JIS Z 2354:2012 固体の超音波減衰係数の測定方法 | ページ 2

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Z 2354 : 2012
図2−使用する水槽の例
a) 水中に沈めた測定片の表面に向けて超音波を入射できる構造とする。
b) 測定片の表面の中央付近に超音波を入射させるため,水平面上で直交する2方向(X方向及びY方向)
に探触子を走査させることができる構造とする。
c) 測定片に垂直に超音波ビームを入射させるため,0.1°(1/600の傾き)程度の探触子の首振りの機能
をもつものとする。
d) 水距離調整するために,鉛直方向(Z方向)に探触子を移動させることができる構造とする。
e) 探触子の前面及び測定片の測定面に付着する気泡の有無を容易に観察でき,かつ,容易に除去できる
構造とする。
f) 気泡の発生を防ぐために,一度沸騰させて冷却した水など,十分に脱気した水を使用する。

8 測定片の減衰係数の測定

8.1 一般

  この箇条で規定する方法は,波数が5以上の狭帯域探触子を用いる場合を基本としているが,広帯域探
触子を用いる場合は,附属書Aによることができる。

8.2 対比測定片を用いる場合

8.2.1  直接接触多重反射法による方法
対比測定片を使用する直接接触多重反射法による減衰係数の測定は,次による。
a) パルス送信器及びパルス受信器,又は超音波探傷器の調整は,次による。
1) 測定範囲は,第1回底面エコー(以下,B1という。)及び測定に使用する最終底面エコー(以下,
Bmという。)が表示器目盛内に入るようにする。
ここで,Bmのmは,最終底面エコーの次数を示し,その最大数は,BmのSN比が14 dB未満とな
らない数とするが,さらに,式(1)で求められる値によって制限される。
Ddf
m≦ .029 (1)
CT
ここに, m : 最終底面エコーの次数
D : 対比測定片の直径,又は辺の長さ(mm)
T : 対比測定片の厚さ(mm)
C : 対比測定片の音速(km/s)
d : 振動子の直径(mm)

――――― [JIS Z 2354 pdf 6] ―――――

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f : 試験周波数(MHz)
2) リジェクションは,“OFF”,又は“0”とする。
3) 受信帯域幅は,測定に使用する超音波の周波数を含むものとする。
b) 測定片の測定面のほぼ中央にごく少量の接触媒質を用い,探触子を擦り合わせるようにして密着させ
る。このとき,探触子と測定片との間に安定な音響結合が得られるように,探触子には,一定の圧力
を加える。次に,B1対Bmの比のdB値をゲイン調整器を用いて測定し,この値を(B1/Bm)TPとする。
c) 対比測定片について,b)と同様な測定を行い,B1対Bmの比の値を(B1/Bm)RBとする。
d) 式(2)によって,対比測定片を基準とした相対的な減衰係数を求める。
(B1 / Bm) RB
(B1 / Bm) TP
' 500 (2)
(m )1T
ここに, α' : 対比測定片を基準とした相対的な減衰係数(dB/m)
m : 最終底面エコーの次数
T : 測定片の厚さ(mm)
e) 減衰係数αは,α'に対比測定片の減衰係数αRBを加算して求める。
なお,対比測定片が,SNCM447の焼入れ焼戻し材の場合には,近似的に表2の値を対比測定片の
減衰係数αRBとすることができる。
表2−SNCM447の焼入れ焼戻し材で製作した対比測定片の減衰係数の概略値
単位 dB/m
波動様式 周波数
2 MHz 5 MHz 10 MHz 15 MHz
縦波 0 0 2 5
横波 0 1 5 15
8.2.2 B1だけを用いる方法
対比測定片を使用し,B1だけを用いる減衰係数の測定は,次による。
a) パルス送信器及びパルス受信器,又は超音波探傷器の調整は,次による。
1) 測定範囲は,B1が表示器目盛内に入るようにする。
2) リジェクションは,“OFF”,又は“0”とする。
3) 受信帯域幅は,測定に使用する超音波の周波数を含むものとする。
b) 測定片の測定面のほぼ中央にごく少量の接触媒質を用い,探触子を擦り合わせるようにして密着させ
る。このとき,探触子と測定片との間に安定な音響結合が得られるように,探触子には,一定の圧力
を加える。次に,表示器上のB1の高さが一定値になるように,ゲイン調整器を調整し,そのときのゲ
イン調整器の目盛の読みをE1とする。
c) 対比測定片について,b)と同様な測定を行い,B1に対するゲイン調整器の目盛の読みをR1とする。
d) 式(3)によって,対比測定片を基準とした相対的な減衰係数を求める。
E1 R1
500 (3)
T
ここに, T : 測定片の厚さ(mm)
e) 減衰係数αは,α'に対比測定片の減衰係数αRBを加算して求める。
なお,対比測定片が,SNCM447の焼入れ焼戻し材の場合には,近似的に表2の値を対比測定片の
減衰係数αRBとすることができる。

――――― [JIS Z 2354 pdf 7] ―――――

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8.2.3 水浸多重反射法による方法
対比測定片を使用する水浸多重反射法による減衰係数の測定は,次による。
a) 水距離は,測定片の厚さ及び測定に使用する最終底面エコーの次数に応じて,式(4)によって求める。
LW ≧ (m )5.0TJ (4)
ここに, LW : 水距離(mm)
J : (水中の音速)/(測定片中の縦波音速)
T : 測定片の厚さ(mm)
m : 最終底面エコーの次数
b) パルス送信器及びパルス受信器,又は超音波探傷器の調整は,次による。
1) 測定範囲は,B1が表示器目盛の左端以内に,Bmが表示器目盛の右端以内とする。
ここで,Bmのmの最大数は,BmのSN比が14 dB未満とならない数とするが,さらに,式(1)で
求められる値によって制限される。
2) リジェクションは,“OFF”,又は“0”とする。
3) 受信帯域幅は,測定に使用する超音波の周波数を含むものとする。
c) 必要な水距離が得られるように,探触子位置を調整する。
d) 測定片の多重底面エコーを観察し,探触子の向きを調整して,Bmが最大になるように調整した後,B1
が最大になるように調整する。
e) 1/BmのdB値をゲイン調整器を用いて測定し,この値を(B1/Bm)TPとする。
f) 対比測定片について,a) e)と同様な測定を行い,B1/BmのdB値を(B1/Bm)RBとする。
g) 式(2)によって,対比測定片を基準とした相対的な減衰係数を求める。
h) 減衰係数αは,α'に対比測定片の減衰係数αRBを加算して求める。
なお,対比測定片が,SNCM447の焼入れ焼戻し材の場合には,近似的に表2の値を対比測定片の
減衰係数αRBとすることができる。
8.2.4 遅延体付垂直探触子を使用する直接接触多重反射法による方法
対比測定片を使用し,かつ,硬質合成樹脂製などの遅延体付垂直探触子を使用する直接接触多重反射法
による減衰係数の測定は,次による。
a) 探触子の遅延体の厚さは,遅延体における多重反射が測定片の底面エコーと重ならない寸法を選ぶが,
測定片の厚さを遅延体の長さに適したものとすることができる。
b) パルス送信器及びパルス受信器,又は超音波探傷器は,次のように調整する。
1) 測定範囲は,B1が表示器目盛の左端以内に,Bmが表示器目盛の右端以内とする。
ここで,Bmのmの最大数は,BmのSN比が14 dB未満とならない数とするが,さらに,式(1)で
求められる値によって制限される。
2) リジェクションは,“OFF”,又は“0”とする。
3) 受信帯域幅は,測定に使用する超音波の周波数を含むものとする。
c) 測定片の測定面のほぼ中央にごく少量の接触媒質を用い,探触子を擦り合わせるようにして密着させ
る。このとき,探触子と測定片との間に安定な音響結合が得られるように,探触子には,一定の圧力
を加える。次に,B1/BmのdB値をゲイン調整器を用いて測定し,この値を(B1/Bm)TPとする。
d) 対比測定片について,c)と同様な測定を行い,B1/BmのdB値を(B1/Bm)RBとする。
e) 式(2)によって,対比測定片を基準とした相対的な減衰係数を求める。
f) 減衰係数αは,α'に対比測定片の減衰係数αRBを加算して求める。

――――― [JIS Z 2354 pdf 8] ―――――

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なお,対比測定片が,SNCM447の焼入れ焼戻し材の場合には,近似的に表2の値を対比測定片の
減衰係数αRBとすることができる。

8.3 対比測定片を用いない場合

8.3.1  水浸多重反射法による方法
対比測定片を使用しないで,任意の厚さの平板測定片を用いる水浸多重反射法による減衰係数の測定は,
次による。
a) 7.5に規定する水槽を用いて,図3のa)又はb)のように測定片を配置する。
b) 測定片及び探触子の気泡を,はけなどで取り除く。
c) 水距離は,測定片の厚さ及び測定に使用する最終底面エコーの次数に応じて,式(4)によって求める。
d) パルス送信器及びパルス受信器,又は超音波探傷器の調整は,次による。
1) 測定範囲は,B1が表示器目盛の左端以内に,Bmが表示器目盛の右端以内とする。
ここで,Bmのmの最大数は,BmのSN比が14 dB未満とならない数とするが,さらに,式(1)で
求められる値によって制限される。
2) リジェクションは,“OFF”,又は“0”とする。
3) 受信帯域幅は,測定に使用する超音波の周波数を含むものとする。
a) 測定片の下に水を満たした配置 b) 測定片の下に発泡ポリスチレンを敷いた配置
図3−水浸法における測定片の配置
e) 測定片の多重底面エコーを観察し,探触子の向きを調整して,Bmが最大になるように調整した後,B1
が最大になるように調整する。
f) 1及びBmについて,エコーの高さが一定値になるように,ゲイン調整器を調整する。そのときのゲ
イン調整器の目盛の読みをE1及びEmとする。
g) 測定片と水との境界面での反射損失の絶対値Rを式(5)によって求める。
Z1 Z2
R 20 log (5)
Z1 Z2
ここに, Z1 : 測定片の音響インピーダンス
Z2 : 水の音響インピーダンス
h) 1及びBmに対応する片道の規準化距離niの値(ここに,i=1,又はm)は,式(6)によって求める。

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(4iT 泰 LWW )
ni (6)
d2
ここに, λW : 水中における超音波の波長(mm)
λ : 測定片中における超音波の波長(mm)
LW : 水距離(mm)
T : 測定片の厚さ(mm)
d : 振動子の直径(mm)
i) 図4から,n1及びnmに対応する拡散損失の理論値Qiを読み取り,Q1及びQmとする。
図4−拡散損失の理論値
なお,式(7)を満足する場合は,拡散損失による補正を省略することができる。
nm n1≦ .025 (7)
また,nm≦7が成り立つ場合は,式(8)及び式(9)からQ1及びQmを求めることができる。
Q1 2n1 (8)
Qm 2nm (9)
j) 反射損失及び拡散損失を補正したB1の高さ対Bmの高さの比の値のdB値ΔCは,次のとおり,式(10)
式(12),又は式(13)式(15)によって計算する。
1) 図3のa)の場合は,式(10)式(12)による。
C1 E1 R Q1 (10)
Cm Em 2(m )1R Qm (11)
m 1C
C C (12)
2) 図3のb)の場合は,式(13)式(15)による。
C1 E1 Q1 (13)
Cm Em (m )1R Qm (14)
m 1C
C C (15)

――――― [JIS Z 2354 pdf 10] ―――――

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