JIS K 0464:2009 ポリクロロビフェニル(PCB)の免疫測定方法通則 | ページ 3

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a d
y d b
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IC50
ここに, y : 測定値
d : 曲線における上方漸近値
a : 曲線における下方漸近値
ρ : 標準物質の質量濃度
ρIC50 : IC50における標準物質の質量濃度
b : IC50における曲線の傾き
図5−検量線の例

11.3 測定試料の定量

  通常,測定試料は希釈系列を調製し,測定する。この測定試料液から得た測定値から算出したB/B0値を
検量線の回帰式に代入し,測定試料液の定量値C (μg/mL) を算出する。試料量当たりの定量値Cs(mg/kg
など)は,次の式で求める。濃度は,通常,3けた目を四捨五入し,有効数字は2けたで表す。ただし,
検出下限の位までとする。
VE 1
Cs C n v
VE S
ここに, Cs : 試料量当たりの定量値(mg/kgなど)
C : 測定試料液の希釈液の定量値 (μg/mL)
n : 希釈倍数
v : 測定試料液の液量 (mL)
VE : 抽出液量 (mL)
V'E : 抽出液分取量 (mL)
S : 試料の採取量(gなど)
試料の定量下限は,測定試料液の希釈倍数,分析に供した抽出液の割合及び試料の採取量によって異な
るので,試料ごとに求める。

――――― [JIS K 0464 pdf 11] ―――――

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12 日常精度管理

12.1 一般

  試料の前処理の精度及び測定の精度を確保していることの確認を行うため,次の12.2及び12.3の試料に
ついて必要な前処理及び試料調製を行って,測定を行う。また,適切な頻度で,12.4に規定する二重測定
を行い,12.5に規定する管理図を作成し,記録する。

12.2 操作ブランク試料

  操作ブランク試料の調製は,測定試料の調製などに起因する汚染を確認し,試料の測定に支障のない測
定環境を確認するために行うものであり,試料のサンプリング及び前処理に用いるのと同じ試薬などを用
いて試料と同様に行う。試薬,資材の変更など前処理操作に大きな変更があった場合及び試料間汚染(ク
ロスコンタミネーション)が予想される高濃度試料の前処理を行う場合にも,操作ブランク試料を調製す
る。操作ブランク試料測定値(以下,操作ブランク測定値という。)が高い場合は,試料測定値の補正に操
作ブランク測定値を用いる必要があるが,操作ブランク測定値が大きいと,試料測定値の信頼性が低下す
るため,操作ブランク測定値は極力低減を図る。

12.3 濃度既知試料

  標準的な濃度既知試料(標準物質溶液,濃度既知の環境試料など)であり,適切な頻度(例えば,一連
の分析操作ごと)で,前処理から測定までの工程に精度管理上の問題が発生していないことを,定期的に
確認するために用いる試料である。抽出及び前処理操作における十分な回収率を確認する目的では,通常,
定量下限以上の濃度既知試料を用いる。一方,前処理操作における十分な精製度を確認する目的では,検
出下限以下の濃度既知試料を用いて測定を行い,検出下限値を超えないことを確認する。また,測定系(測
定,定量操作)の異状の有無を確認する目的では,通常,標準物質溶液又は濃度既知の前処理済み試料を
用いる。

12.4 二重測定

  同一試料から二つ以上の測定試料を採取し,採取した試料について前処理操作,測定操作を行い,定量
下限以上の測定値について,十分な再現性のあることを確認する。測定試料数に応じ適切な頻度で二重測
定を行う。

12.5 管理図

  検量線作成用標準液及び濃度既知試料の測定値については,一連の測定操作ごとにJIS Z 9021に規定し
た管理図に測定値を記録し,保存する。管理図による処置基準は,管理限界(μ±3σ)からの逸脱状況及
び管理図の傾向に応じて適切に定める(μ : 工程平均,σ : 定量値の標準偏差)。1点でも管理限界を超え
た場合は,原因の究明及び対策を行うとともに,試料を再測定する。改善のために講じた措置及び再測定
の結果について,記録を行う。また,警戒限界(μ±2σ)内であっても基準値に対して,一定の傾向で外
れていくような状態又は偏った定量値が続くような状態においても原因の究明を行い,必要に応じ対策を
行うとともに,試料を再測定する。
なお,管理限界は,あらかじめ十分なサンプル数から求める。

13 検査報告書

  検査報告書には,次の事項について明記する。
a) この規格の番号
b) 試料を特定するために必要な情報
c) 選択した免疫測定方法及び測定条件

――――― [JIS K 0464 pdf 12] ―――――

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d) 試料のサンプリング及び前処理方法
e) 11.2に規定する標準溶液の検量線
f) 11.3の試料測定結果及び計算結果
g) 箇条12に規定する日常精度管理データ(必要に応じて記載)
h) 箇条10に規定する精度プロファイル(必要に応じて記載)
i) 検査に用いた抗PCB抗体の交差反応性(必要に応じて記載)
j) この手順からの逸脱及び結果に影響を及ぼす可能性のあるすべての状況の記載

――――― [JIS K 0464 pdf 13] ―――――

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附属書A
(参考)
サンプリング及び前処理
A.1 サンプリング及び前処理
試料媒体は,ポリクロロビフェニル (PCB) を含む油分であり,電気絶縁油,燃料油,潤滑油,非鉱油
などがある。また,試料媒体が使用された電気工作物としては,変圧器,コンデンサ,計器用変成器,リ
アクトル,放電コイル,電圧調整器,整流器,開閉器,遮断器,中性点抵抗器,避雷器,OFケーブルな
どがある。このほかに蛍光灯安定器などの家電機器がある。
サンプリング方法については,対応するJIS又は公的な分析マニュアルはないが,試料が含まれる工作
物又は機器の構造及び大きさに適した方法で行う。例えば,試料が密閉されている場合には同じ工作物又
は機器であっても,密閉箇所ごとに採取する。また,密閉量が多量である工作物又は機器の場合,使用時
などに密閉空間において混合が十分行われていることを考慮して代表試料を採取する。
前処理についても,対応するJIS又は公的な分析マニュアルはないが,試料媒体として油分を対象とし
た方法として“特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法(厚生告示192号平成
4年7月3日)”がある。
なお,前処理におけるサンプリングスパイク,クリーンアップスパイクなどの内標準物質については,
免疫測定方法では測定対象成分との識別が不可能であるため使用することはできない。しかし,測定対象
成分の回収性について,濃度既知試料を免疫測定方法を用いて測定することによって,又は内標準物質を
用いた機器分析による測定を行うことによって確認を行う。
A.2 サンプリングの例
A.2.1 サンプリング概要
電気工作物又は家電機器などから試料を採取する。採取に当たっては,試料の種類,採取場所,採取方
法などに留意する。試料採取の一般事項は,JIS C 2101を参考にする。
A.2.2 サンプリング器具及び装置並びにその適用
試料採取器具及び装置並びにその適用例は,JIS C 2101の5.1.1(表2)を参考にする。ただし,試料に
PCBが含まれる可能性があるため,細管式採取器などの洗浄可能で簡素,かつ,機能的な器具を使用する。
また,試料が密閉形容器又は機器であり,試料の排出口が設けられている場合には,排出口から直接試料
の採取を行う。さらに,循環ラインなどに排出口が設けられている場合も直接試料の採取ができる。
A.2.2.1 器具
容器及びふたは,JIS C 2101の5.2.1(容器及びふた)に規定したものを用いる。容器はガラス瓶などの
洗浄が可能で油中のPCBが付着しにくい材質のものを用いる。ふたも試料を汚染しない材質及びPCBの
付着性が低い材質のものを用い,容器を密栓して外気と遮断できるものとする。
A.2.2.2 試料採取器及び装置
試料採取器及び装置は,JIS C 2101の5.2.2(試料採取器及び装置)に従ったものを用いる。ただし,細
部の形状及び寸法は,採取場所の状況に応じて,適宜,選ぶ。
A.2.3 試料の採取量
試料は,代表性を損なわない量を採取する。

――――― [JIS K 0464 pdf 14] ―――――

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A.2.4 試料のラベル
JIS C 2101の5.1.3(ラベルの表示)に従った方法による。
A.3 試料の前処理の例
A.3.1 概要
採取した試料は,A.3.4の前処理操作に供し,測定試料を調製する。操作は,ヘキサン及びDMSOによ
る抽出・分配と硫酸などによる分解反応とを組み合わせた精製工程から構成する。
なお,これらの操作は,バッチ処理又はカラムクロマトグラフィーのどちらの形態を用いてもよい。
A.3.2 試薬
試薬は,JISに規定されているもので試験に支障のないものを用いる。JISに規定されていない試薬は,
試験に支障のないものを用いる。
A.3.2.1 ヘキサン JIS K 8825に規定するもの,又は同等の品質のもの。
A.3.2.2 DMSO JIS K 9702に規定するジメチルスルホキシド,又は同等の品質のもの。
A.3.2.3 硫酸 JIS K 8951に規定するもの,又は同等の品質のもの。
A.3.2.4 発煙硫酸 JIS K 8741に規定するもの,又は同等の品質のもの。
A.3.2.5 硝酸銀 JIS K 8550に規定するもの,又は同等の品質のもの。
A.3.2.6 PCB混合物標準品 組成及び濃度が可能な限り国家計量標準にトレーサブルなPCB標準物質。
例えば,独立行政法人産業技術総合研究所認証標準物質NMIJ CRM4206aNMIJ CRM4211a。
A.3.2.7 PCB標準溶液 PCB混合物標準品をDMSO又はJIS C 2320に規定する電気絶縁油などの適切な
溶媒を用いて溶解希釈し,標準希釈列を調製する。
A.3.3 器具及び装置
前処理に用いる器具及び装置は,次による。また,市販の専用前処理キット又は専用前処理装置を用い
る場合は,添付文書又は取扱説明書に記載された内容による。
A.3.3.1 ガラス器具 JIS R 3503及びJIS R 3505に準じたものを用いる。
A.3.3.2 安全キャビネット JIS K 3800に規定するもの,又は同等以上の性能をもつもの。
A.3.3.3 プッシュボタン式液体用微量体積計 JIS K 0970に規定するもの(マイクロピペットともいう。)。
A.3.4 前処理操作
前処理操作は,例えば,次の操作の組合せによって行う。また,市販の専用前処理キット又は専用前処
理装置を用いる場合は,添付文書又は取扱説明書に記載された操作内容による。
a) 試料の希釈 試料をヘキサンで目的の濃度となるように希釈する操作。
b) MSO分配 ヘキサン飽和DMSOを試料に添加し,かき混ぜによってPCBをDMSOに抽出・分配す
る操作。
c) ヘキサン逆抽出 PCBを含むDMSOにヘキサン洗浄水及びヘキサンを添加し,かき混ぜによってPCB
をヘキサンに抽出・分配する操作。
d) 硫酸処理 PCBを含む溶液を発煙硫酸又は硫酸を含むシリカゲルなどに接触させてPCB以外の不純
物を分解する操作。発煙硫酸を使用する場合にはガラス試験管を,硫酸シリカゲルを使用する場合に
はカラムを用いる。また,分解物とPCBとの分離は,試験管からの分取又はカラムからの溶出によっ
て実施する。
e) 多層シリカゲルカラム処理 PCBを含む溶液を硫酸,硝酸銀などを含むシリカゲルを多層に充てんし
たカラムに供給し,PCB以外の不純物を分解,除去する操作。

――――― [JIS K 0464 pdf 15] ―――――

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