JIS T 8126:2014 液状農薬散布者が使用する防護服の性能要求事項 | ページ 2

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3.12
接合部(connection)
縫合部(seam),結合部(assemblage)及び連結部(joint)の総称。
3.13
農薬(pesticide)
農作物の保護に使用される殺菌剤,殺虫剤,除草剤,殺そ(鼠)剤,植物成長調整剤など,農薬取締法
(第1条の2第1項)で定義されている薬剤。
3.14
殺生物剤(biocide)
菌,線虫,だに,昆虫,ねずみその他の動植物又はウイルスの防除に用いられる殺菌剤,殺虫剤その他
の薬剤のうち,農薬に当たらないもの。
3.15
くん(燻)蒸剤(fumigant)
密封構造区画の全域にわたって散布され気体化する農薬。
3.16
試験液(test chemical)
防護服材料及び縫合部を試験するために用いられる液状農薬。
3.17
基準汚染面積(calibrated stain area)
防護服完成品の耐浸透性を試験するため,規定量の試験液を吸水性試験用衣服材料に滴下したとき,衣
服材料上に形成された汚染面積。
3.18
浸透(penetration)
液状農薬が,多孔質材料,縫合部,ピンホール又はその他の材料の不完全な部分を非分子のレベルで通
過するプロセス。
3.19
透過(permeation)
材料の表面に接触した液状農薬が,吸収され,内部に分子レベルで拡散を起こし,裏面から離脱するプ
ロセス。
3.20
閉鎖回路系(closed-loop)試験方法
防護服材料の耐透過性試験手順の一つで,捕集媒体を循環させる試験方法。捕集媒体の体積は一定とす
る(JIS T 8030参照)。
注記 捕集媒体を補充せずにサンプリングを行うと,捕集媒体の体積が若干変化する。
3.21
開放回路系(open-loop)試験方法
防護服材料の耐透過性試験手順の一つで,新しい捕集媒体が試験液捕集側セル隔室を連続的に流れる試
験方法。捕集媒体は再使用及び循環はしない(JIS T 8030参照)。
3.22
標準透過質量(normalization permeation mass)

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閉鎖回路系透過試験において,標準破過時間の決定に用いる透過質量。
3.23
標準透過速度(normalization permeation rate)
開放回路系透過試験において,標準破過時間の決定に用いる透過速度。
3.24
除染(decontamination)
防護服の表面及び/又は防護服材料からの汚染物質の除去。

4 分類及び性能要求事項

  この規格で規定する防護服は,表1に示す分類(レベル)及び性能要求事項に適合しなければならない。
機械的強さに関する性能要求事項は,いずれのレベルの防護服についても同一とする。
注記1 この規格に基づく分類(レベル)は,試験した試験液に対するレベル分けであることに注意
を喚起する必要がある。
ただし,ISO 27065に基づく製品との比較を行う場合には,試験液として,ペンディメタリン37.4 %の
乳剤を精製水で5 % a.i.,(有効成分5 %)に希釈した液(標準試験液A剤)1) を使用する。
また,この規格で規定する防護服は,JIS T 8005の要求事項[ただし,6.(サイズ指定)は除く。]にも
適合しなければならない。
注記2 性能要求事項の程度は,レベルに応じて高くなる。
レベル2防護服は,レベル1a及びレベル1bの要求事項に適合しているとみなし,レベル
1について試験する必要はない。
同様に,レベル3防護服は,レベル1a,レベル1b及びレベル2の要求事項に適合してい
るとみなす。
各々レベルのエプロン,アームカバーなどの附属品は,該当するレベルの材料及び縫合部の性能要求事
項に適合しなければならない。ただし,完成品スプレー試験を行う必要はない。
注記3 完成品スプレー試験は,身体の全部又は大部分を防護する全身防護服を対象とする試験方法
であり,身体の一部分を防護するエプロン,アームカバーなどの附属品,すなわち,部分防
護服は試験を行う必要はない。
耐液体浸透性試験5.2,5.3,6.2及び6.3に用いる試験液は,次に示す標準試験液及び/又は指定濃度に
希釈した散布に使用する農薬(実剤)とする。
試験した試験液及びその試験結果から分類したレベルは,8.1で表示する。
標準試験液は,ペンディメタリン37.4 %の乳剤を精製水で5 % a.i.,(有効成分5 %)に希釈した液(標
準試験液A剤)1) 又はペンディメタリン30.0 %の乳剤を精製水で5 % a.i.,(有効成分5 %)に希釈した液
(標準試験液B剤)2) とする。
強い透過特性をもち追加試験が要求される特定の農薬については,その農薬を使用し,5.4及び6.4によ
って規定された,材料及び縫合部の耐透過性試験を行い,合否を判定する。
試験結果の詳細は,試験した試験液ごとに,使用した農薬名(配合を含む)及びその試験結果を,8.3
で報告する。
注1) この試験液としての適切な製品の例としては,Prowl 3.3 EC(米国登録農薬番号 : 241-337)が
ある。標準試験液として使用する目的でProwl 3.3 ECを輸入するには,“農薬取締法第2条第1
項の登録を要しない場合を定める省令”(平成15年農林水産省・環境省令第2号)に定める場

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合に該当することの確認を受ける手続きが必要となる。
2) 市場で入手できる試験液としての適切な製品の例として,ゴーゴーサン 乳剤(登録番号 : 第
22176号)がある。ISOは,標準試験液としてProwl 3.3 ECを推奨している。しかしProwl 3.3
ECは,国内登録のない農薬であり,試験の実施には困難を伴う。このことから,ゴーゴーサン
乳剤を代替試薬の一つとした。
表1−レベル1,2及び3防護服の試験及び性能要求事項
レベル
要求事項 項番 性能試験
1a 1b 2 3
5.2.1 a)耐液体浸透性(EN 14786) ≦5.0 %
5.2.2 a)耐液体浸透性(JIS T 8034) ≦40.0 % ≦5.0 %
加圧下における耐液体浸透
5.3 a) >14 kPa
性(JIS T 8031の手順E)
材料の要 耐透過性(JIS T 8030のA
5.4 b) ≧30 min
求事項 法)
引張強さ(JIS L 1096の附属≧クラス2 ≧クラス2 ≧クラス2 ≧クラス2
5.5 c)
書Jストリップ法) ≧クラス1 ≧クラス1 ≧クラス1 ≧クラス1
引裂強さ(JIS L 1913の6.4.2
5.6 ≧クラス1 ≧クラス1 ≧クラス1 ≧クラス1
トラぺゾイド法)
縫合部耐液体浸透性(EN
6.2.1 a) ≦5.0 %
14786)
縫合部耐液体浸透性(JIS T
6.2.2 a) ≦40.0 % ≦5.0 %
8034)
縫合部加圧下における耐液
縫合部の
6.3 a) 体浸透性(JIS T 8031の手順 >14 kPa
要求事項
E)
縫合部耐透過性(JIS T 8030
6.4 b) ≧30 min
のA法)
≧クラス2
縫合部強さ(JIS L 1093の7.1 ≧クラス2 ≧クラス2 ≧クラス2
6.5 c)
グラブ法) ≧クラス1 ≧クラス1 ≧クラス1 ≧クラス1
7.2 実用性能(附属書A) ○ ○ ○ ○
全身防護 低レベルスプレー試験(ISO
7.3.1 ○
服の要求 17491-4のA法)
事項 高レベルスプレー試験(ISO
7.3.2 ○
17491-4のB法)
注a) 耐液体浸透性試験に基づく分類は,試験した試験液ごとに行う。
b) 特定の農薬について追加試験が要求されるときは,その農薬を使用し材料及び縫合部の耐透過性試験を行う。
c) 上段 : 再使用可能防護服,下段 : 限定使用防護服

5 防護服材料試験

5.1 試験片の準備及び洗濯による前処理

  試験片は,防護服完成品に使用する材料又は防護服完成品から採取した材料とする。
採取した試験片は,少なくとも(23±5)℃で48時間放置し試料調整した後に,同条件で試験する。
製造業者が洗濯可能であるとする防護服は,試験する前に,防護服の全ての材料及び構成部材について
洗濯のサイクル間の乾燥を除き(洗濯と洗濯との間に必ずしも防護服を乾燥させる必要はない。),製造業
者が指定する方法で洗濯による前処理を行う[8.2 a) 参照]。

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指定のない場合は,ISO 6330に基づき,受渡当事者間で洗濯方法を協議し,前処理する。
洗濯及び/又は保守について製造業者が特別な条件を設定しているときは,8.1 i) に基づき,その内容を
表示する。
前処理のための洗濯回数は,製造業者が指定し,表示した回数とする。ただし,製造業者が洗濯回数を
指定していない防護服の洗濯回数は,30回とする。

5.2 材料の耐液体浸透性

5.2.1  耐液体浸透性(アトマイザー試験)
レベル1a防護服の材料の耐液体浸透性は,EN 14786によって試験を行い,3枚の測定値の平均から合
否を判定する(附属書B参照)。
3枚の測定値の平均が最低要求事項限界値の10 %以内(すなわち,試験結果が5.5 %以下である場合)
であるときには,更に3枚の試験を行い,6枚の測定値の平均から合否を判定する。防護服が二つ以上の
材料で構成されているときは,それぞれの材料について3枚の試験片を試験する。
試験液は,標準試験液及び/又は指定濃度に希釈した散布に使用する農薬(実剤)とする。ただし,ISO
27065に基づく製品との比較を行う場合に用いる試験液は,それが材料及び縫合部について同等の性能を
満たすものに限って,標準試験液A剤と別の試験液を用いてもよい。使用した試験液,試験片などの汚染
物は,国及び地方自治体の規則に基づいて廃棄する。
防護服に裏地・中綿が付いているなど材料が複数の層で構成されているときは,全ての層を着用時と同
じ順序に配置し,一体とした状態で最外層を試験する。複数の異なる材料で構成される単層又は多層の防
護服は,それぞれについて一体とした状態で試験を行い,試験結果のうち最も低い性能レベルから合否を
判定する。
試験結果は,8.3で報告する。
5.2.2 耐液体浸透性(ピペット試験)
レベル1b防護服及びレベル2防護服の耐液体浸透性は,JIS T 8034のA法によって,0.2 mlの試験液で
試験を行い,3枚の浸透率の平均値から材料の分類を行う。
3枚の測定値の平均が最低要求事項限界値の10 %以内(例えば,要求性能が5 %以下であるとき,試験
結果が5.5 %以下である場合)であるときには,更に3枚の試験を行い,6枚の測定値の平均から材料を分
類する。防護服が二つ以上の材料で構成されているときは,それぞれの材料について3枚の試験片を試験
する。
試験液は,標準試験液及び/又は指定濃度に希釈した散布に使用する農薬(実剤)とする。ただし,ISO
27065に基づく製品との比較を行う場合に用いる試験液は,それが材料及び縫合部について同等の性能を
満たすものに限って,標準試験液A剤と別の試験液を用いてもよい。使用した試験液,試験片などの汚染
物は,国及び地方自治体の規則に基づいて廃棄する。
防護服に裏地・中綿が付いているなど材料が複数の層で構成されているときは,全ての層を着用時と同
じ順序に配置し,一体とした状態で最外層を試験する。複数の異なる材料で構成される単層又は多層の防
護服は,それぞれについて一体とした状態で試験を行い,試験結果のうち最も高い浸透率を用いて性能レ
ベルを分類する。
ただし,分析的手法であるJIS T 8034のB法を用いて有効成分を定量してもよい。
多孔質膜などの特定の材料は,水を浸透させ,有効成分を浸透させないときがある。捕集層にペンディ
メタリンの色である明るい黄色が目視できないときには,JIS T 8034のB法を用いて有効成分を定量して
もよい。

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注記 ピペット試験は,材料の浸透性能の差異を識別するための促進試験である。
したがって,促進試験であるピペット試験から引き出される実験室データを,現場の浸透デ
ータに置き換えることはできない。これらの許容値は,材料の分類に限って使用し,散布作業
者のばく露軽減のための防護性能の設定及び/又はリスク評価に用いるのは適切ではない。
試験結果は,8.3で報告する。

5.3 材料の加圧下における耐液体浸透性

  レベル3防護服の材料の加圧下における耐液体浸透性は,JIS T 8031の手順E(任意手順)によって3
枚の試験片を試験する。
試験液は,標準試験液及び/又は指定濃度に希釈した散布に使用する農薬(実剤)とする。
この規格における手順Eは,次のとおりとする。まず0 kPaの圧力において試験片を1分間放置し,次
いで,この圧力を毎分1 kPaずつ増やし,最大15 kPaまで観察する。3枚の試験片の全てが14 kPaを超え
たとき(すなわち,浸透が見られなかったとき),材料は試験に合格とする。ただし,ISO 27065に基づく
製品との比較を行う場合に用いる試験液は,それが材料及び縫合部について同等の性能を満たすものに限
って,標準試験液A剤と別の試験液を用いてもよい。使用した試験液,試験片などの汚染物は,国及び地
方自治体の規則に基づいて廃棄する。
防護服に裏地・中綿が付いているなど材料が複数の層で構成されているときは,全ての層を着用時と同
じ順序に配置し,一体とした状態で最外層を試験する。複数の異なる材料で構成される単層又は多層の防
護服は,それぞれについて一体とした状態で試験を行い,最も低い性能から合否を判定する。
試験結果は,8.3で報告する。

5.4 材料の耐透過性

  材料に対し特定の農薬についての追加試験が要求されるときは,材料の耐透過性を,JIS T 8030の8.9
(試験片の目視評価)を含めJIS T 8030のA法によって評価する。
試験液には,使用時の希釈度に精製水で希釈した特定の農薬を用いる。3枚の試験片を試験し,測定値
の平均を標準破過時間とする。
使用した試験液,試験片などの汚染物は,国及び地方自治体の規則に基づいて廃棄する。
標準破過時間は,開放回路系試験のときには,標準透過速度が毎分1 μg/cm2に達したとき,閉鎖回路系
試験のときには,標準透過質量が2.5 μg/cm2に達したときとする。
注記 精製水で希釈した農薬が,乳濁又は懸濁する混合物である場合は,試験中に,試験液投入側セ
ル隔室をかくはん(攪拌)する必要が生じることがある。また,有効成分を検出するために,
特定の検出装置が必要になることもある。
防護服に裏地・中綿が付いているなど材料が複数の層で構成されているときは,全ての層を着用時と同
じ順序に配置し,一体とした状態で最外層を試験する。複数の異なる材料で構成される単層又は多層の防
護服は,それぞれについて一体とした状態で試験を行い,最も低い性能から合否を判定する。
試験液及び試験結果は,8.3で報告する。

5.5 材料の引張強さ

  材料の引張強さは,JIS L 1096の附属書J(ストリップ法)によって試験を行い,たて方向及びよこ方
向の両方について,5枚の測定値の平均から,表2のクラスに分類する。ただし,伸度が50 %を超える材
料には,この要求事項は適用しない。
防護服に裏地・中綿が付いているなど材料が複数の層で構成されているときは,最外層の材料を試験す
る。複数の異なる材料で構成される防護服は,材料のそれぞれについて試験する。

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JIS T 8126:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 27065:2011(MOD)

JIS T 8126:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 8126:2014の関連規格と引用規格一覧