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Z 2242 : 2018
表1−記号,単位及び名称・定義(続き)
記号 単位 名称・定義
K J 吸収エネルギー(ノッチ形状及び衝撃刃端の半径によって,KV2,KV8,KU2
及びKU8で示される。)
K1 J 試験片のない状態で,通常の方法によって試験機を操作したときの吸収エネ
ルギーの読み
K2 J 試験片のない状態で,通常の方法によって試験機を操作し,表示機構をリセ
ットしない(置き針を伴わない)ときの吸収エネルギーの読み
K3 J 試験片のない状態で,11回目の空振り後の吸収エネルギーの読み
KN J 公称初期位置エネルギー
Kp J 初期位置エネルギー(位置エネルギー)
KT J 全吸収エネルギー
KV2 J 半径2 mmの衝撃刃を用いたVノッチ試験片の吸収エネルギー
KV8 J 半径8 mmの衝撃刃を用いたVノッチ試験片の吸収エネルギー
KU2 J 半径2 mmの衝撃刃を用いたUノッチ試験片の吸収エネルギー
KU8 J 半径8 mmの衝撃刃を用いたUノッチ試験片の吸収エネルギー
M N・m 積F・l2に等しいモーメント
Fは振子を水平に保ち,l2の距離で測定された力。l2は回転軸中心から力Fが
加わる点までの距離。
p J 置き針の摩擦による吸収エネルギー損失
p' J 軸受の摩擦及び空気抵抗による吸収エネルギー損失
pβ J 振り上がり角βに対する吸収エネルギー損失の補正値
SFA % 延性破面率c)
Tt ℃ 遷移温度d)
W mm 試験片の幅
Tt27 ℃ 吸収エネルギーが特定の値(この表示例では27 J)となるときの遷移温度
Tt50 %US ℃ 上部棚吸収エネルギーの特定の百分率(この表示例では,50 %)となるとき
の遷移温度
Tt50 %SFA ℃ 延性破面率が特定の百分率(この表示例では50 %)となるときの遷移温度
Tt0.9 ℃ 横膨出が特定の値(この表示例では0.9 mm)になるときの遷移温度
注a) ぜい性破面率は,JIS G 0202の番号1334参照。
b) 横膨出は,JIS G 0202の番号1336参照。
c) 延性破面率は,JIS G 0202の番号1335参照。
d) 遷移温度は,JIS G 0202の番号1361参照。
5 原理
この試験は,箇条6箇条8で規定する条件の下で,振子の一振りによって,ノッチを付けた試験片を
破断して行う。試験片のノッチ部分は,指定された形状とし,試験時に衝撃方向と反対に位置する二つの
受け台の中心に置く。試験によって吸収されるエネルギー,横膨出及び破面率を求める。
多くの金属材料の衝撃値は,試験温度によって変化するため,試験は指定された温度で行う。その温度
が室温でない場合は,試験片は,管理された状態で指定温度に加熱又は冷却しなければならない。
注記 この試験では,試験片が完全に破断する場合と不完全破断となる場合がある(8.6参照)。
研究,設計又は学術の場では,測定されたエネルギーが,より詳細に調べられるので,試験
片が破断したかどうかには,大きな意味がある。一方,産業界において日常かつ大量に合否判
定する試験では,試験片が完全破断したか,部分破断か又は単純に塑性変形し受け台を通り抜
けたかは,あまり大きな意味をもたない。
――――― [JIS Z 2242 pdf 6] ―――――
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Z 2242 : 2018
また,全てのシャルピー衝撃試験の結果が,そのまま比較できるものでないことに留意する
必要がある。例えば,この試験は,異なる半径の衝撃刃をもつハンマー又は異なる試験片形状
で試験を行うことがある。異なった衝撃刃で行った試験は,異なる結果を示す可能性があり[1],
異なる試験片形状で得られる試験結果も同様である。したがって,試験結果の比較を行うため
には,この規格を単に順守するだけでなく,機器のタイプ,試験片及び試験後の試験片の詳細
を全て明確に報告することが極めて重要になる。
6 試験片
6.1 一般
標準試験片は,長さ55 mmで,一辺が10 mmの正方形断面をもつ形状とする。長さの中心に6.2.1及び
6.2.2に規定するVノッチ又はUノッチのいずれかを付ける。ただし,材料から標準試験片を採取できな
い場合は,特に規定のない限り,厚さが7.5 mm,5 mm又は2.5 mmのサブサイズ試験片を用いなければな
らない(図2及び表2参照)。
注記1 結果の直接比較は,同一形状及び同一寸法の試験片の場合だけ意味をもつ。
注記2 サブサイズ試験片が衝撃刃の中心になるように当て物(シム)を使用することは,特に低吸
収エネルギーの材料では,重要である。一方,高吸収エネルギーの材料では,当て物を使用
しても,影響は小さい。当て物は,試験片の厚さの中心(打撃の中心)が,載せ台上面位置
から5 mmの位置となるように,載せ台の上又は下に設置することができる。当て物は,テ
ープ又はその他の方法で,一時的に載せ台に固定することができる。
熱処理した材料を評価する場合,試験片は,最終的な熱処理後に機械加工しなければならない。ただし,
熱処理前に機械加工しても試験結果に差異が生じないことが明らかな場合は,熱処理前に機械加工を行っ
てもよい。
6.2 ノッチ形状
6.2.0 ノッチの加工
ノッチは,吸収エネルギーに影響する可能性のあるような切削きずがノッチの底部に付かないように,
注意して加工しなければならない。
ノッチを通る対称面は,試験片の長さ方向の軸に垂直でなければならない(図2参照)。
6.2.1 Vノッチ
Vノッチは,ノッチ角度45°,ノッチ深さ2 mm及びノッチ底半径0.25 mmとする[図2 a)及び表2参
照]。
6.2.2 Uノッチ
Uノッチは,ノッチ深さ5 mm(他に規定がない場合)及びノッチ底半径1 mmとする[図2 b)及び表2
参照]。ただし,受渡当事者間の協定によって,ノッチ深さ2 mm及びノッチ底半径1 mmとしてもよい。
6.3 試験片の寸法許容差
この規格で規定する試験片及びノッチ形状の許容差は,図2及び表2による。
――――― [JIS Z 2242 pdf 7] ―――――
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a) ノッチ試験片の形状
b) ノッチ試験片の形状
注記 記号L,W,B及び数字1から5は,表2を参照。
図2−シャルピー衝撃試験片
表2−試験片の寸法及び許容差
記号 Vノッチ試験片 Uノッチ試験片
名称 及び
寸法 許容差 寸法 許容差
番号d)
長さ L 55 mm ±0.60 mm 55 mm ±0.60 mm
幅 W 10 mm ±0.075 mm 10 mm ±0.11 mm
厚さb) (標準試験片) B 10 mm ±0.11 mm 10 mm ±0.11 mm
(サブサイズ) 7.5 mm ±0.11 mm 7.5 mm ±0.11 mm
5 mm ±0.06 mm 5 mm ±0.06 mm
2.5 mm ±0.05 mm − −
Vノッチ角度 1 45° ±2° − −
ノッチ下幅 2 8 mm ±0.075 mm 5 mm ±0.09 mm
ノッチ底半径 3 0.25 mm ±0.025 mm 1 mm ±0.07 mm
ノッチ位置(中心) 4 27.5 mm ±0.42 mm c) 27.5 mm ±0.42 mm c)
試験片長手方向とノッ 90° ±2° 90° ±2°
チ対称面との角度
端面を除く隣り合う面 5 90° ±2° 90° ±2°
間の角度
表面粗さa) − <5 μm − <5 μm −
注a) 表面粗さは,試験片の端部を除き,Ra 5 μm未満でなければならない。
b) 他の厚さ(例えば,2 mm又は3 mm)を指定する場合,対応する許容差も規定しなければならない。
c) 自動位置調整を行う試験機の場合には,許容差は,±0.42 mmに代えて±0.165 mmが望ましい。
d) 記号及び番号は,図2を参照。
――――― [JIS Z 2242 pdf 8] ―――――
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6.4 試験片の製作
試験片の製作は,例えば,加工熱又は冷間加工の影響が最小になるように行わなければならない。
6.5 試験片の印字
試験片には,載せ台,受け台又は衝撃刃に接しない面に,印字による塑性変形を与えず,かつ,表面の
不連続部(discontinuity)が吸収エネルギーに影響を与えない位置に印字してもよい(8.8参照)。
7 試験装置
7.1 一般
機器及び試験片細部の測定は,国家規格又は国際規格にトレーサブルでなければならない。測定に用い
る装置は,適切な間隔で校正されなければならない。
7.2 据付け及び検証
試験機は,JIS B 7722に従って据付け及び検証を行わなければならない。
7.3 衝撃刃
衝撃刃の形式は,半径2 mmの衝撃刃又は半径8 mmの衝撃刃のいずれかでなければならない。衝撃刃
の半径は,KV2又はKV8及びKU2又はKU8のように,添え字で示すのが望ましい。
製品規格では,いずれの衝撃刃の形式を適用するかを明示しなければならない。
注記 試験結果は,衝撃刃が半径2 mmと半径8 mmとで異なる可能性がある[7]。
8 試験手順
8.1 一般
試験片は,試験片のノッチ中央部と試験片受け台間の中央との食い違いが0.5 mm以内となるように,
試験片受け台間の中央に置く。試験は,衝撃刃によって,試験片のノッチを通る対称面で,ノッチの反対
面に衝撃を与えなければならない(図1参照)。
注記 通常,試験片は,一つの試験温度当たり3本用いている。
8.2 摩擦測定
8.2.0 摩擦損失は,各試験日の最初の試験の前に,確認しなければならない。摩擦損失は,次によっても
よいし,他の方法によってもよい。
注記 摩擦によって吸収されるエネルギーは,空気抵抗,軸受による摩擦及び置き針による摩擦が含
まれるが,これだけに限らない。試験機における摩擦の増加は,吸収エネルギーの測定に影響
を及ぼす可能性がある。
8.2.1 置き針の摩擦による損失を求めるためには,試験片を置かない状態で通常の試験を行い,振り上が
り角度β1又はエネルギーの読みK1を記録する。2回目の試験は,置き針を再セットせずに(置き針を伴わ
ない状態)行い,振り上がり角度β2又はエネルギーの読みK2を記録する。結果として,振り上がり中の
置き針の摩擦による損失(p)は,次の式(1)又は式(2)に等しい。
目盛が角度で示されている場合
1cos
p cos 2 (1)
目盛がエネルギー単位で示されている場合
p K1K2 (2)
注記 置き針のない試験機では,この摩擦測定は必要ない。
8.2.2 片振り(1/2回の振り)に対する軸受の摩擦及び空気抵抗による損失は,次の手順で求める。
――――― [JIS Z 2242 pdf 9] ―――――
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β2又はK2を求めた後,振子を元の位置に戻す。置き針をセットせず,衝撃及び振動のないように振子を
振り下ろし,10回の片振りを行う。振子が11回目の片振りを開始した後,目盛の範囲(最大値)の約5 %
に置き針を動かし,β3又はK3として記録する。1回の片振りの軸受の摩擦及び空気抵抗による損失(p')
は,次の式(3)又は式(4)に等しい。
目盛が角度で示されている場合
3cos
p /1 10M cos 2 (3)
目盛がエネルギー単位で示されている場合
p /1 10 K3K2 (4)
片振りの回数は,試験機の使用者の任意で変更してもよい。p'は,適用した片振り回数によって補正す
ることが望ましい。
注記 実際の試験で得られる振り上がり角度βに,これらの損失を考慮する要求がある場合には,吸
収エネルギーの値から次の式(5)から求まる量を減じることができる。
p p p (5)
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β1及びβ2は,ほぼ振り降ろし角度αに等しいので,実用的には,式(5)は,次の式(6)に近似できる。
p p p (6)
2
目盛がエネルギー単位で示された試験機では,βの値は,次の式(7)によって計算できる。
p
arccos 1K KT /M (7)
測定された全摩擦損失p+p' は,定格容量エネルギーKNの0.5 %を超えてはならない。0.5 %を超える場
合で,置き針の摩擦損失を減らしても許容差内に入らない場合には,軸受を洗浄するか又は交換する。
8.3 試験温度
8.3.1 試験は,特に指定がない限り,23±5 ℃(室温)で行う。温度が指定された場合は,試験片の温度
は,指定温度の±2 ℃以内に維持しなければならない。
8.3.2 液体を使用して調節(加熱又は冷却)する場合,試験片は,液体を入れた容器の中に入れ,容器の
底から少なくとも25 mm離した格子の上に置き,液面から25 mm以上沈め,容器の側面から10 mm以上
離す。液体は,かくはんし,適切な方法で所定の温度にする。液体の温度を測定する装置は,試験片のグ
ループの中心に置くのが望ましい。液体の温度は,少なくとも5分間以上,指定温度に対して±1 ℃に維
持しなければならない。
注記 液体が沸点に近い場合,液体中から取り出して破断させるまでの間に,気化冷却によって試験
片の温度が著しく下がる場合がある。
8.3.3 気体によって調節(加熱又は冷却)する場合,試験片は,少なくとも容器の表面から50 mm以上
離し,個々の試験片は,10 mm以上離さなければならない。気体は,常に循環させ,適切な方法で所定の
温度にする。気体の温度を測定する装置は,試験片のグループの中心に設置する。気体の温度は,試験の
ために試験片を気体から取り出す前に少なくとも30分間以上,指定温度に対して±1 ℃に維持しなければ
ならない。
8.3.4 8.3の関連する他の要求事項を満たす場合には,加熱又は冷却に他の方法を用いてもよい。
――――― [JIS Z 2242 pdf 10] ―――――
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JIS Z 2242:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 148-1:2016(MOD)
JIS Z 2242:2018の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2242:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7722:2018
- 金属材料のシャルピー衝撃試験―試験機の検証
- JISG0202:2013
- 鉄鋼用語(試験)
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方