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Z 9010 : 1999 (ISO 8423 : 1991)
図5 3.2.2.3中の例で考察した連結式両側規定限界の場合の逐次抜取方式に対する合否判定図
3.2.3 個別式両側規定限界
3.2.3.1 合格判定値及び不合格判定値 累計サンプルサイズncumが1からnt−1までの各値に対して,次
の各式から2組の合格判定値及び不合格判定値を求める。合格判定値と不合格判定値の組合せは,それぞ
れの規定限界に対応している。
上側規定限界に対応する上側合格判定値A (U) は,次のようになる。
A (U) = (U−L−g (U) hA (U)
また,上側規定限界に対応する上側不合格判定値R (U) は,次のようになる。
R (U) = (U−L−g (U) hR (U)
下側規定限界に対応する下側合格判定値A (L) は,次のようになる。
A (L) =g (L) hA (L)
また,下側規定限界に対応する下側不合格判定値R (L) は,次のようになる。
R (L) =g (L) hR (L)
累計サンプルサイズの打切り値に対する合格判定値At (U) 及びAt (L) は,次の式から求める。
At (U) = (U−L−g (U)
At (L) =g (L)
合格判定値及び不合格判定値の小数点以下のけた数は,検査結果よりも1けた下まで求める。
3.2.3.2 合否判定図 図7に示すようなグラフ(合否判定図)を作成する。グラフの横軸は,累計サンプ
ルサイズ,縦軸は累計余裕値とする。累計サンプルサイズがntのところには,縦線(打切り線)がある。
合格判定値及び不合格判定値に対応する直線は,下側規定限界に対する2本と上側規定限界に対する2本
とがある。
――――― [JIS Z 9010 pdf 21] ―――――
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共通の傾斜g (L) 摎 方の2本の直線は下側規定限界に対するものである。切片−hR (L) 摎u
下の線は,下側規定限界に対する不合格判定線であり,切片hA (L) 摎 方の線は,下側規定限界に対
する合格判定線である。
これらの線によって,図は三つの領域に分かれる :
− 下側規定限界に対する合格域は,下側規定限界に対する合格判定線の上側の領域(線上を含む。)及び
打切り線上で点 [nt ; At (L) ] よりも上側の部分(その点を含む。)である。
− 下側規定限界に対する不合格域は,下側規定限界に対する不合格判定線の下側の領域(線上を含む。)
及び打切り線上で点 [nt ; At (L) ] よりも下側の部分である。
− 下側規定限界に対する検査続行域は,下側規定限界に対する合格判定線と下側不合格判定線に挟まれ
た帯状の領域で,打切り線よりも左側の部分である。
同様に共通の傾き [U−L−g (U) ] 摎 方の2本の直線は,上側規定限界に対するものである。
切片hR (U) 摎u の線は,上側規定限界に対する不合格判定線であり,切片−hA (U) 摎
方の線は,上側規定限界に対する合格判定線である。
これらの線によって,図は三つの領域に分かれる。
− 上側規定限界に対する合格域は,上側規定限界に対する合格判定線の下側の領域(線上を含む)及び
打切り線上で点 [nt ; At (U) ] より下側の部分(その点を含む。)である。
− 上側規定限界に対する不合格域は,上側規定限界に対する不合格判定線の上側の領域(線上を含む)
及び打切り線上で点 [nt ; At (U) ] よりも上側の部分である。
− 上側規定限界に対する検査続行域は,上側規定限界に対する合格判定線と上側不合格判定線に挟まれ
た帯状の領域であり,打切り線よりも左側の部分である。
2組の判定線は,同一の累計余裕値を使用できるように決めてある。3.5.3の合否判定基準は,各規
定限界に対して個別に適用されるので,合否判定図を下側規定限界に対するものと上側規定限界に対
するものとに分けることができる。
3.2.3.3 例 ある電子部品の出力電圧に対して,仕様が5 950±50mVと規定されている。生産は安定して
おり,ロット内の出力電圧の分布は正規分布に従うことが確かめられている。さらに,ロット内の標準偏
差は安定していて, 12mVとみなしてよいという文書が提出されている。
愀
上側規定限界U=6 000mVに対して,pA (U) =0.005, 戀
U) =0.05,pR (U) =0.02, U) =0.10及び下側規定
限界L=5 900mVに対して,pA (L) =0.025,愀 戀
L) =0.05,pR (L) =0.10, L) =0.10という特性をもつ計量値
逐次抜取方式を使用することとした。
個別式両側規定限界が示されているので,この逐次抜取方式に対して2組のパラメータを求める。
上側規定限界に対するパラメータは,表1から次のとおりである。
hA (U) =4.312,hR (U) =5.536,g (U) =2.315及びnt (U) =49
また,下側規定限界に対するパラメータは,表1から次のとおりである。
hA (L) =3.318,hR (L) =4.260,g (L) =1.621及びnt (L) =29
二つの打切り値のうち,大きいほうはnt (U) =49なので,この逐次抜取方式に対する打切り値はnt=49
を使用する。
上側規定限界に対する合格判定値A (U) 及び不合格判定値R (U) を与える式は,次のようになる。
A (U) =72.22ncum−51.74
及び
R (U) =72.22ncum+66.43
――――― [JIS Z 9010 pdf 22] ―――――
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下側規定限界に対する合格判定値A (L) 及び不合格判定値R (L) を与える式は,次のようになる。
A (L) =19.45ncum+39.82
及び
R (L) =19.45ncum−51.12
累計サンプルサイズ=ncum=1,2,···,48に対応する合格判定値及び不合格判定値は,これらの式に順
次ncumの値を代入すれば求められる。
また,累計サンプルサイズの打切り値ntに対応する合格判定値At (U)及びAt (L) は,次のようになる。
At (U) =72.22nt
及び
At (L) =19.45nt
この場合,打切り値nt=49である。
この出力電圧は,mVのけたまで求めるので,合格判定値及び不合格判定値は小数点以下1けたに丸め
る。その結果を図6の第4列,第5列,第7列及び第8列に示す。
累計サンプ 測定値 余裕値 下側不合 下側合格 累計余裕値 上側合格 上側不合
ルサイズ x y 格判定値 判定値 Y 判定値 格判定値
ncum mV R (L) A (L) A (U) R (U)
1 5 930 30 −31.7 59.3 30 20.5 138.7
2 5 909 9 −12.2 78.7 39 92.7 210.9
3 5 921 21 7.2 98.2 60 164.9 283.1
4 5 924 24 26.7 117.6 84 237.1 355.3
5 5 927 27 46.1 137.1 111 309.4 427.5
6 5 939 39 65.5 156.5 150 381.6 499.8
7 5 914 14 85.0 176.0 164 453.8 572.0
8 5 916 16 104.5 195.4 180 526.0 644.2
9 5 932 32 123.9 214.9 212 598.2 716.4
10 5 918 18 143.4 234.3 230 670.5 788.6
11 5 934 34 162.8 253.8 264 742.7 860.9
12 − − 182.3 273.2 ロット 814.9 933.1
13 − − 201.7 292.7 合格 887.1 1 005.3
14 − − 221.2 312.1 959.3 1 077.5
··· ··· ··· ··· ··· ··· ···
48 882.5 973.4 3 414.8 3 533.0
49 953.1 3 538.8
図6 個別式両側規定限界に対する逐次抜取方式のための合否判定表(3.2.3.3の例で取り上げたもの)
図7は,この逐次抜取方式に対する合否判定図を示す。この図を作成するために,横軸を累計サンプル
サイズncum,縦軸を累計余裕値Yとするグラフ用紙を準備する。下側規定限界に対する合格判定線は,2
点 (0 ; 39.8) 及び (30 ; 623.3) を直線で結んで作成する。また,下側規定限界に対する不合格判定線は,2
点 (0 ; −51.1) 及び (30 ; 532.4) を直線で結んで作成する。上側規定限界に対する合格判定線は,2点 (0 ;
−51.7) 及び (30 ; 2 114.9) を直線で結んで作成する。同様に上側規定限界に対する不合格判定線は,2点
(0 ; 66.4) 及び (30 ; 2 233.0) を直線で結んで作成する。最後に,ncum=49のところに縦線を記入して打切
り線とする。
――――― [JIS Z 9010 pdf 23] ―――――
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図7 3.2.3.3中の例で考察した個別式両側規定限界の場合の逐次抜取方式に対する合否判定図
3.3 サンプルの抜取り
個々のサンプルアイテムは,ロットからランダムに抜き取り,抜き取った順に1
個ずつ検査しなければならない。便宜上,数個のアイテムを引き続くサンプルとして一度にまとめて抜き
取った場合には,各サンプル中のアイテムの検査の順序は,ロット中の元の位置とは無関係にしなければ
ならない。
3.4 累計余裕値
各アイテムの検査後,現在の累計サンプルサイズncumに対する検査結果xを記録する。
余裕値yを,次のように計算する。
両側規定限界又は片側の下側規定限界の場合には,y=x−L
片側の上側規定限界の場合には,y=U−x
そのロットからのそれまでのサンプルの余裕値の累計を累計余裕値Yとして記録する。
3.5 合否の判定
3.5.1 片側規定限界
3.5.1.1 数値判定法 累計余裕値Yを対応する合格判定値A及び不合格判定値Rと比較する。
a) ≧Aならば,ロットは合格とする。
b) ≦Rならば,ロットは不合格とする。
c) )とb)の両方とも満足されなければ,もう1個のアイテムを抜き取って検査する。
累計サンプルサイズが打切り値ntに達した場合には,Y≧Atであれば,ロットは合格とし,そうで
なければロットは不合格とする。
3.5.1.2 図式判定法 3.2.1.2によって作成した合否判定図に,点 (ncum ; Y) をプロットする。
a) 点が合格域に入れば,ロットを合格とする。
b) 点が不合格域に入れば,ロットを不合格とする。
c) 点が検査続行域にあれば,もう1個のアイテムを抜き取って検査する。
――――― [JIS Z 9010 pdf 24] ―――――
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Z 9010 : 1999 (ISO 8423 : 1991)
検査結果の傾向を見やすくするために,図上で引き続く点の間を折れ線で結ぶとよい。
注意 点が合格判定線又は不合格判定線に接近した場合には,合否の判定は数値判定法によらなければ
ならない。
3.5.1.3 例 逐次抜取方式L=200kV, 1.2kV,hA=4.312,hR=5.536,g=2.315及びnt=49に対しては,
3.2.1.3の例で合格判定値及び不合格判定値を求めてある。
あるロットからのサンプルの最初の12個のがいし(碍子)の検査結果xが図2の第2列に示してある。
第3列には,余裕値y=x−200が与えてあり,第5列には累計余裕値が記録されている。
検査は,12番目のアイテムまで続けられたが,それは1,2,···,11番目の各アイテムの検査後,累計
余裕値が対応する不合格判定値よりも大きく,合格判定値よりも小さいという状態が続いたからである。
12番目のアイテムの検査後,累計余裕値が対応する合格判定値よりも大きくなったので,検査は終了し,
ロットは合格となった。
ロットは合格となったが,5番目の検査アイテムの絶縁電圧は規定値よりも低いことに注意を要する。
これは,ロットの品質を審査するのにサンプル平均値だけを使用するという計量値逐次抜取方式に固有の
特徴であって,検査結果が規定値から多少外れていたとしても,ロットが合格と判定されることがある。
図8には,この逐次抜取方式に対する合否判定図を示す。この図の作り方は,3.2.1.3の例で示してある。
図2に示した累計サンプルサイズ及び累計余裕値の組合せ (ncum ; Y) を引き続き合否判定図にプロット
し,折れ線でつなぐ。点 (12 ; 38.8) が合格域に入ったので,12番目のアイテムの検査後,検査は終了しロ
ットは合格となった。
図8 3.5.1.3中の例で考察した片側規定限界の場合の逐次抜取方式に対する合否判定図
3.5.2 連結式両側規定限界
3.5.2.1 数値判定法 累計余裕値Yを,対応する上側合格判定値A (U) 及び下側合格判定値A (L) 並びに対
応する上側不合格判定値R (U) 及び下側不合格判定値R (L) と比較する。
a) (L) ≦Y≦A (U) ならば,ロットは合格とする。
b) ≧R (U) 又はY≦R (L) ならば,ロットは不合格とする。
c) )とb)の両方とも満足が得られなければ,もう1個のアイテムを抜き取って検査する。
累計サンプルサイズが打切り値ntに達した場合には,もしAt (L) ≦Y≦At (U) ならばロットは合格とし,
――――― [JIS Z 9010 pdf 25] ―――――
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JIS Z 9010:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8423:1991(IDT)
JIS Z 9010:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
JIS Z 9010:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用
- JISZ9009:1999
- 計数値検査のための逐次抜取方式
- JISZ9015-1:2006
- 計数値検査に対する抜取検査手順―第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式