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5 試験片の作製
5.1 試験片の作製時期
試験片は,通常,サンプルを採取した後直ちに作製する。また,保管したサンプルは,試験開始直前に
包装を解くか又は容器から取り出して,直ちに作製する。
なお,サンプルを採取後,試験片を直ちに作製しても試験が開始できない場合は,試験片の放散特性に
影響を与えないように包装して保護する。包装の方法は,4.6と同様とする。こん包の表面には,試験片が
識別できるように4.5と同様の表示をする。また,試験片の保管期間中は,密封した状態で,4.7と同様な
室内で保管する。
なお,試験片の移送のときも保管と同様な条件にする。
5.2 試験片の作製方法
試験片の作製方法は,次による。
a) 試験片は,板状製品の長手方向に平行に中央部から切り出して,必要な大きさに作製する。また,サ
ンプルの切断面(厚さ方向)はできるだけ表面と直角になるようにする。切断面は,切断器具によっ
て摩擦熱で温度が上昇しないように注意する。また,絵柄がある場合は,色が多く入るように試験片
を採取する。
b) 試験片の形状は四角形(方形)とし,大きさは箇条7 e)の試料負荷率との関係によって決定する。
c) シールボックスを使用する場合の試験片の寸法は,放散面の寸法より試験片のシールしろ分を大きく
する。また,シールボックスを使用しない場合は,試験片の小口又は裏面のシールを完全にするため
にシールを放散面側に折り返すような場合は,シールしろ分だけ放散面の寸法より大きくする(図2
参照)。
図2−シールしろのとり方
5.3 試験片の作製数量
試験に必要な試験片数量は,試料負荷率,チャンバーへの設置方法(シールボックスの使用の有無)な
どによって変わるので,これらを考慮して決定する。
なお,必要に応じて,予備として試験片の必要な作製数量と同数の試験片とを作製することができる。
――――― [JIS A 1902-1 pdf 6] ―――――
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5.4 試験片の作製時間
試験片の作製は,できるだけ短時間で行う。
注記 試験片の作製時間は,4.6の包装又は箇条6のシール工程を含めて,少なくとも1時間以内に作
業を行う。
5.5 試験片の作製作業環境
試験片を作製する場合,試験片が化学物質に汚染されないようにできるだけ清浄な状態の環境で行う。
注記 室内に汚染化学物質の発生源がないことを確認したうえで,換気のある恒温恒湿室又は空調さ
れた室が望ましい。
5.6 試験開始までの期間(保管期間)
サンプルの採取から試験開始までの期間(主に保管期間)は,放散特性に影響することがあるのででき
るだけ短くする。
注記 サンプルの採取から試験開始までの期間は,個別製品規格で規定することができる。ただし,
その期間は4週間以内とすることが望ましい。
6 試験片のシール
試験片の表面から化学物質の放散を測定する場合は,放散面以外はシールする。試験片のシールは,次
によって行う。
a) ボード類のような剛性のある板状の場合 試験片の小口(端部)及び裏面は,アルミニウムはく,ア
ルミニウムテープなどのシール材でシールするか,又はシールボックスを用いてシールすることもで
きる。
b) 壁紙のような柔軟性のあるシート状の場合 a)と同様とするか,又は,試験片の裏面(反放散面側)
にガラス板又はステンレス板を当てて,試験片の端部をアルミニウムテープなどでシールする。粘着
剤付きのアルミテープを使用する場合は,粘着剤が試験に影響しないことをあらかじめ確認する必要
がある。また,シールボックスを使用する場合,シール材の気密度に注意する。
なお,この場合は,試験片の小口又は裏面を同様にアルミニウムはくでシールしてもよい。
c) 試験片のはり合わせ 裏面のシールの代わりに,2枚の試験片をはり合わせることで裏面からの放散
を防ぐことができる。この場合は,はり合わせにした小口をシールする。サンプルの両表面とも同じ
仕様になっている場合は,両側の表面を放散面とすることができる(図3参照)。
――――― [JIS A 1902-1 pdf 7] ―――――
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図3−試験片のはり合わせなどのシール方法
7 測定条件
ボード類,壁紙及び床材の標準的な測定条件は,次のとおりとする。
a) 温度 (28±1.0)℃
b) 湿度 (50±5)%
c) チャンバー出口濃度 通常,チャンバー出口濃度は,厚生労働省のガイドライン値以下とする。
注記 厚生労働省のガイドライン値は,次のとおり。ホルムアルデヒドは100 μg/m3,トルエンは
260 μg/m3,キシレンは870 μg/m3,p-ジクロロベンゼンは240 μg/m3,エチルベンゼンは3 800
μg/m3及びスチレンは220 μg/m3である。
d) 換気回数 (0.5±0.05)回/h
e) 試料負荷率 0.42.2 m2/m3
注記 個別製品規格において規定される場合には,この標準条件範囲を超えて測定を行ってもよい。
f) 空気捕集間隔 チャンバー出口濃度の捕集間隔は,試験開始後1日,3日及び7日とする。7日目の値
を放散速度として採用する。ただし,定量下限以下となった時点で試験を終了することができる。
g) 空気捕集回数 ある空気捕集時の空気捕集回数は,通常,2回以上とする。
注記 チャンバー出口濃度の測定系の精度が確保されていることを確認している場合は,2回捕集
して,1回分を分析し,もう1回分は予備とすることができる。
8 試験片の設置
試験片は,試験片の放散面がチャンバー内の気流に沿うように設置する。ただし,シート状の壁紙又は
床材のように自立することができない場合は,適切なジグにクリップなどで挟んでつり下げるなどの工夫
をする。
9 測定方法
測定方法は,JIS A 1901による。
――――― [JIS A 1902-1 pdf 8] ―――――
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10 報告
報告事項には,サンプル採取,試験片作製,試験条件に関わる次の事項を主として記載し,その他の項
目に関するものはJIS A 1901に規定する報告事項による。
a) サンプル
・ 一般名称
・ 製造業者名又は申請者
・ 製品名
・ 種類及び/又は形式
・ ロット番号又は製造年月日
・ 採取年月日
・ 採取場所
・ 形状,寸法(大きさ,厚さ)
・ 包装,保管の方法
b) 試験片の作製
・ 大きさ(寸法)
・ 厚さ
・ 数量
・ シール方法,シール材
・ 試験片作製年月日
・ 包装,保管
c) 試験片の設置方法
・ シールボックス使用の旨
・ 自立又はつり下げ
d) 試験条件
・ チャンバー条件(温度,湿度,換気回数,物質伝達率)
・ 試料負荷率,放散面積
・ 対象化学物質の空気捕集に関する情報(使用した捕集管,空気捕集量,チャンバーに入れてからの
空気捕集時間の長さ及び回数など)
e) その他
・ 試験の結果に影響を及ぼす可能性のあるその他の事項
――――― [JIS A 1902-1 pdf 9] ―――――
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附属書A
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(参考)
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1 : 2
技術上重要な改正に関する新旧対照表
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現行規格(JIS A 1902-1:2015) 旧規格(JIS A 1902-1:2006) 改正理由
箇条番号 内容 箇条番号 内容
及び題名 及び題名
3 用語及 3. 用語の
JIS A 1901を引用することとし,JIS A 1901と重複す この規格で用いる用語全てについて規定。 室内空気関係のJISの中に
び定義 る用語は削除した。 定義 は同一の用語が異なった定
義で使用されている箇所が
あったため,用語の統一化
を行ったJISを引用するこ
ととした。
3 用語及 3. 用語の
内装材料として使用する剛性のある板状の単体材料 JIS Z 8301に従い,“備考”
内装材料として使用する剛性のある板状の単体材料
び定義 又は複合した製品。 定義 又は複合した製品。 を本文へ盛り込んだ文章に
3.1 ボー a) ボード
なお,建築材料のボード類には,材料規格としてJIS 備考 建築材料のボード類には,材料規格として変更した。
ド類 類
A 5404,JIS A 5440,JIS A 5905,JIS A 5908,及びJIS 次のような日本工業規格(日本産業規格)(以下,JISとい
A 6901がある。 う。)がある。
JIS A 5404
JIS A 5440
JIS A 5451
JIS A 5905
JIS A 5908
JIS A 6901
3 用語及 3. 用語の
内装の仕上げに用いる紙,プラスチック,繊維など JIS Z 8301に従い,“備考”
内装の仕上げに用いる紙,プラスチック,繊維など
び定義 定義
を主素材として複合化された柔軟性のあるシート状の を本文へ盛り込んだ文章に
を主素材として複合化された柔軟性のあるシート状の
3.2 壁紙 製品。 b) 壁紙 製品。 変更した。
なお,壁紙の材料規格としてJIS A 6921がある。 備考 壁紙の材料規格として,次のJISがある。
JIS A 6921
――――― [JIS A 1902-1 pdf 10] ―――――
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JIS A 1902-1:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.20 : 雰囲気