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試験力解放後,幅b1は,試験片の原幅の場合と同じ方法及び同じ精度で測定する。
この塑性ひずみ比決定法は,標点距離内の塑性ひずみが均一である場合にだけ有効である。
試験片及び試験片つかみ装置の位置合わせを確実にするために,小さな予備試験力を使用してもよい。
予備試験力は,規定された又は予想される耐力の5 %に相当する値以下とする。予備試験力の影響を考慮
するために,伸び計信号のゼロ補正を実施することが望ましい。
8.3.3 評価
ひずみを解放する前に長さを測定する場合,個々の試験の塑性ひずみ及び塑性ひずみ比は,それぞれ式
(8)及び式(9)による。
epL= L
Le−F
SomE 100 (%) (8)
ln 戀戀
r= −ln 100攀 ln 戀 戀 (9)
ひずみを解放した後に長さを測定する場合は,式(6)及び式(7)による。
8.4 幅計及び伸び計を使用する方法(試験方法3)
8.4.1 一般
この方法は,伸び計による長さ測定及び幅計による幅減少測定に基づいている。
8.4.2 試験
一般に,この方法は,他の引張試験特性を求めるための標準的な引張試験方法と併せて使用される。し
たがって,試験片は,Ag又は破断まで連続的にひずみが与えられる。
伸び計標点距離の原標点距離に対する誤差が,1 %以内であれば,伸び計標点距離を規定の原標点距離
としてもよい。
この試験方法によって,使用者は,複数の塑性ひずみ量におけるそれぞれのひずみ比を測定することが
可能である。また,試験中の塑性ひずみ範囲での塑性ひずみ比を測定するためにも使用することが可能で
ある。
不均一挙動を示す材料(例えば,Portevin-Le Chatelier効果を示す物質)については,塑性ひずみ比の測
定に回帰による方法(8.4.3.3参照)を用いることが望ましい。試験片の原幅は,標点の位置に近い各1点
の測定を含み,標点距離内で等間隔に少なくとも3点で±0.01 mmの精度で測定する。塑性ひずみ比の計
算には,これらの幅測定値の算術平均を使用する。
試験は,幅減少測定のために幅計を用いる。引張試験と同時に実施する場合は,JIS Z 2241に従って実
施する。塑性ひずみ比の計算には,幅測定値の算術平均を使用する。幅測定は,1点でもよい。
試験片及び試験片つかみ装置の位置合わせを確実にするために,小さな予備試験力を使用してもよい。
予備試験力は,規定された又は予想される耐力の5 %に相当する値を超えてはならない。予備試験力の影
響を考慮するために,伸び計信号のゼロ補正を実施することが望ましい。
――――― [JIS Z 2254 pdf 11] ―――――
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8.4.3 評価
8.4.3.1 一般
降伏現象のない材料の評価開始点は,塑性変形を開始した後,かつ,試験片平行部の推定ひずみ速度が
引張強さRmを決定するための最終的な速度に達した後でなければならない。
降伏点(上降伏点及び/又は下降伏点)を示す材料の評価開始点は,降伏が終了した後,均一な加工硬
化を開始し,かつ,試験片平行部の推定ひずみ速度が引張強さRmを決定するための最終的な速度に達し
た後でなければならない。
最大試験力時の塑性ひずみAg到達後は,塑性ひずみ比の評価を行わない。
試験片の長さ方向の真塑性ひずみは,式(10)による。
εpL=ln損 Le攀 L F
SomE (10)
試験片の幅方向の真塑性ひずみは,式(11)による。
εpb=ln 戀 b
+νF
SomE (11)
bo
長さ方向の塑性ひずみは,式(8)による。
注記 式(12)による瞬時断面積Siのより正確な近似を,原断面積Soの代わりに使用して,長さ方向の真
塑性ひずみεpL,幅方向の真塑性ひずみεpb及び長さ方向の塑性ひずみepLを計算することが可
能である。実際には,So又はSiで得られた結果に有意差がないことが証明されているため,式(8),
式(10)及び式(11)で用いた原断面積Soを用いている。
Si=SoLo
(Lo+L) (12)
塑性ひずみ比の計算は,次の二つの異なった方法(8.4.3.2及び8.4.3.3参照)によってよい。相変態挙動
を示す材料については,回帰法を用いてはならない。
8.4.3.2 単一点による方法(Single point method)
全ての試験データ列(力,伸び計伸び及び幅計の減幅値)に対して,式(13)に式(10)及び式(11)を併せて
用いて,その列の塑性ひずみ比を計算してもよい。
εpb
r=− εpb+εpL (13)
注記1 この一連の塑性ひずみ比は,式(8)によって計算された試験片長さ方向の塑性ひずみに対してプ
ロットすることが可能である(例えば,図A.4参照)。
注記2 この手法によると,連続したデータ点から求めた塑性ひずみ比が大きくばらつく可能性がある。
したがって,8.4.3.3に規定した回帰法を用いることが有益である。
8.4.3.3 回帰による方法
この手法は,所定の範囲の測定データ及び試験前の試験片の寸法に基づいて,信頼できる塑性ひずみ比
を計算するために用いられる。
所定の範囲で,εpb[式(11)参照]とεpL[式(10)参照]とを原点を通るように直線回帰する(図3参照)。
――――― [JIS Z 2254 pdf 12] ―――――
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この回帰線の傾きmrは,[−r/(1 + r) ]となる。塑性ひずみ比は,式(14)による。
r=−mr
1+mr (14)
記号説明
攀
X : 試験片長さ方向の真塑性ひずみ,
攀
Y : 試験片幅方向の真塑性ひずみ, 戀
1 : 下限 : 例えば,8 %塑性ひずみ
2 : 上限 : 例えば,12 %塑性ひずみ
3 : 試験開始点
4 : 試験開始点を通る,下限及び上限間の直線回帰
攀 拿 mr×攀
mr=−0.398 33
r8−12=0.662
注記 上下限値は,塑性ひずみで表され,X軸は,長さ方向の真塑性ひずみを表している。
図3−試験片の幅方向の真塑性ひずみと長さ方向の真塑性ひずみとの関係の例
注記 この手法を用いれば(特に不均一挙動を示す材料の場合),塑性ひずみ比の値は,より安定する。
その理由は,計算が,単一点のデータだけでなく,試験前の試験片の寸法測定及び評価範囲の全
ての測定データに基づいているからである。複数の評価範囲によって,この手法は,信頼できる
塑性ひずみ比を与える可能性がある。同一タイミングの複数範囲のデータは,長さ方向の塑性ひ
ずみに対する塑性ひずみ比のプロットの信頼性を更に高めることに役立つ可能性がある。
9 追加試験結果
異方性(圧延方向に対して平行,45°及び90°)の試験片に対して試験を行うと,式(3)及び式(4)によっ
て平均塑性ひずみ比r及び面内異方性Δrを求めることが可能である。
10 報告
試験報告書が必要な場合には,報告する事項は,次のうちから受渡当事者間の協定によって選択する。
a) この規格に従って試験したことの記述(例えば,JIS Z 2254)
――――― [JIS Z 2254 pdf 13] ―――――
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b) 試験片の識別
c) 試験方法(試験方法1,試験方法2,試験方法3又は固有振動法)
d) 試験方法3による場合,評価方法(単一点による方法又は回帰による方法)
e) 使用した試験片の形状及び標点距離
f) 試験片の圧延方向に対する角度
g) 測定及び評価を行った塑性ひずみ量又は塑性ひずみ範囲
例 r45/10 : 圧延方向に対する試験片の角度45°/塑性ひずみ量10 %での単一点による方法
r45/8−12 : 圧延方向に対する試験片の角度45°/塑性ひずみ範囲8 %12 %の間の回帰による方
法
h) 試験結果
i) r及び 爰 算に用いた式[式(3)及び式(4)と異なる場合]
――――― [JIS Z 2254 pdf 14] ―――――
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附属書A
(参考)
塑性ひずみ比測定の誤差要因の調査方法
A.1 一般
塑性ひずみ比の測定は,様々なパラメータに非常に敏感に影響されることがある。この附属書では,こ
れらの誤差の幾つかについて説明し,分析することを目的としている。
可能性のある影響を次に示す。
− 異なる試験方法及び評価方法
− 試験片と試験力付加方向のアライメント
− 試験片の準備[例えば,試験片の表面(端面)]
− 試験片の幅の“実際の”変化と信号との相関関係
− 伸び計標点距離,伸び計取付位置及び伸び計の種類(伸び計取付位置が,試験片円弧状肩部付近か,
又は中心部か。測定が,同一線上か,又は複数線上か。)
− 試験片表面と伸び計標点距離との相対移動誤差
− 幅計のセトリング影響(settling effect)(A.2参照)
− 振動,温度変化などの試験室の条件
− 試験片の不均一な変形(例えば,Portevin-Le Chatelier影響)
A.2 セトリング影響及び表示の指針
セトリング影響は,試験の開始時にしばしば発生する。これによって,伸び計信号は,試験片上のひず
みを示さずに,見掛け上の正又は負のひずみを示すという結果をもたらす。セトリングの原因の例として
は,試験片の曲がり,ねじれ及び反り,並びに試験力のミスアライメントが挙げられる(A.1も参照)。
弾性域では塑性変形が生じないという理論に基づいて,次の方法によって,これらのセトリング影響を
どのように明らかにできるかが説明される。比例限界までは,塑性ひずみは“0”のはずである。長さ方向
の塑性ひずみの計算については,8.3.3の式(8)を参照し,幅方向の塑性ひずみは,式(A.1)による。
epb= b
bo+νF
SomE 100 (A.1)
これによって,長さ方向の塑性ひずみ及び幅方向の塑性ひずみを応力に対してグラフ表示することが可
能である。この例を図A.1,図A.2及び図A.3に示す。長さ方向の塑性ひずみ及び幅方向の塑性ひずみの
グラフでは,比例限界までの塑性ひずみの値が“0”の垂直線になるはずである。
セトリング影響が発生すると,長さ方向の塑性ひずみ及び/又は幅方向の塑性ひずみは,明らかに“0”
とは異なる。このグラフ表示によって,視覚的な検出が可能になる。
図A.1,図A.2及び図A.3 に,三つの異なる例を示す。
――――― [JIS Z 2254 pdf 15] ―――――
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JIS Z 2254:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10113:2020(MOD)
JIS Z 2254:2021の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2254:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7721:2018
- 引張試験機・圧縮試験機―力計測系の校正方法及び検証方法
- JISB7741:2019
- 一軸試験に使用する伸び計システムの校正方法
- JISG0202:2013
- 鉄鋼用語(試験)
- JISZ2241:2011
- 金属材料引張試験方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方