JIS D 4604:1995 自動車部品―シートベルト | ページ 2

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4.10 シートベルト シートベルトは,次のとおりとする。ただし,(1)(b)及び(2)(b)は,いずれかの適用で
もよい。
なお,ロードリミッタを含むシートベルトには,(1)(b)及び(2)(b)は,適用しなくてもよい。
(1) 静荷重性能 静荷重性能は,次のとおりとする。
(a) シートベルトの引張強さ シートベルトの引張強さは,7.9.1によって試験し,シートベルトがその
荷重に耐えなければならない。
(b) シートベルトの伸び シートベルトの伸び(6)は,7.9.1によって試験し,ブロックの移動量がシート
ベルトの種類によって表6のとおりとする。
注(6) 7.9.1(2)に示す試験を行ったときの,初荷重200 Nから最大荷重のときまでのブロックの移動量。
表6 シートベルトの伸び(6)
シートベルトの種類 伸び mm
二点式シートベルト 180以下
三点式シートベルト 250以下
(2) 動荷重性能 動荷重性能は,次のとおりとする。
(a) シートベルトの耐荷重性 シートベルトの耐荷重性は,7.9.2によって試験し,シートベルトが耐え
なければならない。
(b) ダミーの移動量 ダミーの移動量は,7.9.2によって試験し,シートベルトの種類によって表7のと
おりとする。
表7 ダミーの移動量
シートベルトの種類 腰部移動量 mm 上胴部移動量 mm
二点式シートベルト 80200 −
三点式シートベルト 80200 100400
5. 構造
5.1 構造一般 シートベルトに用いる部品は,強度上適切な材料を用い,加工及び組立てを入念に行い,
乗員を傷つけるおそれがある鋭利な角,がたつきなどがなく,各部の表面処理は,良好で,容易に色あせ,
はく離しない構造とする。
5.2 ウエビング ウエビングは,柔軟かつ強じんなたわみ性の細幅の織物であって,表面は滑らかで手
触り良く,形状むら,きずなどがなく,末端にはほぐれ止めを施してあるものとする。
5.3 バックル バックルは,着脱が容易,かつ,確実であって,その構造は,次による。
(1) 押しボタン部の表面の面積及び最も狭い間隔(7)は,押しボタンの形式によって表8のとおりとし,押
しボタン部の表面は赤色系の色とするか,又は“押す”,“PRESS”などの文字を分かりやすく表示し,
容易に変色又は消えないものとする。
注(7) 最も狭い間隔とは,付図1に示す寸法をいう。
表8 押しボタン部の表面の面積及び最も狭い間隔(7)
押しボタンの形式 表面の面積 cm2 最も狭い間隔 mm
包囲形押しボタン 4.5以上 15以上
非包囲形押しボタン 2.5以上 10以上
(2) 大きさ及び形状は,着用者に傷害を与えるおそれが少ないこと。
(3) 着用者が片手で解離することができ,しかも緊急の場合には,第三者が容易に解離することができる

――――― [JIS D 4604 pdf 6] ―――――

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ものとする。
5.4 長さ調節具 長さ調節具は,容易に調節できる構造とし,かつ,衝撃が加わったときでも,できる
だけ調節位置がずれない構造とする。
なお,長さ調節具は,バックル,取付具又は巻取装置と一体であってもよい。
5.5 スリップガイド スリップガイドは,ウエビングに不自然なねじれを与えない構造で,かつ,ウエ
ビングの摩耗を防ぐために,ウエビングとの接触面は滑らかでなければならない。
5.6 取付具 取付具は,取付具本体及び必要に応じてボルト,ナット,座金などからなり,二点式シー
トベルト,及び三点式シートベルトを車体に直接又は間接的に取り付けるものであって,付図3に示すよ
うに単式取付具(記号S)及び複式取付具(記号W)の2種類とし,構造は,次による。ただし,車体構
造上やむをえず表9以外のねじを使用する場合には,7.7(1)に準じる方法で試験して,ボルト及びナットが
表4と同等以上の引張強さをもつものでなければならない。
(1) 取付具は,使用中に,ウエビングに不自然なねじれを与えず,しかもウエビングが不用意な操作によ
って外れないような構造であること。
(2) 単式取付具は,二組のシートベルトを共通に取り付けることが困難な構成であること。
(3) 取付具のねじの呼び・等級及びナットの有効ねじ部の長さは,取付具の種類によって原則として表9
のとおりとする。
表9 ねじの呼び・等級及びナットの有効ねじ部の長さ
取付具の種類 記号 ねじの呼び・等級 ナットの有効ねじ部の長さ(参考)
mm
単式 S 7/16-20UNF-2A及び2B 約10
複式 W 約13
備考 ねじは,JIS B 0208の規定によるものとし,その許容限界寸法は,JIS B 0212の規定に
よる。
なお,ボルトに表面処理を施した場合のねじの最大許容寸法は,外径,有効径及び
谷の径ともに3Aとする。
5.7 巻取装置 巻取装置は,ウエビングの引出し及び巻込みが滑らかで,ロックが確実にできる構造で
なければならない。
6. 材料
6.1 金属材料 金属部品に用いる金属材料は,耐食性のものか,又はさびを生じにくい表面処理を施し
たものとし,かつ,適切な強度をもつものとする。
6.2 プラスチック材料 プラスチック部品に用いるプラスチック材料は,適切な強度,難燃性及び耐熱
性をもつものとする。
6.3 繊維材料 ウエビング,縫い糸などに用いる繊維材料は,ポリエステル,ポリアミドなど適切な柔
軟性及び強度をもつものとする。
7. 試験方法
7.1 金属部品の有効面の耐食性試験 金属部品の有効面の耐食性試験は,JIS D 0201の6.3(耐食性試験)
又はJIS D 0202の4.6(耐食性試験方法)に示す方法(8)によって塩水噴霧試験を行う。
なお,塩水噴霧時間は,自動車の床又はその近くに取り付けるものは48時間,それ以外の場所に取り付
けるもの及びバックルは24時間とする。

――――― [JIS D 4604 pdf 7] ―――――

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注(8) 十文字のスクラッチマークは,受渡当事者間の協定によって刻まなくてもよい。
7.2 プラスチック部品の耐熱性試験 プラスチック部品(ウエビングを除く。)の耐熱性試験は,試料を,
温度80±5℃,相対湿度 (95±5) %の雰囲気中に24時間放置した後,これを取り出し,直ちに80±5℃の
乾燥機に移し24時間放置した後,これを取り出し,機能を妨げる変形,損傷などの有無を調べる。
7.3 有機資材部品の燃焼性試験 有機資材部品の燃焼性試験は,JIS D 1201の6.(燃焼試験方法)に示
す方法によって行う。ただし,時間の測定を開始した後,5分を経過しても燃焼がB標線に達しない場合
には,試料をコの字形取付具に取り付けた状態で,強制的に燃焼の進行を停止させ,その時点で試験を終
了することができる。この場合においては,強制的な燃焼の進行停止作業を開始するまでの時間と燃焼の
進行が停止するまでに試料が燃焼した長さとを測定する。
7.4 ウエビングの試験 ウエビングの試験は,次のとおりとする。
(1) 標準状態の性能試験 標準状態の性能試験は,全幅の試料を,温度20±2℃,相対湿度 (65±2) %で
24時間放置した後,直ちに次の試験を行う。ただし,各試料は,同一条件で製造したものを用いる。
(1.1) 引張強さ試験 引張強さ試験は,試料をクランプ間距離が220±20mmとなるように引張試験機に
取り付ける。引張速度毎分約100mmで荷重を加え,試料が破断するまで引っ張り,破断時の引張
強さを測定する。
(1.2) 幅試験 幅試験は,(1.1)の試験中に,9.8kNの引張荷重に達した時,引張試験機を停止しないで幅
を測定する。
(1.3) 伸び試験 伸び試験は,試料を引張試験機にクランプ間距離が220±20mmとなるように取り付け,
試料が緊張するように200Nの初荷重を加える。その距離内に標点距離200mmの目盛線を引き,引
張りを開始する。引張強度毎分約100mmで荷重を与え,荷重が11.1kNに達したとき,標点距離を
測定する。
伸び率は,次の式によって算出する。
200
100
200
ここに, 伸び率 (%)
L= 11.1kN荷重時の標点距離 (mm)
(1.4) エネルギー吸収率試験 エネルギー吸収率試験は,試料に(1.3)に示す方法で引張荷重を加え,荷重
が11.1kNに達した時に,直ちに引張りと同速度で荷重を減じて,初荷重まで戻し,付図4に示す荷
重−伸び線図を求める。初荷重から最大荷重までの引張荷重時の曲線から生じる仕事量面積 (△
ABD),及び引張荷重時の曲線ABと除荷重時の曲線BCとが囲む仕事量面積 (△ABC) を測定し,
次の式によってエネルギー吸収率を算出する。
△ABC
100
△ABD
ここに, エネルギー吸収率 (%)
(2) 劣化性能試験 劣化性能試験は,全幅の試料を用い,次によって行う。ただし,各試料は(1)の試験と
同一条件で製造したものを用いる。
(2.1) 耐摩耗性試験 耐摩耗性試験は,試料を,温度20±2℃,相対湿度 (65±2) %で24時間放置した後,
直ちに次の試験を行う。
(a) 試料を付図5(1)に示すように試験装置に取り付け,試料の一端に質量2.35±0.05kgのおもりをつ
るし,他端を六角棒の上に渡した後,振動ドラムに固定する。次に,振動ドラムをクランク及び

――――― [JIS D 4604 pdf 8] ―――――

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クランクアームによって往復運動させ,試料を繰返し速度毎分30±1回,行程330±30mmで六角
棒の2か所の角で2 500回往復摩擦した後,摩擦部分が引張試験機のクランプ間に入るように取り
付け,(1.1)に示す方法によって引張強さを測定する。ただし,六角棒の1回使用した角は,その
まま再び使用してはならない。
(b) 試料を付図5(2)に示すように取り付け,ウエビングの一端に質量1.36±0.05kgのおもりをつるし,
繰返し速度毎分17±1回,行程175±25mmで長さ調節具を通じて2 500回往復摩擦させた後,摩
擦部分が引張試験機のクランプ間に入るように取り付け,(1.1)に示す方法によって引張強さを測
定する。
なお,この試験は,長さ調節具を通るウエビングに限って行う。
(2.2) 耐寒性試験 耐寒性試験は,試料を,温度−30±5℃の低温槽内の水平面に1.5時間放置した後,二
つ折りにし,折り目上に質量2±0.05kgのおもりを載せ,そのまま,低温槽内に更に30分間放置す
る。次に,おもりを取り除き,低温槽から試料を取り出し,直ちに(1.1)に示す方法で引張強さ試験
を行い,破断時の引張強さを測定する。
なお,おもりにも,あらかじめ試料と同様な低温処理を行う。
(2.3) 耐熱性試験 耐熱性試験は,試料を,温度60±5℃,相対湿度 (65±5) %の空気中に3時間放置した
後,直ちに(1.1)に示す方法で引張強さ試験を行い,破断時の引張強さを測定する。
(2.4) 耐水性試験 耐水性試験は,試料を,水1dm3当たり浸透剤(9)1gを加えた温度20±5 ℃の水中に3
時間浸した後,これを取り出し,直ちに(1.1)に示す方法で引張強さ試験を行い,破断時の引張強さ
を測定する。
注(9) 浸透剤は,試験する繊維に適合したものを用いる。例えば,アルキルフェノールと酸化エチレ
ン付加反応物を用いる。
(2.5) 耐光性試験 耐光性試験は,織物用試料板に試料を適当な方法で取り付け,JIS B 7753に規定する
耐候性試験機で,ガラス製フィルタは,JIS B 7753の4.1(1)(発光部の分光特性)の表2(ガラス製
フィルターの仕様)中のCを用い,JIS D 0205の5.5(促進耐光性試験)に規定する条件で100時
間照射する。ただし,ブラックパネル温度計の温度は,83±3℃とする。次に,試料を,温度20±2℃,
相対湿度 (65±2) %で24時間放置した後,(1.1)に示す方法で引張強さ試験を行い,破断時の引張強
さを測定する。
(2.6) 光に対する染色堅ろう度試験 光に対する染色堅ろう度試験は,織物用試料板に試料を適当な方法
で取り付け,JIS B 7753に規定する耐候性試験機で,ガラス製フィルタは,JIS B 7753の4.1(1)の表
2中のCを用い,JIS D 0205の5.5に規定する条件で100時間の試験を行う。ただし,ブラックパ
ネル温度計の温度は,83±3℃とする。
(2.7) 摩擦に対する染色堅ろう度試験 摩擦に対する染色堅ろう度試験は,JIS L 0849に規定する方法に
よって行う。
(2.8) 汗に対する染色堅ろう度試験 汗に対する染色堅ろう度試験は,JIS L 0848に規定するA法によっ
て行う。
7.5 バックルの試験 バックルの試験は,次のとおりとする。
(1) 耐久性試験 耐久性試験は,通常の使用状態と同様な方法で結合及び解離を5 000回行い,バックル
の損傷,摩耗などの有無を調べる。
(2) 圧縮性試験 圧縮性試験は,バックルの解離機構の中心部を中心にして,ウエビングの通る方向の中
心線から左右60°の範囲にわたって付図6に示すように1.8kNの荷重を加え,バックルの解離の有無

――――― [JIS D 4604 pdf 9] ―――――

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を調べる。
なお,バックルはあらかじめ結合し,330Nの荷重を解離方向に加えておく。
(3) 解離力試験 解離力試験は,(1)の試験後の試料を用い,次の(a)又は(b)によって行う。
(a) 7.9.1に示す方法で,シートベルトに22.3kNの荷重を加えた後,荷重を670±40Nまで下げ,最大の
解離効果を生じるような方向に,押しボタン部の端から3.2mm以上離れたところに力を加え,解離
するときの力を測定する。
(b) 7.9.2に示す方法で試験をした後,バックルを解離せずにシートベルト取付部からシートベルトを取
り外し,バックルに330±20Nの引張荷重を加え,最大の解離効果を生じるような方向に,押しボ
タン部の端から3.2mm以上離れたところに力を加え,解離するときの力を測定する。
7.6 長さ調節具の試験 長さ調節具の試験は,次のとおりとする。
(1) 長さ調節力試験 長さ調節力試験は,長さ調節具に通常の使用状態と同様にウエビングを取り付け,
長さ調節具を試験ジグに固定し,シートベルトの長さを短くする方向にウエビングの自由端を引張速
度毎分500±50 mmで引っ張り,ウエビングが25mm以上移動してから引張力を測定する。次に,シ
ートベルトの長さを長くする方向にウエビングの他端を同様の方法で引っ張り,引張力を測定する。
なお,この試験前に10往復のならし調節を行う。
(2) チルトロック式長さ調節具のチルトロック角度試験 チルトロック式長さ調節具のチルトロック角
度試験は,シートベルトを付図7(a)に示すような長さ調節具底面とウエビングとがなす角度を90°に
しておき,ウエビングの長さを増す方向に引張速度毎分500±50mmでウエビングを引っ張りながら
長さ調節具をロックする方向にゆっくり回して,付図7(b)に示すようにウエビングがロックして,ウ
エビングに加わる張力が90Nに達した時に回すのをやめ,そのときの長さ調節具底面とウエビングと
がなす角度を測定する。
なお,この試験前に,10往復のならし調節を行う。
(3) 長さ調節具のマイクロスリップ試験 長さ調節具のマイクロスリップ試験は,試料を付図8に示すよ
うに取り付け,一端に質量5±0.05kgのおもりを付け,他方の端を引っ張り,毎分30±1回,全行程
300±20mmで20回往復させた後の長さ調節具とウエビングとの相対位置関係を初期位置とし,更に
1 000回往復させ,その初期位置からの変位量をマイクロスリップ量として測定する。
なお,全行程中の,付図8に示す100±20mmにある間,おもりによって,ウエビングに張力を与
えるよう調節する。
7.7 取付具の試験 取付具の試験は,次のとおりとする。
(1) ボルトの引張強さ試験 ボルトの引張強さ試験は,取付具を付図9に示すようなボルト取付台を用い
て引張試験機に取り付け,引張速度毎分約100mmで荷重を加え,荷重を表4に示す値に5秒間保持
する。
(2) 保持金具の強さ試験 保持金具の強さ試験は,取付具の保持金具を備えているフックを付図2に示す
ように保持金具が水平になるように取り付け,保持金具の自由端の近くに670±10Nの荷重を,垂直
及び水平にそれぞれ加え,保持金具の動きを測定する。
7.8 巻取装置の試験 巻取装置の試験は,次のとおりとする。
(1) 巻込力試験 巻込力試験は,ウエビングをいっぱいに引き出した後,ウエビング及びウエビングに取
り付けた金具の質量の影響を受けない方法で,速度毎分約500mmで巻き込ませながら,有効長さ(10)
の25%±50mmの巻込点で巻込力を測定する。ただし,巻込力を一時的になくすか又は減少する機構
を備える巻取装置は,その機構が作動しないようにして試験を行ってもよい。

――――― [JIS D 4604 pdf 10] ―――――

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