JIS Z 8739:2021 音響―音響パワーレベルの測定に使用する基準音源の性能及び校正に関する要求事項 | ページ 2

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Z 8739 : 2021
注記 対応国際規格 : ISO 3741:2010,Acoustics−Determination of sound power levels and sound energy
levels of noise sources using sound pressure−Precision methods for reverberation test rooms
JIS Z 8736-3 音響−音響インテンシティ法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第3部 : ス
キャニングによる精密測定
注記 対応国際規格 : ISO 9614-3,Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using
sound intensity−Part 3: Precision method for measurement by scanning
JIS Z 8738 屋外の音の伝搬における空気吸収の計算
注記 対応国際規格 : ISO 9613-1,Acoustics−Attenuation of sound during propagation outdoors−Part 1:
Calculation of the absorption of sound by the atmosphere
ISO 3744:2010,Acoustics−Determination of sound power levels and sound energy levels of noise sources
using sound pressure−Engineering methods for an essentially free field over a reflecting plane
IEC 61094-1,Measurement microphones−Part 1: Specifications for laboratory standard microphones
IEC 61094-4,Measurement microphones−Part 4: Specifications for working standard microphones
IEC 62585,Electroacoustics−Methods to determine corrections to obtain the free-field response of a sound
level meter
ISO/IEC Guide 98-3,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
基準音源(reference sound source)
この規格の箇条5に規定する要求事項に適合する音源。
注記 一般的には,電気音響又は空気力学的な原理で音を放射する騒音発生器で,広帯域の安定した
出力をもつ可搬形の音源をいう。
3.2
反射面上の自由音場(free sound field over a reflecting plane)
無限大の面積の反射面の上で,障害物がなく,自由音場の条件が成り立つ半空間。
注記 反射面上の自由音場は,半自由音場ともいう。
3.3
半無響室(hemi-anechoic room)
半自由音場の条件が成り立つ試験室。
3.4
残響室(reverberation test room)
JIS Z 8734:2021の箇条5に規定されている要求事項に適合する試験室。
3.5
測定面(measurement surface)
音圧レベルを測定するマイクロホンの位置が決められた測定対象騒音源を取り囲む面積Sの仮想面。
注記1 測定面の面積は,平方メートル(m2)で表す。
注記2 半無響室では,測定対象騒音源が置かれている反射面が境界となる。

――――― [JIS Z 8739 pdf 6] ―――――

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3.6
(surface
面上音圧レベル, Lp sound pressure level)
測定面上の全てのマイクロホン位置又はトラバース経路における暗騒音補正をした音圧レベルのエネル
ギー平均値。
注記1 面上音圧レベルは,デシベル(dB)で表す。
注記2 暗騒音補正の計算方法は,JIS Z 8732:2021の9.4.2に示されている。
3.7
音響パワーレベル,LW(sound power level)
音響パワーPを,基準音響パワーP0で除した値の常用対数を10倍した値。
P
LW 10log10 (1)
P0
ここに, P0 : 基準音響パワー(1 pW)
注記1 音響パワーレベルは,デシベル(dB)で表す。
注記2 JIS C 1509-1で規定している周波数重み付け特性又は特定の周波数帯域を適用する場合には,
適切な添字を付ける。例えば,A特性音響パワーレベルを表す場合には,LWAと表記する。
注記3 この定義は,ISO/TR 25417:2007[16]の2.9と技術的に一致している。
注記4 音源の音響パワーを式(1)で表した値を,音源の音響パワーレベルという。
3.8
測定半径,r(measurement radius)
半球の測定面の半径。
注記 測定半径は,メートル(m)で表す。
3.9
指向性指数,DIi(directivity index)
音源が測定面上のi番目のマイクロホンの方向に放射する音の音圧レベルと測定面全体に放射する音の
音圧レベルの平均値との差。
注記1 指向性指数は,デシベル(dB)で表す。
注記2 i方向への指向性指数は,半無響室における測定から,式(2)によって表される。
DIi Lpi Lp (2)
ここに, Lpi : 固定マイクロホンによる場合には,測定面上のi番目の
マイクロホンにおける1/3オクターブバンドごとの音圧
レベル(dB)。
マイクロホントラバースによる場合には,測定面上の
i番目のマイクロホントラバース(8.2参照)の間に測定
した1/3オクターブバンドごとの最大音圧レベル(dB)。
L :
p 面上音圧レベル(dB)(3.6参照)
3.10
対象周波数範囲(frequency range of interest)
一般には,1/3オクターブバンド中心周波数が100 Hzから10 000 Hzまでの周波数範囲。
注記 測定環境及び測定機器がこの規格の要求事項を満たした上で,対象周波数範囲を高周波数域で
中心周波数が20 000 Hzの1/3オクターブバンドまで,低周波数域で中心周波数が50 Hzの1/3

――――― [JIS Z 8739 pdf 7] ―――――

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オクターブバンドまで拡張することもある。
3.11
比較法(comparison method)
同一の室内に置いた測定対象音源による音圧レベルと音響パワーレベルが既知の基準音源による音圧レ
ベルとを比較することによって,測定対象音源の音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルを算出する
方法。
注記1 比較法による測定対象騒音源の音響パワーレベルの算出方法は,JIS Z 8734:2021の9.1.6参
照。
注記2 比較法による測定対象騒音源の音響エネルギーレベルの算出方法は,JIS Z 8734:2021の9.2.6
参照。
3.12
直接法(direct method)
残響室を用いる方法で,残響時間の測定から求められる残響室の等価吸音面積(JIS Z 8734:2021の3.10
参照)を用いて,音源の音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルを算出する方法。
3.13
残響時間,T60(reverberation time)
室内で音源を停止した後,音響エネルギー密度の空間平均値が10−6に,すなわち,60 dB減衰するのに
要する時間。
注記 残響時間は,秒(s)で表す。
3.14
繰返し性条件(repeatability condition)
同一の測定対象について,短期間のうちに,同じ試験室で,同じ測定者が,同じ装置を用いて,同じ方
法で,独立した試験結果を得る条件。
注記 “繰返し性”に対して,測定の条件を変えて同一の測定対象量を測定した場合の測定結果の間
の一致の程度を,“再現性”(reproducibility)という(ISO/IEC Guide 98-3参照)。

4 基準気象条件

  音響パワーレベルを算出するための基準気象条件は,空気の特性音響インピーダンスρc(ただし,ρは
空気の密度,cは音速)が411.5 Ns/m3となる次の条件とする。
a) 気温 : 23.0 ℃
b) 静圧 : 101.325 kPa
c) 相対湿度 : 50 %

5 性能に関する要求事項

5.1 一般事項

  この箇条に示す全ての要求事項を満たせば,製造業者は,基準音源がこの規格に適合しているとしてよ
い。

5.2 音響パワーレベルの時間定常性(安定度)

  基準音源の音響パワーレベルは,時間的に安定していなければならず,繰返し性条件で測定した標準偏
差σr(8.3.3及び9.3.2参照)が,表1に示す値を超えてはならない。

――――― [JIS Z 8739 pdf 8] ―――――

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表1−この規格に適合した基準音源の繰返し性条件における音響パワーレベルの標準偏差σrの最大値
1/3オクターブバンド中心周波数 繰返し性条件における標準偏差σrの最大値
Hz dB
5080 0.8
100160 0.4
20020 000 0.2
注記1 この規格の要求事項に適合する基準音源では,対象周波数範囲内の1/3オクターブバンドの
いずれの帯域においても,音響パワーレベルの変動が±0.3 dBに収まる電気的又は機械的パ
ワー(例えば,電源電圧)の変動の範囲も示す。
注記2 基準音源の音響パワーレベルは,静圧及び気温によって変化する(8.4及び9.4参照)。異な
る気温及び標高で用いる基準音源については,基準音源が放射する音響パワーに対する気温
及び静圧の影響について,補正の方法及びその不確かさの情報を示すことが求められる。空
気力学的なファン形の基準音源では,回転速度及び気象条件の変化による変動が見られる。

5.3 広帯域総音響パワーレベル

  基準音源が放射する広帯域総音響パワーレベルについては,特別の要求事項はない。ただし,広帯域総
音響パワーレベルを報告する場合には,周波数重み付けをする又はしないのいずれの場合にも,対象とし
た周波数範囲を報告する。

5.4 スペクトル特性

  基準音源は,広帯域の安定した音を放射するものでなければならず,少なくとも,3.10に定義した対象
周波数範囲を含むものとする。この周波数範囲全体にわたって,箇条8又は箇条9に示す手順で算出した
1/3オクターブバンドごとの音響パワーレベルは,12 dBの範囲に入っていなければならない。
対象周波数範囲で,各1/3オクターブバンドの音響パワーレベルと,その周波数帯域に隣接する高周波
数側及び低周波数側の周波数帯域(中心周波数が100 Hzの帯域については高周波数側だけ,また,中心周
波数が10 000 Hzの帯域については低周波数側だけ)の音響パワーレベルとの差は,3 dB以下でなければ
ならない。
周波数帯域を対象周波数範囲を超えて拡張する場合には,周波数範囲全体についてのレベル差の許容範
囲を16 dB,隣接する周波数帯域とのレベル差の許容範囲を4 dBとする。
周波数範囲を対象周波数範囲よりも狭くした特別の基準音源があってもよい。その場合にも,全ての周
波数帯域で1/3オクターブバンドごとの音響パワーレベルが12 dBの範囲に入る条件,及び隣接する周波
数帯域の音響パワーレベルとの差が3 dB以下という条件を満たす必要がある。ただし,このような基準音
源については,この規格で規定する対象周波数範囲に適合していると表示又は公表してはならない。

5.5 指向特性

  箇条8に規定する方法によって半無響室で測定した基準音源の指向性指数(dB)の最大値は,対象周波
数範囲の全ての1/3オクターブバンドで,6 dBを超えてはならない。
残響室における測定だけに用いられる基準音源については,この指向性指数に関する要求事項に適合す
る必要はないが,その場合には,“残響室における測定用基準音源”と表示しなければならない。

5.6 再校正

5.6.1 基準音源が機械的な損傷を受けた場合には,必ず再校正をしなければならない。空気力学的な基準
音源については,回転ファンの回転速度(RPM)を測定する。数分間かけて安定させた状態のRPMの値

――――― [JIS Z 8739 pdf 9] ―――――

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が,最近の校正時の値に比べて1 %以内の変化であれば,基準音源は電気的な損傷は受けていないと判断
される。
5.6.2 基準音源の取扱説明書では,基準音源の音響パワーレベルの変化が表1に示す値の2.83倍を超え
ることがないように,次の校正を行うまでの最長期間を製造業者の過去の校正の履歴に基づいて推奨する
ことを記載する。このような校正の間の期間を示すことは,この規格の一つの要求事項である。この期間
が取扱説明書に示されていない場合には,2年を超えない期間とする。
注記 連続した二回の校正の値の差が,表1に示す標準偏差の2.83倍を超えていなければ,95 %の確
率で,基準音源の時間定常性は,表1に示す値に適合している[JIS Z 8402-2(対応国際規格 :
ISO 5725-2[7])参照]。
5.6.3 基準音源の再校正が必要であるかどうかを決めるために,特定の環境の特定の位置で基準音源を作
動させて1/3オクターブバンド音圧レベルを,一つ又はそれ以上の基準点で定期的に測定し,時間定常性
を調べる。このような定期的な測定の期間の長さを,基準音源の取扱説明書に記載する。このような校正
の時期を示すことは,この規格の一つの要求事項である。この期間が取扱説明書に示されていない場合に
は,6か月を超えない期間とする。測定した音圧レベルを製造業者が指定する方法で一定の環境条件下の
値に換算した値で,連続して行った測定の1/3オクターブバンドのいずれかの帯域における変化が,表1
に示す値の2.83倍を超えている場合には,再校正をしなければならない。
再校正が必要となった場合には,それ以前にその基準音源を用いて行った試験データの信頼性は低い。
この点から,試験所は点検の間の期間を短くするか,又は実施する試験の頻度に応じて,点検の間の期間
を調整してもよい。
5.6.4 管理された試験室内の固定位置で基準音源を使用している試験所では,JIS Z 8732:2021の附属書A
によって広帯域音の音響パワーレベルの測定の適性が確認されている半無響室内に設定した半径1 m以上
の半球測定面上で,各周波数帯域の面上音圧レベルを測定する。その場合,測定点は,ISO 3744:2010の
表B.1に規定する110の位置とする。その測定結果の1年を超えない期間の変化が,表1に示す値の2.83
倍を超えていなければ,校正の期間は,5.6.2で規定した最長期間を超えてもよい。別の方法として,残響
室の特定の位置に基準音源を置き,JIS Z 8734:2021で規定する方法によって残響室内の音圧レベルを測定
する方法もある。この方法による場合,残響室内の気温,静圧及び相対湿度の変化は,JIS Z 8734:2021の
5.5で規定している許容範囲内でなければならない。
ただし,期間の延長は最長10年とする。この期間を過ぎると,認定を受けている機関で,この規格の要
求事項を全て満たした条件で新たな校正をしなければならない。

6 測定装置

6.1 一般事項

  音圧レベルの測定に用いる機器は,マイクロホン,ケーブル,ウインドスクリーン,録音装置及びその
他の附属品(使用する場合)を含めて,JIS C 1509-1のクラス1の要求事項に適合しなければならない。
コンピュータを用いたデータ取得システムを用いる場合には,ハードウェア及びソフトウェアを含む全
体のシステムは,JIS C 1509-3の定期試験に関する要求事項に適合しなければならない。その場合,JIS C
1509-3の箇条8箇条11,箇条14箇条18及び箇条20によって,測定を行う環境の代表的な条件で,適
合性を調べる。
騒音計又はコンピュータを用いたデータ取得システムに用いるオクターブ及び1/Nオクターブバンドフ
ィルタは,JIS C 1513-1のクラス1の要求事項に適合したものを用いる。

――――― [JIS Z 8739 pdf 10] ―――――

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JIS Z 8739:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 6926:2016(MOD)

JIS Z 8739:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8739:2021の関連規格と引用規格一覧