この規格ページの目次
3
R 9011 : 2006
表 1 定量範囲
単位 %
石 灰 CaO MgO SiO2 Al2O3 Fe2O3 P2O5 S
上限 98.0 10.0 5.0 3.0 3.0 0.50 1.00
生石灰
下限 80.0 0.1 0.1 0.1 0.1 0.01 0.01
上限 74.0 8.0 5.0 3.0 3.0 0.50 1.00
消石灰
下限 65.0 0.1 0.1 0.1 0.1 0.01 0.01
上限 70.0 40.0 5.0 3.0 3.0 0.50 1.00
軽焼ドロマイト
下限 50.0 20.0 0.1 0.1 0.1 0.01 0.01
8.3 試薬
この方法で試薬を用いる場合は,特級,又は特級相当品を用い,水分を除いた状態での純度
が99.0 %以上のものでなければならない。次の試薬については使用前に1 050±50 ℃で1時間強熱し,デ
シケーター中で放冷後使用する。
a) 二酸化けい素
b) 酸化アルミニウム
c) 酸化第二鉄
また,五酸化りん及び全硫黄に対する試薬については,適切なものを選定し,使用前に純度を確認した
ものを使用する。
8.4 装置及び器具
8.4.1 蛍光X線分析装置 蛍光X線分析装置は,JIS K 0119による。使用する装置は測定する項目につ
いて,十分な感度で測定できるものでなければならない。
8.4.2 加圧成形機 加圧成形した試料を使用する場合は,均等に150 MPa以上の圧力をかけられる適切
な装置を使用する。ただし,蛍光X線分析を消石灰だけに適用する場合は,50 MPa以上の圧力をかけら
れる装置でもよい。加圧成形時に使用する器具は,測定面を平滑に仕上げられるものでなければならない。
8.4.3 ガラスビード調製容器 ガラスビード調製容器は,白金製で操作中に変形しにくい構造のものを用
いる。容器の内部底面は,常に平滑性を保つ。
8.4.4 ガラスビード調製装置 ガラスビード調製装置は,1 0001 200 ℃の範囲で任意の温度を保つこと
ができる自動調製装置,又はマッフル炉若しくは高周波炉のような炉を使用する。
8.5 測定条件
試料の種類,装置の種類,分析項目,その含有率などの諸条件に応じて適切な感度をも
ち,かつ,再現性・繰返し精度を満足する測定条件を設定する。
表2に,測定条件の一例を示す。
表 2 測定条件の一例
分析項目 分析線 波長 分光結晶 検出器 測定時間 印加電圧 電流
nm s kV mA
CaO CaKα 0.335 8 LiF 密封形比例計数管 40 40 70
MgO MgKα 0.989 0 人工多層膜 ガスフロー形比例計数管 40 40 70
SiO2 SiKα 0.712 5 人工多層膜 ガスフロー形比例計数管 40 40 70
Al2O3 AlKα 0.833 9 PET ガスフロー形比例計数管 40 40 70
Fe2O3 FeKα 0.193 6 LiF 密封形比例計数管 40 40 70
P2O5 PKα 0.615 7 Ge 密封形比例計数管 40 40 70
S SKα 0.537 2 Ge ガスフロー形比例計数管 40 40 70
8.6 試料の作成
検量線用試料,検定用試料及び測定用試料は,次によって作成する。
――――― [JIS R 9011 pdf 6] ―――――
4
R 9011 : 2006
8.6.1 加圧成形 使用する蛍光X線分析装置の試料ホルダーの,適切なサイズのアルミニウム製,ポリ
塩化ビニル製などのリングに試料を充てん(填)した後加圧成形する。測定試料の厚みは,1 mm以上で
なければならない。
成形した試料に凹凸,クラック,反りなどが認められる場合は成形操作をやり直す。
8.6.2 ガラスビードの作成 ガラスビードの作成には,無水四ほう(硼)酸リチウムなど種々の融剤が使
用できるが,検量線用試料,検定用試料及び測定用試料を通じて同じ融剤を用いなければならない。試料
と融剤の質量は,次を満たすことを条件に常に一定でなければならない。
a) 試料と融剤との混合比は,対象とする分析項目に対して十分な感度が得られなければならない。
b) ガラスビード測定面にきず又は気泡を生じてはならない。
c) ガラスビードは,均質でなければならない。
試料及び融剤を質量比が一定となるよう0.1 mgまで正確にはかりとる(1)(2)。はかりとった試料を溶融前
に十分に混合する。試料をガラスビード調製容器に移し,所定の溶融温度において一定時間(例えば,1
100 ℃で10分間)溶融操作を行う(3)。溶融終了後,ガラスビード調製容器を水平な位置に置き放冷する。
注(1) 必要に応じて,はく(剥)離促進剤を使用してもよい。この場合,はく(剥)離促進剤の質量
比は常に一定でなければならない。
(2) 消石灰の場合は,事前に強熱(例えば,1 050 ℃で1時間)した試料を使用する。この場合は,
測定値を強熱減量で補正する。
(3) 硫黄を定量する場合は,1 100 ℃以下で溶融する必要がある。
8.7 検量線の作成
8.7.1 検量線作成に用いる試料 検量線の作成は,11.17.及び19.の方法によってあらかじめ対象項目の
含有量を求めた生石灰,消石灰及び軽焼ドロマイトの対象とする試料(工業用標準物質)を用いて行う。
SiO2,Al2O3,Fe2O3,P2O5及びSについては生石灰,消石灰及び軽焼ドロマイトに8.3の試薬を混合して
成分調製してもよいが,この場合,混合試料は均質でなければならない。
8.7.2 新規検量線の作成 各分析項目について8.6によって作成した検量線用試料のX線強度を測定し,
最小二乗法によって検量線を作成する。検量線の範囲及び検量線作成のための測定点数の例を,表3に示
す。
表 3 検量線作成の一例
生石灰 消石灰 軽焼ドロマイト
分析項目
検量線の範囲 点数 検量線の範囲 点数 検量線の範囲 点数
CaO 90.097.0 5 68.074.0 5 57.067.0 5
MgO 0.23.0 4 0.12.0 4 25.035.0 5
SiO2 0.11.5 4 0.11.5 4 0.11.5 4
Al2O3 0.10.5 4 0.10.5 4 0.10.5 4
Fe2O3 0.10.5 4 0.10.5 4 0.10.5 4
P2O5 0.010.1 4 0.010.1 4 0.010.1 4
S 0.010.1 4 0.010.1 4 0.010.1 4
8.8 検定用試料
検定用試料は検量線を検定するための試料であり,11.17.及び19.の方法によってあ
らかじめ対象項目の含有量が確定されたもので,8.6によって作成した2枚1組の試料からなる。検定用試
料は劣化しないよう,チャック付きの袋などで密封し,デシケータ中に保管する。
8.9 定量
試料の定量は,次によって行う。
a) 2枚1組の検定用試料の分析対象項目測定値の差が,平均値に対して0.5 %以内であり(差/平均値
――――― [JIS R 9011 pdf 7] ―――――
5
R 9011 : 2006
≦0.5 %),かつ,平均値が,確定値に対して100.0±0.5 %以内であることを確認する。2枚の検定用
試料の差が0.5 %より大きい場合は,新規の検定用試料を作成する。検定用試料と検量線とに差があ
る場合は,検定用試料及び検量線の一方,又は両方を新規に作成する。
b) 検量線用試料及び検定用試料と同じ測定条件で,測定用試料のX線強度を測定する。このときのX線
強度は,検量線の範囲内になければならない。検量線の範囲を外れた場合は,11.17.及び19.の方法
によって対象項目の定量を行う。
c) 8.7で測定した検量線に測定したX線強度を代入し,定量値を求める。
8.10 報告
8.9によって得られた定量値を7.によって丸め,報告する。
9. 強熱減量の定量方法
9.1 要旨
試料を,1 050±50 ℃で恒量になるまで強熱したときの減量をはかる。
9.2 使用器具及び装置
使用器具及び装置は,次による。
a) 1 050±50 ℃に調節した電気炉
b) 白金るつぼ(例えばJIS H 6201の30番),又は磁製るつぼ(例えば30 mL)
c) デシケーター
9.3 操作
操作は,次による。
a) 試料約1 gを0.1 mgまで白金るつぼ,又は磁製るつぼに正しくはかりとり,1 050±50 ℃に調節した
電気炉で恒量となるまで強熱する。通常,1時間の強熱で恒量が得られる。
b) デシケーター中で放冷した後,質量をはかる。
9.4 計算
試料の強熱減量を,次の式によって算出する。
m1
ig. loss 100
ここに, ig. loss : 強熱減量(%)
m1 : 減量(g)
m : 試料の質量(g)
10. 二酸化けい素+不溶残分の定量方法
10.1 要旨
試料を塩酸及び過塩素酸で分解し,加熱して二酸化けい素を不溶性とし,ろ過及び強熱して
質量をはかる。
10.2 操作
試料約1 gを0.1 mgまで正しくビーカー200 mLにはかりとり,少量の水を加えてスラリー状
とする。時計皿でふたをし,塩酸(1+1)10 mLを加え,かき混ぜて可溶分を溶かす。これに過塩素酸(60 %)
15 mLを加えて砂浴又は熱板上で加熱蒸発し,過塩素酸の濃い白煙が出るようになってから引き続き約10
分間加熱する。少し放冷した後,塩酸(1+1)5 mLと温水約50 mLとを加えてかき混ぜ,沈殿がほぼ沈
んだ後,すぐにろ紙(JIS P 3801の5種B,110 mm)でろ過し,温水で1012回洗浄する。
沈殿をるつぼに入れて乾燥し,徐々に加熱して,炎の出ないように注意しながらろ紙を灰化した後,1 050
± 50 ℃に調節した電気炉中で1時間強熱し,冷却した後,質量をはかる。
10.3 計算
二酸化けい素+不溶残分の含有率は,次の式によって算出する。
――――― [JIS R 9011 pdf 8] ―――――
6
R 9011 : 2006
m1
SiO 2insol. 100
m
ここに, SiO2+insol. : 二酸化けい素+不溶残分の含有率(%)
m1 : 沈殿の質量(g)
m : 試料の質量(g)
11. 二酸化けい素の定量方法
11.1 要旨
試料を塩酸と過塩素酸とで分解後,加熱してけい酸を不溶性とし,ろ過,強熱して質量をは
かる。これを過塩素酸とふっ化水素酸とで処理した後,強熱して質量をはかり,前後の質量の差を求める。
11.2 操作
試料約1 gを0.1 mgまで正しくビーカー200 mLにはかりとり,少量の水を加えてスラリー状
とし,時計皿でふたをし,塩酸(1+1)10 mLを加え,かき混ぜて可溶分を溶かす。これに過塩素酸(60 %)
15 mLを加えて砂浴又は熱板上で加熱蒸発し,過塩素酸の濃い白煙が出るようになってから引き続き10
分間加熱する。放冷した後,塩酸(1+1)5 mLと温水約50 mLを加えてかき混ぜ,沈殿がほぼ沈んだ後,
すぐにろ紙(5種B,110 mm)でろ過し,温水で1012回洗浄する。
ろ液は,メスフラスコ250 mLに受け,そのまま保存し,酸化アルミニウム及び酸化第二鉄の操作のと
き用いる。
沈殿を白金るつぼに入れて乾燥し,徐々に加熱して,炎が出ないように注意しながらろ紙を灰化した後,
1 050±50 ℃に調節した電気炉中で1時間強熱し,冷却した後,質量をはかる。次に,白金るつぼの中の
沈殿を少量の水で湿し,これに硫酸(1+1)又は過塩素酸(60 %)2,3滴及びふっ化水素酸(46 %)約
5 mLを加え,通風室内で加熱して蒸発し,白煙が出つくした後,1 050±50 ℃に調節した電気炉中で10
分間強熱し,冷却した後,質量をはかる。
11.3 計算
二酸化けい素の含有率は,次の式によって算出する。
m1 m2
SiO2 100
m
ここに, SiO2 : 二酸化けい素の含有率(%)
m1 : 初めにはかった沈殿の質量(g)
m2 : ふっ化水素酸処理後の残留物の質量(g)
m : 試料の質量(g)
12. 酸化アルミニウムの定量方法
12.1 EDTA滴定法
12.1.1 要旨 二酸化けい素の沈殿をふっ化水素酸で処理し,その残留物を二硫酸ナトリウムで融解して水
に溶かし,これを二酸化けい素の沈殿を分離したろ液に加える。その全容又は定溶にした一部を分取し,
酢酸アンモニウムと塩酸とでpHを調節し,Cu-PAN溶液を指示薬として0.01 mol EDTA標準溶液で滴定す
る。この滴定値から別に求めた酸化第二鉄の含有率に相当するEDTA標準溶液の量を差し引いて,酸化ア
ルミニウムの含有率を求める。
12.1.2 試薬 試薬は,次による。
a) 0.01 molEDTA標準溶液 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム3.8 gを水に溶かして1 Lとし,ポリ
エチレンの瓶に貯蔵する。この溶液の標定は,JIS K 8001による。
b) u-PAN溶液 Cu-PAN[1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールとエチレンジアミン四酢酸銅(Cu-EDTA)
――――― [JIS R 9011 pdf 9] ―――――
7
R 9011 : 2006
のモル比1 : 1混合物]2 gをイソプロピルアルコール(1+1)100 mLに溶解する。
c) 酢酸アンモニウム溶液 酢酸アンモニウム250 gに水を加えて1 Lとする。
12.1.3 操作 11.2の操作において,ふっ化水素酸処理残留物の付着している白金るつぼに二硫酸ナトリウ
ム12 gを加え,るつぼにふたをして弱い炎で暗赤色になる程度に加熱し,残留物を融解する。るつぼが
冷えてから温水約10 mLを加え,温めて融成物を溶かし,11.2の操作において保存しておいたメスフラス
コ中のろ液に加え,るつぼを塩酸(1+1)12 mLで1回洗った後,温水でよく洗ってその洗液も加え,
室温に冷却し,この溶液を用いて次の操作を行う。
このとき,酸化アルミニウムの含有率に応じて,次の(A)又は(B)を用いて定量する。
(A)酸化アルミニウムの含有率が低い場合で酸化アルミニウムだけを単独に定量したい場合は,この
溶液全容を使用する(この場合,全容を250 mLにする必要はない。)。
(B)酸化アルミニウムの含有率が高い場合は,この溶液全容に標線まで水を加えて振り混ぜ試料溶液
とし,この溶液100 mLをピペットで分取し使用する。残りの溶液はそのまま保存し,酸化カルシ
ウム,酸化マグネシウム及び酸化第二鉄を定量するときに用いる。
(A)又は(B)の溶液をビーカー300 mLに入れ,酢酸アンモニウム溶液15 mLを加え,塩酸(1+1)
及び酢酸アンモニウム溶液を用いてpH3.03.5になるように調節する。
Cu-PAN溶液数滴を加え,煮沸して熱いうちに0.01 mol EDTA標準溶液で赤色の消えるまで滴定し,再
び煮沸して赤色に戻ったら滴定を続け,煮沸及び滴定を繰り返して,30秒間煮沸しても赤色に戻らなくな
ったときを終点とする。
12.1.4 計算 酸化アルミニウムの含有率は,次の式によって算出する。
a) 溶液(A)を用いた場合
v f Fe2 O3
Al2O3 .0000 509 8100
m .0000 798 5100
b) 溶液(B)を用いた場合
v f 250 Fe2 O3
Al2O3 .0000 509 8100
m 100 .0000 798 5100
ここに, Al2O3 : 酸化アルミニウムの含有率(%)
v : EDTA標準溶液使用量(mL)
f : EDTA標準溶液のファクタ
m : 二酸化けい素の操作のとき,量りとった試料の質量(g)
Fe2O3 : 別に求めた酸化第二鉄の含有率(%)
0.000 798 5 : 0.01 mol(EDTA標準溶液のmol数)×(鉄の原子量)
×(酸化鉄の分子量)/(鉄の原子量)×1/2×1/1 000
0.000 509 8 : 0.01 mol(EDTA標準溶液のmol数)×(アルミニウム
の原子量)×(酸化アルミニウムの分子量)/(アルミ
ニウムの原子量)×1/2×1/1 000
12.2 質量法
12.2.1 要旨 二酸化けい素の沈殿をふっ化水素酸で処理した残留物を二硫酸ナトリウムで融解して水に
溶かし,これを二酸化けい素の沈殿を分離したろ液に加える。その全容又は定溶にした一部を分取し,ア
ンモニア水を加えて水酸化物を沈殿させ,ろ過及び強熱して質量をはかる。別に求めた酸化第二鉄の含有
率を差し引いて酸化アルミニウムの含有率を求める。
――――― [JIS R 9011 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS R 9011:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.10 : セラミック原材料
JIS R 9011:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH6201:1986
- 化学分析用白金るつぼ
- JISK0016:1983
- 鉄標準液
- JISK0033:1997
- 標準物質 ― 標準液 ― りん酸イオン
- JISK0037:1999
- 標準物質 ― 標準液 ― マグネシウム
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0115:2004
- 吸光光度分析通則
- JISK0115:2020
- 吸光光度分析通則
- JISK0116:2014
- 発光分光分析通則
- JISK0119:2008
- 蛍光X線分析通則
- JISK0121:2006
- 原子吸光分析通則
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISK8069:2019
- アルミニウム(試薬)
- JISK8432:2017
- 酸化マグネシウム(試薬)
- JISP3801:1995
- ろ紙(化学分析用)
- JISR9001:2006
- 工業用石灰
- JISR9200:2016
- せっこう及び石灰に関する用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8801-1:2019
- 試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい