JIS Z 8833:2011 粒子特性を評価するための粉体材料の縮分 | ページ 5

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図A.1−基礎誤差を3 %以内にするのに必要な試料質量
A.3 ガラスビーズのサンプリングにおいて3 %の基礎誤差を得るのに必要な試料質量の計算例
この例は,ある決められた粒子径より大きい粉体の質量に対して,決められた精度の基礎誤差を得るた
めに必要な試料質量の計算プロセスを示す。この例では,基礎誤差(変動係数)を3 %とし,決められた
粒子径としてx90.3を用いる。ただし,他の値を用いても構わない。
粒子数n0に対して基礎誤差の分散(又は基礎誤差)が,ポアソン分布に従うと仮定する。
Var(n0 ) (n0 )2
n0 (A.1)
(n0) n0 (A.2)
変動係数として示すと
CV(n0 ) 100 n0 n0 (
%) (A.3)
CV(n0 ) 100 n0 (%) (A.4)
したがって,基礎誤差(精度)を3 %にするためには,x90.3より大きな粒子数として式(A.4)からn0=1 111
を必要とする。
基礎誤差の計算方法を表A.1に示す。ビーズの真密度ρを2 600 kg/m3とする。あらかじめ測定されたガ
ラスビーズの粒子径分布を表のA列,B列及びD列に示す。B列及びD列は100 %に正規化されている。
表A.1のセルは,Ai,Bi,Ciなどと表記する。

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表A.1−粒子径分布の計算
Ai Bi Ci Di Ei Fi Gi Hi Ii Ji
i x Q3 xgi ΔQ3 mpi ni ΔQ0 Q0 Q3=90 % Q3=90 %の
μm %質量 μm %質量 kg 試料0.1 kgの %個数 %個数 のFE≦3 % FE≦3 %に必
基準 基準 うち粒子径区 基準 基準 に必要な 要な粒子質
間iに含まれ 粒子個数 量
る粒子数 Kg
1 36 0.0 38.9 2.2 8.01×10−11 2.75×107 17.7 0 3.89×104 3.11×10−6
2 42 2.2 44.9 2.7 1.23×10−10 2.19×107 14.1 17.7 3.10×104 3.82×10−6
3 48 4.9 52.3 6.0 1.95×10−10 3.08×107 19.8 31.8 4.36×104 8.49×10−6
4 57 10.9 62.7 9.0 3.36×10−10 2.68×107 17.3 51.6 3.79×104 1.27×10−5
5 69 19.9 74.8 8.8 5.70×10−10 1.54×107 9.9 68.9 2.19×104 1.25×10−5
6 81 28.7 88.2 12.2 9.34×10−10 1.31×107 8.4 78.8 1.85×104 1.73×10−5
7 96 40.9 104.6 14.6 1.56×10−9 9.37×106 6 87.3 1.33×104 2.07×10−5
8 114 55.5 124.1 15.0 2.60×10−9 5.77×106 3.7 93.3 8.17×103 2.12×10−5
9 135 70.5 146.5 12.3 4.28×10−9 2.87×106 1.9 97 4.06×103 1.74×10−5
10 159 82.8 171.0 7.2 6.81×10−9 1.06×106 0.7 98.8 1.50×103 1.02×10−5
11 184 90.0 188.0 2.3 9.04×10−9 2.54×105 0.2 99.5 3.60×102 3.25×10−6
12 192 92.3 209.2 5.0 1.25×10−8 4.01×105 0.3 99.7 5.67×102 7.07×10−6
13 228 97.3 248.1 2.7 2.08×10−8 1.30×105 0.1 99.9 1.84×102 3.82×10−6
14 270 100 100
15 113行の合計 100 1.55×108 100 2.20×105 1.41×10−7
16 1113行の合計 10 7.86×105 0.5 1 111 1.41×10−5
注記1 C列及びE列J列の値は,表計算ソフトで表計算されており,表には四捨五入された値が
記入されている。したがって,A列,B列及びD列の値から直接計算された値は,僅かな差
を生じることがある。
A列,B列及びD列は,測定結果である。ΔQ3の合計は,100 %に正規化されている。
x90.3での値が表に加えられている。対応する粒子径(セルA11)は特定の積算分率(90 %)と,隣り合
う粒子径A10及びA12とから線形補間によって算出した。
11 10 (90 B10) (A12 A10)/(B12 B10) (A.5)
表には,このような特定の積算分率を与える粒子径及びそれに対応する値が追加されている。
B列は質量基準の積算値を示し,D列はその差分値を示す。
C列は,各粒子径の幾何平均値(粒子径区間境界値の積の平方根)である。
注記2 以降の計算では,ある粒子径区間の全ての粒子は,同じ粒子径(幾何平均粒子径xgi)をもつ
と仮定する。粒子径区間が線形にスケーリングされている場合は,算術平均粒子径のほうが
よい結果が得られる。
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E列では,各粒子径区間における1粒子当たりの平均質量が,球形粒子と仮定して,式 π( / )6xgi から算
出されている。
F列には,試料0.1 kgのうち,各粒子径区間に含まれる粒子数を示す。つまり,
F1 D1/E1 (A.6)
セルF15は,試料0.1 kg当たりの総粒子数(F1からF13までの合計)である。これによって,G列及び
H列に示される正規化された個数基準の頻度及び累積分布の計算が可能になる。F11,F12,及びF13の合
計であるF16の値は,試料0.1 kg当たりのx90.3より大きな粒子の総個数を示し,I16を1 111とする正規化

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に用いられた。
質量基準及び個数基準の粒子径分布を図A.2に示す。二つの分布には,大きな違いがあることに着目す
る。
図A.2−ガラスビーズの粒子径分布の測定例
注記3 個数基準の積算ふるい下分布で,例えば,xP=x90.3より小さい個数分率Q0(xP)が0.995(セ
ルH11)で,xP=x90.3より大きな個数分率[1−Q0(xP) ]が0.005であることを示す。Q0(xP)の
分散及び標準偏差を算出する別の方法として,2項分布を用いることができる。
Q0 (xP)1[ Q0 (xP) ]
Var[Q0 (xP) ] (A.7)
n
及び
Q0 (xP)1[ Q0 (xP) ]
QP
(A.8)
,0
n
セルI15で与えられた総粒子数nによって,xP(=x90.3)=184 μmの誤差はσ[Q0(xP) ]=0.000 15となり,[1−
Q0(xP) ]=0.005である個数分率のCVは次のように与えられる。
CV=0.000 15×100/0.005=3.0(%) (A.9)
これは,初めにポアソン分布を用いて設定した基礎誤差3 %と等しい。
I列は,x90.3より大きい粒子の総数をn0=1 111とした場合の,粒子径区間ごとでの粒子数の計算値であ
る。例えば,x90.3に対応するセルI11の数値は,I11=(1 111×F11)/F16で計算される。セルI12及びセルI13
の数値も同様に求めた。より大きい粒子の総数は,I16=SUM (I11, I12, I13)=1 111であることが確認され
る。
J列は,x90.3より大きい粒子の総数をn0=1 111とした場合の各粒子径区間での粒子質量を示し,I列の粒
子数と対応する質量(E列で与えられる)とを乗じた値である。セルJ16は,x90.3より大きいと推定される
1 111個の粒子の質量を示す。試料の総質量をセルJ15に示す。定義によれば,試料の総質量は,x90.3以上
の質量の10倍になるので,セルJ15の数値は,セルJ16に示すx90.3より大きい粒子の合計質量を10倍し
て求めることもできる。以上のように,粒子径x90.3より大きな粒子数に対して質量で3 %のFE(変動係数

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CV)を適用する場合,試料の総質量,セルJ15=1.41×10−4 kg (141 mg)が導かれる。
注記4 前述のように,同一粒子径区間内の全ての粒子は同一粒子径であると仮定する。
また,x90.3と隣り合う粒子径区間(159184 μm及び184192 μm)に含まれる粒子質
量分率(D11,D12)を得るために,二つの粒子径区間(159192 μm)の粒子質量を線形補
間によって分割した。線形補間は,僅かなかたよりを生むだろう。このかたよりは,FEの
所定の精度を達成するために必要な最小サンプル質量の確かな予測をするうえでそれほど重
要ではない。
注記5 図A.1を得るデータを計算する手順は,表A.1に関する方法と基本的に同じである。ただ異
なるのは,対数正規分布を用いて,99以上の粒子径区間で計算されたことである。
最小試料質量の算出には,粒子径分布幅の適切な見積りが必要である。予備測定が著しく微量な場合に
は,少なくとも最小質量を用いた再測定を実施しなければならない。
A.4 ふるい上粉体量に関する基礎誤差を,それに対応する粒子径に関する基礎誤差へ換算する方法
特定の粒子径におけるふるい上粉体質量に対する精度ではなく,粒子径自体の精度が問題になることが
ある。相当する粒子径x90.3の基礎誤差は,上で算出された標準偏差値を積算粒子径分布の当該粒子径x90.3
での勾配で除することによって算出することができる[式(6)参照]。x90.3における積算粒子径分布の勾配も,
線形補間で求められる。
[x90.3でのQ3(x)の勾配]= (B12 B10)
.029 μm−1
(A.10)
(A12 A10)
x90.3=184 μmより大きい粒子の質量分率は定義から10 %であり,そのQ3(184 μm)に対するFE3 %を標準
偏差で表すと
3
[Q3 (184 μm) ] 10 .030 (A.11)
100
x90.3=184 μmにおけるxに対する標準偏差σと変動係数CVは[式(6)及び式(7)参照]
(x903. ) 0.30 .104 μm (A.12)
1
0.29 μm
及び
1.04 μm
CV(x903. )
FE(size) 100 .057 % (A.13)
184 μm
したがって,この場合,x90.3=184 μmでのFE(size) 0.57 %は,FE(quantity) 3 %に相当する。
A.5 全サンプリング誤差の経験的推測
全サンプリング誤差の計算は,ある程度の偏析のある1 kgのガラスビーズで説明できる。ここでもまた,
ビーズの真密度ρを2 600 kg/m3とする。
ガラスビーズのバッチ試料の異なった場所から,各500 mgの5個の独立な試料を測定用にサンプリン
グする。この量の試料については,特定の粒子径より大きな粒子の個数とそのFE(FEcalc)はA.4で示し
たように計算される。粒子数については,x50.3より大きな粒子の個数は70 060,x90.3では4 238,x95.3では
1 572,x98.3では481となる。このように積算分率が大きくなるにしたがい,対応する粒子径より大きい粒
子の数は急激に減少する。対応するFEcalcの値が表A.2の10行目に示されている。このようなサンプルに
対して,x10.3からx90.3の変動係数が1 %よりよく,また,x90.3からx98.3の変動係数が2 %よりよくなるよう

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に分析した。
分析結果を表A.2の26行目に示す。測定結果の平均値は式(8)を用いて,標準偏差(SD)は式(9)を用
いて計算した。次に,変動係数(CV)は,SDに100を乗じ,平均値で除して得た[式(7)参照]。平均値
のSD及びCVは,SD及びCVをそれぞれN(測定数の平方根)で除して得た。
表A.2−500 mgからなる五つの独立な試料の分析結果(ガラスビーズ)
x10.3 x50.3 x90.3 x95.3 x98.3
1 x90.3/x10.3
μm μm μm μm μm
2 試料1 53.7 104.5 182.5 208.8 232.2 3.4
3 試料2 55.2 106.6 178.7 203.6 226.1 3.24
4 試料3 56.5 109.1 179.9 208.9 231.7 3.18
5 試料4 57.5 111.1 186.3 215.6 245.6 3.24
6 試料5 54.2 106.1 190.2 220.8 251.3 3.51
7 試料の全体の平均 55.4 107.5 183.5 211.5 237.4 3.31
8 試料全体の標準偏差,μm 1.6 2.6 4.7 6.7 10.6 0.14
9 試料全体のCV,% 2.9 2.4 2.6 3.2 4.5 4.1
10 FEcalc,% 0.22 0.29 0.43 0.59
11 平均値に関する標準偏差,μm 0.71 1.2 2.1 3 4.7 0.06
12 平均値に関するCV,% 1.3 1.1 1.2 1.4 2 1.8
表A.2の9行目と10行目とを比較すると,五つの測定から推定される全体のサンプリング精度(個体数
の標準偏差及び変動係数で示される)は,基礎誤差FEの計算値よりずっと大きい。この結果は,粒子群
がやや偏析しているか若しくはサンプリング方法が最適ではないか,又はその両方であることを示す。
A.6 精度を試料の最小質量,及び試料又は試料インクリメントの最小個数と関連付ける方法
粒子径分布の特性値に対して与えられた精度を最小試料質量及び/又は試料又は試料インクリメントの
最小個数と関連付ける方法を次にまとめる。
a) 製品品質を代表すると証明されている,又は期待される粒子径分布における特性値(例えば,特定の
粒子径xP)を規定する。
b) 上の特性値に必要な精度(基礎誤差FE)を与える。
c) 粒子径分布の予備測定を行い,測定結果をスプレッドシートに記入する(A.3参照)。必要ならば,ス
プレッドシートを利用して体積基準の粒子径分布を個数基準の分布に変換する(A.3参照)。
d) 図A.1がFEに対する最小試料質量の推定に役立つか確認する。
e) スプレッドシートを利用して,測定データから必要な特性値を補間して得る。そのとき,必要な精度
(FE)に関連する粒子径より大きい粒子の個数も補間して求める。
f) 必要ならば,その粒子径に対して指定した精度を,対応する個数基準の精度へ変換する(A.4参照)。
g) 指定した精度に関係する最小試料質量を計算する。
h) もしこの質量がc)の予備測定で用いた質量より著しく大きい場合は,新たに計算された試料質量を用
いて再度測定を行い,d) g)を繰り返す。
i) そのバッチの異なった位置,又は異なった時間にサンプリングした異なった複数の試料から計算した
最小試料質量と同じか,又は下回らない質量の試料を用いて測定を行い,特性値の精度を算出する。
j) 偏析が全体のサンプリング精度の中で重要な役割を果たしているか調べる(A.5参照)。必要ならば,

――――― [JIS Z 8833 pdf 25] ―――――

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JIS Z 8833:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 14488:2007(MOD)

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