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va : 仮定された年平均風速
5) 番目の風速ビン内の測定されたフリッカ係数の実際の発生頻度fm,iは,(8)式によって与えられる。
Nm,i
f=
m,i (8)
Nm
ここに, Nm,i : i番目の風速ビン内で測定されたフリッカ係数値の数
Nm : フリッカ係数値の総数
6) 重み係数は,vcut-inと15 m/sの間のそれぞれの1 m/s風速ビンで,(9)式に計算されたfy,i及びfm,iを
代入することによって決定する。
fy,i
w=
i (9)
fm,i
最後に,測定されたフリッカ係数の重み付けした累積分布を決定し,フリッカ係数c(Ψk,va)を,
この分布の99 %百分位数として決定する(備考4.及び備考5.参照)。この手順を,次の7)及び8)
に示す。
7) 測定されたフリッカ係数の重み付けした累積分布は,(10)式によって与えられる。
Nbin
wi Nm,c i,
x
i1 (10)
Pr(c x) Nbin
wi Nm,i
i 1
ここに, Nm,i,c<x : i番目の風速ビン内でのx以下のフリッカ係数の数
Nbin : 風速ビンの総数
8) フリッカ係数は,フリッカ係数の重み付けした累積分布の99 %百分位数として決定する。これは,
Pr(c<x)を計算し,その99 %百分位数を読むことによって実行する。
上記手順4)8)は,附属書B.3で更に説明する。
IEC 61000-3-7によると,長時間フリッカ放射は,連続した短時間の12個の値の立方平均として計算で
きる。風車からのフリッカ放射が風速の関数であり,風の状態は,2時間持続すると考えると,12個の連
続した短時間の値は,同一であると思われる。つまり,長時間フリッカ係数は,短時間の値と同一になる。
備考1. 相電圧が利用できない場合は,線間電圧を測定し,測定した線間電圧から相電圧を計算しな
ければならない。相電圧は,測定した線間電圧を用いて,次の式によって計算してもよい。
u −u31
u1= 12
3
u23−u12
u2=
3
u31−u23
u3=
3
ここに, u1,u2,u3 : 瞬時相電圧
u12,u31,u23 : 瞬時線間電圧
2. IEC 61000-4-15に記述されているフリッカアルゴリズムは,ufic(t)の実効値を与え,35 Hzよ
り速い変化は除外される。それでも,連続運転でのフリッカ測定においては,400 Hzの最小
カットオフ周波数(サンプリング周波数800 Hzに相当)を,この規格は要求する。一貫した
結果を得るためには,このようなサンプリング周波数が必要であることを,これまでの試算
結果が示している。低いサンプリング周波数は,測定電圧の基本電気角αm(t)の精度を低下す
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る。
3. フリッカ係数を定義する式は,附属書B4.1で更に説明する。
4. 99 %百分位数は,通常のフリッカ放射限界として適用されている。
5. 6.6.1に記述しているように,c(Ψk,va) は,va=6 m/s,7.5 m/s,8.5 m/s及び10 m/sでそれぞ
れ決定しなければならないが,この項で記述されているように,測定は,風速15 m/sまでで
よいとなっている。風速分布がレイリー分布に従うと仮定した場合,風速15 m/sは,va=6 m/s
の場合の99 %百分位数に一致し,更にva=7.5 m/s,8.5 m/s及び10 m/sの場合の96 %,91 %
及び83 %百分位数にそれぞれ一致する。したがって,c(Ψk,va) は,この節に示すようにデ
ータセットの99 %百分位数で決定するが,c(Ψk,va) は,va=7.5 m/s,8.5 m/s及び10 m/s
の場合にはより低い百分位数を表すことになる。これについては,附属書B.3に記述する。
実際の百分位数の不確かさは,必要な測定時間が大幅に増加することを考慮すれば,va=7.5
m/s,8.5 m/s及び10 m/sにおいて99 %百分位数を求めるときに要求される,より高い風速
まで測定を広げることを正当化しないと判断する。しかし,va>6 m/sの場合におけるc(Ψk,
va) の精度を向上するために,15 m/sを超える測定風速を含むことは,この規格の使用者の判
断による。
7.6.3 切換運転 風車製造業者の情報に基づき,切換運転の最大値N10及びN120が,それぞれの切換運転
の種類に応じ6.6.2 a),6.6.2 b)及び6.6.2 c)によって特定する。風車製造業者が上記情報を提示できない場
合,又は風車製造業者が,切換運転の最大値を決定し得る風車制御システムに関する十分な仕様を提示で
きない場合は,次による。
− N10=10,N120=120[6.6.2 a)及び6.6.2 c)の場合]
− N10=1,N120=12[6.6.2 b)の場合]
測定及びそれに続くシミュレーションと計算は,電圧変化係数ku(Ψk)及びフリッカステップ係数kf(Ψk)
を,6.6.2 a),6.6.2 b)及び6.6.2 c)で指定されている各切換運転において決定するために準備する。
この節は詳細な手順を記述し,参考となる概要を附属書B.2に記述する。
6.6.2 a)及び6.6.2 b)は,特定の風速における切換運転を規定するが,6.6.2 c)の条件を特定するのは評価者
の責務である。これは,風車の設計評価によって行う場合があり,これで十分な証拠が提供できない場合
は,6.6.2 c)の条件を特定する測定を行わなければならない(6.6.2の備考1.参照)。
電圧変化係数ku(Ψk)及びフリッカステップ係数kf(Ψk)を決定するには,次の測定を準備する。
a) 3相瞬時線電流及び3相瞬時相電圧が風車接続点で測定する(7.6.2の備考2.参照)。
b) 測定は,切換運転の過渡現象が収束していることを確実にするため十分長い時間で,かつ,風の乱れ
による出力変動を排除できるように制限された時間Tp実行する。
c) 測定結果が,標準的な条件の典型的なものであることを確実にするために,各ケースにつき測定は,5
回繰り返すべきである。
d) 風速は,7.1.2に従い測定する。切換運転中の10分間平均風速は,必要とされる風速の±2 m/sの範囲
内になければならない。
測定は,図1に示すように構成した測定システムで,表1による仕様をもつ計器用変圧器,変流器及び
風速計を適用することによって実行する。電圧及び電流測定のカットオフ周波数は,少なくとも1 500 Hz
とする(備考1.参照)。参考までに,ソフトスタータ,その他の突入電流を効果的に減少させる技術を適用
した風車では,変流器の定格は,風車定格電流の2倍に設定するのがよい。突入電流制限を行わない風車
では,変流器の定格は,風車定格電流の10倍から20倍に設定するのがよい。
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測定は,電圧変化係数及びフリッカステップ係数を決定するために扱う。これは,次の手順を適用する
ことによって実行する。
1) 測定された時系列データは,電圧時系列データufic(t)を得るために結合する。
2) 模擬された電圧時系列データufic(t)は,それぞれの時系列データで仮想回路における一つの短時間フ
リッカ放射値Pst,ficを得るために,IEC 61000-4-15に従って,フリッカアルゴリズムに入力する。
これは,各ケースでPst,ficの15個の値(すなわち,5回の試験と3相)となる。
3) フリッカステップ係数kf(Ψk)は,次の定義によって計算する。
1 Sk,fic .031
kf (Ψk ) = Tp
Pst, fic (11)
130 Sn
ここに, kf(Ψk) : フリッカステップ係数
Pst,fic : 短時間フリッカ放射値
備考2.参照
4) 電圧変化係数ku(Ψk)は,次の定義によって計算する。
Sk,fic
Ufic, max−Ufic, min
ku (Ψk ) =3 (12)
Un Sn
ここに, Ufic,min : 切換運転時における仮想回路瞬時相電圧の一周期
実効値の最小値
Ufic,max : 切換運転時における仮想回路瞬時相電圧の一周期
実効値の最大値
備考3.参照
5) フリッカステップ係数及び電圧変化係数は,15個の値の平均値として決定する。
備考1. カットオフ周波数は,ソフトスタートのための半導体電力変換装置が引き起こす,変動する
高調波が正しく電圧変化係数及びフリッカステップ係数に反映されるよう,最低でも
1 500 Hzでなければならない(7.6.2備考2.参照)。
2. フリッカステップ係数を定義する式は,附属書B.4.2に説明するように,IEC 61000-3-3によ
って導かれる。
3. 電圧変化係数を定義する式は,附属書B.4.3で更に説明する。
7.7 高調波
この項は,半導体電力変換装置をもつ風車だけに関連する。
半導体電力変換装置をもつ風車では,連続運転中の風車からの最大高調波電流が6.7に指定されている
ように決定する。
高調波電流は,IEC 61000-4-7に従って,風車接続点で測定する。IEC 61000-4-7で定義されている最高
精度を適用する。
測定結果は,10分間の観察時間による。
測定手順は,発生する高調波電流の大きさが数秒で変化することが考えられるような場合は,風車に合
ったものを採用する。
備考 測定が容易であること及び測定結果が短時間データの場合とほとんど変わらないことを考慮し,
短時間データに変わって10分平均データが適用する。
8. 電力品質の評価
8.1 一般
この項は,単独の風車又は複数の風車が特定のサイトに設置された場合の電力品質の評価方
法(7.1.1の備考3.参照)と,ほかのIEC出版物の要求事項と測定結果の対比について記述する。
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電力系統運用者及び規制者が,独自の必要条件を適用する場合及びIECの規格に条件を追加する場合は,
この項の規則は,参考として用いてもよい。
電力品質の必要条件への適合を評価する方法は,風車が周波数変動±1 Hz以内である中圧又は高圧の電
力系統の共通結合点に連系され,電力系統が十分な有効電力及び無効電力調整能力並びに風車の出力を吸
収する十分な負荷をもつ場合に有効である。その他の場合は,電力品質の必要条件への適合評価の規則は,
参考として用いてもよい。
風車の位置が能動的な連続電圧調整装置に近い場合は,この後の項で要約されている方法では,悲観的
な結果をもたらす場合がある。
この手法は,この規格の測定方法による電力品質特性をもつ単独又は複数の風車で構成される設備を想
定している。しかし,設備の一部を構成する制御システム,ほかの装置の効果を評価に反映するのは,評
価者の責務である。
ここで記述する評価手法は,風車の系統連系の設計支援として使用する場合がある。しかし,この場合
は,電力系統計画からリップル制御信号までを含むほかの側面の適正な検討を要する(備考参照)。
備考 負荷,料金制御などのため,リップル制御信号を使用する国がある。一般的に,その地域によ
ってこれらのシステムは,110 Hz3 000 Hzの周波数帯で運用されている。同期発電機又は誘
導発電機の電力系統への接続は,風車近傍においてはリップル制御信号への過度なダンピング
を引き起こすことがある。これを避けるために,緩衝装置(能動又は受動フィルタ)が必要に
なる。そのシステムの特性が多様であるため,発電機のダンピング効果の評価についての一般
的指針を記述することはできないが,電力系統への風車の影響を評価するときには,この問題
に対する注意を払わなければならない。
8.2 定常電圧
風車設備の運転は,連系された電力系統の定常電圧へ影響を及ぼすことがある。この影
響を評価するには,潮流解析が行われることを推奨する。すなわち,風車の設置によって電圧規制値を超
えないことを確認する。
潮流解析の目的によって,風車がPmc及びQmc,P60及びQ60,P0.2及びQ0.2のいずれかを供給すると仮定
するのが適切である場合がある。
複数の風車を設置する場合,共通結合点における出力を仮定して評価する場合がある。10分間平均デー
タ(Pmc及びQmc)及び60秒平均データ(P60及びQ60)は,単純加算で計算する場合があり,0.2秒平均デ
ータ(P0.2及びQ0.2)は,(13)式及び(14)式によって計算する場合がある。
Nwt Nwt
2
P2.0= Pn,i + (P,2.0iP
− n,i ) (13)
i 1 i 1
Nwt Nwt
2
Q2.0= Qn,i + (14)
(Q,2.0i−Qn,i )
i 1 i 1
ここに, Nwt : グループ内での風車の数
備考 (13)式及び(14)式は,風車間の最大出力には相関がないと仮定している。電気的に弱い系統に誘
導発電機式風車を連系した場合,翼通過周期に同期して出力変動が大きくなる場合がある。こ
のような場合,(13)式及び(14)式による出力ピークの偏倚によって,実際の電力系統への影響を
過小評価することがある。
8.3 電圧変動
風車からのフリッカ放射は,次の(15)式及び(16)式に示すように,フリッカ放射制限内に
なければならない。
Pst≦EPsti (15)
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Plt≦EPlti (16)
ここに, Pst及びPlt : 風車からの短時間フリッカ放射
EPsti及びEPlti : 関連する共通結合点における短時間フリッカ
放射制限
さらに,風車の設置による相対電圧変化は,(17)式によって制限されなければならない。
d Udyn
(pdf 一覧ページ番号 )
Un
ここに, d : 風車の切換運転による相対電圧変化
ΔUdyn/Un : 最大許容電圧変化
中圧及び高圧系統における,フリッカ放射限度及び最大許容電圧変化を評価する手法は,IEC 61000-3-7
で推奨されている。
風車によるフリッカ放射及び相対電圧変化の評価では,この後の節に記述する手順を推奨する。
日本で,従来用いられてきたΔV10による評価方法と,IEC 61000-3-7で規定するPst,Pltによる評価法で
は,フリッカの許容値が異なっている。
IECの方法では,Pstの測定の単位時間は10分間であり,10分ごとに一つの測定値が得られる。Pstを2
時間にわたり測定した12個の値からPltが計算され,両立性レベルとして表2の値を示している。
一方,日本でのアーク炉によるフリッカの許容値は,“溶解期中の最も電圧変動の激しい連続1時間にお
いて,1分間単位 の 定値の平均値と最大値のいずれもが,表3の値を超えないこと”が推奨されてい
る。
なお,表3の最大値には,連続する60個のうち4番目最大値(95 %確率値)が用いられる。
表 2 IEC 61000-3-7による両立性レベル
Pst 1.0
Plt 0.8
表 3 日本で従来使用されてきたフリッカ許容値
V)
最大値 0.45
平均値 0.32
フリッカ評価方法の適用に当たっては,通常IEC 61000-3-7に規定する評価法とするが,IEC 61000-3-7
で規定しているフリッカ評価の基準となる低圧100 V系の視感度曲線は,日本ではまだ確立されていない
ので,当面,現行のΔV10による評価方法を適用してもよい。
8.3.1 連続運転 単独の風車の連続運転時のフリッカ放射99 %百分位数は,次の(18)式を適用すること
によって,求める。
Sn
Pst = Plt = c Ψ
( k ,va ) (18)
Sk
ここに, c(Ψk,va) : 共通結合点における与えられた回路インピーダンス
位相角がΨkで,風車サイトにおけるハブ高さの年平
均風速がvaである場合の,風車のフリッカ係数
Sn : 風車の定格皮相電力
Sk : 共通結合点における短絡容量
サイトでの実際のΨk及びvaにおける風車のフリッカ係数は,線形内挿法を適用することによって,7.6.2
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- IEC 61400-21:2001(MOD)
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- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.180 : 風力タービンエネルギーシステム
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- 規格番号
- 規格名称
- JISC1400-0:2005
- 風力発電システム―第0部:風力発電用語
- JISC1400-1:2017
- 風力発電システム―第1部:設計要件
- JISC1731-1:1998
- 計器用変成器―(標準用及び一般計測用) 第1部:変流器
- JISC60050-161:1997
- EMCに関するIEV用語
- JISC61000-4-7:2007
- 電磁両立性―第4-7部:試験及び測定技術―電力供給システム及びこれに接続する機器のための高調波及び次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針