,速やか
に時計皿で覆い,加熱してるつぼ中の融成物を溶解し,るつぼ及びふたを水で十分に洗浄して取り除
く。
c) この溶液に塩酸を徐々に加えてpH56.5の微酸性とした後,更に塩酸10 mL及び過酸化水素(1+9)
約 5 mLとを加え,よくかき混ぜる。加熱して煮沸した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取
り除き,穏やかに加熱して乾固する。塩酸10 mL及び熱水を加えて可溶性塩類を溶解し,穏やかに加
熱して塩化ナトリウムの結晶が析出し始めるまで濃縮する。
7.4.2 タングステンの沈殿分離
タングステンの沈殿分離は,次の手順によって行う。
a) 7.4.1 c)で得た溶液にシンコニン溶液(7.2.17)約5 mLを加え,よくかき混ぜた後,シンコニン洗浄液
(7.2.18)を加えて液量を約300 mLとし,温所に3時間又は室温で一夜間放置して沈殿を熟成させる。
b) 時計皿の下面をシンコニン洗浄液(7.2.18)で洗浄して時計皿を取り除き,沈殿をろ紙(5種C)を用
いて23回傾斜法(デカンテーションともいう。)によって大部分の沈殿をビーカー内に残すように
ろ過し,ビーカー内に残った沈殿を,シンコニン洗浄液を用いてろ紙上に移し入れ,シンコニン洗浄
液で十分に洗浄する。
c) ビーカーの内壁に付着した沈殿をポリスマンを用いてこすり落とし,シンコニン洗浄液(7.2.18)を用
いてろ紙上に移し入れ,ろ紙上の沈殿をシンコニン洗浄液で十分に洗浄した後,ビーカーの内壁をア

――――― [JIS M 8128 pdf 10] ―――――

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