JIS G 0557:2019 鋼の浸炭硬化層深さ測定方法 | ページ 2

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らない。ビッカース圧子又はヌープ圧子を用いる試験では,試験力は,通常,HV 0.3を適用し,HV 0.1
HV 1を使用してもよい。ただし,受渡当事者間の協定によって,その他の試験力及び試験方法を使用して
もよい。くぼみの測定は,光学顕微鏡を使用し,適切な照度になるようにする。これには,カメラが附属
する場合と附属しない場合とがあり,接眼レンズ又はスクリーンの幅若しくは高さの25 %75 %の範囲に
拡大し,くぼみの端部にゆがみがなく,焦点を合わせられなければならない。
注記 図3に示したくぼみの間隔のために,通常,0.980 7 N2.942 Nの試験力が適用されている。
受渡当事者間で合意した位置の二つ以上の範囲で前処理された表面を測定し,各範囲の結果を表面から
の距離の関係として硬さ推移曲線2)を描く。
注2) 硬さ推移曲線は,JIS G 0202[鉄鋼用語(試験)]の番号3224参照。
図3−硬さ測定点の位置

7.2 マクロ組織試験による測定方法

  マクロ組織試験による測定は,次の手順によって行う。
a) 試験片を硬化面に垂直に切断し,切断面を研磨仕上げして被検面とする。切断又は研磨によって,被
検面の組織に影響を及ぼさないように,十分注意する。被検面の粗さは,通常,JIS B 0601の最大高
さ粗さRzを,1.6 μm程度以下とする。
b) 被検面を5 %ナイタール3)中で,明瞭な着色状態が得られるように適切な時間エッチングし,このエ
ッチング面をエタノール又は水で洗浄した後,20倍を超えない倍率の拡大鏡でエッチングによる着色
状況を調べる。
注3) 体積分率が5 %になるように硝酸(62 %硝酸と同等のもの。)のエタノール溶液を調製したも
の。体積分率5 %とは,体積比で1 : 19を意味している。

8 結果の評価

8.1 硬さ試験

  7.1で規定した測定方法に従って,表面から限界硬さ(3.1参照)又は硬さが生地と同じになる位置まで
の距離を定める。この距離が,有効硬化層深さ又は全硬化層深さとなる(図4参照)。
表面から硬化層(550 HVの硬さ値で定めた深さ)の3倍の距離の位置の硬さがビッカース硬さ450を超
えるものについては,受渡当事者間の協定によって,限界硬さは,ビッカース硬さ550を超える(ビッカ
ース硬さ25刻みの)硬さを用いることができる。

――――― [JIS G 0557 pdf 6] ―――――

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受渡当事者間の協定によって,7.1で規定した測定を2回実施して,硬さ推移曲線を2本作成し,それぞ
れから得られた硬化層深さの平均値を採用してもよい。
なお,両者の差が0.1 mmを超えるときは,試験を繰り返す。
全硬化層深さの決定が困難な場合,受渡当事者間の協定によって,硬化層のおおよその深さの2倍の深
さで測った生地の硬さより30 HV50 HVだけ高い点を,全硬化層深さを決定する硬さとしてもよい。
注記 測定の不確かさは,測定結果に影響する主な要因を特定するために有用である。
1 硬さ推移曲線 X 表面からの距離
2 限界硬さ Y 硬さ
3 生地と同じ硬さ
D1 有効硬化層深さ
D2 全硬化層深さ
図4−硬化層深さを決定するための硬さ推移曲線

8.2 マクロ組織試験

  全硬化層深さは,生地と異なって着色されている部分の,表面からの深さを測定することによって求め
る。

9 表示

  硬化層深さの表示は,次による。
a) 硬化層深さは,ミリメートルで示し,小数点以下1位までとする。
b) 硬化層深さの表示記号は,表1による。

――――― [JIS G 0557 pdf 7] ―――――

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表1−硬化層深さの表示記号
測定方法
硬化層深さ 硬さ試験による測定方法a)
マクロ組織試験による測定方法
ビッカース硬さc)
CHD
有効硬化層深さ −
(DC-H△-E)b)
全硬化層深さ DC-H△-T DC-M-T
注a) 硬化層深さの表示の例は,次による。△にはJIS Z 2244の表3(硬さ記号と試験力)における
硬さ記号の数字を記入する。
例1 CHD = 2.5 mm
(箇条7のビッカース硬さ試験による測定方法で,試験力2.9 Nで測定し,有効硬化
層深さ2.5 mmの場合)
例2 DC-H1-T1.1
(箇条7のビッカース硬さ試験による測定方法で,試験力9.8 Nで測定し,全硬化層
深さ1.1 mmの場合)
例3 DC-M-T2.2
(箇条7のマクロ組織試験による測定方法で測定し,全硬化層深さ2.2 mmの場合)
ビッカース硬さの有効硬化層深さについては,他の試験力又は異なる限界硬さを使用する場
合は,CHDの後に次のように示す。
例4 CHD 575 HV5(試験力49.03 N,限界硬さ575 HV)
b) 受渡当事者間の協定によって,DC-H△-Eの表記を使用してもよい。ビッカース硬さ試験の試
験力が2.9 Nの場合は,△の記入を省略してもよい。
例 DC-H-E2.5
(箇条7のビッカース硬さ試験による測定方法で,試験力2.9 Nで測定し,有効硬化層
深さ2.5 mmの場合)
c) ヌープ硬さ試験による測定方法で行った場合の表示記号は,受渡当事者間の協定による。

10 報告

  報告が必要な場合には,受渡当事者間の協定のない限り,少なくとも次の項目を含む。
なお,受渡当事者間の協定によって,次の項目の一部を省略してもよい。
a) この規格に基づいて測定した旨の記載(JIS G 0557)
b) 試験方法(硬さ試験方法,試験力,倍率,複数本の線に沿ってくぼみをつけた場合は平行線間の距離)
c) 測定の結果(箇条9参照)
d) 試験片名称,識別番号,試験位置など
e) 測定時に発生した特記事項
f) 試験片(製品又は同一鋼種の鋼材)の区分
g) 熱処理条件

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附属書A
(規定)
有効硬化層深さ決定のための内挿法
A.1 一般
浸炭硬化層深さが規定された場合,次の内挿法によって有効硬化層深さを求めてもよい。ここで定義し
ている浸炭硬化層深さの終点境界領域では硬さの変化率が直線近似できるため,内挿法の適用が可能であ
る。
A.2 有効硬化層深さ決定のための内挿法
垂直断面上で表面からの距離がd1,d2である部分において5点以上の硬さ測定を行う(図A.1参照)。
d1及びd2は検証したい有効硬化層深さよりそれぞれ小さい値及び大きい値になるよう設定し,d2−d1は0.3
mm以下とする。
図A.1−硬さ測定部位
有効硬化層深さは,次の式(A.1)で算出される。
(d2 d1 )(H1 550)
CHD d1 (A.1)
H1 H2
ここに, H及び
1 Hは,それぞれd1及びd2で測定された値の算術平均値である(図A.2参照)。
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H1
H2
H 1距離d1における硬さ値の算術平均値
H 2距離d2における硬さ値の算術平均値
X 表面からの距離
Y ビッカース硬さHV又は相当するヌープ硬さHK
図A.2−有効硬化層深さ決定のための内挿法
内挿法を適用する場合,表面直下の硬さを確認するのがよい。表層下に残留オーステナイトが過剰に存
在すると,この領域の硬さは限界硬さの550 HVを下回る場合がある。

――――― [JIS G 0557 pdf 10] ―――――

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