この規格ページの目次
4
Z 3950 : 2021
表1−粉じん質量濃度測定方法の種類
測定 測定対象 測定方法の種類
作業環境中の粉じん 吸入性粉じん 分粒装置付きろ過捕集による測定方法5.2.1
(5.2)
質量濃度測定(箇条5) 光散乱式相対濃度計による測定方法 5.2.2
圧電天びん式濃度計による測定方法 5.2.3
総粉じん(5.3) ろ過捕集による測定方法 5.3
個人ばく露粉じん質 吸入性粉じん 分粒装置付きろ過捕集による測定方法6.2.1
量濃度測定(箇条6) (6.2) 光散乱式相対濃度計による測定方法 6.2.2
6.2.3
総粉じん(6.3) ろ過捕集による測定方法 6.3
5 作業環境中の粉じん質量濃度測定
5.1 一般
単位作業場所の粉じん濃度分布を知るための作業環境中の粉じん質量濃度測定は,次のa) e)による。
a) 単位作業場所の設定 単位作業場所の範囲の設定は,次の1)2)による。
1) 労働者の作業中の行動範囲
2) 有害物質の分布状況などによる層別化
b) サンプリングに関する事項
1) サンプリング位置設定の考え方
サンプリング位置の設定は,次を満たしていなければならない。
測定点の抽出が作為的でない。
測定点が単位作業場所の区域全体にできるだけ均一に分布している。
2) サンプリング位置の設定及び測定数
サンプリング位置の設定及び測定数は,次による。
− 等間隔系統抽出方法によって,測定点の数は5点以上とする。
− 床面上に6 m以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上50 cm以上150 cm以下の位
置とする。
− 単位作業場所の範囲が著しく狭い(おおむね30 m2以下)場合であって,単位作業場所における
粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかな場合(過去の作業環境測定による測定値の幾何標
準偏差がおおむね1.2以下)には,測定点の数は5未満であってもよい。ただし,各測定点で繰
返し測定を行い,1単位作業場所における測定値の総数が5以上になるようにする。なお,各測
定点における繰返し測定の回数は同一でなければならない。
− 各測定点及び同一測定点において繰返しの測定を行う場合,測定の時間間隔についても,等間隔
に行う。
c) 測定 吸入性粉じんの測定は,5.2による。総粉じんの測定は,5.3による。
d) 測定時期 測定は,定常的に作業が行われている時間帯に行う。
e) 測定値 測定値は,幾何平均及び幾何標準偏差を求める。
――――― [JIS Z 3950 pdf 6] ―――――
5
Z 3950 : 2021
5.2 吸入性粉じんの質量濃度測定方法
5.2.1 分粒装置付きろ過捕集による測定方法
この方法は,JIS Z 8814に規定するロウボリウム エアサンプラを用い,そのろ過材保持具の前段に分粒
装置を取り付けて粉じんをろ過材上に捕集し,その質量から吸入性粉じんの質量濃度を測定する方法で,
次のa) e)による。
注記 分粒装置は,慣性衝突式,多段平行板式,サイクロン式などがある。
a) 装置 慣性衝突式分粒装置による吸入性粉じん質量濃度測定装置の構成例を,図1に示す。
図1−吸入性粉じんの慣性衝突式質量濃度測定装置の構成例
b) 各部の詳細 各部の詳細は,次の1)8)による。
1) 分粒装置 分粒装置は,粉じんの透過率が図2で表される透過特性をもつか,又は図2に示す特性
と等価の特性をもつものとする。
透
過
率P
(%)
粉じんの相対沈降径(μm)
図2−分粒装置の透過特性
透過率Pは,次の式によって算出する。
P=IPM×[1−F(x) ]×100
ここで, P : 透過率(%)
IPM= 0.5[1+exp(−0.06D) ]
F(x) : 標準偏差xに対する累積度数分布
――――― [JIS Z 3950 pdf 7] ―――――
6
Z 3950 : 2021
ここで,x= ln(D )
ln()
D : 粉じんの相対沈降径(μm)
Γ : 4.25 μm
Σ : 1.5
2) ろ過材 ろ過材は,次による。
− 粒径0.3 mの粒子を95 %以上捕集する性質をもたなければならない。
− 吸湿性が小さく,粉じんが捕集堆積していない状態で圧力損失の小さいものを用いる。
− 粉じんの化学分析を行う場合は,分析対象成分と反応せず,かつ,分析方法に適合したものを選
ばなければならない。
3) ろ過材保持具 ろ過材保持具は,ろ過材を容易に交換でき,かつ,ろ過材の破損及び空気漏れを生
じないような構造とする。また,帯電しにくい材質及び構造であることが望ましい。
4) 流量計 流量計は,JIS B 7551に規定する性能をもつものとする。ただし,流量計の最大目盛は,
使用流量の1.0倍以上2.5倍以下のものでなければならない。
5) 差圧計 粉じんの捕集によって生じる圧力損失測定のための差圧計は,適切に測定することができ
る読取り圧力範囲をもつものとする。
6) 吸引ポンプ 吸引ポンプは,次による。
− 流量の調節が可能で,試料空気のサンプリング期間にわたって設定流量の変動が設定値の±5 %
を維持できるもので,使用する流量の1.5倍以上の能力でなければならない。
− 定流量機構を備えたポンプを使用することが望ましい。
− 捕集装置を取り付けた状態で連続運転できるもので,かつ,脈流が認められないものでなければ
ならない。
− 吸引圧力は,静圧が26.7 kPa以上でなければならない。
7) 天びん 天びんは,質量を0.01 mgまで計量できるものとする。
8) その他の器具 試料空気のサンプリングのために,次の器具を使用する。
8.1) 接続チューブ ろ過材保持具と吸引ポンプとを漏れがないようにつなぐために用いるもので,適
切な柔軟さ及び径をもつものとする。
8.2) 先端がへん(扁)平なピンセット ろ過材の着脱の際に使用する。
8.3) ろ過材運搬容器 ろ過材のひょう量室に運搬するために使用する容器で蓋付きとする。
8.4) 温度計 雰囲気温度測定のための温度計は,読取り温度範囲が0 ℃50 ℃を含み,目盛幅は,
1 ℃以下とする。
c) 測定の準備 測定の準備は,次の1)2)による。
1) ろ過材の準備
1.1) ろ過材の取扱い ろ過材は,清潔な雰囲気内で取り扱い,損傷を防ぐため先端がへん(扁)平なピ
ンセットを用いる。
1.2) 静電気の除去 ろ過材が静電気を帯びやすいもの(例えば,メンブランフィルタ)であるときは,
ひょう量の前に帯電除去装置を用いて静電気を除去することが望ましい。
1.3) ろ過材の前ひょう量 ろ過材のひょう量手順は,次による。
− ろ過材のひょう量は,ひょう量の約2時間前にろ過材を天びん室の雰囲気に慣らした後,ひょう
量を行い,1回目のひょう量値を得る。
――――― [JIS Z 3950 pdf 8] ―――――
7
Z 3950 : 2021
− 1回目のひょう量後,12時間以降に,再度1回目と同様な手順でひょう量を行い,2回目のひょ
う量値を得る。
− 1回目と2回目とのひょう量値が同じ場合,その値をひょう量値として用いる。
− 1回目と2回目とのひょう量値が違った場合,再度同様なひょう量を行い,2回連続同じ値が得ら
れるまで,ひょう量を繰り返し,ひょう量値を得る。
1.4) ろ過材保持具への取付け 清浄なろ過材保持具に,ろ過材を取り付ける。
2) ろ過捕集法の流量校正方法 標準流量校正装置とろ過捕集器具との接続は,図3に示すように,吸
引ポンプ,流量校正を行う流量計及び密閉容器にセットしたろ過材保持具を接続する。さらに,密
閉容器と標準流量校正装置とを接続する。標準流量校正装置で測定した流量がろ過材保持具を接続
したときの正確な流量であるので,流量計のテーパー管のフロートの位置に目盛シールを貼る。こ
こで測定した流量を使用して濃度を算出する。定流量型ポンプを用いる場合は,ろ過材保持具,流
量計及び定流量型ポンプの順で接続し,定流量型ポンプにて所定流量で吸引したときに,流量計の
テーパー管のフロートの位置に目盛シールを貼る。この指示値がサンプリング時の正確な流量とな
る。
ろ過材保持具
密閉容器 流量計
図3−流量校正装置とろ過捕集器具との接続方法
d) 測定 測定は,次の1)5)による。
1) 吸引ポンプのスイッチを入れ,使用する分粒装置によって定められた流量でサンプリングを開始す
ると同時に,時刻,流量,圧力損失及び対象作業場所の気温を測定し記録する。ろ過材には,少な
くとも天びんの読取り限界の20倍以上の粉じんを捕集する必要がある。
2) 測定中は流量校正で求めた所定の吸引流量で吸引されていることを,流量計を用いて常に監視する。
3) 終了直前に,時刻,流量及び圧力損失を測定し,記録した後,吸引ポンプのスイッチを切る。
4) サンプリング時間及び圧力損失を記録する。
5) サンプリング中にわたって測定した流量から,積算吸引流量を算出する。
e) 質量濃度の決定
1) コンディショニング 試料空気のサンプリング後,粉じんを捕集したろ過材をろ過材保持具又はろ
過材運搬容器から取り出し,恒温恒湿の状態で24時間以上放置する。
2) ろ過材の再ひょう量 ひょう量の約2時間前にろ過材を天びん室の雰囲気に慣らした後,ろ過材を
ひょう量する。試料の化学分析を行う場合は,箇条7による。
3) 質量濃度の計算 粉じんの質量濃度は,次の式による。
W2 W11000
C
Ft
ここで, C : 吸入性粉じんの質量濃度(mg/m3)
F : サンプリング中の流量(L/min)
――――― [JIS Z 3950 pdf 9] ―――――
8
Z 3950 : 2021
t : サンプリング時間(min)
W1 : サンプリング前のろ過材の質量(mg)
W2 : サンプリング後のろ過材の質量(mg)
5.2.2 光散乱式相対濃度計による測定方法
この方法は,JIS Z 8813の6.1.2(散乱光法)に規定する装置を用いる方法で,次のa) c)による。
a) 光散乱式相対濃度計 光散乱式相対濃度計の構成例を,図4に示す。
発光部
吸引ポンプ
図4−光散乱式相対濃度計の構成例
b) 測定 測定は,次の1)2)による。
1) 吸入性粉じん濃度を測定しようとする場所の単位作業場所で,1分間当たりの測定値RL(cpm)を
求める。
2) 吸入性粉じんの質量濃度は,次の式による。
C=K1×RL
ここで, C : 吸入性粉じんの質量濃度(mg/m3)
K1 : 質量濃度変換係数,K値(mg·m−3·cpm−1)
RL : 相対濃度計の測定値(cpm)
c) 質量濃度変換係数,K値 質量濃度変換係数は,次の1)4)の手順で求める。
1) 5.2.1 a)に規定する装置と,質量濃度変換係数を求めようとする相対濃度計とを用いて,吸入性粉じ
ん濃度を測定しようとする場所の単位作業場所で併行測定を行う。
2) 吸入性粉じんの質量濃度Cを5.2.1 e) 3)によって求める。
3) 相対濃度計による計測は,ろ過捕集時間中に連続して同時に併行測定を行い,得られた積算相対濃
度値(カウント数)を測定時間(min)で除した値RLM(cpm)を求める。
4) 質量濃度変換係数は,次の式による。
C
K1
RLM
ここで, K1 : 質量濃度変換係数(mg·m−3·cpm−1)
C : 吸入性粉じんの質量濃度(mg/m3)
RLM : 積算相対濃度値を測定時間で除した値(cpm)
――――― [JIS Z 3950 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS Z 3950:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10882-1:2011(MOD)
JIS Z 3950:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.160 : 溶接,ろう付け及びはんだ付け > 25.160.10 : 溶接工程
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.100 : 職業安全.産業衛生
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.30 : 作業場所の雰囲気
JIS Z 3950:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7551:1999
- フロート形面積流量計
- JISK0083:2017
- 排ガス中の金属分析方法
- JISZ3920:2011
- 溶接ヒューム分析方法
- JISZ8813:1994
- 浮遊粉じん濃度測定方法通則
- JISZ8814:2012
- ロウボリウム エアサンプラ