JIS R 1711:2019 ファインセラミックス―全有機体炭素(TOC)試験による光触媒材料のフェノール酸化分解性能試験方法 | ページ 2

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単位 mm
図2−試験容器構成例

4.4 試験試料水槽

  試験容器に供給する試験試料水の状態を安定に保持し,かつ,採水が可能にした試験試料水槽を設ける
(図3参照)。試験試料水槽は,容積が300500 mLでフェノールに対して耐薬品性があるほうけい酸ガ
ラス製が望ましい。試験中は,試験試料水槽内の試験試料水をかくはんするため,かくはん子が回転でき
る容量・構造とする。また,試験中に試験試料水の温度を一定範囲内にするために,恒温水が循環できて,
試験試料水槽を固定できる恒温水筒を用意する。
試験試料水槽には気密性を保持するためにOリングをもつ蓋を設ける。Oリングにはふっ素ゴム製のも
のが望ましい。この蓋には,配管用貫通口,通気用貫通口,排気用通気口及び温度計が固定できる貫通口
を設ける。排気用通気口の口径については,試験を実施する環境下において試験片を導入しない試験を暗
条件で実施し,TOC計測によるフェノールの濃度の変動が1.5 %以下であればよい。例えば,直径が3 mm
程度の排気用通気口があればよい。
なお,試験試料水槽,蓋及び恒温水筒は,ここに示した条件を満たした素材及び構成であれば,例示し
た仕様に限定されない。

――――― [JIS R 1711 pdf 6] ―――――

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図3−試験試料水槽及び恒温水筒の構成例

4.5 通気器具

  溶存酸素供給空気の通気には,フェノールの吸着がなく,不純物が溶出しない素材の中空の管状の器具
を用いる。例えば,試験ごとに交換できるほうけい酸ガラス製のディスポーザブルピペット(内容量3±1
mL)及び噴射部の寸法が直径10±1 mm,高さ18±1 mmの円筒状ガス噴射管が挙げられる。
通気流量は,試験実施の水温において,溶存酸素濃度を維持できる流量であればよい。通気流量は400
600 mL/minの範囲で制御できるものがよい。
なお,溶存酸素供給空気の供給のためのポンプは,有機物などの汚染を防ぐために機械油が用いられて
いないダイヤフラム式のポンプなどを用いることが望ましい。

4.6 TOC測定機器

  JIS K 0551に規定する燃焼酸化−赤外線式TOC分析法[不揮発性有機体炭素分析法 : Non-Purgeable
Organic Carbon(NPOC)]に従って,JIS K 0805に規定するTOC自動計測器によって全有機体炭素を計測
する。
なお,JIS K 0551に規定する酸性化処理によるpHは,2である必要はなく,無機炭素が除去できれば3
4でもよい。また,JIS K 0805に規定する計測精度をもつ装置の場合は,計測応答時間はJIS K 0805に
規定する時間範囲内でなくてもよい。

4.7 光源

  光源は,JIS R 1709による。
なお,一般にUVAと呼ばれる紫外線を放射するランプで351 nmに最大の光強度をもつ紫外線蛍光ラン
プ(ブラックライトブルー蛍光ランプ)を使用することが望ましい。

4.8 紫外光照射装置

  試験片に均一に紫外線が照射されるように,直管形蛍光ランプ2本を平行に取り付けたものを用いる。

4.9 紫外放射照度

  放射強度は,JIS R 1709に規定される紫外光照度計を用いて計測する。

――――― [JIS R 1711 pdf 7] ―――――

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4.10 pH計

  試験試料水のpHは,JIS Z 8802に規定するpH計を用いて計測する。

5 試薬

  フェノールは,JIS K 8798に規定するものを用いる。

6 試験片の準備

6.1 試験片


板状試験片は,幅4901 mm,長さ19901
− mmのもので,図1に示した試験片設置箇所に収まればよい。
厚さは,試験片設置箇所に収まり,試験片の最上の表面から窓板ガラスの内側の表面の間に5±1 mmの間
隔を設けられればよく,特に規定しない。異なる厚さの試験片を用いる場合は,その間隔を補助板によっ
て調整する。
なお,補助板の素材は,近紫外線の照射に耐え,フェノールに対する耐薬品性があるPTFEを用いるこ
とが望ましい。
球状,フレーク状などの形状の試験片については,試験容器の試験片設置箇所に収め,平らにならした
後,試験片の最上表面から窓板ガラスの内側の表面の間に501
− mmの間隔を設けるように設置する。試験
容器の傾斜又は試験試料水の循環によって,試験片がずり落ちる場合は,ずれ防止構造を試験片設置箇所
に設ける。

6.2 試験片の前処理

  次のいずれかの可能性がある場合には,適切な前処理を実施する。
なお,試験片は,前処理後に十分に乾燥させる。この場合,有機物の吸着などの影響が小さくなるよう
にする。
a) 暗条件の試験において,試験終了後にpHが58の範囲を超えて変化する場合には,試験片は精製水
を用いて流水洗浄する。洗浄前後のpHを計測し,pHが58の範囲に収まるまで,精製水を用いて
流水洗浄する。
b) 暗条件の試験において,試験片からの有機物の溶出が疑われる場合には,試験片は精製水を用いて流
水洗浄する。または,JIS R 1701-1に規定されている紫外線蛍光ランプによって,連続5時間以上の
光照射を大気中又は水中で実施する。試験片からの有機物の溶出については,7.3のa) d)及びf)に規
定する試験を実施し,暗条件で6時間目の濃度計測用試料水から計測されたフェノールの濃度CDfが
暗条件の初期濃度計測用試料水から計測されたフェノールの濃度CDiの値の95 %以上であればよい。
なお,400 ℃以上の高温で処理しており,水中に有機物等の溶出がなく,十分な洗浄によってpH
が大きく変化するような無機塩の残留がないことが明らかと判断される試験片に関しては,前処理を
省略してもよい。

7 試験条件,準備及び手順

7.1 試験条件

  光強度は,紫外光照度計の受光部を試験片の中心の位置に来るようにして,窓板ガラス越しで2±0.1
mW/cm2になるように調整する。この場合,紫外光照度計の受光部と窓板ガラスとの間には,501
− mmの間
隔をあける。
なお,紫外光照度は,紫外線蛍光ランプをあらかじめ10分以上点灯させてから計測する(JIS R 1709

――――― [JIS R 1711 pdf 8] ―――――

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参照)。
試験容器の傾斜角度は,5°10°の間とする。紫外光蛍光ランプの中心と,試験片設置箇所の中心とを
合わせ,平行に配置する。
通気流量は,約500 mL/minとする。
試験容器への試験試料水の流量は,200±2 mL/minとする。
試験試料水の水温は,23±2 ℃とする。室温は,23±5 ℃とする。水温及び室温は,温度計器具JIS B 7414
又はJIS Z 8704に規定する温度計で測定する。

7.2 試験準備

  試験試料水を採水するバイアル瓶は,ほうけい酸ガラス製とする。バイアル瓶を含め,この規格で使用
するガラス器具は,試験試料水への不純物の混入を避けるために,中性又はアルカリ洗剤を用いて洗浄し,
精製水で十分に洗浄したものを用いる。

7.3 試験手順

  暗条件及び明条件の二つの試験を実施する。暗条件によって試験片へのフェノールの吸着を計測し,明
条件によって試験片の光触媒作用によるフェノールの酸化分解を計測する。次に示す手順a) c)を実施後,
暗条件はd)及びf)を実施し,明条件はe)及びf)を実施する。
なお,試験試料水槽にTOC測定機器を直接つなぐ場合は,手順c)の実施後にTOCを計測して初期濃度
とし,手順d)及びe)においては,2時間ごとにTOCを計測する。
a) 溶存酸素飽和水を用いて,フェノールの濃度が5.0±0.5 mg/Lの試験試料水を1 000±5 mLに調製する。
調製した試験試料水は,暗条件で500±2 mL,明条件で残りを使用する。ここで,暗条件の初期濃度
計測用試料水として試験試料水の20±1 mLをバイアル瓶に採水する。明条件の試験においても,同
様に同量を採水する。調製した試験試料水のpHを計測する。この規格で調製した試験試料水は,密
閉して試験実施温度又は冷暗所で保管する。
b) 試験片を暗所で試験容器に設置する。
c) 試験試料水槽にかくはん子及び試験試料水を入れ,蓋をして恒温水筒に設置する。試験試料水槽と試
験容器の配管とを接続して温度計等を設置する。かくはん及び通気を開始する。試験試料水のかくは
ん及び通気は,試験中継続して行う。温調水を恒温水筒に循環させる。
d) 試験試料水の循環開始と同時に,暗所における吸着の測定を開始する。試験試料水の循環は6時間実
施する。試験試料水は,2時間ごとに試験試料水槽から20±1 mLをバイアル瓶に濃度計測用試料水と
して採水し,TOCを計測する。
e) 試験試料水の循環開始後1分以内に,光照射を開始する。光照射は6時間実施し,2時間ごとに試験
試料水槽から試験試料水を濃度計測用試料水として20±1 mLをバイアル瓶に採水し,TOC計測する。
f) 試験試料水槽内の試験試料水のpHを計測する。

8 試験結果の表し方

8.1 数値の丸め方

  この規格の試験で算出された数値は,JIS Z 8401規則Aに規定する数値の丸め方によって表記し,小数
点第2位まで求める。

8.2 暗条件

  暗条件で採水した初期濃度計測用試料水及び濃度計測用試料水から計測したTOCの変化量を用いて,
ΔTOCD(mg/L)を式(1)によって算出する。

――――― [JIS R 1711 pdf 9] ―――――

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ΔTOCD=CDi−CDf (1)
ここに, ΔTOCD : 試験片に吸着したフェノールの濃度(mg/L)
CDi : 暗条件の初期濃度計測用試料水から計測されたフェノール
の濃度(mg/L)
CDf : 暗条件で6時間目の濃度計測用試料水から計測されたフェ
ノールの濃度(mg/L)
CDfが試験時間範囲内で0になる場合は,0になった時間及びΔTOCDを明記する。ただし,ΔTOCDがマ
イナスになり,かつ,その値がCDiの5 %を超える場合は,6.2のb)を実施後,再試験する。

8.3 明条件

  明条件で採水した初期濃度計測用試料水及び濃度計測用試料水から計測されたTOCの変化量を用いて,
ΔTOCL(mg/L)を式(2)によって算出する。
ΔTOCL=CLi−CLf (2)
ここに, ΔTOCL : 試験片に吸着及び光触媒作用で分解されたフェノールの濃
度(mg/L)
CLi : 明条件の初期濃度計測用試料水から計測されたフェノール
の濃度(mg/L)
CLf : 明条件で6時間後の濃度計測用試料水から計測された残存
フェノール及び生成された副生成物の濃度(mg/L)
CLfが試験時間範囲内で0になる場合には,0になった時間及びΔTOCLを明記する。ただし,暗条件下
でΔTOCDの値が適切であったにもかかわらず明条件下でΔTOCLがマイナスになる場合は,光照射中に光
触媒などの作用の影響を受けて,試験片自体が分解されている可能性が高く,正確な値を計測できなくな
るため,試験は不成立とする。

8.4 試験片のフェノールの酸化分解性能

  ΔTOCL及びΔTOCDを用いて,式(3)によってフェノールの酸化分解性能としてのΔTOCを算出する。
ΔTOC=ΔTOCL−ΔTOCD (3)
ここに, ΔTOC : 試験片の光触媒作用で分解されたフェノールの濃度(mg/L)

8.5 試験成立条件

  試験は,式(4)の関係を満たした場合に成立とする。
ΔTOCL>ΔTOCD (4)
また,試験時間範囲内でCLf及びCDfが0になる場合には,CLfがCDfよりも0になる時間が早い場合を
成立とする。

9 試験結果の報告

  試験報告書には,次の事項を報告する。ただし,受渡当事者間の協定によって記載事項を省略すること
ができる。
a) この規格の番号
b) 試験実施日
c) 試験時間
d) 試薬の製造業者名,純度及び等級
e) 光源(製造業者名,形式及びランプ数)
f) 放射照度計の製造業者名及び形式
g) OC測定機器の形式及び製造業者名

――――― [JIS R 1711 pdf 10] ―――――

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