JIS Z 9010:1999 計量値検査のための逐次抜取方式(不適合品パーセント,標準偏差既知) | ページ 4

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Z 9010 : 1999 (ISO 8423 : 1991)

3. 逐次抜取方式の実施

3.1 抜取方式の指定

 1回及び逐次抜取方式の選択は,ロットの検査の開始以前の状態にしておかなけれ
ばならない。
逐次抜取方式の実施以前に,検査員はhA,hR,g,nt及びAtの指定値を抜取検査の文書に記録しなけれ
ばならない。
さらに,検査員は,判定基準が上側規定限界,下側規定限界,連結式両側規定限界及び個別式両側規定
限界のどれかを記録しなければならない。この最後の場合には,上側及び下側の判定基準に対するパラメ
ータを個別に求めなければならない。ISO 3951と互換性のある抜取方式の場合には,附属書A付表A.1
及び附属書A付表A.2を使用して適切な値を決めなければならない。

3.2 抜取方式の準備

3.2.1  片側規定限界
3.2.1.1 合格判定値及び不合格判定値 累計サンプルサイズncumが1からnt−1までの各値に対して,合
格判定値Aは次の式から求める。
A=g hA
また,ncumの各値に対して,次の式から不合格判定値Rを求める。
R=g hR
累計サンプルサイズの打切り値に対する合格判定値Atは,次の式から求める。
At=g
合格判定値及び不合格判定値のけた数は,検査で得られる結果よりも1けた下のけたまで求める。
3.2.1.2 合否判定図 図3に示すようなグラフ(合否判定図)を作成する。グラフの横軸は累計サンプル
サイズ,縦軸は累計余裕値とする。合格判定値及び不合格判定値は,共通の傾きg の直線にな
る。切片hA 湶 線は合格判定線であり,切片−hR 湶 線は不合格判定線である。
累計サンプルサイズがntのところに打切り線(縦線)を追加する。
これらの線によって,図は三つの領域に分かれる。
− 合格域は,合格判定線の上側の領域(線上を含む。)及び打切り線上で点 (nt ; At) より上側の部分(そ
の点を含む。)である。
− 不合格域は,不合格判定線の下側の領域(線上を含む。)及び打切り線上で点 (nt ; At) よりも下側の
部分である。
− 検査続行域は,合格判定線と不合格判定線に挟まれた帯状の領域で,打切り線より左側の部分であ
る。
3.2.1.3 例 2.4.2.3の例で取り上げた計量値逐次抜取方式を考える。与えられた値及びパラメータは,L
=200kV, 1.2kV,hA=4.312,hR=5.536,g=2.315及びnt=49となっている。
合格判定値を与える式は,次のようになる。
A=2.778ncum+5.174
不合格判定値を与える式は,次のようになる。
R=2.778ncum−6.643
累計サンプルサイズncum=1,2,···,48に対応する合格判定値及び不合格判定値は,これらの式に順次
ncumの値を代入すれば求められる。また,累計サンプルサイズの打切り値ntに対応する合格判定値Atは,
次のようになる。
At=2.778nt

――――― [JIS Z 9010 pdf 16] ―――――

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ここに, nt=49である。
このがいしの絶縁電圧は,小数点以下1けたまで計測するので,合格判定値及び不合格判定値は,小数
点以下2けたに丸める。その結果を図2の第4列及び第6列に示す。
累計サンプルサイズ 測定値 余裕値 不合格判定値 累計余裕値 合格判定値
ncum x y R Y A
kV
1 202.5 2.5 −3.86 2.5 7.95
2 203.8 3.8 −1.09 6.3 10.73
3 201.9 1.9 1.69 8.2 13.51
4 205.6 5.6 4.47 13.8 16.29
5 199.9 −0.1 7.25 13.7 19.06
6 202.7 2.7 10.02 16.4 21.84
7 203.2 3.2 12.80 19.6 24.62
8 −203.6 3.6 15.58 23.2 27.40
9 204.0 4.0 18.36 27.2 30.18
10 203.6 3.6 21.14 30.8 32.95
11 203.3 3.3 23.91 34.1 35.73
12 204.7 4.7 26.69 38.8 38.51
13 − − 29.47 ロット 41.29
14 − − 32.25 合格 44.07
··· ··· ··· ··· ···
48 126.70 138.58
49 136.12
図2 片側規定限界に対する逐次抜取方式のための合否判定表(検査記録用紙)
(3.2.1.3の例で取り上げたもの)
図3は,この逐次抜取方式に対する合否判定図を示す。この図を作成するために,横軸を累計サンプル
サイズncum,縦軸を累計余裕値Yとするグラフ用紙を準備する。合格判定線は, (0 ; hA ‰ 及び (ncum;
g hA ‰ を通る直線である。ncum=30を選ぶと,g hA=88.51となる。グラフ用紙
点 (0 ; 5.17) 及び (30 ; 88.51) をプロットし,この2点を直線で結んで合格判定線とする。
同様に不合格判定線は, (0 ; −hR びncum=30に対応する (ncum ; R) の2点 (0 ; −6.64) 及び (30 ;
76.70) をプロットし,この2点を直線で結んで不合格判定線とする。最後にncum=49のところに縦線を記
入して打切り線とする。
参考 この規格では,グラフ上の点の座標を,慣用の (x,y) ではなく, (x ; y) とセミコロンで区切
って表現している。これは,原国際規格から転載した図・表中で小数点としてコンマ (,) を
用いており,それとの混合を避けるためである。

――――― [JIS Z 9010 pdf 17] ―――――

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図3 3.2.1.3中の例で考察した片側規定限界の場合の逐次抜取方式に対する合否判定図
3.2.2 連結式両側規定限界
3.2.2.1 合格判定値及び不合格判定値 累計サンプルサイズncumが1からnt−1までの各値に対して,次
の各式から一対の合格判定値及び一対の不合格判定値を求める。
上側合格判定値A (U) は,次のようになる。
A (U) = (U−L−g hA
下側合格判定値A (L) は,次のようになる。
A (L) =g hR
上側不合格判定値R (U) は,次のようになる。
R (U) = (U−L−g hR
下側不合格判定値R (L) は,次のようになる。
R (L) =g hR
A (u) の値が対応するA (L) の値より小さい場合には,累計サンプルサイズが小さ過ぎてロットは合格にな
らない。
累計サンプルサイズの打切り値に対する合格判定値At (U) 及びAt (L) は,次の式から求める。
At (U) = (U−L−g
At (L) =g
合格判定値及び不合格判定値の小数点以下のけた数は,検査結果よりも1けた下まで求める。
3.2.2.2 合否判定図 図5に示すようなグラフ(合否判定図)を作成する。グラフの横軸は累計サンプル
サイズ,縦軸は累計余裕値とする。累計サンプルサイズがntのところには,縦線(打切り線)がある。合
格判定値及び不合格判定値に対応する4本の直線がある。
一番上の線(上側不合格判定線)は,傾き (U−L−g び切片hR 側不合格域は,

――――― [JIS Z 9010 pdf 18] ―――――

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不合格判定線の上側の領域(線上を含む。)及び打切り線上で点 [nt ; At (U) ] より上側の部分である。
一番下の線(下側不合格判定線)は傾きg び切片−hR 側不合格域は,不合格判定
線の下側の領域(線上を含む。)及び打切り線上で,点 [nt ; At (L) ] より下側の部分である。
不合格域は,上側及び下側の二つの領域に分かれている。
上側合格判定線は,傾き (U−L−g び切片−hA 側合格判定線は,傾きg び切
片hA 格域は,図中で上側合格判定線,下側合格判定線及び打切り線で囲まれた三角形
の領域である。合格域は,二つの合格判定線上を含み,さらに,打切り線上で2点 [nt ; At (U) ], [nt ; At (L) ] の
間の部分(その点を含む。)も含む。
合格域と不合格域とに挟まれた帯状のV字形の領域で,打切り線より左側の部分は,検査続行域である。
3.2.2.3 例 工業生産中のある機械部品の寸法に対して仕様が205±5mmと規定されている。生産は安定
しており,ロット内の寸法の分布は正規分布に従うことが確かめられている。更に,ロット内の標準偏差
は安定していて, 1.2mmとみなしてよいという文書が提出されている。
連結式両側規定限界で, 0.005, 懿 0.05, 勿 0.02, 拿 0.10という特性をもつ計量値逐次抜取方式
を使用することが決まった。
表1から,この逐次抜取方式のパラメータは,次のとおりである。
hA=4.312,hR=5.536,g=2.315及びnt=49
上側合格判定値A (U) 及び下側合格判定値A (L) を与える式は,次のようになる。
A (U) =7.222ncum−5.174
及び
A (L) =2.778ncum+5.174
上側不合格判定値R (U) 及び下側不合格判定値R (L) を与える式は,次のようになる。
R (U) =7.222ncum+6.643
及び
R (L) =2.778ncum−6.643
累計サンプルサイズncum=1,2,···,48に対応する合格判定値及び不合格判定値は,これらの式に順次
ncumの値を代入すれば求められる。
また,累計サンプルサイズの打切り値ntに対応する合格判定値At (U) 及びAt (L) は,次のようになる。
At (U) =7.222nt
及び
At (L) =2.778nt
この場合,nt=49である。
この寸法は,小数点以下1けたまで計測するので,合格判定値及び不合格判定値は小数点以下2けたに
丸める。その結果を図4の第4列,第5列,第7列及び第8列に示す。

――――― [JIS Z 9010 pdf 19] ―――――

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累計サンプ 測定値 余裕値 下側不合 下側合格 累計余裕値 上側合格 上側不合
ルサイズ x y 格判定値 判定値 Y 判定値 格判定値
ncum mm R (L) A (L) A (U) R (U)
1 202.5 2.5 −3.86 7.95* 2.5 2.05* 13.87
2 203.8 3.8 −1.09 10.73* 6.3 9.27* 21.09
3 201.9 1.9 1.69 13.51 8.2 16.49 28.31
4 205.6 5.6 4.47 16.29 13.8 23.71 35.53
5 199.9 −0.1 7.25 19.06 13.7 30.94 42.75
6 202.7 2.7 10.02 21.84 16.4 38.16 49.98
7 203.2 3.2 12.80 24.62 19.6 45.38 57.20
8 203.6 3.6 15.58 27.40 23.2 52.60 64.42
9 204.0 4.0 18.36 30.18 27.2 59.83 71.64
10 203.6 3.6 21.14 32.95 30.8 67.05 78.87
11 203.3 3.3 23.91 35.73 34.1 74.27 86.09
12 204.7 4.7 26.69 38.51 38.8 81.49 93.31
13 − − 29.47 41.29 ロット 88.71 100.53
14 − − 32.25 44.07 合格 95.94 107.75
··· ··· ··· ··· ··· ··· ···
48 126.70 138.52 341.48 353.30
49 136.12 353.88
* この累計サンプルサイズでは,下側合格判定値が上側合格判定値を超えるので,合格の判定はでき
ない。
図4 連結式両側規定限界に対する逐次抜取方式のための合否判定表(3.2.2.3の例で取り上げたもの)
図5は,この逐次抜取方式に対する合否判定図を示す。この図を作成するために,横軸を累計サンプル
サイズncum,縦軸を累計余裕値Yとするグラフ用紙を準備する。下側規定限界に対する合格判定線は,2
点 (0 ; 5.17) 及び (30 ; 88.51) を直線で結んで作成する。また,下側不合格判定線は,2点 (0 ; −6.64) 及
び (30 ; 76.70) を直線で結んで作成する。
上側規定限界に対する合格判定線は,2点 (0 ; −5.17) 及び (30 ; 211.49) を直線で結んで作成する。同
様に上側不合格判定線は,2点 (0 ; 6.64) 及び (30 ; 223.30) を直線で結んで作成する。最後に,ncum=49
のところに縦線を記入して打切り線とする。

――――― [JIS Z 9010 pdf 20] ―――――

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