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する際の参考資料として利用する。
6.2 分銅を用いた静的測定による3次元トラックスケールの左右及び前後の重心位置測定精度の確認
3次元トラックスケールがもつ測定誤差の傾向を把握するために,分銅を用いて静的に左右及び前後の
重心位置測定を行う。この作業は,試験の前準備として行うもので,ここで得られた結果は,7.2で求める
試験車両の左右の重心位置及び前後の重心位置の理論値に含まれる誤差の目安となる。
6.3 原理
3次元トラックスケール上に分銅を積載すると,分銅の平面上の中心位置が3次元トラックスケール上
の重心位置となり,左右重心位置は,置かれた分銅の位置の寸法計測によって正確に測定できる。そこで,
分銅の中心点から3次元トラックスケールの左右端及び前後端までの水平距離を巻尺,レーザ距離計など
を用いて計測し,これらから分銅中心の左右及び前後の位置を求め,これを左右及び前後の重心位置の理
論値とする。
なお,3次元トラックスケールは,重心位置を左右及び前後の比率で表示するため,測定した水平距離
を用いて重心位置を比率に換算する。
この結果と,3次元トラックスケールに搭載したロードセルの出力値から得られる左右及び前後の重心
位置(表示値)とを比較することによって,3次元トラックスケールがもつ誤差を知ることができる。
6.4 確認試験手順
最初に,3次元トラックスケール上に,分銅を積載する次の3点,A,B及びCを任意に定める。ただ
し,車両が走行する方向を前とし,それに向かって左右方向を定めるものとする。
例を図2に示す。
A : 3次元トラックスケールの積載面上の右前の点
B : 3次元トラックスケールの積載面上の中央部の点
C : 3次元トラックスケールの積載面上の左後の点
――――― [JIS B 7617 pdf 11] ―――――
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【位置A】
右前
【位置B】
中央
【位置C】
左後
はロードセルの位置を示す。
なお,ロードセルは3次元トラックスケールの載せ台の下に設置されている。
図2−分銅の積載位置の例
次の手順で確認試験を行う。
a) 分銅を3次元トラックスケールに載せる前に表示装置の重量のゼロ点を確認する。
b) 3次元トラックスケールの位置Aに分銅(5 000 kg程度)を積載する。
c) 分銅の重心(中心点)から3次元トラックスケール端までの水平距離を巻尺,レーザ距離計などで測
定する。
測定箇所を図3に示し,記号を表2に示す。
Ly
1) 3次元トラックスケール左端から重心位置までのy軸方向の水平距離(m) :
Ry
2) 3次元トラックスケール右端から重心位置までのy軸方向の水平距離(m) :
Fx
3) 3次元トラックスケール前端から重心位置までのx軸方向の水平距離(m) :
Rx
4) 3次元トラックスケール後端から重心位置までのx軸方向の水平距離(m) :
――――― [JIS B 7617 pdf 12] ―――――
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図3−重心位置の理論値
表2−3次元トラックスケール端から重心位置までの水平距離
方向 測定値 単位
Ly
3次元トラックスケール左端から重心位置までのy軸方向の水平距離m
y軸方向 Ry
3次元トラックスケール右端から重心位置までのy軸方向の水平距離m
Fx
3次元トラックスケール前端から重心位置までのx軸方向の水平距離m
x軸方向 Rx
3次元トラックスケール後端から重心位置までのx軸方向の水平距離m
d) この水平距離を用いて,次の式によって各重心位置を比率に換算し,これらを左右及び前後の重心位
置の理論値とする。重心位置はこの比を左右逆転させたものとなる。計算式及び求める記号を表3に
示す。
LY T
1) 3次元トラックスケール左端から重心位置までのy軸方向の水平距離の比率 :
T yL
YL 100
yL yR
RY T
2) 3次元トラックスケール右端から重心位置までのy軸方向の水平距離の比率 :
T yR
YR 100
yL yR
3) 3次元トラックスケール前端から重心位置までのx軸方向の水平距離の比率 : X F
T
T xF
XF 100
xF xR
4) 3次元トラックスケール後端から重心位置までのx軸方向の水平距離の比率 : X R
T
T xR
XR 100
xF xR
表3−左右及び前後の重心位置の理論値
方向 左右及び前後の重心位置の理論値(比率) 単位
yR
G T
Left
RYT
=
(理論値)
YR T 100 %
yL yR
y軸方向
yL
T
GRight
LYT
=
(理論値)
YL T 100 %
yL yR
xR
T
GFront = X RT (理論値) XRT 100 %
xF xR
x軸方向
xF
T
GRear = X FT (理論値) XFT 100 %
xF xR
――――― [JIS B 7617 pdf 13] ―――――
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e) 3次元トラックスケールによる重心位置測定結果(表示値 : 比率表示)を得る。
測定結果を表4に示す。
表4−3次元トラックスケールによる測定出力結果
方向 3次元トラックスケールによる測定·出力結果 単位
GLeft(表示値) 左側重心比率 =Y R %
y軸方向
GRight(表示値) 右側重心比率 =Y L %
GFront(表示値) 前側重心比率 =XR %
x軸方向
GRear(表示値) 後側重心比率 =XF %
f) 分銅を位置B,次に位置Cに積載して,同様の手順a) e) を繰り返す。
g) これらの結果から,理論値d) と表示値e) とを比較して,3次元トラックスケールの左右及び前後の
測定精度を確認する。
7 試験車両の重心の理論値の求め方
7.1 試験車両の重心高の理論値の求め方
試験に用いる試験車両の重心高の理論値を求める。
a) 準備 トラクタ,セミトレーラ,コンテナ及び分銅の試験車両の諸元を用意する。
b) 複数個の分銅の合成重心高(コンテナ床面から分銅の合成重心までの垂直距離 : hww) 複数(n個)
の分銅を用いた場合の合成重心高は,モーメント法によって,次の式で求める。
n
i 1wwi hwi
hww
wwi
ここに, hww : 分銅の合成重心高(コンテナ床面から分銅の合成重心ま
での垂直距離)
www : 分銅の総質量(n個の分銅の合計質量=Σwwi)
wwi : 分銅iの質量
hwi : 分銅iの重心高さ
c) 試験車両の重心高の計算 試験車両を構成するトラクタ,セミトレーラ,コンテナ及び分銅のそれぞ
れの質量及び3次元トラックスケール積載面からの重心高を用い,試験車両全体の重心高(理論値)
をモーメント法(次の式)によって求める。この試験車両の重心高が,箇条8で用いる重心高の理論
値となる。重心高を表5に示す。
T wS hS wC hC www hw wT hT
zh
wS wC www wT
hz : 3次元トラックスケールの載せ台の上面からの試験車両
ここに, T
の重心高までの垂直距離の理論値
wS : セミトレーラの質量
hS : 3次元トラックスケールの載せ台の上面からセミトレー
ラの重心高(メーカ諸元による。)までの垂直距離
wC : コンテナの質量
hC : 3次元トラックスケールの載せ台の上面からコンテナの
重心高までの垂直距離
www : 分銅の総質量(n個の分銅の合計質量=Σwwi)
――――― [JIS B 7617 pdf 14] ―――――
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hw : 3次元トラックスケールの載せ台の上面から分銅の合成
重心までの垂直距離(hww+コンテナ床面のトラックスケ
ール載せ台からの高さ)
wT : トラクタの質量
hT : 3次元トラックスケールの載せ台の上面からのトラクタ
の重心高までの垂直距離
表5−試験車両の重心高(理論値)
対象項目 方向 内容 単位
重心高 T
hz
3次元トラックスケールの載せ台の上面から試験車両の重心高
z軸方向 m
(試験車両) までの垂直距離の理論値
7.2 3次元トラックスケールを用いた試験車両の左右及び前後重心位置の理論値の求め方
7.2.1 一般
試験に用いる試験車両の左右及び前後の重心位置の理論値を求める場合には,試験車両を3次元トラッ
クスケール上に静止させた状態で,3次元トラックスケールのロードセル出力値(3次元トラックスケール
上の重心位置をパーセント表示する。)を読み取り,巻尺,レーザ距離計などで計測した試験車両の3次元
トラックスケール上の停止位置を用いて補正し,試験車両の重心位置の理論値を求める。
7.2.2 求め方の原理
箇条6の確認方法と同様,3次元トラックスケール上に試験車両を停止させたときの3次元トラックス
ケールの重心の出力値は,3次元トラックスケール上のどの位置に重心位置があるかを示すもので,目的
とする試験車両の重心位置とは異なる。このため,3次元トラックスケール上の試験車両の停車位置を巻
尺,レーザ距離計などで測定し,位置を補正することによって,試験車両の左右及び前後の重心位置を求
める。この方法では,車のサスペンションなどの影響も加味された出力を得ることができる。
7.2.3 3次元トラックスケール上の試験車両の左右及び前後の重心位置の理論値を求める手順
試験車両の左右及び前後の重心位置の理論値を求める手順は,次による。
a) 試験車両を3次元トラックスケールに載せる前に表示装置の重量のゼロ点を確認する。
b) 試験車両を3次元トラックスケールに載せた状態で停止させ,左右の重心位置及び前後の重心位置の
3次元トラックスケールの出力結果(比率表示)を得る。
この重心のパーセント表示値から,重心の位置を求める。この際,出力値と水平距離との比率は,左右
及び前後が逆転することに注意する。測定箇所を図4に示し,記号を表6に示す。
LY
1) 3次元トラックスケール左端から重心位置までのy軸方向の水平距離の比率 :
2) 3次元トラックスケール右端から重心位置までのy軸方向の水平距離の比率 : Y R
3) 3次元トラックスケール前端から重心位置までのx軸方向の水平距離の比率 : X F
4) 3次元トラックスケール後端から重心位置までのx軸方向の水平距離の比率 : X R
――――― [JIS B 7617 pdf 15] ―――――
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