JIS C 1400-21:2005 風力発電システム―第21部:系統連系風車の電力品質特性の測定及び評価 | ページ 2

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C 1400-21 : 2005
3.5 (風車の)最大許容出力 気象及び電力系統の条件にかかわらず,超過してはならない10分間の平
均出力。
3.6 (風車の)最大出力実測値 風車の連続運転中に観測された最大出力(指定の時間で平均化)。
3.7 回路インピーダンス位相角 回路インピーダンスの位相角。
Xk
Ψk=arctan
Rk
ここに, Xk : 回路のリアクタンス
Rk : 回路の抵抗
3.8 (風車の)通常運転 風車マニュアルの解説に合った故障がない状態の運転。
3.9 (風車の)出力 風車の接続点における有効電力。
3.10 共通結合点(PCC) ある特定の負荷に電気的に最も近い電力供給ネットワークの端点であり,ほかの
負荷が接続されているか,又はその可能性がある点(IEV161-07-15修正)。
備考1. 上記負荷は設備,装置,システム,需要家固有の施設などである。
2. “共通結合点”という語は,公共の電力系統の場合だけに限定されている場合がある。
3.11 (風車の)集電設備(JIS C 1400-1) 1台以上の風車から電力を集める集電システム。これには風
車接続点と電力系統の接続点との間を接続するすべての電気設備を含む。
3.12 (風車の)定格皮相電力 定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転されている風車の皮相電力。
2 2
Sn= Pn +Qn
ここに, Pn : 定格出力
Qn : 定格出力時の無効電力
3.13 (風車の)定格電流 定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転されている風車の電流。
3.14 (風車の)定格出力 一般には製造業者によって指定される,機器又は装置の規定の運転状態にお
ける出力値(JIS C 1400-0)。
3.15 (風車の)定格風速 風車の定格出力が発生するハブ高さにおける規定の風速(JIS C 1400-0)。
3.16 (風車の)定格無効電力 定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転されている風車の無効電力。
3.17 (風車の)静止 風力発電機の停止した状態(JIS C 1400-0)。
3.18 (風車の)起動 風車の静止と出力発生との間の過渡的状態。
3.19 (風車の)切換運転 起動又は発電機の切換え。
備考 風車の切換運転(Switching operation)は,風車が起動して電力系統と並列する場合,又は複数
の発電機がある場合に,発電機切換操作のときの電気的過渡現象が生じる風車の運転をいう。
3.20 乱流強度 風速の標準偏差の平均風速に対する比。この比は,指定の時間内に採取した同一の風速
測定データセットから決定する(JIS C 1400-0)。
3.21 (風車の)電圧変化係数 風車の切換運転による電圧変化を正規化した値。
Sk,fic
Ufic, max−Ufic, min
ku (Ψk ) =3
Un Sn
ここに, Ufic,min : 切換運転時における仮想回路瞬時相電圧の一周期
実効値の最小値
Ufic,max : 切換運転時における仮想回路瞬時相電圧の一周期
実効値の最大値
Un : 公称線間電圧

――――― [JIS C 1400-21 pdf 6] ―――――

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Sn : 風車の定格皮相電力
Sk,fic : 仮想回路の短絡容量
備考 電圧変化係数kuは,回路インピーダンス位相角の関数であるが,最大突入電流及び定格電流の
比kiに近い値である。kuの最大値は,数値的にkiに近い。
3.22 風車 風がもつ運動エネルギーを,電気エネルギーに変換するシステム。
3.23 風車接続点 風車が集電設備に接続でき,風車供給者によって特定される接続点。これは電力移送
及び通信のための接続を含む(JIS C 1400-1)。

4. 記号及び単位

  Udyn
最大許容電圧変化(%)
Un
Ψk 回路インピーダンス位相角(°)
αm(t) 測定された電圧の基本電気角(°)
β 高調波の加算に関係する指数
c(Ψk) 連続運転フリッカ係数
d 相対電圧変化(%)
EPlti 長時間フリッカ放射限度
EPsti 短時間フリッカ放射限度
fg 系統基本波周波数(Hz)
fm,i i番目の風速ビン内でのフリッカ係数発生頻度
fy, i i番目の風速ビン内での風速発生頻度
h 高調波次数
Ih,i i番目の風車のh次高調波電流ひずみ(A)
im(t) 測定された瞬時電流(A)
In 定格電流(A)
kf (Ψk) フリッカステップ係数
ki 最大突入電流と定格電流の比
ku(Ψk) 電圧変化係数
Lfic 仮想回路のインダクタンス(H)
N10 10分間の単一種類の切換運転最大数
N120 120分間の単一種類の切換運転最大数
Nbin vcut-inと15 m/s間の風速ビン総数
ni i番目の風車の変圧器の変圧比
Nm 測定されたフリッカ係数の総数
Nm,i i番目の風速ビン内での測定されたフリッカ係数の数
Nm,i,c<xi番目の風速ビン内でのxより低いフリッカ係数の数
Nwt 風車の数
P0,2 最大出力実測値(0.2秒平均値)(W)
P60 最大出力実測値(60秒平均値)(W)
Plt 長時間フリッカ妨害係数

――――― [JIS C 1400-21 pdf 7] ―――――

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Pmc 最大許容出力(W)
Pn 風車の定格出力(W)
Pr (c<x) cの累積分布
Pst 短時間フリッカ妨害係数
Pst,fic 仮想回路における短時間フリッカ妨害係数
Q0, 2 P0,2における無効電力(0.2秒平均値)(var)
Q60 P60における無効電力(60秒平均値)(var)
Qmc Pmcにおける無効電力(var)
Qn 風車の定格無効電力 (var)
Rfic 仮想回路の抵抗(Ω)
S0,2 P0,2における皮相電力(0.2秒平均値)(VA)
S60 P60における皮相電力(60秒平均値)(VA)
Sk 系統の短絡容量 (VA)
Sk,fic 仮想回路の短絡容量(VA)
Smc Pmcにおける皮相電力 (VA)
Sn 風車の定格皮相電力 (VA)
Tp 一つの切換運転における過渡現象継続時間 (s)
u0(t) 理想電圧源の瞬時相電圧 (V)
ufic (t) 仮想回路で模擬された瞬時相電圧 (V)
Ufic,max 仮想回路の最大相電圧 (V)
Ufic,min 仮想回路の最小相電圧 (V)
Un 公称線間電圧 (V)
va 年平均風速 (m/s)
vcut-in カットイン風速 (m/s)
vi i番目の風速ビンの中央値
wi i番目の風速ビンの重み係数
Xfic 仮想回路のリアクタンス (Ω)

5. 略語

A/D変換器    アナログからデジタルへの変換器
HV 高圧
LV 低圧
MV 中圧
PCC 共通結合点
RMS 実効値
WT 風車

6. 風車電力品質特性パラメータ

6.1 一般

 この項は,風車の電力品質特性を表す量について記述する。報告書形式の例を,附属書Aに
記載する。

――――― [JIS C 1400-21 pdf 8] ―――――

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電力流れの方向は,慣例に従い風車から電力系統へ流れる場合を正とする。

6.2 定格値

 Pn,Qn,Sn,Un及びInを含む定格値を特定する。
備考 定格値は,この基準において正規化の目的だけに用いる。

6.3 最大許容出力

 風車の最大許容出力(制御システムによって許容される。)Pmcを,特定する。

6.4 最大出力実測値

 風車の最大出力実測値は,0.2秒平均値P0.2及び60秒平均値P60の両方について特
定する。

6.5 無効電力

 風車の無効電力及び設定力率は,定格出力の0,10,...90,100 %の値として10分間平
均値として表で特定する。Pmc,P60及びP0.2における無効電力及び設定力率も,特定する。

6.6 電圧変動

 風車によって引き起こされる電圧変動(フリッカ及び電圧変化)は,6.6.1及び6.6.2に記
述される内容で特性を表示することとする。
6.6.1 連続運転 風車の連続運転フリッカ係数c(Ψk,va)は,6,7.5,8.5及び10 m/sの4種類の年平均風
速(va)をもつ風速分布で,回路インピーダンス位相角Ψkが30,50,70及び85 °ごとに,99 %百分位数と
して表に特定する。風速の10分間平均値は,レイリー分布であると仮定する(備考参照)。年平均風速は,
風車のハブ高さを基準とする。
備考 レイリー分布は,年間の風速分布に一般的に合う確立分布関数のひとつである。レイリー分布
は次のように表す。
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π v
F(v) = 1− exp
4 va
ここに, F(v) : 風速のレイリー累積確率分布関数
va : ハブ高さにおける年平均風速
v : 風速
6.6.2 切換運転 次に示すケースで,切換運転の特性を特定する。
a) カットイン風速における風車の起動。
b) 定格風速における風車の起動。
c) 発電機間切換で最悪のケース(風車が,複数の発電機又は発電機が複数の巻線をもつ場合にだけ適用
する。)。備考1.参照。
次のパラメータが,上記各切換運転ケースで特定する。
1) 10分間の切換運転の最大数N10 。
2) 2時間の切換運転の最大数N120 。
3) 回路インピーダンス位相角Ψkが30,50,70,85 °でのフリッカステップ係数kg(Ψk) 。
4) 回路インピーダンス位相角Ψkが30,50,70,85 °での電圧変化係数ku(Ψk) 。
備考1. 発電機間の切換で最悪のケースは,最大のフリッカステップ係数を与える切換運転として定
義されているフリッカステップ係数に関連し,最大の電圧変化係数を与える切換運転として
定義されている電圧変化係数に関連する。
2. パラメータN10及びN120は,製造業者からの情報に基づいて決定してもよいが,kf(Ψk)及び
ku(Ψk)は測定と計算から決定しなければならない。
3. 風車の制御システムによっては,2時間の切換運転の最大数は,10分間の切換運転の最大数
の12倍よりも少なくなることがある。

――――― [JIS C 1400-21 pdf 9] ―――――

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6.7 高調波

 半導体電力変換装置をもつ風車(備考1.備考4.参照)は,風車の連続運転時の高調波流
出電流を記述しなければならない。
これらは,個々の高調波電流及び最大総合高調波電流ひずみとして系統基本波周波数の50倍までの周波
数を特定する。個々の高調波電流は,次数ごとに最大高調波電流を与えるような出力での10分間平均デー
タとして提供する。これらの値は,定格電流に対する比率(パーセント)で表に記載する。定格電流の0.1 %
未満の高調波電流は,いずれの次数の高調波電流であっても記載の必要はない。
備考1. 半導体電力変換装置をもたない誘導発電機の風車からの高調波流出が,これまでに報告され
ている。しかし,誘導機からの高調波の測定に関して,合意を得た手順はない。さらに,こ
れら誘導機を搭載した風車からの,高調波に起因する需要家の障害,被害などは知られてい
ない。したがって,この規格は,誘導機を搭載した風車からの高調波測定は要求しない。
2. 同期発電機は,エアギャップ及び固定子巻線の規則正しさによって決まる磁場の形に依存す
る波形の電圧を生成する。同期発電機をもつ風車が電力系統に直接連系されている場合,8.4
によればその波形は,IEC 60034-1の8.9必要条件に適合していなければならない。このよう
な風車は,非常に限られた高調波及び次数間高調波電流しか流出しないため,同期発電機を
直接系統へ連系する場合は,これらの特定を必要としない。
3. 高調波は,その発生が短時間に限られていれば,無害であると考えられる。過去の経験から,
ソフトスタート装置をもつ風車が,短時間の高調波流出による問題を引き起こすことはない
ということが,一般的に知られている。したがって,この規格は,風車の起動,その他の切
換運転によって発生する短時間の高調波の特定を必要としない。
4. 風車の起動時の高調波電流流出に起因すると考えられる,低圧回路の地絡保護装置の誤動作
がこれまでに報告されている。この問題は,この規格の将来版で検討する。
5. kHzレンジのスイッチング周波数で運転する半導体電力変換装置は,系統基本波周波数の50
倍を超える高調波を流出することがある。このような高調波問題は現在検討中であり,適切
な測定手順・評価手順の確立と経験の蓄積を行って,適切なIEC委員会で今後検討する。

7. 測定手順

 7.1に,必要な試験条件及び装置に関する一般的事項を記述する。7.2から7.7に,評価対
象風車の電力品質特性パラメータの決定に必要な測定方法を記述する。

7.1 一般

 測定手順は,1基の風車が三相の電力系統に連系され,連系された系統のどの場所においても,
風車が電圧及び周波数を能動的に制御しない場合に限り有効である。
測定は,風車のすべての運転風速範囲にわたって,電力品質特性パラメータを決定することを一般的な
目的とする。しかし,風速15 m/sを超える範囲の測定を要求しない(備考1.参照)。これは,より高い風
速域の測定には,風速出現頻度が低く一般的に相当の測定時間を要求されるためであり,その割にはその
測定時間に見合う電力品質特性パラメータの精度向上が期待できないためである(備考2.参照)。
測定された特性は,評価対象風車の一つの構成に対してだけ有効である。風車の挙動を変える制御パラ
メータの変更を含み,ほかの構成においては別途評価が必要である。
備考1. 風速15 m/sを超えて測定された場合には,その結果は省略してもよい。測定結果に風速15 m/s
を超える測定結果が含まれる場合には,測定風速範囲を報告書に明記しなければならない。
2. 風速15 m/sを超える測定データを含めることは,フリッカ係数の精度を向上する可能性があ
り,風車の設計によってはより大きい最大出力実測値(0.2秒平均値)になる場合がある。し
かし,費用及び精度のバランスを考慮する場合,風速15 m/sを超える範囲の測定は不要であ

――――― [JIS C 1400-21 pdf 10] ―――――

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JIS C 1400-21:2005の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61400-21:2001(MOD)

JIS C 1400-21:2005の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1400-21:2005の関連規格と引用規格一覧