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B 0642 : 2010
3.32
浮動ゼロ誤差(floating zero error)
基準点を浮動させた状態で,ある測定長さを測定したときの指示誤差。
3.33
基準点(reference point)
測定器の範囲内で設定した評価のための基準点。
3.34
公称範囲(nominal range)
測定器の個々の設定によって制限した,指示の範囲。
注記 公称範囲は,通常,上限及び下限で決定する。例えば,24.5 mmから50.6 mmまで。
下限がゼロの場合,公称範囲は,上限だけで決定する(図3参照)。
3.35
公称スパン(nominal span)
公称範囲の二つの限界値の差の絶対値。
3.36
測定範囲(measuring range)
指定された限界内に測定器の誤差が納まらなければならない測定値の組。
注記1 誤差は,取決めによる真値に関連して決定される。
注記2 図3に長さにおける例を示す。
注記3 個々の限界は,MPE及びMPLの組として与える。
1 公称範囲(3.34) : 24.5 mmから50.6 mmまで
公称スパン(3.35) : 26.1 mm(50.6 mm−24.5 mm=26.1 mm)
2 測定範囲(3.36) : 25 mmから50 mmまで
測定スパン(3.37) : 25 mm(50 mm−25 mm=25 mm)
3 プリレンジ(3.38) : 24.5 mmから25 mmまで
プリスパン(3.39) : 0.5 mm(25 mm−24.5 mm=0.5 mm)
4 ポストレンジ(3.40) : 50 mmから50.6 mmまで
ポストスパン(3.41) : 0.6 mm(50.6 mm−50 mm=0.6 mm)
注記 例として,25 mm50 mmの外側マイクロメータを使用。
図3−範囲及びスパンの用語
3.37
測定スパン(measuring span)
測定範囲の二つの限界値の差の絶対値。
――――― [JIS B 0642 pdf 11] ―――――
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3.38
プリレンジ(pre-range)
測定器を測定範囲の下限から最も低い目盛まで設定できる指示の区間(図3参照)。
3.39
プリスパン(pre-span)
二つのプリレンジの限界の幅(図3参照)。
3.40
ポストレンジ(post-range)
測定器を測定範囲の上限から最も高い目盛まで設定できる指示の区間(図3参照)。
3.41
ポストスパン(post-span)
二つのポストレンジの限界の幅(図3参照)。
3.42
連番による識別(serialised identification)
測定器又は測定器の一部を識別するために使用する固有の英数字表示。
測定器の連番による識別は,品質保証上の要求事項である。
注記 製造業者の製造番号は,連番による識別の例である。
3.43
測定器の受入検査(acceptance test)
製造業者が規定した測定器の性能を使用者が検証すること。
注記 測定器の操作方法は,受渡当事者間で一致させる。
3.44
測定器の定期検査(verification test)
測定器の性能を維持し,確認するため,使用者が定期的に検証すること。定期検査は,使用者が規定し,
受入検査と同様な手順で実施する。
4 略号
この規格では,表1の略号を適用する。
表1−略号
略号 用語 参照
DC 設計特性 (Design characteristic) 3.13
DR 設計要求 (Design requirement) 3.15
MPL 計測特性の許容限界 3.20
(Permissible limits of a metrological characteristic)
LSL 下側仕様限界 (Lower specification limit) JIS B 0641-1
ME 測定器 (Measuring equipment) 3.1
MC 計測特性 (Metrological characteristic) 3.12
MR 計測要求 (Metrological requirement) 3.14
MPE 3.21,3.19
計測特性の最大許容誤差 (Maximum permissible errors of a metrological characteristic)
USL 上側仕様限界 (Upper specification limit) JIS B 0641-1
――――― [JIS B 0642 pdf 12] ―――――
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B 0642 : 2010
5 (測定器の)設計特性
5.1 一般
5.1.1 特性
測定器の設計特性は,たとえ,短期的に影響がないとしても測定結果(例えば,誤差及び測定の不確か
さ)に関して重要である。この設計特性は,測定器の製造業者(供給者),及び/又は使用者(顧客)によ
って機器の仕様の対象となる。これらの重要な設計特性の幾つかは,測定器のタイプ,設計及び限定的使
用に依存する。
幾つかの設計特性は,装置の長期的な計測性能に影響をもつ。例えば,摩耗は,計測特性の一部に影響
する。
5.1.2 測定器のための規格
重要な設計特性は,各々の測定器に関する規格の中で規定の対象となる。
互換性のために,この規格化は,最も重要な設計特性に限定し,測定技術及び測定器の今後の開発を制
限しない。
個々の測定器に関する規格は,設計特性として次の二つの方法で示すことができる。
− 製造業者によって,設計特性を明示的に一覧し,必要,かつ,可能な場合には,その公称値も示す。
− 設計特性及び関連する値,及び/又は規格化した許容限界値の一覧を示す。
これらの設計特性が最も重要な場合においては,二つの方法のうちの一つについて各々の個々の例(測
定器)で評価し,決定するよう規格化する。5.2及び5.3の設計特性のリストは,個々の測定器の規格のた
めの手引として使用する。
一般的に,設計特性の限界値に適合又は不適合かを判定する場合には,JIS B 0641-1の規定を適用する。
5.1.3 測定器の情報提示
測定器の製造業者は,製品に関する情報を顧客に提供することを意図した製品文書,仕様書などの中で
該当する測定器の規格に盛り込める設計特性を示さなければならない。
設計特性に関する追加的な関連情報を提供することは,製造業者にとって有益である(附属書B参照)。
使用者は,追加の設計特性を要求してもよい。この規格は,これらの要求を規定するための道具として
使う。
5.1.4 測定器の日常の使用
設計特性及び要求事項のMPE又はMPLの値は,取引に使用するが,使用者の通常の使用及び検証には
必要でない。
個々の測定器に対する規格の中で規格化された設計特性及び要求事項は,その企業で必要と決めた場合
を除き,計測システムの通常の操作には必要でない。
通常,組織又は企業は,個々の要求及び条件に基づくか,又は測定器のそれぞれのグループに対応した
設計特性を決めてもよい。これらの技術的な決定は,同時に費用の観点で評価され,仕様書に記載しなけ
ればならない(附属書B参照)。
5.2 指示測定器における一般的な設計特性
指示測定器の代表的な設計特性は,その測定器の使用における設計特性の重要性に関係する。次の設計
特性のリストは,すべてを網羅したものではなく,単なる例である。多くの場合,測定器には,特定の設
計特性が測定器の使用方法及びタイプに対して存在する。
− 互換性
例 全体及び詳細な測定,測定範囲,取付け及び/又は固定システムなど,並びに関連する幾何形
――――― [JIS B 0642 pdf 13] ―――――
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状/公差
− 耐摩耗性
例 測定器の関連した部品の材質,硬さなど
− 耐環境性
例 防水,防じん(塵),電気的保護,腐食防止
− 電気的要件
例 インタフェースプロトコル,電源,その他
− 特別な操作の仕様
例 巻上げ/リフト装置,アライメント装置
− 使用条件の限界
例 最高移動速度,温度範囲,電源及び空気圧の安定性
− 特別附属品
例 定盤,Vブロック,固定装置
5.3 実量器における一般的な設計特性
実量器の代表的な設計特性は,使用するときの特性の重要性に関係する。次の設計特性のリストは,一
例である。多くの場合に,特殊な設計特性が実量器の使用方法に存在する。
− 互換性
例 全体及び詳細な測定,測定範囲,取付け及び/又は固定システムなど,並びに関連する幾何形
状/公差
− 耐摩耗性
例 実量器の関連した部品の材質,硬さなど
− 耐環境性
例 腐食防止
− 使用条件の限界
例 湿度,化学的な環境
− 特別附属品
例 定盤,Vブロック,固定装置
6 (測定器の)計測特性
6.1 一般
6.1.1 特性
測定器の計測特性は,生じる誤差及び不確かさ要因の制御のため,並びに測定の不確かさの評価のため
に重要である。測定の不確かさにおける個々の計測特性の影響は,測定プロセスに依存する。実際の計測
特性の内容及びそれらの実際の数値の大きさに関する知識は,測定プロセスの設計及び測定器の選択の根
拠を与える。測定器における計測特性の繰返し性(3.23参照)は,測定の不確かさの評価のために重要な
情報である。計測特性の繰返し性は,関係するばらつきの標準偏差としても表すことができる。
6.1.2 測定器のための規格
個々の測定器に関する規格の中で,測定器の共通仕様に関する計測特性は,次のことを考慮する。
a) この規格を基に名称及び記号で識別して示し,定義する。
b) PE又はMPLは,その計測特性を表す記号で示す。
――――― [JIS B 0642 pdf 14] ―――――
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c) 箇条7に示す一般的な幾つかの計測特性,それらのMPE値又はMPL値の定義,MPE又はMPL関数
などを不必要に繰り返して定義することは避ける。
d) 校正は,異なる校正位置と異なる呼び寸法(スケール上の位置)とを十分な組合せ数だけ変えて,測
定の不確かさが十分に小さくなる手順で実施する。
e) 測定器及びスケール上の位置を変更する測定点数並びに測定の不確かさの大きさは,測定器,標準器,
環境条件,要求仕様などに基づいて規定する。測定点数及び個々の測定点のスケール上の位置は,様々
な要因による指示誤差の波長及び振幅によって規定する。波長が長く振幅が小さいときは,波長が短
く振幅が大きいときよりも測定点数は少なくてよい。したがって,必要な測定点数は,測定器の実際
の設計に左右される。
f) すべての計測特性及びそれらのMPE又はMPLは,別途,温度を指定しない限り,JIS B 0680に従っ
て20 ℃で評価する。
g) 規格で定めた測定力,移動速度などの操作条件の下で,すべての計測特性及びそれらのMPE値又は
MPL値を求める。
h) 姿勢についての特別な制限がない限り,すべての計測特性及びそれらのMPE値又はMPL値は,可能
なすべての空間姿勢に適用する。
i) 計測特性は,装置に共通な使用方法に従って選択する(6.2参照)。MPE又はMPL(箇条7参照)の
定義及び選択,並びにそれらを明確にさせるために必要な条件は,利用及びその結果が最適になるよ
うな共通の使い方とする。
j) 広く普及している測定器の場合は,MPE及びMPLの具体的な値を規定することが多いが,MPE値又
はMPL値のための空欄を含む表を記載するときもある。MPE値及びMPL値は,受入検査の場合には
製造業者が,定期検査の場合には使用者が規定するのが一般的である。
k) 一般に,MPE値又はMPL値への合否判定には,JIS B 0641-1を適用する。
6.1.3 測定器の情報提示
受入検査では,MPE値若しくはMPL値,又は計測特性の関数は,製造業者(供給者)が規定する。製
造業者は,計測特性及びそれらのMPE値又はMPL値に関する付加的な情報を追加して明記する。製造業
者は,この規格又は個々の測定器の規格によって示されていない規制及び操作条件を準備する。
MPE値又はMPL値,追加情報,条件及び規制に関する情報は,仕様書又は他の文書で製造業者が明示
する。使用者は,これらの情報を仕様書(附属書B参照)に記入する。
6.1.4 測定器の校正
使用者は,不確かさの見積り(ISO/TS 14253-2:1999参照)によって,主に影響する計測特性を列挙し,
理解する。
専門家の判断及び過去の知識を不確かさの評価手順において使用できる。校正手順もまた,専門家の判
断及び過去の知識を用いた不確かさの見積りを基に決定する。
計測特性の校正は,調査によるか,又は過去の知識によるかに関係なく,計測特性の繰返し性を考慮に
入れて行う。これは校正手順の最初に実施する。
使用者の校正又は定期検査のためのMPE値若しくはMPL値,又は計測特性の関数は,使用者が規定す
る。
6.2 計測特性の識別,定義及び選択
測定器の計測特性は,幾つかの方法を選択し定義する。可能な場合には,計測特性,及びその計測特性
に対する要求事項の定義(MPE又はMPLの定義)は,必要な条件を含め,次の事項を考慮して選択し,
――――― [JIS B 0642 pdf 15] ―――――
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JIS B 0642:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14978:2006(MOD)
JIS B 0642:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.040 : 線及び角度の測定 > 17.040.30 : 測定機器
JIS B 0642:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0021:1998
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―幾何公差表示方式―形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式
- JISB0022:1984
- 幾何公差のためのデータム
- JISB0641-1:2020
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―製品及び測定装置の測定による検査―第1部:仕様に対する合否判定基準
- JISB0680:2007
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―製品の幾何特性仕様及び検証に用いる標準温度
- JISZ8103:2019
- 計測用語