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ぶ。この附属書では,TNR法を使った場合,1 000 Hz以上の周波数の離散周波数音に対しては,その音圧
レベルが,臨界帯域内のマスキングノイズの音圧レベルに比べて8 dBよりも大きくなったときに,また,
1 000 Hz未満の離散周波数音に対しては,その差が8 dBよりも更に大きなある値を上回ったときに,その
離散周波数音を“顕著(prominent)”と分類する。一般に,このことは,検出のしきい(閾)値に比べて
10 dB14 dB上回った離散周波数音が顕著なものとなる。PR法を使った場合,その離散周波数音を中心
とする臨界帯域内の音圧レベルと,その臨界帯域に隣接する臨界帯域の平均レベルとの差が,1 000 Hz以
上の音に対しては9 dB以上になったときに,また,1 000 Hz未満の離散周波数音に対しては,その差が9 dB
よりも更に大きなある値を上回ったときに,その離散周波数音を“顕著”と分類する。参考文献 [15] で
は,これらの規準値の根拠が示されている。
D.4 マイクロホンの位置
オペレータ位置の定義された機器の場合,8.6.1で定義するオペレータ位置において測定を行う。オペレ
ータ位置が複数あるときには,最も高いA特性音圧レベルとなるオペレータ位置において後述の測定を行
う。
オペレータ位置の定義されていない機器の場合,TNR又はPRを算出するため,8.6.2で定義するバイス
タンダ位置のうち,最も高いA特性音圧レベルとなる位置及びそのレベルの0.5 dB以内にある全てのバイ
スタンダ位置において測定を行う。
この附属書の方法をサブアセンブリに適用しなければならない場合には,次の2段落の条件を用いる。
オペレータ位置の定義された機器の中で使用されるサブアセンブリの場合,測定は定義されたオペレー
タ位置(8.6.1)において行う。
作動モード中にオペレータの介在を必要としない機器の中で使用されるサブアセンブリの場合,測定は
定義されたバイスタンダ位置(8.6.2)のうち,最も高いA特性音圧レベルとなる位置及びそのレベルの
0.5 dB以内にある全ての位置において行う。物理的に小さく,かつ,低騒音のため,半径1 m以下の半球
測定表面(5.1.7及びB.1参照)の必要なサブアセンブリの場合,バイスタンダ位置ではS/N比が不十分と
なることがある。そのような場合には,(たとえ,音響パワーレベルの算出に固定されたマイクロホンの位
置を使わないとしても)表B.1の半球測定表面上のマイクロホンの位置の中から選択した複数の位置にお
いて測定を実施してもよい。そのような場合,半球の半径,表B.1の座標及びマイクロホンの位置と機器
の向きとの関係を特定することのできる十分な情報を報告しなければならない。
この附属書に規定する測定のために複数のマイクロホンの位置が使われる場合,TNR(D.9.4)及びPR
(D.10.5)それぞれに対して,計算された値の最大値及びそれに対応するマイクロホンの位置を報告しな
ければならない。
D.5 測定器
この附属書に記載する測定に対しては,マイクロホンの信号のパワースペクトル密度を測定できるデジ
タル高速フーリエ変換(FFT)分析器を用いる。
分析器は,実効値平均機能(指数平均ではなく,線形平均),ハニング時間窓関数,分析対象の離散周波
数音に対してここで要求する諸量を計算するのに十分高い上限周波数をもち,かつ,その離散周波数音の
周波数の1 %よりも細かいFFT分解能がなければならない。
注記 TNR法(D.9参照)に対しては,経験の示すところでは,FFT分解能が,分析対象離散周波数
音の周波数の1 %では,離散周波数音を適切に分析するには不十分となることがある。したが
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って,TNR手順を適用するためには,0.25 %以下の細かいFFT分解能が推奨される[参考文献
[16] 参照]。
FFT分析器に送られるマイクロホンの出力信号は,JIS C 1509-1に規定するクラス1のサウンドレベル
メータに対する要件を満足しなければならない。なぜならば,この附属書の手順では,(パワースペクトル
密度の代わりに)直接,音圧レベルとして扱うことをオプションとして認めており,FFT分析器(又は,
FFTデータを後処理するために使われるソフトウェア)において,単位がデシベルの音圧レベル(基準値
20 Pa)として直接,校正できるようにするのが望ましいからである。
ただし,分析器の入力信号に対し,周波数重み付け特性(例えば,A特性)を適用してはならない。
FFT分析時には,分析時間が8.7.2の要件を満足するように十分な回数の平均を行う。
D.6 初期スクリーニング試験
D.6.1 一般事項
TNR法(D.9参照)又はPR法(D.10参照)を実施するのに先立ち,D.6.2及びD.6.3に規定する初期ス
クリーニング試験の,いずれか該当する一方を実施しなければならない。
D.6.2 通常の騒音中において聴覚しきい(閾)値を十分上回る離散周波数音の可聴に関するスクリーニン
グ試験
離散周波数音は,試験対象機器の騒音放射中に,実際に聴こえる場合にだけ,“顕著”と分類するのが本
来の姿である。スクリーニング試験においては,測定されている騒音のレベルは聴覚しきい(閾)値を十
分に上回っているものと想定される。発生騒音内に存在する離散周波数音又は純音性成分が,その騒音自
身によるマスキング,又は他の理由(例えば,純音がより低い基本周波数の高調波からなっていて,個別
には聴こえないなど)によって,聴こえないこともある。したがって,試験対象機器から発生する騒音の
初期の視聴試験として,指定されたマイクロホンの位置において,次の中の当てはまるものを実施しなけ
ればならない。
a) 少なくとも一つの離散周波数音が聴こえる場合,それぞれの可聴離散周波数音に対して,この附属書
のTNR若しくはPR,又はその両方の測定手順を適用しなければならない。
b) 騒音放射中に離散周波数音が聴こえず,かつ,この結論に信頼のおける場合には,この附属書の手順
を実施する必要はなく,“可聴離散周波数音なし”,“顕著な離散周波数音なし”のような文言を試験報
告書に含めてもよい。
c) (例えば,試験技術者が,難聴の場合,訓練を受けていない場合,又は経験を積んだ試聴者ではない
場合のように)騒音放射中に可聴離散周波数音が存在するのかどうかはっきりしない場合には,より
客観的な,他の証拠を探すのが望ましい。その目的のためには,指定されたマイクロホンの位置にお
ける騒音に対し,予備的なFFT分析をすることが望ましい。そのスペクトルによって,可聴離散周波
数音の存在が示唆された場合(例えば,鋭い周波数スパイクがスペクトル上にあるときには),可聴離
散周波数音になる可能性のある周波数ごとに,この附属書のTNR若しくはPR,又はその両方の測定
手順を適用しなければならない。
注記 上記のa) 及びb) の試聴試験は省略可能であり,可聴音に関するスクリーニング試験としてc)
による予備のFFT分析を直接用いることもできる。
TNR法又はPR法のいずれかに従って,ある離散周波数音を顕著な離散周波数音と決定するには,D.9.8
又はD.10.8の可聴音に関する要件をそれぞれ満足しなければならない。
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D.6.3 聴覚しきい(閾)値付近にある騒音中の離散周波数音の可聴に関するスクリーニング試験
顕著な離散周波数音の有無を分析すべき騒音放射において,騒音そのもの又は騒音中に発生している離
散周波数音が聴覚しきい(閾)値付近か,それ未満の極めて低いレベルである場合,次のスクリーニング
試験を実施しなければならない。規定されたマイクロホンの位置における騒音のFFTスペクトルは,D.9.1
又はD.10.1のいずれか該当するものに従って得なければならない。FFTスペクトルは,使用するFFT分析
器の製造業者の取扱説明書に従い,単位がデシベルの音圧レベル(基準値20 μPa)として校正しなければ
ならない。次の場合を適用する。
a) 顕著かどうかを評価すべき離散周波数音又は純音性成分の音圧レベルLt(D.9.2及び該当する場合には
D.9.6参照)がD.7.1で定義され,式(D.1)によって,その離散周波数音の周波数に対して計算された下
限聴覚しきい(閾)値(Lower Threshold of Hearing,以下,LTHという。)P1( f ) よりも低い場合,そ
の離散周波数音は“聴こえない(inaudible)”と考えられ,この附属書の手順を実施する必要がない。
“可聴離散周波数音なし”,“顕著な離散周波数音なし”のような文言を試験報告書に含めてもよい。
b) 顕著かどうかを評価すべき離散周波数音又は純音性成分の音圧レベルLt(D.9.2及び該当する場合には
D.9.6参照)が,式(D.1)によって,その離散周波数音の周波数に対して計算されたP1( f ) 下
の場合,その離散周波数音は顕著ではないと考えられ,この附属書の手順を実施する必要がない。“可
聴離散周波数音なし”,“顕著な離散周波数音なし”のような文言を試験報告書に含めてもよい。図D.1
にP1( f ) 及びP1( f ) 線を示す。
注記 冷却ファンを内蔵するほとんどの情報技術装置においては,たとえ,それが物理的に小さく,
比較的静寂であっても,その騒音のレベルは聴覚しきい(閾)値を十分上回るであろう。しか
し,小型ディスクドライブのように,それを組み込む最終製品から切り離して評価されるある
種のコンポーネントの場合,その騒音のレベルは,事実,聴覚しきい(閾)値未満になること
があり,上記のスクリーニング手順が適用できる。
D.7 聴覚しきい(閾)値付近の離散周波数音及びノイズ
D.7.1 下限聴覚しきい(閾)値
正常聴覚しきい(閾)値(normal hearing threshold)に関する研究によって,実測されるしきい(閾)値
は,ほぼ正規分布に従って,平均レベル付近に分布することが明らかになっている。その50 %分布の値が,
ISO 389-7 [1] において,周波数の関数として既に標準化されており,“基準聴覚しきい(閾)値(reference
threshold of hearing)”と呼ばれる。
この附属書の目的に対しては,1 %分布[まさに,聴覚しきい(閾)値の下限]に対応する聴覚しきい
(閾)値の方がより適切である。これは“下限聴覚しきい(閾)値”と呼ばれ,LTHと表される。周波数
fにおいて,このLTHに対応する音圧レベルが式(D.1)から計算される。
a2 f '3
a1 f '4
P1 ( f ) a4 f '1
a3 f ' 2 a5 (dB) (D.1)
ここに, f fmean
f' : 表D.1の値から計算した無次元パラメータ
fstd
a1a5 : 表D.1による多項係数
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表D.1−P1( f )の計算のためのパラメータ
fmean fstd a1 a2 a3 a4 a5
f
(Hz) (Hz) (dB) (dB) (dB) (dB) (dB)
20 f < 305 167.5 87.321 2 1.415 532 1.498 869
2.451 068 6.983 224 8.621 226
305 f < 2 230 1 157.5 488.582 0.397 994 0.891 839 0.815 138 7.600 754
1.221 319
2 230 f < 14 000 7 250.03 033.25 1.584 978 2.766 599 6.906 19210.138 553 3.149 339
14 000 f < 22 050 16 990.04 049.0 5.775 593 9.200 034
26.591 15 52.167 12 15.615 520 48
注記 式(D.1)で定義される音圧レベルP1( f )とは,健康な聴覚をもつ人間のほんの1 %だけによって
聴こえると考えられる聴覚しきい(閾)値を表している。式(D.1)は,この附属書の目的に合わ
せて,LTHを周波数の関数として推定するために,参考文献 [17] 及び [18] において収集され,
表形式で表されたデータを4次多項式として表したものである。広範な周波数範囲にわたって
ぜん(漸)近させるため,20 Hzから22 kHz[参考文献 [19] 参照]の間の周波数範囲に対して
4組の異なる多項式を使っている。
単位dB
Lp
f 単位 Hz
1 FFTスペクトル
2 LTH,P1( f )
3 LTH,P1( f )
f 周波数
Lp 音圧レベル(基準値20 Pa)
図D.1−低レベルの離散周波数音分析のために描いた下限聴覚しきい(閾)値(LTH),P1( f )
及びP1( f ) 線
D.7.2 聴覚しきい(閾)値付近の騒音の正規化
低レベルの音の場合,その音圧レベルのFFTスペクトルのデータポイントの中には,式(D.1)で定義され
る下限聴覚しきい(閾)値(LTH)に満たないものもあり得る。実測したままの音圧レベルを使って計算
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した場合,TNR又はPRの値が大きくなり,その音に対する主観的な印象と必ずしも対応しないことがあ
る。しかし,各データポイントにおける音圧レベルをLTHと等しくなるように調整すると,臨界帯域内の
全音圧レベルが誇張されてしまい,TNR及びPRの値が非現実的に小さくなってしまう。したがって,そ
のような低レベルの音に対しては,(TNRに対する)マスキングノイズレベル又は(PRに対する)下側,
中央及び上側臨界帯域内の全レベルと,心理音響的な値とが正しく対応するようにFFTスペクトルに対し
て何らかの正規化を行うのが望ましい。この正規化に対しては,上記で定義した純音に基づく下限聴覚し
きい(閾)値よりも,ホワイトノイズ又はピンクノイズによる1/3オクターブバンドごとの聴覚しきい(閾)
値の方が適切かもしれない。しかし,そのような正規化の手順は,この附属書の目的に合わせて定義する
のがよいのであろうが,まだ定義されていない。
D.8 臨界帯域幅
任意の周波数f0 (Hz)を中心とする臨界帯域の幅 Hz)は,次の式から計算することができる。
2 .0 69
fc 250. 750. 0.1 4.1 f0 1 000 (Hz) (D.2)
例 f0 = 1 000 Hzに対し 竿 f0 = 500 Hzに対し 竿
この附属書では,臨界帯域とは,中心周波数f0,下端周波数f1及び上端周波数f2をもつ理想的なく(矩)
形フィルタとしてモデル化でき,次のとおりとする。
f2 f1 fc (Hz) (D.3)
f0 500 Hzに対し,臨界帯域は定帯域幅フィルタとして近似でき,その両端周波数は次のように計算さ
れる。
fc
f1 f0 (Hz) (D.4)
2
及び
fc
f2 f0 (Hz) (D.5)
2
f0 > 500 Hzに対し,臨界帯域は定比帯域幅フィルタとして近似でき,ここに
f0 f1 f2 (Hz) (D.6)
となり,その両端周波数は,式(D.3)及び式(D.6)から,次のように計算される。
fc fc2 4 f02
f1 (Hz) (D.7)
2 2
及び
f2 f1 fc (Hz) (D.8)
注記1 式(D.2)は臨界帯域の幅に対するものとしてよく知られ,広く使われているものであるが,対
応する両端周波数のための式を導出する方法は決まっていない。しかし,500 Hzの上側及び
下側における臨界帯域の性質から,式(D.7)及び式(D.8)によって両端周波数を割り当てること
は理にかなったことである。すなわち,定比帯域幅フィルタに対しては,両端周波数が幾何
平均として関係づけられているのに対し,定帯域幅フィルタに対するそれは,算術平均とし
――――― [JIS X 7779 pdf 50] ―――――
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JIS X 7779:2012の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 7779:2010(IDT)
JIS X 7779:2012の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.020 : 情報技術(IT)一般
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.140 : 音響及び音響測定 > 17.140.20 : 機械及び設備による騒音の発生
JIS X 7779:2012の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
- JISC1514:2002
- オクターブ及び1/Nオクターブバンドフィルタ
- JISC1515:2020
- 電気音響―音響校正器
- JISX7778:2001
- 音響―情報技術装置の表示騒音放射値
- JISZ8739:2001
- 音響―音響パワーレベル算出に使用される基準音源の性能及び校正に対する要求事項
- JISZ8739:2021
- 音響―音響パワーレベルの測定に使用する基準音源の性能及び校正に関する要求事項