JIS K 0067:1992 化学製品の減量及び残分試験方法

JIS K 0067:1992 規格概要

この規格 K0067は、化学製品の減量及び残分を試験するための一般的な方法について規定。

JISK0067 規格全文情報

規格番号
JIS K0067 
規格名称
化学製品の減量及び残分試験方法
規格名称英語訳
Test methods for loss and residue of chemical products
制定年月日
1966年8月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
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対応国際規格

ISO

ISO 759:1981(NEQ)
国際規格分類

ICS

71.040.40
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
化学分析 2021
改訂:履歴
1966-08-01 制定日, 1969-08-01 確認日, 1972-07-01 確認日, 1975-08-01 確認日, 1978-08-01 確認日, 1984-02-01 確認日, 1989-06-01 確認日, 1992-05-01 改正日, 2002-06-20 確認日, 2006-11-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS K 0067:1992 PDF [11]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 0067-1992

化学製品の減量及び残分試験方法

Test methods for loss and residue of chemical products

1. 適用範囲 この規格は,化学製品の減量及び残分を試験する一般的な方法について規定する。
備考1. 化学製品は,化学反応によって生成する物質全般を指すが,個別の製品又は製品群の規格に
おいて,この規格と異なる試験方法が規定されている場合には,その規格に規定する方法に
よる。
2. 化学製品には,揮発性,爆発性,放射性などが強いために,この規格を用いるとき試験の安
全を確保できないものもある。この規格に規定する方法は一般的な方法であり,あらかじめ
安全性を十分に確認できるものに適用する。
3. この規格の引用規格を,付表1に示す。
4. この規格の対応国際規格を,付表2に示す。
2. 一般事項
2.1 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211によるほか,次のとおりとする。
(1) 減量 試料を乾燥又は強熱したときの質量の減少量。
(2) 乾燥減量 試料を乾燥したときの減量を質量百分率で表したもの。
(3) 強熱減量 試料を強熱したときの減量を質量百分率で表したもの。
(4) 残分 試料を蒸発又は強熱したときの質量。
(5) 蒸発残分 試料を蒸発させたときの残分を質量百分率で表したもの。
備考 蒸発残分は,不揮発分ともいう。
(6) 強熱残分 試料を強熱したときの残分を質量百分率で表したもの。
(7) 灰分 有機物試料を灰化,強熱したときの残分を質量百分率で表したもの。
2.2 共通事項 試験に共通する事項は,JIS K 0050によるほか,次による。
2.2.1 加熱温度 加熱温度は,次のとおりとする。
(1) 加熱乾燥温度 105±2℃
(2) 強熱温度 650±50℃
2.2.2 放冷 放冷は,乾燥剤としてシリカゲルを入れたデシケーター内に放置(1)して室温まで放冷する。
注(1) 放置時間は,通常,2060分間であるが,試験に用いる容器の大きさ及び個数,デシケーター
の大きさなどを考慮して,試験者が時間を設定する。
2.2.3 試験に用いる容器の恒量 試験に用いるはかり瓶,蒸発皿,るつぼ及び試料容器を強熱又は加熱乾
燥し,放冷した後,質量を測定する操作を2回繰返したとき,その質量の差が0.3mg以下になったとき,
恒量とする。
2.2.4 恒量 恒量は,次のとおりとする。

――――― [JIS K 0067 pdf 1] ―――――

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K 0067-1992
(1) 減量試験の場合 試料を加熱又は乾燥し,放冷後,質量を測定したとき,1回目と2回目の質量の差
が,1回目の質量に対して0.10%以下になったとき,恒量とする。ただし,試料の質量が0.3g以下の
場合は,1回目と2回目の質量の差が0.3mg以下になったとき,恒量とする。
(2) 残分試験の場合 試料を蒸発又は強熱し,放冷後,質量を測定する操作を2回繰返したとき,その質
量の差が0.3mg以下になったとき,恒量とする。
2.2.5 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(1) はかり(天びん) 化学はかり又は電子はかり。
(2) はかり瓶 JIS R 3503に規定する平形はかり瓶で,その厚さが5mm以下となる容量のもの。
(3) るつぼ JIS R 1301に規定する磁器るつぼ又はこれと類似の形状の石英るつぼ若しくはJIS H 6201に
規定する白金るつぼで,るつぼの大きさは,試料がその容量の31以下になるもの。
(4) 蒸発皿 JIS R 1302に規定する磁器蒸発皿又はこれと類似の形状の石英蒸発皿若しくはJIS H 6202に
規定する白金蒸発皿で,蒸発皿の大きさは,試料がその容量の21以下になるものを用いる。
(5) デシケーター JIS R 3503に規定するもので,乾燥剤としてシリカゲルを入れたもの(2)。
注(2) シリカゲルは約150℃に加熱,放冷したものを用い,再生する場合も同じ処理を行う。
2.2.6 数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401による。
3. 試験方法の種類 試験方法の種類は,次のとおりとする。
3.1 減量試験
3.1.1 乾燥減量試験 試料を乾燥し,その減量を量る。この試験は,水分その他の揮発性物質の質量を量
るために用いる。
3.1.2 強熱減量試験 試料を強熱し,その減量を量る。この試験は無機物試料について,空気中で強熱す
ることによって失われる構成成分又は混在物の質量を量るために用いる。
3.2 残分試験
3.2.1 蒸発残分試験 液体試料を蒸発乾固し,その残分を量る。この試験は,試料中の高沸点の混在物の
質量を量るために用いる。
3.2.2 強熱残分試験又は灰分試験 試料を強熱し,その残分を量る。この試験は,試料中の混在物又は構
成成分として含まれる無機化合物の質量を量るために用いる。
4. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
4.1 乾燥減量試験
4.1.1 試験方法の種類
(1) 第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法 試料を乾燥器を用いて加熱乾燥し,乾燥後の減量を量る。こ
の方法は,加熱しても安定な試料に適用する。
(2) 第2法 大気圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法 試料をデシケーター中で乾燥し,乾燥後の減量を
量る。この方法は,加熱によって分解するなど,加熱乾燥ができない試料に適用する。
(3) 第3法 減圧下で加熱乾燥する方法 試料を減圧乾燥器を用いて加熱乾燥し,乾燥後の減量を量る。
この方法は,第1法では乾燥が不十分な試料又は乾燥に長時間を要する試料に適用する。
(4) 第4法 減圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法 試料を減圧下でデシケーターを用いて乾燥し,乾燥
後の減量を量る。この方法は,第2法では乾燥が不十分な試料に適用する。
4.1.2 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。

――――― [JIS K 0067 pdf 2] ―――――

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K 0067-1992
(1) 乾燥器 試験温度±2℃に保持できるもの。
(2) 減圧乾燥器 試験温度±2℃に保持でき,試験圧力に保持できるもの。
(3) 減圧デシケーター JIS R 3503に規定する上口デシケーター。
(4) 減圧ポンプ 圧力0.1kPaまで減圧できるもの。
(5) 真空計 圧力0.1kPaまで測定できるもの。
4.1.3 試料の準備
(1) 液体試料 よく振り混ぜて均質にする。
(2) 固体試料 試料が大きな結晶又は塊の場合は,手早く粉砕して粒径約2mm以下にする。このとき,
吸湿,水分の揮散などがないよう注意する。
4.1.4 操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法
(a) 試料を恒量にしたはかり瓶に取り,試料の表面を平らにしてから質量を0.1mgのけたまで量る。
(b) 試料を入れたはかり瓶を乾燥器に入れ,2時間加熱乾燥する(3)(4)。
注(3) 試験温度よりも低い温度で融解する試料を加熱乾燥するときは,融解温度より約10℃低い温度
で約1時間加熱後,試験温度で加熱する。
(4) はかり瓶のふたは,少しずらして置くか又は外して同時に乾燥する。
(c) 乾燥後,はかり瓶とふたを速やかにデシケーターに移して放冷する。放冷後,はかり瓶にふたをし
てデシケーターから取り出し,質量を0.1mgのけたまで量る。
(d) 恒量になるまで(b)及び(c)を繰り返す。この場合の加熱乾燥時間は,約1時間とする。
(2) 第2法 大気圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法
(a) 試料を恒量にしたはかり瓶に取り,試料の表面を平らにしてから質量を0.1mgのけたまで量る。
(b) 試料を入れたはかり瓶をデシケーターに入れ(4),24時間乾燥する。
(c) 乾燥後,はかり瓶にふたをしてデシケーターから取り出し,その質量を0.1mgのけたまで量る。
(d) 恒量になるまで(b)及び(c)を繰り返す。この場合の乾燥時間は,約6時間とする。
(3) 第3法 減圧下で加熱乾燥する方法
(a) 試料を恒量にしたはかり瓶に量り取り,試料の表面を平らにしてから質量を0.1mgのけたまで量る。
(b) 試料を入れたはかり瓶を試験温度に調節した減圧乾燥器に入れる(4)。
(c) 減圧乾燥器内の圧力を試験圧力に減圧した後,約4時間乾燥する。
(d) 乾燥後,減圧乾燥器の圧力を徐々に大気圧に戻し,はかり瓶とふたを速やかにデシケーターに移し
放冷する。放冷後,はかり瓶にふたをしてデシケーター内から取り出し,その質量を0.1mgのけた
まで量る。
(e) 恒量になるまで(c)及び(d)を繰り返す。この場合の加熱乾燥時間は,約1時間とする。
(4) 第4法 減圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法
(a) 試料を恒量にしたはかり瓶に量り取り,試料の表面を平らにしてから質量を0.1mgのけたまで量る。
(b) 試料を入れたはかり瓶を減圧デシケーターに入れる(4)。
(c) 減圧デシケーター内の圧力を徐々に2kPa以下に減圧した後,24時間乾燥する。
(d) 乾燥後,デシケーター内の圧力を徐々に大気圧に戻した後,はかり瓶にふたをしてデシケーターか
ら取り出し,その質量を0.1mgのけたまで量る。
4.1.5 計算 乾燥減量は,次の式によって算出する。

――――― [JIS K 0067 pdf 3] ―――――

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K 0067-1992
W1 W2
A 100
W1 W3
ここに, A : 乾燥減量 (%)
W1 : 乾燥前の試料とはかり瓶の質量 (g)
W2 : 乾燥後の試料とはかり瓶の質量 (g)
W3 : はかり瓶の質量 (g)
4.2 強熱減量試験
4.2.1 装置電気炉 試験温度に保持できるものとする。
4.2.2 試料の準備 試料が大きな結晶又は塊の場合は,手早く粉砕して粒径を約2mm以下にする。この
とき,吸湿,水分の揮散などがないよう注意する。
4.2.3 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試料を恒量にしたるつぼ又は蒸発皿に0.1mgのけたまで量る。
(b) 試料を入れたるつぼ又は蒸発皿を電気炉に入れ,徐々に温度を上げて強熱する。
(c) 2時間強熱した後,るつぼ又は蒸発皿を速やかにデシケーターに移して放冷する。放冷後,デシケ
ーターから取り出し,その質量を0.1mgのけたまで量る。
(d) 恒量になるまで(b)及び(c)を繰り返す。この場合の強熱時間は約1時間とする。
4.2.4 計算 強熱減量は,次の式によって算出する。
W1 W2
B 100
W1 W3
ここに, B : 強熱減量 (%)
W1 : 強熱前の試料とるつぼ又は蒸発皿の質量 (g)
W2 : 強熱後の試料とるつぼ又は蒸発皿の質量 (g)
W3 : るつぼ又は蒸発皿の質量 (g)
4.3 蒸発残分試験
4.3.1 試験方法の種類
(1) 第1法 水浴上で加熱蒸発する方法 試料を水浴上で加熱して蒸発乾固し,残分の質量を量る。この
方法は,水浴上の加熱で蒸発乾固できる試料に適用する。
(2) 第2法 熱板上で加熱蒸発する方法 試料を熱板上で加熱して蒸発乾固し,残分の質量を量る。この
方法は,水浴上の加熱では蒸発乾固が困難な試料に適用する。
(3) 第3法 蒸留残分を加熱蒸発する方法 試料の大部分を蒸留分離し,その蒸留残分を蒸発皿に移した
後,熱板上で加熱して蒸発乾固し,残分の質量を量る。この方法は,主成分が容易に蒸留分離できる
液体試料に適用する。
(4) 第4法 ガスクロマトグラフ分析条件で加熱蒸発する方法 ガスクロマトグラフ分析条件の試料気化
室温度で試料の加熱蒸発を行う方法で,試験方法は次の2種類とする。この方法は,ガスクロマトグ
ラフ分析の試験結果について,不揮発分補正を行う場合の不揮発分の測定に適用する。
(4.1) 法 油浴加熱法 油浴中で試料を加熱して蒸発乾固し,その残分を量る。
(4.2) 法 電気炉加熱法 電気炉中で不活性ガスを流しながら,試料を加熱して蒸発乾固し,その残分
を量る。
4.3.2 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(1) 水浴
(2) 油浴 温度調節器を備えたもので,浴内の液温を試験温度に保持できるもの。

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K 0067-1992
(3) 乾燥器 試験温度±2℃に保持できるもの。
(4) 不揮発分試験装置 電気炉及び石英管で構成するもの。一例を図1に示す。
(a) 管状電気炉 温度500℃まで調節できるもの。
(b) 石英管 石英ガラス製のもの。一例を図1に示す。
(c) 試料容器 白金,石英又は硬質ガラス製のもので,形状及び寸法の一例を図1に示す。
(d) 試料挿入棒 鋼製。一例を図1に示す。
(5) 全量ピペット 10ml
(6) 熱板 電気加熱式のもの。
(7) 蒸留装置 JIS R 3503に規定する枝付フラスコ,リービッヒ冷却管及びアダプターを用いて構成する
蒸留装置。加熱は,加熱調節器によって消費電力を01 000Wに調節できる電熱器による。

――――― [JIS K 0067 pdf 5] ―――――

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